LIFE is 日々一歩(11)[コラム]セミナー講師は「授業中に泣き出す赤ちゃん」にどう対応すべきか?/森 和恵

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こんにちは。森和恵です。GWが終わると一気に梅雨が来そうな気配ですね。今年は平年より一週間ぐらい早くくるだろうという予想だそうです。湿気シーズンがくる前に、衣替え・お部屋の掃除などをすませておきたいものですね。

さて今回は、とある記事を読みまして、思うところをつらつらとまとめたいと思います。




●私なら「授業中に泣き出す赤ちゃん」にこう対応する

先日、友達があちこちで「いいね!」や「シェア」していたとある記事がありました。

赤ちゃんを連れて大学の講義を受けていたお母さん。授業中に子供が泣き出してしまいました。授業の妨げにならないようにと外へ出ようとした彼女をエンゲルベルク教授は制止し、赤ちゃんをあやして泣き止ませたそうです。

・「授業中に泣き出す赤ちゃん」立ち去ろうとする母親への先生の行動に拍手!
< http://feely.jp/20862/ >

この記事に対して「素晴らしい対応をする教授である」と賞賛の声が多く寄せられています。「子供がいるからといって教育をあきらめる理由にはならない」ということでした。

でも私は、「いい話だけど、立場が違うときっと評価が別れるだろうな」と感じました。私は、セミナー講師を仕事にしているので、どうしても授業の舵取りをする教授の立場で考えてしまうのです。

次に考えたことは、自分だったらどう対応するか? ということでした。

『まずは、休憩時間に運営スタッフから彼女に声をかけてもらって退席をお願いする。講師という立場で自分が直接対応すると、彼女が必要以上に気にしてしまうだろうし、授業だって時間をロスしちゃうだろうから。加えて、彼女がどのタイミングで退出したのかを覚えておいて、後から時間の許す限りフォローをする。

後日、スタッフと相談して次回から同様のことが起こらないように対応を考える。託児付の日を設ける・子供の同席を認めないことをあらかじめ通達しておく・近くの託児施設を紹介する...など、現実的にできる限りの対策をし、スクールとしての全体意見をまとめておく』

といったところでしょうか。

さて。これを冷たい対応だと思われますか? あなた自身がお金を払って受講している授業だとしたらどうでしょうか?

●セミナー講師は、コンテンツを伝える演者足るべき

なぜ私がエンゲルベルク教授と同じ対応をしないのかというと、講師には授業を受けている全員に対して、平等にサービスを提供する責任があると考えているからです。

この問題の正解はひとつではないはずです。エンゲルベルク教授も私も間違ってはいない。それは、教育をする場によりけりということだと思います。

一年にわたってクラス編成される大学では、教え子を育てるために時間をかけてじっくりと取り組む授業を行います。クラスのメンバーは、目標を同じくして長い時間を共にする仲間です。

仲間なら「みんなで一緒に学び歩もう!」という空気が自然で、クラスメートが困っているなら助け合おうという意識になってしかるべきだと思うのです。これが、今回のエンゲルベルク教授の対応のすばらしさにつながるのでしょう。

一方、私が担当するセミナー形式では、一日・数時間で完結する授業を行います。受講生のは、いろんなところからばらまらに集まってきた他人同士でしかありません。受講生は学びたいことが明確にあり、そのためにコンテンツを聞きに来た『観客』なのです。

そして講師は、学ぶために必要なコンテンツを準備します。効果的に知識を習得するための台本を書き、表現を工夫する『演者』なのです。

と考えると、セミナー形式の授業は『演劇』に近い形といえます。そういう場だと考えれば、授業を妨げる音(騒音)を出す原因を速やかに排除しなくてはなりません。快適にコンテンツを届ける義務があるのです。

●セミナーでの教室コミュニケーションは劇場型で

一年をかけて生徒と向き合える学校の先生は、年単位でのコミュニケーションを育んでいく必要があると思います。ちょうど、ドラマの金八先生のような。

でも、短時間で終わってしまうセミナーは、劇場型で進める方がよいと考えています。講師と受講生のコミュニケーションに瞬発力が必要だと思います。短い時間で心に残してもらうために、スタートからコンテンツを受け入れやすい場を作っていく工夫が必要です。

最初の挨拶から、思いっきりの笑顔で始めます。くつろいで受けてほしいから、教室の空気を演出するためにの最初の気を配りが大事です。

「授業はこうやって進めますよ。今日の目標はココだから頑張ろうね。質問のタイミングはこうしますね。休憩時間は何時です。携帯電話はOFFにしてね。配布物は揃ってる? 画面は見やすい? 教室の暑い寒いはない?」......冒頭の挨拶はこんな感じです。

始まってから5分間が勝負です。この時点で「この人から話を聞こう」と思ってもらえるように努力します。だって、いやな人から話を聞く気にはならないですよね。

授業が始まったら、基本的には台本通り進めます。目標を達成するために練られたストーリーだから、忠実に時間も守って。思わぬ質問が入ったら、本題からずれないようにアドリブで組み入れます。

質問が多いから、操作が遅れるから、といって特定の受講生を贔屓することはしません。使える時間はみんな平等ですから。むずかしいですが、そこは気をつけてフォローしていきます。

セミナーの終わりまで、みんなが学ぶ目標に向かって一番いいコースが進めるようにお手伝いをしていく仕事が講師の仕事だと思っています。

どんなできごとがあっても、迷いません。私が迷えば、クラス全員が迷子になってしまいますし。普段は優柔不断でフラフラしている私も、授業中だけは先導する者としてキリリとしています。たぶん(苦笑)

●担当セミナーへの思いは......

Web制作の現場で、仕事を円滑に進めるために、何かしらのお手伝いになるセミナーを提供したいと思って進めてきました。

なにせ、新しい技術や手法が次々に生まれては消えていく業界ですから、独学ですべてを網羅するのはしんどいはずなのです。そういう人の手助けになればいいと思っています。

「何か」をぎゅぎゅっと短時間で吸収できるセミナーを常に模索しています。

そのためには、私自身がいろいろなことを学びます。そして、それを勉強したときにどうだったか? をきちんと記録しながら進みます。実際に使ってみて何を知ってないといけないのか? ということを考え、そしてそれを授業の脚本にします。

普段私が担当するセミナーは、入門・基礎・実践編までで、応用や上級編はありません。私のセミナーは、リピートで受けてくれる方が多いので、「応用や上級も開催して欲しい」というお声はよくいただきます。

が、初級〜中級までしか実施しないのには理由があります。応用や上級になると、受講生の方のお仕事や環境によって求めるものが細分化されてくるからです。そうなってしまうと、個別指導がふさわしいでしょう。集団研修には不向きなのです。

なので、初級〜中級と誰もが学ぶときに通る道を進みながら、受けた人がこれから独学で上級までスキルアップするための力をつけさせてあげたいなと思いながら授業をしています。

......さて、今回はここまで。冒頭の記事を読んで、どうしても書きたくなってこうなりました。

次回は......新しく勉強を始めたことを書こうかな。乞うご期待。ではまた!

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