ネタを訪ねて三万歩[127]大学の講義用資料プリントで苦労/海津ヨシノリ

投稿:  著者:  読了時間:9分(本文:約4,000文字)



手元が見えないパニック。視力が落ち始めているのは自覚していますが、確実に手元が見えにくい状況が時々発生します。

それは手元がほとんど見えないような暗い場所でのセミナー、あるいはクローズドな勉強会などです。

旧式のプロジェクターを使っている環境だと、どうしても室内を暗くしなくてはならず、手元に用意していた資料を読む為には二倍近いサイズに変更しての再プリントが必要です。それでも資料がシアン系の文字で印刷されていたりしたらもう完全にアウト。

多くはPDFをiPad等に仕込んでいることが多いのですが、瞬時に目的のページに移動するのはほぼ絶望なので、込み入った内容のセミナーの場合はプリントアウトが必要というわけで、かなり焦ります。

もちろん、事前に会場の状態を把握できていればいいのですが、それは定期的な会場でもない限り無理ですからね。





大学での講義用資料プリントにも色々と苦労しています。カラープリントもできる大学から、白黒印刷機の大学まで色々だからです。一番面倒なのは白黒印刷機です。高速という意味では重宝しますが、複数ページの両面印刷、ステップラー閉じが出来ないので、ページ数が多い場合は複写機を使う事になります。

ただし、どこの大学も二台くらいしかありませんので、順番待ちは当たり前。最悪の場合は授業に間に合わなくなってしまいますので、前週の授業後にコピー作業をすることになります。

ただし、ロッカーのない大学もあるので一苦労。大抵は用意してもらえるのですが、講師の人数が多すぎるために抽選になってしまう大学もあり、色々大変です。例えば連絡用メールボックスを活用するなど。

いっそのこと、PDFで配布してしまうのが一番簡単なのですが、関わっている学生以外の人にコピーされる可能性は否定できません。本人が把握できないその延長上で、誤字脱字などの揚げ足取りが発生してしまうと、フォローできなくなってしまいます。これは本当に怖いです。

そもそも基本的にこの手の資料はInDesignで作成しているのですが、整合性がとれないやっつけ処理のページなど、ちょっと恥ずかしい部分もあります。もちろんプロが見たら分かる範囲のオチャメ処理ですが……。

現在、ある大学で後期のみVisual StudioやHTML&CSSをレクチャーしているのですが、ソースの記述で勘違いは当然発生します。ですから、実際の授業の最中に気が付いて訂正はよくある話。

もちろん、お得意のタイプミスなら笑える範囲ですが、勘違いによる記述は炎上ネタになってしまいますからね。公開していない某所でのレクチャーで使用していた簡易印刷の自作教科書のタイプミスを、三年間誰も気が付かなかったコトを今年知りました。三年間誰も読んでいなかった? わけですね。

そんな苦労をするのであれば教科書を指定すればどうですか? と、突っ込まれそうですが、帯に短し襷に長し状態だということと、半期授業で3000円越える教科書は指定できないですね。

まっ、私が執筆すればいいのかもしれませんが、マニアック過ぎて売れ筋にはならないので現状は絶望的ですね。いっそのこと、完全公開でネット上に作成してしまうのもありかもしれません。

そんな中で、現状私が把握している範囲では、駿河台大学が作成した100ページほどの製本された冊子があります。もちろん全ての科目でそれが行われているわけではありませんが、とても優れた内容で脱帽モードです。

なによりも、菓子パンにソフトドリンク程度の価格で販売されているのも素晴らしいことです。無料にすることは簡単かもしれませんが、対価が発生することを理解してもらわないとダメだと感じています。

実は、過去に私は幾つかの無料奉仕の憂き目に遭いました。もちろん大学関係ではありません。メーカーからの依頼で原稿を執筆、あるいはセミナーに登壇しても、それは私のPR活動であり、どうしてギャラが発生するのか? という受け取られ方でした。

どうもこの手の話は暗くなるのでしたくはありませんが、決まって声の大きいこんな非常識な方達とは関わりたくないですね。あっ、声が大きいというのは大声という意味ではありません。社交的というか世渡りだけがうまいというような意味です。

さて、そんなこんなで怒濤のスタートとなった今年は本当に大変でした。特に一部の大学で関わることになった情報リテラシー関連の授業では、MS-Officeの復習をしなくてはならず、年始めはちょっと焦りました。

