[3934] 韓国の印象の巻

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《「丸明ハンター」の称号いただきました》

■わが逃走[162]
 韓国の印象の巻
 齋藤 浩

■もじもじトーク[22]
 街中で見つけた素敵な書体たち〜第2回〜
 丸明オールド探検記
 関口浩之




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■わが逃走[162]
韓国の印象の巻

齋藤 浩
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20150625140200.html >
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結論から言ってしまえば、国と国とは確かにぎくしゃくしている。しかし、人と人とはその真逆であった。

10年前のソウルは、空港に着くや否やキムチの香りに包まれるような印象があったが、現在では良くも悪くも日本とそれほど変わらない。

街からは屋台が激減。学校帰りに笑顔でポンテギ(蚕のさなぎ)を食べる女子高生の姿はもうなかった。

またMERSは確かに大変な問題だが、滞在中のソウルはいたって平穏で、前日に日本のテレビで見た映像は、わざわざマスクをしている人を探し、そこだけトリミングしていたということを知る。

なにごとも自分の目で知ること、その場に身を置いた上で発言することが大切だと改めて思った次第。

さて、この旅は、デザイナーChae Byung-rokさんからソウルでのポスター展ならびに蔚山大学での特別講義のお誘いをうけたことによるもので、韓国には6月4日から11日まで滞在した。

今回は、展示や講義を終えた後の交流をとおして感じたことを書こうと思う。

展覧会はハングルタイポグラフィの巨匠、Ahn Sam-YeolさんとChae Byung-rokさんとの三人展で、テーマは『1文字』。

それぞれの考え方で文字を分解、再構成した作品を発表した。

告知ポスターが開催前夜に刷り上がるなど、大陸的なおおらかさを感じるところもあったが、またなんとかなるところも韓国であった。

5日のオープニングレセプションは、デザイナー、編集者、学芸員、美大生など多くの来場者で賑わい、文字の表現と可能性について二次会、三次会と深夜まで語り合った。

最後まで残ったのは7人だったかな。三次会会場は小さななバルで、シンプルな内装にさりげなくAhn Sam-Yeolカレンダーが効いてる!

どうやらここはAhnさん馴染みの店のようだ。

深夜ゆえほぼ貸切状態。しばらく話に夢中になっていると店長さんがやってきて、「なんてすばらしい客人達だ。私はこの店をこういう文化的な社交場にしたかったんだ! ここからはオレのおごりだ。みんな遠慮なく飲んでくれ!」と大盤振る舞いしてくださったのだ。

熱い。嬉しかったとか驚いたとかそういうのもあるけど、漢気(おとこぎ)にやられた! という感動。まさにそんな感じ。

店長は馴染み客であるAhnさんがデザイナーであることを知らなかったそうで、なにやらとても喜んでくれている様子だった。

10年前にソウルに来たときは、一人の女を巡っての男同士の殴り合いに巻き込まれるという違う意味での大陸の“熱さ”を肌で感じたオレなわけだが、今回こうして地元の、普通の人のやさしさに触れることができたことはとても幸せな経験だった。

ありがとう店長、北村に行ったらまた必ず寄りますよ! 頂いた白磁のぐい呑みは宝物にします。

6月9日の朝、蔚山大学での講義のため、ソウル駅から韓国新幹線KTXに乗り込んだ。特別講義の告知ポスターはやはり前日に刷上がり、当日に掲出されたようだ(笑)。

さて内容だが、前半は自分なりのデザイン論を『ドラえもん』がなぜ青いのかを例に語った。

連載当時の雑誌のタイトルロゴが赤、背景が黄色だったという超シンプルな理由なのだが、これは読者に対しドラえもんの連載誌がここにあるよと伝えるための工夫だ。

カッコイイものを作ることよりも、相手の立場に立った設計思想こそがデザインなのだ、みたいな話をした。

後半は、私が学生のときの恥ずかしい作品から現在の仕事までを時代順に紹介し、そのときどう思い、どう解決してきたか。誰に出会いどのような影響を受け、今どう考えているか、みたいなことを語ってきた。

