グラフィック薄氷大魔王[431]「Evernoteのカメラ、使える!」他、小ネタ集/吉井 宏

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●メインツール「MODO」の運命やいかに? と、あれこれ考察

二か月前のこの連載で、「メインソフトが開発終了したら」って話を書いたばかり。
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20150318140100.html >

開発終了ほど深刻じゃないけど、ちょっとツールについて考えさせられる事案発生。

「Adobeが入札したらしい」というニュースがGW前にあった。ハイエンド映像Nukeや僕のメインツールの3DソフトMODOなどを扱うソフト会社The Foundryを、親会社である投資会社が売りに出しているというニュースはしばらく前に聞いていた。数年前に買収した会社の価値が上がったから、下がらないうちに売りに出そうってことらしい。続報はないので現在どうなってるか不明。
< http://bit.ly/1df6wxP >

夢想的には「MODOがAdobe Creative Cloudに含まれたら、いきなり超メジャーな3Dソフトに!」を期待。Adobeは本格的な統合3Dソフトをラインナップに加えるのは始めてなはず。

しかし、現実的には「Adobe After EffectsのライバルNukeを買い取って潰す、あるいは技術を取り込む」って線が濃厚? すると、Adobeにとっては、NUKEのおまけでついてきた、どうでもいい存在のMODOには飼い殺しの運命が......。




まだMODOがどういうことになるのかわからないし、AdobeやAutodesk、どこが買ってもユーザー的にはたいして変わらないのかもしれない。数週間後に新しいバージョンが出る予定なんだよなあ。

10年メインツールとして使ってきたわけだし、よほどのことでもない限りこれからもずっと使えるに違いないMODOだけど、時たま足元をぐらぐら揺さぶられるのは......いやー、面白いw 今やってることの根本的なところを考え直す機会になったりする。いろんなことが頭に浮かぶ。

MODOがなければ仕事が成り立たない? もちろんそんなわけないよね。世の中の3DCGの人のほとんどはMODOを使ってない。他のソフトに乗り換えても、すぐに慣れるにちがいない。MODOの作業効率の良さを思い出してはグチグチ言うんだろうけどw

じゃあ、「○○がなければ仕事が成り立たない」って最低ラインはどこなのか? といえば、まあ、3DCGソフトでなくても、Photoshopのような画像処理ソフトかペイントソフトがあれば、僕的にデジタル仕事は大丈夫。そもそもアナログ画材でだって仕事できちゃうわけで。

もっと言えば、紙とボールペンで指示書を作って、その道のプロ、あるいはクラウドソーシングに清書というか実作業を依頼する手だってある。「クリエイティブの核心部のほとんどは紙と鉛筆の段階にある説」的には、その核心部だけをやって暮らせるのが理想だなとか思ったりもする。

そもそも、キャラクター仕事的に3DCGで100%やってるのはどうなのか? という問題もある。2Dのほうがぜんぜん自由だし使い道が多いのは間違いない。

Painter時代に2Dでのキャラクター仕事はいくつもやったことあるけど、当時はポーズや表情のバリエーションを作るのに、いちいち全部描かなくちゃいけないのでたいへんだった。3Dで基本形を作って、ポーズ取らせればラクなのにって。やってみたらまったくラクじゃなかった。2Dの十倍以上大変w

あらためて2Dをやるなら、Adobe Illustratorとかのベクター系だな、とは以前から思ってた。切り絵的レイヤー構造やベジェをいじるのは苦手なんだけど、シンプルな形を納得行くまでいじり倒すならベジェだろう。そのへんはポリゴンやポイントをちくちくいじって形状を磨き上げていくのに似てるし、そういう作業は好きだから。

で、世の中の3Dキャラクターの大半には元の2Dキャラクター絵があって、アニメーションなどの必要から3Dに起こしたもの。

僕も仕事の3Dキャラも使い勝手上、2Dに描き起こす必要がときたまある。じゃあ、最初が3Dの僕のキャラを、逆に2Dに落とし込むのってアリじゃん! 3Dのトレースじゃなく、平面キャラクターにアレンジする。それを思いついたのは数年前なんだけど本格的には試してなかった。

