[3904] 飛行機の歴史と「飛」という字を考えるの巻

投稿:  著者:  読了時間:16分(本文:約7,900文字)


《だまされないようにしなさいよ》

■わが逃走[159]
 飛行機の歴史と「飛」という字を考えるの巻
 齋藤 浩

■もじもじトーク[19]
 笑顔でさよなら、そして、ありがとね。
 関口浩之

■KNNエンパワーメントコラム コレクション
 【映画】スタートレック イントゥ・ダークネス 2013 J・J・エイブラムス
 神田敏晶




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■わが逃走[159]
飛行機の歴史と「飛」という字を考えるの巻

齋藤 浩
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20150514140300.html >
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「飛」という字って、ホントに飛んでるみたいだなあと思ったので、その成り立ちを調べてみた。やはり飛ぶ鳥の姿をモチーフとしているらしい。

甲骨文字などに見られる極初期の「飛」は、
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/2015/05/14/images/001.jpg >

ナスカの地上絵に見られる『鳥』にそっくりだ。

何かを伝えるための省略表現というものは、世界中に共通するものがあって面白い。

で、これがライト兄弟前夜の有人飛行用に設計された凧の形状によく似ているのだ。この形にフレームを組んでキャンバスを張れば、ホントに飛ぶことができるんじゃないかと思い、描いてみた。
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/2015/05/14/images/002.jpg >

たしかにこれは飛びそうだ。しかしそれっぽい見た目だとは思うが、使い方がよくわからない。

ナウシカに登場するグライダー『メーヴェ』のように、人がぶら下がって使うのだろうか。しかし、うっかり手をすべらせたらと思うとコワくなる。

まあ、どんなものでも実用化以前の試作品は、トンデモな形状のものが多い。試行錯誤を経て、そのスタイリングも洗練されてゆくのは、文字もプロダクトも同じといったところか。

次に、この図をご覧いただきたい。
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/2015/05/14/images/003.jpg >

我々が現在使っている字にかなり近づいてきているのがわかる。

じっと見ていると、凧からライト兄弟のフライヤー号を経て、複葉機が実用化されたあたりのデザインと共通するように思えてきた。

上下二枚の翼、そして四画目、五画目あたりが車輪のフェンダーと"そり"に見えてくる。

ほら、なんだかそれっぽいでしょ!
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/2015/05/14/images/004.jpg >

ここで飛行機の歴史を思いかえしてみる。

ライト兄弟が初の有人飛行を成功させてから、ロケットが月に着陸するまでわずか60年ほど。

スペースシャトルが飛んだと思ったらすでに退役、いまや無人偵察ヘリが通販で買える時代となった。

そんな時代の「飛」の字は、もはや活字のように手で触れるものですらなく、概念を数値に置き換え、その数値すら"クラウド"とかいう雲の上に存在するという、訳のわからない存在になってしまった。
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/2015/05/14/images/005.jpg >

さて、航空機の歴史を踏まえた上であらためてこの「飛」の字を見ていると、なにかと話題のオスプレイや『帰ってきたウルトラマン』に登場したマットジャイロに見えてくるからふしぎだ。

文字も飛行機も、現実世界のもののようでSFっぽくもある。
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/2015/05/14/images/006.jpg >

コクピット下部に設けられた大きな垂直翼(カナード?)が果たして機能しているのかは私にもわからないが、時を経てさらにこの「飛」という文字がリファインされる頃には、なにかしら答えが出ているのかもしれない。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/ >

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■もじもじトーク[19]
笑顔でさよなら、そして、ありがとね。

関口浩之
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20150514140200.html >
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もじもじトークの関口浩之です。あっという間のゴールデンウィークでしたね。僕はこの数週間、いろいろありました。

今、おふくろを天国に送りとどけるため、群馬に帰省してます。

母は持病がいくつかあったので、ここ10年ぐらいは決して丈夫というわけではなかったですが、数週間前までは庭で草むしりしたり、畑で野菜を作ったりしてました。なので、急だったと言えば急でした。