そして新作ポスターを教材に、漢字の成り立ちの話。

彼らはある程度の漢字は知っているが、日常的に使ってはいない。

たとえば「明」という字は「日」と「月」でできている、までは知っているのだが、実は「日」は窓を意味し、この字は夜の部屋に窓から差し込む月光を表現しているとの説を紹介すると、「へぇ〜」という声があがったので、とりあえず目的は達成できたかなと思っている。

Chaeさんは全ての通訳を完璧にこなしてくれた。しかし通訳の時間を考慮し、もっとコンパクトにまとめるべきだったかもと反省している。

夜は学生たちと朝まで飲んた。みんなよく食べ、よく飲み、よく話す。そして驚いたのは日本語のわかる学生がかなり多いのだ。

高校のときの第二外国語で日本語を履修したり、漫画やアニメからの独学だったり人それぞれだが、みなきちんと会話ができるところがすごい。

まさに感動的である。もちろん英語も流暢。

そしてみんな積極的に話しかけてくれるのだ。嬉しい!!!

熱い学生と語り合うと、オレのハートも熱くなるぜ!!!

思うに、語学教育では日本が完全に負けている。中学、高校と六年も勉強してもうまく話せないのは、島国ならではの危機感のなさから来るのだろうか。

また韓国の若者は勉強したいから大学に来る。あたりまえだが消去法で人生を決めたりしていない。

作品のクオリティは私が教えていた専門学校と同等との印象だったが、学生の覚悟はまるで違った。このへんは日本の若者にぜひ見習ってほしいところだ。

韓国の人たちは皆熱く、学生も社会人も自分の目標のために勉強できることに喜びを感じている。

私が、日本人が、いかにぬるま湯に浸かっているかを体感できた貴重な経験だった。

そしてこういう場所に身を置くことにより、気持ちが共鳴し、お互い成長してゆける。「身を置く」には、その場へ自ら出向かねばならない。当たり前だが、それを忘れていた自分に気づく旅だった。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/ >

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■もじもじトーク[22]
街中で見つけた素敵な書体たち〜第2回〜
丸明オールド探検記

関口浩之
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20150625140100.html >
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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。前回より4回連続で「まちもじ」特集お送りしてます。今回は第二回です。

普段の生活の中で見つけた文字にフォーカスしたお話です。街中の看板やポスター、中刷り広告、テレビテロップなどから気になる文字を取り上げます。

僕の好きな文字のひとつに「丸明オールド」という書体があります。カタオカデザインワークスというフォントメーカーから発売されている書体です。

タイプデザイナー(書体設計家)の片岡朗さんがデザインした書体です。

それでは『丸明オールド探検記』と題して、僕のとある一日の中で見つけた丸明オールドたちをご紹介します。

●カフェオレフォントと命名

僕は東京メトロと都営地下鉄を乗り継いで会社に通っています。通勤の途中で、早速、丸明オールド発見しました!
< http://goo.gl/B2SjfR >

・電車の中刷り広告
・東京メトロ駅構内のポスター、など

丸明オールドはとても特徴ある書体ですね〜。なつかしさがあるけどモダンな書体です。とくに「ル」「リ」「テ」のハライやハネに特徴があります。

早めに会社に着きました。僕の会社は東新宿駅の新宿イーストサイドスクエアというオフィスビルなんですが、一階にローソンとタリーズがあります。

まずはローソンとタリーズに立ち寄り、丸明を探索してみることにしましょう。

おぉー、ありました! ありました! この二つのお店で丸明オールド発見です。
< http://goo.gl/dRMBZL >

・タリーズの新作メニュー
・ローソンのまちカフェのポスター、など

なるほど、この書体はカフェオレやラテと相性がいいですね……。勝手に『カフェオレフォント』と命名したいと思います!

