挑んで死にたい、ダンボールアーティストとして[09]ディズニーから舞い込んだダンボールアート制作依頼/いわいともひさ

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●再び入ったテレビ局からの連絡

嵐のようなダンボールロボット制作の日々も終わり、毎週、自身が作ったダンボールロボットがテレビ番組に登場するという、不思議な感覚を味わっていました。

一年前に始めたブログがきっかけで、まさかテレビ局から制作依頼が来るなど夢にも思いませんでした。

ダンボールアートについては、作り手のことも含めて色々と調べていますが、作家は日本各地にいます。

ダンボールアートの作り方は人それぞれですが、キャリアや技量を考えれば、もっと上の人もいるわけで、なぜ最初に私に声をかけたのかを考えると、ブログでの露出が一番の要因になりますが、他にも居住地域や作品の内容というのも大きかったと思います。

声をかけていただいたのは中京テレビという日本テレビの系列局。時間や制作費が限られた状況で、中部地域以外の人とのやりとりは大変なようです。





ダンボールアートは様々な種類のものがあり、ダンボールをなめして粘土のように使う人もいれば、断面を重ねるようにして立体化する人もいます。

私の場合は、顔にかぶれるものばかり作ってブログで公開していましたが、テレビ局が欲しかったのは「着られるダンボールロボット」だったので、作風が要望に近かったということはあったと思います。

ともあれ、こんな依頼はもうしばらく来ることはないだろうと思っていたのも束の間、納品した二か月後に再び、テレビ局の担当さんから電話がありました。

なんでも、ディズニーが私のダンボールアート作品に興味を持っているとのこと。予想外の展開でした。

●ディズニーの担当さんにお会いすることに

中京テレビの担当さんのお話では、ディズニーと中京テレビは仕事上の関わりがあり、まずは直接私に声をかけるのではなく、中京テレビに連絡を取ったとのこと。

ディズニーは毎年「ディズニー・オン・アイス」というイベントを(少なくとも中部地方では)毎年開催しています。

イベントはディズニーの人気キャラクター達がスケートリンクでショーを行うというものですが、中京テレビでそのコマーシャルが流れており、なるほど、こういうつながりがあるのかと納得しました。

テレビ局の担当さんからは、ディズニー側に私の電話番号を伝えても良いかという確認をいただいたので快諾。断る理由はありませんでした(笑)

その後、一週間程度は音沙汰なし。まあ、興味があっただけで具体的に何かということではなかったのかなと思っていたところに、ディズニーの担当さんからご連絡をいただきました。

直接会ってお話をということになり、後日お会いすることになりました。

●映画の宣伝用にダンボールアート

予定を調整し、後日、名古屋市内でディズニーの担当さんにお会いしました。

詳しくお話を聞いたところ、2014年7月から公開予定の映画「プレーンズ2 ファイヤー&レスキュー」の宣伝用として、主役キャラクターをダンボールアートで作れるかというもの。

私のことを知ったきっかけはテレビ局と同じくブログ。私がダンボールアート制作を行っていること、また、中京テレビのお仕事をしたことを知って、テレビ局に連絡されたそうです。

きっと、信頼できる人物かどうかを調査する意味合いもあったのではないかと予想しております(笑)

ダンボールアートを映画の宣伝に使おうと考えた理由には、なかなか深いものがありました。

お話によると、最近の子ども達はディズニーやピクサーなどが制作する3DCG映画を見慣れてしまっており、映像に驚きを感じないのだとか。

趣味として長年CGに慣れ親しんでいる私としては、ディズニーやピクサーの技術力や表現力がいかに優れているかを作り手の視点で理解しています。

子ども達が技術力の高さなどを感じないというのは、もちろん、制作の舞台裏を知らないということもありますが、作品の完成度が非常に高いため、素直に物語に没頭できているということの現れとも言えます。

少しでも違和感があると、子どもであっても敏感に気が付きます。それに気付いてしまうと、物語の世界から現実へと一瞬で引き戻されてしまいますが、世界最高峰のCG映画はそういうものは微塵も感じませんよね。

