おかだの光画部トーク[140]アニメ「プラスティック・メモリーズ」
── 岡田陽一 ──

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数か月前の #135で「SHIROBAKO」というアニメを紹介した。
< https://bn.dgcr.com/archives/20150519140200.html
>

今回は、2015年春アニメで4月から6月末まで放送されていたアニメ「プラスティック・メモリーズ」を紹介する。「SHIROBAKO」の感動とは全然違う感じだが、とてもせつないラブストーリーだった。
< http://www.plastic-memories.jp/
>

近未来、限りなく人間に近い「ギフティア」と呼ばれるアンドロイドと、人間の出会いと別れの物語。

心をもつアンドロイドであるギフティアは、人間と同じように感じ、喜び、悲しみ、怯える存在。寿命もあらかじめ、81920時間と決められている。約9年と4か月。

ギフティアは、所有者と約9年4か月の歳月、家族として、友達として、恋人として、暮らし想い出ができる。

81920時間の寿命に到達すると、ギフティアは、すべての記憶を失い、感情も身体的にも制御していたリミッターが外れて暴走してしまう。人に危害を与えるような非常に危険な状態になる。

そうなる前に、所有者との美しい想い出をそのまま残した状態で、回収する必要がある。




双方が納得した上で、寿命を迎えつつあるギフティアの回収を担当する窓口部署「ターミナルサービス」で働く、アイラというギフティアの女の子と、アイラの仕事のパートナーに就いた新人の水柿ツカサ(主人公)のせつない物語。

と、近未来の架空のストーリーのようだが、ちょっと昔、ソニーが販売していた犬型ロボットのAIBOでも、持っていた人は感情移入して可愛がっていた。

そして、AIBOも他の工業製品と同じで、製造が終了し、メーカーが部品の保持やメンテナンスの終了をアナウンスすると、もう壊れたら直らない。

ロボットに感情移入する機会がなくても、家族や、恋人や、友人が病気で余命宣告されたらどうだろうか……。この物語と重なることだって、近未来でなくてもあるはずだ。

寿命が近づいたギフティアを回収する立場のアイラ自身も、1000時間ほどしか残っていない。

仕事のパートナーとして一緒に行動するツカサは、次第にアイラに心惹かれていくが、アイラは自分の寿命のことを知っているので、ツカサにはつれなく、ビジネスライクな対応しかしない。

楽しい想い出を作ってしまうと、別れの時に辛いとわかっているから、感情を殺し、無愛想に接する。

物語の中盤、6話の終わりでツカサは上司からアイラに残された時間のことを知らされる。ツカサは、残された時間、アイラに楽しい想い出をいっぱい作ってもらいたいと思い、デートに誘い、告白する。

アイラは、想い出を作ったらツカサが辛くなるだけだと思っているので、かたくなな態度でツカサに接する。

物語が終盤に進むにつれ、徐々にアイラの気持ちに変化がでてくる。自分がいなくなった後に、自分の嫌な想い出しかツカサに残っていないことを想像し、その方が辛いことだと思い直し、ツカサの気持ちを受け入れる。

自分との、楽しく美しい想い出を、忘れないで、おぼえていてほしいと思う。

最終話とその前は、アイラが最期の日を迎えるまでの、短く楽しい日々が描かれるが、観ていると、それがかえって心が痛くなる感じだった。

想い出の場所で、ツカサとふたり。アイラは最期を迎えて、物語は終わる。

エンディングは、なんとなく2期がありそうな予感を漂わす内容だった。

回収されたギフティアは、OSを入れかえると、また寿命が戻るが、以前の記憶は残っておらず、全く別の人格となって再生される。姿形は同じでも、中身は全く違う。そんな、続きの物語が今後あるのかもしれない。

すでにDVDも、リリースされているので気になる方は、レンタルするなどして是非観てほしい。
< http://amzn.to/1I5jarK
>

【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+フォトグラファー】
< mailto:okada@fuwhat.com > < Twitter:http://twitter.com/okada41
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