わが逃走[161]ソウルの友と文字について語るの巻/齋藤 浩

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韓国のデザイナーAhn Sam-Yeolさんと、Chae Byungrokさんと私による、ソウルでの三人展が実現しました。

ソウルでのオープニングは大盛況で、韓国のデザイナー、雑誌編集者、美大生など大勢の人たちが訪れてくださいました。雑誌の取材も受けましたよー。

このときの様子を思い切り語りたいのですが、胸がいっぱいでまだ整理ができません。なので、今回はこの展示のために制作した新作ポスター三点の制作背景を語ります。

文字好きのデザイナー三人があつまり、文字の成り立ちを探しに社会科見学に出かけるというストーリーを想定、博物館、美術館、工場を見学し『飛』『明』『友』という三つの文字について考えています。




ポスターとはそもそも不特定多数を相手にすることを想定してデザインするものですが、今回はタイポグラフィをテーマとしたギャラリー展示に来てくれた人が相手なので、いつもより多少表現を変えています。

これらを見ながらこの字の成り立ちについて来場者と語り合うわけですから、つまり、一枚絵の教材のような役割の大きな紙三枚セットですね。


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「わが逃走」第159回でも、そのコンセプトというか気づきというか、そういったものを書きました。

この字はもともと飛ぶ鳥をモチーフとした象形文字ですが、それが現在の文字に至るまでのフォルムの変化が航空機のスタイリングの進化に似ている! と気がつきまして、大昔の「飛」、昔の「飛」、現在の「飛」をモチーフに飛行機をデザインし、それが博物館に展示されている様子をメインビジュアルにしました。


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この文字は「明」はbrightを意味する漢字で、「日」sunと「月」moonの組合せによってできています。

つまり、明るいものを二つ組み合わせたから明るいという意味なんだろうと勝手に思い込んでいたのですが、調べてみると「日」は窓であり、窓から月明かりが差し込むシーンを表しているという説もあるそうです。

闇というステージを用意することで明るさをより印象づけるとは、なんとも映像的な演出がなされていたんだなあ、漢字とは奥が深いぜ。

ビジュアルは夜の美術館から月明かりを鑑賞する三人。


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この字を構成する「ナ」と「又」はもともと同じ文字で、「右手」を表す字が二つ組み合わさってできたものです。右手と右手が協力しあって握手、そして「友」となるわけです。

ポスターは「友」の生産ラインを見学中の三人を、メインビジュアルとしています。

そんな訳で、新作ポスター三点の紹介でした。

現在、ソウルからウルサンに向けてKTSで移動中です。午後からウルサン大学にて特別講義をすることになっちゃった。

マジで? オレなんかでいいの? と思い続けて約半年、ついにこの日が。キンチョーする齋藤浩です。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
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1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。