Take IT Easy![57]私の履歴書:新しい世代へ/若林健一 / kwaka1208

投稿:  著者:  読了時間:6分(本文:約2,900文字)



こんにちは、若林です。二週にわたってお届けしてきました私の履歴書、今週が最後となります。

●先週書き忘れていたこと

次の話へ進む前に、前回書き忘れていたことをひとつ。実は、ホームサーバー開発担当期間中に出願した「第3775937号」という特許がありまして、これが幸いにもデジタル放送関連発明のひとつとして登録され、わずかばかりではありますが分け前をいただいております。

CATV必須特許ポートフォリオ
< http://www.uldage.com/pdf/catv/catv20150401.pdf >

特許第3775937号
< http://bit.ly/1db6k1Y >

内容を一言で説明すると、「番組の放送時間が遅れて録画予約時間が重なった場合にどちらを優先するかを決定するシステム」。




例えば、8チャンネルで7時から8時、6チャンネルで8時から9時の録画予約を登録していた時、8チャンネルの番組の放送開始が30分遅れてしまうと(例えばスポーツ番組の放送時間が延長になったなど)ふたつの番組の録画時間が重なってしまいます。

このような時に、どちらの録画予約を優先するかを決めるシステムということになります。

え? それってダブルチューナーで解決するのでは? と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ダブルチューナーの場合でもすでに予約を3本入れていた場合は、いずれかの番組の放送が遅れると同じ状態にとなりますので、この発明は成立します。この発明が解決する状態が成立しなくなるのは「受信可能な全チャンネルを、すべて同時に録画可能な機器」だけなのです。

電子番組表が普及する前から、「最新の番組放送スケジュールが受信可能になったら、番組の放送が遅れても録画予約がそれに追従できる」というアイデアはありました。この特許は、そういった便利な状況になった時に発生する、新たな問題に着眼して生まれた発明なのです。

自慢話はここまでにして、今週の本題です。

●再び、POS担当へ

ホームサーバーの開発からオンライン販売サイトの運営を担当する部門に移り、再びPOS/レジスタ部門に戻りました。

この時、異動する前に担当していたシステムの完全リニューアル開発を担当することになり、主にユーザーインターフェース周りを刷新しました。

元々、私が設計したユーザーインターフェースミドルウェア(タッチ操作非対応)を、私が離れてからタッチパネル搭載製品用に流用し、無理やりアプリケーションを構築していたため、画面仕様依存の激しい実装となり、ユーザーインターフェースに関係する仕様変更の反映が難しい状態に陥ってしまっていたのです。

根本的な設計から見直したため、当初予定よりも時間はかかったものの、画面仕様の変更にも柔軟に対応できるシステムを構築できるようになりました。

これも私が誇ることのできる開発案件のひとつで、ヨーロッパのディーラーの方たちからは「とてもわかりやすくなった」と好評をいただきました。

●先行企画部門へ

古巣に戻りエンジニアとして満足のいく仕事はできたのですが、開発は外部に委託することが多く「もっと上流に関わらなければメーカーにいる意味はないだろう」と考えていた時に、ちょうど先行企画部門の公募が始まり縁あって異動させていただくことになりました。

これまで、「企画」と呼ばれる部門で仕事をしたことがなく、また経営に近い部署だったこともあり、慣れないPowerPointでの資料づくり、企画会議と呼ばれる会議での偉い人の前でのプレゼンなど、それまでと大きく違う仕事のやり方にかなり苦労することになります。

●初めてのグループインタビュー

この部門で、初めて経験したことのひとつに「グループインタビュー」がありました。

これは、自分たちが考えたものが市場で通用するのか、ビジネスになりうるのかを検証するために、一般の方を集めて新しい商品やサービスに関する意見を聞く調査です。Appleはこういった調査をやらないと言われているので有名ですね。

「グループインタビュー」は、まず調査対象としたい商品やサービスに対してどんな市場性があるかの仮説を立て、その仮説を検証するための調査設計やインタビュー対象のターゲッティングを行います。

普通なら、設計〜実査〜集計・分析までを調査のプロにお任せするのですが、予算の都合もありパネル(集まっていただく一般の方)の募集だけを調査会社に依頼し、調査設計〜実査までは自分たちでやることがほとんどでした。

一般の方へのインタビューは想像以上に難しいです。最初は緊張などでアガってしまうことも多いということもあるのですが、慣れてきてもその時その時の状況に応じた柔軟な対応はなかなかできるものではありません。

特に難しいのは、「20代の男性」と「40代以上の女性」。前者はしゃべらない盛り上がらない、後者は勝手にしゃべる勝手に盛り上がる、と対象的でどちらもやりづらかったですね。

しかし、一般の方と話をするという経験は色んな人と話すためのとても良い訓練にはなりました。

●デザインプロジェクトへの参画

もうひとつ、自分にとってプラスだった経験は、ユーザーインターフェースデザインのコンセプト策定プロジェクトへの参画です。

これはデザイン部門中心のプロジェクトで、「ユーザーインターフェースやユーザー体験のコンセプト」を言語化することを目的に、アメリカのZiba Designという会社と一緒に活動してきました。

Ziba Design
< http://www.ziba.com/ >

このプロジェクトでは、具体的な商品としての成果にはならなかった(と私は認識している)のですが、個人的には「ブランドとは何か」と「フレームワークとは何か」ということを、自分の中でしっかりと持つことができたプロジェクトでした。

●貴重な経験を活かして

2012年12月に退職するまでの26年半、業務用製品から一般消費者向け製品、IT分野からAV分野、技術から企画、マーケティングまで幅広い分野に関わってきましたが、ここまで幅広い分野を経験してきた人間はそう多くはないはず。大企業の中でもとてもレアな存在だと思います。

高校を出たばかりの何もわからない子どもが、ここまで成長できたことには本当に感謝しています。もちろんそれは運だけでなく、自分の努力の成果もあったと自負しておりますが、なにより周囲の方の理解と支援があってこそのことだと受け止めています。

自分ももうすぐ50歳、今は自分が表舞台に立つのではなく、これからの社会の中心的ポジションを担う若い人たちの役に立てるよう経験を活かしていきたい、そう考えています。

三週にわたる私の履歴書におつきあいいただき、ありがとうございました。

【若林健一 / kwaka1208】 kwaka1208@pote2.net
crossroads
< http://kwaka1208.net/ >
< https://twitter.com/kwaka1208 >
< https://www.facebook.com/kwaka1208/ >

CoderDojo奈良
< http://coderdojonara.wordpress.com/ >