しかし、考えて見ればWordもExcelのMacintosh版しかなかった英語版の時からのユーザーでしたので、意外と思い出すのに時間もかからず、逆にリラックスできたと思っています。これはちょっとラッキーでしたね。数年前にある大学でレクチャーしていたことも、少しだけ自己援護になりました。

ちょっと脱線しますが、情報リテラシー関連の授業といってもOffice関連のソフトのハウツーではありません。それだけなんて私は我慢できませんので、可能な限り種々のネタを仕込んでいます。

最近では、一度も使ったことのなかったGIMPで写真の色被り修正方法、小物を手持ちの環境できれいに撮影する方法、Wordでのイラスト作成、PowerPointでアニメーション作成など、色々暴発しています。

話を戻すと、そんな中で一番大変だったのはVisual Basicかもしれません。プログラムは大昔にほんの少しだけアセンブラとPascal、MindというForth系の日本語プログラミング言語をかじっていただけでしたので、段取りを思い出すのに少し苦労しました。

でも、乱暴な言い方をすると、ExcelのマクロまたはVBAのようなモノですから、リズムをつかむのにそれほど時間はかかりませんでした。そんなことよりも、SONY版最後のVAIOでマウスを使いながらのプログラミングしていた光景の方が、ネタになったかもしれませんね。

そんな最近の私のメインマシンには、ExcelとInDesignとPhotoshopが完全常駐しています。なんだかとっても不思議な感じでしたが、それだけ使用頻度が高いわけです。


■今月のお気に入りミュージックと映画
----------------------------------------------------------------------

[Time After Time]by She & Him in 2014(U.S.A)

アルバム "Classics" に含まれている曲。サミー・カーンとジューリー・スタインが1947にリリースしたジャズのスタンダード。ジャズは積極的に聞くほうではないのですが、オリジナルの癖が抜けたカバーの方が私には心地よいようです。特にShe & Himのボーカルは。



[Interstellar]by Christopher Nolan in 2014(U.S.A)

邦題「インターステラー」。近未来、NASAは土星近傍のワームホールを通り抜けて、別の銀河に人類の新天地を求めるプロジェクト「ラザロ計画」を遂行していたのだった……。というストーリーなのですが、冒頭は暫く地味なもののグイグイ引っ張られる驚愕のシーンはとても面白かったです。ラストのオチも私は好きです。

この映画は壮大なホラーかもしれません。もちろん見方によっては……ですが。とにかくラスト近くの "No. No parent should have to watch their own child die. I have my kids here for me now." の台詞が心に残りました。名作だと思います。




【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/
怪しいお菓子研究家
yoshinori@kaizu.com
http://www.kaizu.com
http://kaizu-blog.blogspot.com
https://www.facebook.com/yoshinori.kaizu

唐突に、ある数式を理解する必要が出て来てしまい、思い出しながら半分頭の中が壊れかけたとき、あることに気が付きました。専門家の多くは肝心なことを説明せずに、公式の類を説明していることが驚くほど多いのです。

どうしていきなりその数値が出てくるのか? それが知りたいわけです。どうしてその順番になるのかを知りたいのです。反面教師で授業にこの経験を生かさないとダメですね。

誰しも感覚的に理解していることが実に多いのも、しっかり自分自身でわかっていないと大きな失敗をしてしまいます。

ある所で写真撮影のレクチャーをしていて、絞りを理解してもらうのにいつも苦労しています。今のレンズは電子化されていて、物理的な絞りリングがないからです。だいたい私も含めて、プロってけっこう曖昧な表現や専門用語を使っていることが多いですからね。

舐めない(コピーしない)、色気がない(地味なカラーリング過ぎる)、嘘をつく(視覚的に調整する)なんていうのはよく使ってしまう単語で、いつも反省しています……。

●11月の画像処理セッションは11月19日の19時からです。
Illustratorの復習【応用力が付くロゴタイプ作成の基本】

講演内容:llustratorの得意分野であるロゴタイプ作成の手順を、基本に沿って独自の処理を元に解説します。ベースラインの設定位置、パーツ分割の意味、一筆書き処理の有効性、イタリックの場合の作図方法など。

参加は無料ですが、申し込みが必要です。
http://www.borndigital.co.jp/seminar/3992.html