映像には見慣れてしまった子ども達ですが、もしも目の前にダンボールで手作りされたキャラクターがあったらどのように感じるでしょうか。

ディズニーの担当さんは制作の舞台裏がわからない映像よりも、身近な素材で作られたダンボールアートの方が、新鮮で驚きがあるのではないかと考えて私に制作を依頼されたということでした。

具体的な依頼内容は映画の主人公である飛行機のキャラクター、ダスティくんをダンボールで作り、映画館に併設されたショッピングモールに一か月間展示したいというものでした。

テレビ局の依頼でダンボールロボットを作ったときも、それまでにない大きさで私にとっては新たな挑戦でしたが、こちらも経験のないものでした。

あのディズニーからの依頼ということでしたが、なぜか不思議と落ち着いていて浮き足立つこともありませんでした。

依頼内容はハードルの高いものでしたが、テレビ局のときと違い一か月程度の時間をいただけたため、気持ちに余裕もありました。

私がダンボールアートを制作するときは、CGソフトを使って設計を行っていますが、CGソフト上には現実の空間が仮想的に作られており、そこで形にしたものは基本的にそのまま現実世界でも形にできます。

ただし、CGソフトがあれば思い描いた形を自由自在に作れるかどうかというのは別の話です。当然ながら、CGソフトを扱う技量が問われます。

また、ダンボールアートとして加工しやすい形の作り方というものがあるので、そのような都合も考慮した設計が必要になります。

映画の主役キャラクターは比較的CGで作りやすい形でしたし、これまでの経験から考えて、ダンボールで作りやすい形であると判断できました。

●ダンボールアートの制作舞台裏をテレビで放映

ダンボールアートとは関係のない部分で、予想外のこともありました。それはダンボールアートの制作作過程を密着取材し、テレビ放映したいと言われたことです。

ダンボールアートは映画の宣伝目的であるため、それを観客動員に繋げる必要があります。

そのためにテレビも利用するというのは合理的な考えだとは思いましたが、一か月もの長丁場、テレビ局から取材を受けることなど経験したことはなく、こちらはさすがに少々驚きました。

しかし、セルフブランディング目的でブログを始めていたこともあり、自分自身にとっても良い機会だし、貴重な経験をさせてもらえることになると考え、こちらも迷いなく引き受けました。

●ピクサー・アニメーション・スタジオへの思い入れ

3DCGクリエイターで、ピクサー・アニメーション・スタジオのことをまったく知らないという人は恐らくいません。

CGアニメーションスタジオとして有名なピクサーですが、もともとはハードウェアを販売していた会社でした。また、現社長のエド・キャットマルはコンピュータ科学者として、現在のCGソフトには欠かせない数々の技術を開発してきました。

現在のCGソフトは彼の研究成果が反映されている部分が大きく、すべてのCGクリエイターはその恩恵を授かっている、といっても過言ではありません。

ピクサーはまた、世界で初めてフル3DCG映画「トイ・ストーリー」を制作したことでも有名ですが、その後もヒット作を連発しました。その一つに「カーズ」という車が主人公の映画があります。

「ブレーンズ」はカーズのスピンオフ作品のひとつです。現在、ピクサーはディズニーの傘下に入っており、ブレーンズのシリーズはピクサーではなく、ディズニートゥーン・スタジオが制作しました。

とはいえ、ブレーンズ向けにダンボールアートを制作できるということは、思い入れの強いピクサーという世界最高峰のCGアニメーションスタジオの作品に関われることにもなり、ずっとCGを続けてきたものとしては、この上ない喜びがありました。

そのような思いを胸にダンボールアートの制作を始めました。

次回はまた、近況について報告します。色々と面白いことが起こっています(^^

【いわい ともひさ/ダンボールアーティスト】
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今週の一言:年に数回、目がチカチカすることがあったので、気になって眼科にいったところ頭痛とのこと。頭は痛まず目にだけ症状がでることがあるんだとか。眼球に異常はなかったものの、気を付けねばいかんですね〜。