でも、84才なので大往生といってもいいかもしれません。

2週間前、母が体調を崩して入院したと聞いて、ゴールデンウィークに帰省して病院にお見舞いにいきました。

あってみたら思ったより元気だったので、おふくろとたわいない話をたくさんしました。

母はここ10年ぐらいの間に、骨折して入院したり、大病もいくつかしたのですが、リハビリを毎回がんばって、畑仕事ができるまで回復を遂げてきたおふくろだったんです。

だけど、今回入院した際、理由は分からないけど、なんか胸さわぎがして、すぐに帰省して母に会いたくなったのです。

そして、東京に戻り、ゴールデンウィーク明けの出勤日の初日、原因不明の腹痛になりました。体中から汗がふきだし2時間ぐらい伏せってました。病院に行って調べてもらったけど、特に明確な原因はわからず......。

そして、その日の深夜に実家から連絡があり、おふくろが亡くなりました。不思議なものですね。僕の不調とつながっていたのです。

たくさん苦労した人なんですが、それを一切、顔に出さず、いつもニコニコしながら「ありがとね」と屈託なく言える母、すごく尊敬してました。

というか、いま改めて、そう痛感しました。

母も父も84年の生涯でした。四年前に父が他界し、四つ違いのおふくろがオヤジのところに、いま向かおうとしている。仲良しだよね。

親元離れて30年、年に一回帰省すればいいほうでした。いまになって思えばもっともっと顔出しておけばよかったと思う......。

専業農家だった父と母は二人三脚でずっと野菜を作ってて、ほとんど群馬から外に出たことがない二人でした。

一時期(社会人でいえば、定年むかえた60才ぐらいの頃)、二人で海外旅行にたびたび行った時もあるみたいだけど、農家って休みとると野菜が元気でなくなるので、あまり家を空けませんね。

だから、東京に来たことはほとんどなかったのです。

僕は大学生になる時に、群馬から東京に上京しました。今からだいたい30年前ですね。その時、実家の2トントラックで両親が引越しを手伝ってくれました。両親が東京に来たのは、その時ぐらいしかないんじゃないかな......。

病院で、おふくろといろいろ話した時に「東京はたくさん人がいて悪い人もいるから、だまされないようにしなさいよ」と真面目な顔して諭されたのが、なんかすごくうれしかった。

このフレーズ、いままで、おふくろから何十回も言われたことだけど、親が子に対する最高の愛情表現だと思う......。

僕が「子供じゃないんだから大丈夫だよ。でも気をつけるよ」と言うと「そっか〜、安心した〜」とニコニコしてた......。

おふくろの気質なのか、群馬気質なのかは不明ですが、基本、我が家はなにかと不防備です。性善説なんです。そして楽天的なんです。

だから自戒を込めて「だまされないようにする」が大事なんです。

そんなおふくろだから、家族みんなで笑顔で感謝して送りだそうと思う。

息子って母親に対してなかなか素直になれないところがあると思う。照れくさいので素直になれないのかもしれない。

でも若い頃に比べれば、ここ10年ぐらいはかなり素直になんでも話すようにはなっていたと思う。

良い意味で、僕も年をとったということなのだろう......。

でも、もっとたくさん話をしたかった......。

いまさらだけど、言います。

「おふくろ、いままで本当にありがとう。感謝してます」

「おつかれさまでした」

「ありがとね」


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
< http://fontplus.jp/ >

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。

小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。


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■KNNエンパワーメントコラム コレクション
【映画】スタートレック イントゥ・ダークネス 2013 J・J・エイブラムス

神田敏晶
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20150514140100.html >
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・【映画】スタートレック イントゥ・ダークネス 2013 J・J・エイブラムス
< http://4knn.tv/star-trek-into-darkness/ >
(2015年5月11日)

2013年の公開作品。2009年の新「スター・トレック」シリーズ。監督J・J・エイブラムス の続編にあたる。

この映画も見逃していたのでTSUTAYAの無料キャンペーンでレンタル。無料だ!