昨年12月の香港のクリスマスディスプレイで、向こうのデザイナーが2Dで書き起こしたTDWキャラが印刷物等で使われてて、「これこれ! これをやりたかった!」って思ったのでした。3Dと2Dがもともとセットなら、使いやすいよね、と。ぜひやろう。
< http://www.yoshii.com/dgcr/hongkong2014-dgcr02.jpg >

などなど、以上、The Foundryの話をきっかけに考えたあれこれでした。

●Evernoteのカメラ、使える!

ロットリングのYouTubeチャンネル。メーカー的には「手で描いて何かを作る」ことの素晴らしさをアピールしたいわけで、アーティストやデザイナーなどのインタビューや映像満載。
< https://www.youtube.com/user/rotringcom/ >

強烈な刺激。二本見たら、たまらず紙に猛烈にドローイング始めちゃったもん。やはり大きい紙に描きたい! と、A3のコピー用紙に描いてたけど、スキャンをどうしようか? A4スキャナで二回に分けてスキャンするのは面倒くさい。ScanSnapのA3キャリアシートは紙を折るのが面倒。デジカメも補正が面倒。

そこで、iPhoneのEvernoteスナップショット(メモとして書類などを撮影する機能)を試してみたら、簡単! キレイ! 歪み補正も完璧。Macにも同期されるので手間なし。おまけに、横位置が縦に撮れちゃってるのもEvernote内で回転できる。
< http://www.yoshii.com/dgcr/evernotescan01.jpg >

Evernoteから画像をドラッグ&ドロップで保存してPhotoshopで作業、と思ったら、Evernoteから右クリックで直接Photoshopに開いて作業し、保存するとEvernoteに結果が戻される! 便利〜! Evernoteがスナップショットを一生懸命宣伝してるの知ってたけど、試したことなかったのでした。

A3の紙は大量になってくると始末に負えないけど、スキャンが済んだら捨てることにしておけば無問題。

●コーヒーは体に良いか悪いか?

僕は大きめマグカップの薄いコーヒーを一日二杯、緑茶も二杯くらいかな?

「コーヒーを一日に三杯から四杯飲む人はほとんど飲まない人に比べて、病気などで死亡する危険性が低くなるとする研究成果」。テレビのニュースでやってた。
< http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150507/k10010072081000.html >

そこで疑問。......仮に「コーヒーや緑茶をおいしいからと何度も飲む人はもともと健康、あまりおいしいと思わないから飲まない人は元々不健康の気がある」としたら?

お茶の時間やコーヒータイムを一日に何度も取れる人は、時間や気持ちや経済的に余裕があってストレスの少ない人、だとしたら? 9万人を19年も追跡調査しても、意味まったくなくない?

好き嫌い関係なく強制的に飲む量を決めて追跡調査しなきゃわからないよね? っていうか、調査や統計の肝心な部分が適当なものが多すぎるし、それをそのまま信じちゃう人も多すぎる。まあ、商売上わざとやってるのも多そうだけど。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

前回4月22日の原稿を書いた直後、「スター・ウォーズ」の新予告編絡みで思いついて、小ネタ集ではない5000字の大作(!?)を書いたんだけど、気がついたら翌週からデジクリGWお休みだったー! 休み明け第一回目に掲載と思ったけど、いつ載せても大丈夫な内容なので、緊急用にとっておくことにしますw

・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
< http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500 >
・rinkakの3Dプリント作品ショップ
< https://www.rinkak.com/jp/shop/hiroshiyoshii >
・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
< https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii >
・ハイウェイ島の大冒険 < http://kids.e-nexco.co.jp >
・App Store「REAL STEELPAN」
< https://itunes.apple.com/jp/app/real-steelpan/id398902899?mt=8 >