ちなみに僕はミルクたっぷりなカフェオレが大大大好きです……。カフェオレ&ラテ好きなのですが、まだ「杏仁豆腐&バニララテ」は試したことはありません……(笑) 杏仁豆腐とラテの関係は、ちょっと気になりますね……。

●丸明オールド、大漁です!

ケンタッキーフライドチキンも大好きです。ランチはケンタしよう! ケンタの定番はオーソドックスですが「チキンフィレサンド」と「オリジナルチキン」です。

おっと、またまた、丸明オールド発見しました!
< http://goo.gl/vxgV3Z >

・フライドチキンの看板
・ハンバーグサンドの看板、など

この丸明、オリジナル字形をかなり太らせてますね。衣たっぷり感やお肉たっぷり感が醸し出されてますね。

午後は客先訪問が二件あるので、移動の間、キョロキョロしながら街中を探索することにしました。

意識して探索すると、どんどん、見つかるもんですね!
< http://goo.gl/O7JdKi >

・化粧品のポスター
・旅行会社のポスター、など

客先での打ち合わせが終わったのが夕方だったので、直帰することにしちゃいましょう。

ここまで丸明オールドを見つけてしまったので(笑)、とことん探索することにしました。最寄駅のすぐ近くには、ドラッグストアのマツモトキヨシがあります。

ここでも丸明オールド、大漁です!
< http://goo.gl/vh9tKH >

・シャンプーのポスター
・化粧品の製品ロゴ、など

ショッピングセンターのレストラン街にも寄り道しました。

キョロキョロ見渡すと、和食レストランの入口の大きなポスターに、なんか見たことある書体が使われているような気がするーーー。
< http://goo.gl/7Z4k6k >

・片岡さんの新書体「山本庵」も発見
・丸丸gothicも発見

●「丸明ハンター」の称号

日本人は丸ゴシック体が好きなように、丸い明朝体も好きなのかもしれません。トメやハライのエレメントが丸い明朝体は、丸明オールド以外にあまり見たことがありません。

なので「丸明朝体」というカテゴリーは聞いたことがありません(調べればあるかもしれません……)

探検の結果、丸明オールドは、カフェオレやラテなどの飲み物、フライドチキンなどの食料品、化粧品やシャンプーなど、口にしたり、肌に使うものに多く採用されていることがわかりました。

この探検記を丸明を設計した片岡朗さんに見せたところ、『丸明ハンター』の称号いただきました!! 光栄です。

●FontLoversというコミュニティ

文字好きな仲間で結成した「FontLovers」というコミュニティがあります。僕もスタッフの一人です。

先日、カタオカデザインワークスの片岡朗さんと木龍歩美さんをお招きして、「FontLovers #2」というイベントを開催しました。

参加者のブログ記事やイベント概要など紹介しますね。

・FontLovers #2 参加者のブログ記事
< http://goo.gl/32mgUG >

・FontLovers #2 イベント概要
< http://goo.gl/i2OCba >

・FontLovers #1 イベント概要
< http://goo.gl/EKUIDu >

・Facebook FontLovers (公開グループ)
< https://goo.gl/95u26A >

・カタオカデザインワークス
< http://www.moji-sekkei.jp/ >

今回はエレメントが丸い明朝体(丸明)にフォーカスしましたが、次回の第3話は明朝体や楷書体の、素敵な文字たちのまちもじをお送りする予定です。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
< http://fontplus.jp/ >

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。

小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。


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編集後記(06/25)

●やくみつる・デーモン閣下「勝手に大相撲審議会」を読んだ(中央公論社、2015年3月)。2013年3月から2014年10月まで6回にわたって行われた対談をまとめたものらしいが、間抜けなタイミングで出版されたから、内容がビミョーに古く、最後に逸ノ城を最大級に持ち上げているのがイタい。照ノ富士が出てこない。まあ、それはのろまな編集部の問題だ。昨年出版していればこんなことにはならない。二人ともあきれるほどの相撲通で、一体いつから相撲見てるんだと思うくらい、古い時代のことを楽しく語り合っている。彼らより一回りは上のわたしでも知らない力士の話が続々と。まさに、大相撲トリビアだ。