オープニングシークエンスから、疾走感あふれる映像。J・J・エイブラムスのジェームズ・ボンド的映画のはじまりだ。

J・J・エイブラムス版のストートレックは、なんといっても「疾走感」がすべてだ。若きカークと若きスポックの友情と、まったく違ったキャラクター。まるで右脳のカークと左脳のスポックは、まさに両輪だ。

また、JJ版の旧キャラクターの新解釈も面白い。特に、機関士のスコッティにチェコフ、ドクター・ボーンズ・マッコイ、ウーラ、スールーと懐かしい面々が新しいキャラクターと共に登場する。

今回はなんといっても、宿敵にクリンゴンでもなく、かぶりモノ星人でない、ベネディクト・カンバーバッチが、かぶりモノ以上の悪党を演じてくれる。そこに、アリス・イブが花を添える。

カメオ出演のようなレナード・ニモイの、バルカン星人登場は、2015/02/27にご本人が亡くなっているだけに、とても印象ぶかいシーンだ。この映画がニモイさんの遺作となった。

今回のミッションは、今までとパターンが異なり、感情的になるカークと冷静なスポックとの判断が裏テーマのようだ。この二つの判断があってこその生還ともいえる。

ウーラとスポックとの恋愛関係も、理系カップルにありえそうな会話で楽しめる。それにしても、やんちゃ盛りのカーク船長は、異星人との3Pから会議へ登場したり、次のシリーズはアリス・イブとの濡れ場が絶対に想像できる。

今回のMVPはベネディクト・カンバーバッチだ。ブレードランナーのルトガー・ハウアーまでは行かぬ間でも、冷酷な適役であり、スーパー人類の結晶を体感させてくれた。

スポックの自己犠牲、カークの自己犠牲、そしてクルーを守るために命を賭す姿勢。確率ではなく、チャレンジで状況を変革させるチカラ。ブリッジにおけるマネージメント力など。

そして、任務を任せるという人事マネージメント。そしてポジションが人を育てるということも短いシークエンスでよく現れている。

カーク船長は、ミッションを自分が率先してクリアしていくタイプのリーダーシップだ。それを、官房長官的なスポックがサポートする。しかし、スポックもミッションに加わると、ナンバー3は、なんとスールーだったとか...。

JJ版のボードメンバーの構造がよく見えてくる。

今回の映画での重要なポイント。

「もしもこんな時であれば、ジム・カークはどうするだろうか?」である。

キャプテンと呼ぶ時と、ジムとファーストネームで呼ぶ時の、関係性がよく現れている。

そして、復活したカークは5年間にわたる調査飛行へと戻る。

そう、オリジナルストーリーへの回帰だ。

JJ版のテレビシリーズで、再度スタートレックを見たくなる。

なんといってもこの監督の映画のリズム感は、ちっとも観客に飽きさせない。荒唐無稽なハナシなのにそんなことを考えさせる暇を与えないのだ。

2015年12月、J・J・エイブラムスの「スター・ウォーズ」がやってくる。これにもさらに期待だ! J・J・エイブラムスのリメイクは今後も増えるだろう。

日本の「ウルトラマン」をJ・J・エイブラムスがリメイクすることに期待したい。「サイボーグ009」などもスタートレックテイストたっぷりで、たくさんのキャラクターを魅力的に描いてくれそうだ。

2009年の「スタートレック」もオススメ!
映画「スター・トレック(2009)」
< http://4knn.tv/startrek-2009-jj/ >


【かんだ・としあき】
KandaNewsNetwork,Inc.CEO
< http://4knn.tv/ >


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編集後記(05/14)

●昨日、ようやく「ルーヴル美術館展」を見に行った。行く前からちょっと浮かない気分だったのは、この展覧会は非常に混んでいるという噂を聞いていたからだ。遅々として進まない行列に加わるのは絶対いやだ。オープンの10分くらい前に国立新美術館に到着した。すでに行列ができていたが、予想より短い。入場して、少し混み合うプロローグをスルーして絵画のジャンルに入ると、もう楽々と鑑賞できた。大混雑でもこれだけは見てこようと、10点ほどを同展サイトからピックアップしA4一枚にプリントしてきたのだが、それらはもちろん完全に、じっくり鑑賞できたのだから、今回のタスクは達成だ。