いま大問題なのは横綱・白鵬の処遇だ。閣下は言う。「白鵬ほど相撲界に貢献している横綱に関しては、たとえ外国籍であっても、引退後に相撲協会に残れるルール作りを考える時機に、いままさにあるのではないか、吾輩は公に提唱したい。一例としては『一代年寄』という制度の見直しかな。(略)大相撲がどん底に瀕している状況をなんとか乗り越えてきた、その屋台骨を支えてきたのが他でもない白鵬ではないか。単なる一人の横綱ではなく、国技相撲存亡の危機を救った恩人という捉え方すらできる」。やくが応じる。「一代年寄に関しては国籍条項の適用を受けないとすればいいだけだね」

わたしも少し前までは、白鵬レベルなら特例でもよいと思っていたが、最近の露骨な増上慢を見るにつけ、残念ながらこの品格では相撲協会に残ってほしくないと思うようになった。いままでの相撲界への貢献は大いに認めるが、これほど礼節を欠いた人物に変身してはダメ。閣下からは、「クレームをつける人もいるかもしれないが、それは礼節を重んじる『大和魂』の基本を解していない人だと思う」と言われるだろうが……。日本国民よ、諸君は恩人を冷遇するような国民なのか、と強く問いたいという悪魔だが、この夏場所を振り返っても意見は変わらないのだろうか。かつての白鵬ではないのが分からないのか。

それはともかく、ふたりの相撲愛あふれるやりとりは楽しい。ぬるま湯相撲協会に対しては、ある程度、流れや伝統は残しつつ、新しいシステムを取り入れて欲しいものだ。「おおらかなお相撲さんの世界」にはコミッショナーというか、外部のプロデューサーというか、そういう人が絶対必要なのだが「いやあ結局ね、ふんどし組以外の人が入っても、あの人たち話を聞かないから」で終わってしまうそうだ。閣下「だからね、給料要らないからね、吾輩とかやく先輩を役員にしろ! って言いたい。ノーギャラでいいから」いいね。 (柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4120047075/dgcrcom-22/ >
やくみつる・デーモン閣下「勝手に大相撲審議会」


●マラソン続き。門をくぐった後も、沿道や連絡橋、近くの建物には大勢の人たちが応援してくれている。テレビカメラやビデオ、カメラがたくさん。

沿道のプラカードやディスプレイの言葉にいいのがいっぱいあったんだけど思い出せない。検索して出てきたのを見て、確かこんなこと書いてあったな〜と。そうだよねぇと感心したり、吹き出したりして、ずいぶん救われました。

「42.195kmも一歩から」
「走れる今を思いきり楽しもう」
「自分を信じて前へ前へ!」
「走れることに感謝!」
「前に進む! ただそれだけ!」
「ライバルは常に自分!」
「絶対できる! 大丈夫!!」
「走れる心と体があるって素敵☆」
「笑顔でゴール!」
「ティファニーとイケメンが待ってるよ(ハートマーク)」
「苦しい時は顔を上げて〜!! 笑顔♪ 笑顔♪」
「辿りつかないゴールはない!」
「ゴールの後にうまいビール!!」
「思い出そう。42キロなんてムリ! って思ったあの日を。」
「思い出そう。レースに出るって決めたあの日を。」
「思い出そう。きょうのスタートからここまでのすべてを。」
「思い出そう。寒くてサボりそうになったあの日を。」
「あと少し。みんなで笑ってゴールしよう。」
「いま震えている脚が、これからの自信を支えてくれる。」

まぁ最初の10kmぐらいですかねぇ。読んだりカメラに向かってポーズできたのは。続く。 (hammer.mule)