「ルーヴル美術館展」の目玉はフェルメールの「天文学者」だ。寡作のうえ男性が主役なのは二点しかなく、そのうちの一点だという。小さなサイズで、なんとなく地味で、しかも人物にピントが来ていない。あまりピンとこない絵画だった(←一応シャレてる)。これさえ見れば(入場料の)元は取れる、という説もある貴重な作品だったのだが......。80点近いの絵画のうち、解説があるのとないのとがある。わたしは解説を読むのが好きだ。フムフムなるほどと納得して絵画を眺めると、自分で謎解きした気分になる。解説なしで残念という作品もある。たとえば「象狩り」なんて、リアルでコミカルで残酷で......。

展示の構成がすごくうまいと感じた。1.「労働と日々」─商人、働く人々、農民 2.「日常生活の寓意」─風俗描写を超えて 3.雅なる情景─日常生活における恋愛遊戯 4.日常生活における自然─田園的・牧歌的風景と風俗的情景 5.室内の女性─日常生活における女性 6.アトリエの芸術家 とい流れで、プロローグまで戻って、もう一度見直したときに(その頃はもうすごい人出だ)、その設計の妙に感心した。帰ってから会場レイアウトを確認したら、これがまたみごとなパズルの完成だ。しまった、と思ったのはトイレ表示のあるコーナーのもう片方には、映像展示もあるではないか。行ってない......。

展覧会のサブタイトルは「日常を描く──風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄」である。とり澄ましたあるいは難解な芸術ではなく、現実と虚構が入り混じった風俗画をまとめたものだから、この絵の女は、男は、どういう関係でどんな場面なのかを推理する面白さがある。もっとも、答えは解説にあるからすぐ読んで納得してしまうのだけど。だいたい、男は女にいいように振り回されている。女のほうが圧倒的に悪賢い。西洋でも東洋でも昔からそうなのだ。そんな場面を描いた風俗画は本当に面白かった。わたしは寓意を含んだ「割れた水瓶」の美少女が好きだが、いやらしい気持ちからではない。ホントに。 (柴田)

< http://www.ntv.co.jp/louvre2015/works/ >
「ルーヴル美術館展」サイト 作品紹介ページ


●素敵なお母様でらしたのですね......。お悔やみ申し上げます。

お休みをもらっている間に、フルマラソンに挑戦してきました。大会に出たのは、2年前の大阪マラソンでのチャレンジラン(8.8km)のみ。今年はじめのハーフマラソンを申し込んではいたものの、仕事山積みで出場ならず。

出場したのは、ミーハーと言われても構いませんことよ、の名古屋ウィメンズマラソン。前田彩里・伊藤舞両選手が選抜されたあの大会でございます。結論から言いますわ。至れり尽くせりの、めっちゃいい大会! また出たい! 女性で初マラソン挑戦なら絶対名古屋ウィメンズ!(他出てないのに......。)名古屋の女性がうらやましい!

大阪マラソン後にこの大会のことを知った。というか、またチャレンジしたいなぁと他の大会を調べていたの。女性だけの大規模マラソンだし、制限時間は7時間だし、完走率が97%前後と高くて、私でもやれるかも! と。

完走メダルがティファニーのペンダントというのもポイント。大阪マラソンのメダルは引き出しにしまったままだけど、ペンダントなら使える! 苦しい時につけてみれば、完走した時の根性出そうと思えるんじゃないかと、ドリーム展開に。続く。 (hammer.mule)

< http://womens.marathon-festival.com/ >
世界最大の女子マラソンとして、ギネス世界記録に認定されている。

< http://womens.marathon-festival.com/history/2010-2014 >
前身は名古屋国際女子マラソン。震災時に中止となり、レースで使うはずだった衣類や飲料を被災地へ。翌年から市民マラソンに。

< http://www.nike.com/us/en_us/c/women/events >
世界19カ国で開催。ナイキウィメンズマラソンの一環。サンフランシスコでは今年11年目のはず。