[4010] いや、クラシック音楽に恨みがあるわけではない

投稿:  著者:  読了時間:21分(本文:約10,000文字)


《この作品はこの村と運命を共にすることになる》

■私症説[75]
 いや、クラシック音楽に恨みがあるわけではない
 永吉克之

■晴耕雨読[17]
 娯楽としてトレーニングする人々
 福間晴耕

■羽化の作法[05]
 新宿の左目
 武 盾一郎





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■私症説[75]
いや、クラシック音楽に恨みがあるわけではない

永吉克之
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20151106140300.html
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そんな番組が今でも放送されているのかどうか知らないけど(知らないんだっ
たらググって調べろよ)、かつてNHK FMで「FMクラシックアワー」というクラ
シック音楽専門の番組を放送していた。

いまも刊行されているのかどうか知らないけど(だからググれよ)、「FM fan」
「FMレコパル」といったFM情報誌の番組表に、オオ、コレハと思う曲があると、
赤で印をつけておいて、その曲が始まるとラジカセのRECボタンを押して「音
楽用カセットテープ」に録音していたものだ。まだそんなものが市販されてい
るのかどうかはわからないが(だからググれって!)。

予約録音なんてのができない時代だったので、そんな原始的な方法しかなかっ
たのだ。何卒ご容赦いただきたい。

ちなみに、最近でもまだ使われているのかどうか知らないが(だからググれっちゅうのに)、そういう操作を「エアチェック」という用語で呼んでいた。

エアチェックをした曲の半分はクラシック音楽で、それを録音したカセットテープは100本くらいあったと思う。いまでは、すべて断捨離ってしまったが、以下のような曲が含まれていた。

交響曲『第1番』〜『第9番』ベートーヴェン
『海』デビュシー
『未完成』シューバート
『マタイ受難曲』バーク
『水上の音楽』ハンドル
『新世界より』ドヴォラック ……など。

※「ベートーヴェン」が英語の発音をもとにしている(ドイツ語では“ベートホーフェン”)ので、他の作曲家の名前も、英語の発音に準じた。というか、なんだか面白いから、原語と英語の発音がかなり違う名前を意識して選んだ。

クラシック音楽といっても幅が広いが、小学校の音楽室の壁に肖像画が貼ってあるような有名な作曲家とか、まあそんな感じの偉い人たちが作った曲だと思っていただければ結構である。

なぜわたしがクラシック音楽をコレクションしていたのか。それは、クラシック音楽が好きだからではなくて、好きではなかったからである。好きになろうとして、せっせと集めていたのだ。

かりそめにも芸術家を標榜する人間が、畑違いとはいえ、かのベートーヴェン芸術の神髄を感得できないというのは、ちょっとアレなのではないか、という危惧があったことは謙虚に認めよう。

                 *

なぜ、クラシックが好きになれないのか。

一部を除いて、クラシックの曲はなぜか心に響いてこない。どれもこれも同じように聴こえる。

映画『2001年宇宙の旅』で、クラシックなんかわかんねえよーという木石漢にも知られるようになった、R. シュトラウスの交響曲『ツァラトゥストラはかく語りき』は、例の荘重なイントロの約2分間を除いた残り30分余を聴いても、ベートーヴェンやシューベルトとどの辺りが違うのかわからない。

それに、一曲の演奏時間が長すぎる!

愛好家でなくとも知っている、ラヴェルの『ボレロ』はクラシックのなかでは短い方だと思うが、それでも演奏時間が15分以上ある。『おどるポンポコリン』が15分もあったら、あれほど売れただろうか?

バッハの『マタイ受難曲』などは、第一部と二部を合わせると3時間をゆうに超える。『津軽海峡冬景色』を歌い終わるのに3時間もかかるとしたら、果たして石川さゆりは紅白に出場できただろうか?

また、クラシックの曲は鼻歌にするのが極めてむずかしい。誰だって、鼻歌まじりでないと仕事なんかできないはずだ。人間は、仕事のテンポに合わせた歌を歌っていれば、どんな過酷な労働にでも耐えることができるのだ。

ロシア民謡ではあるが『ヴォルガの舟歌』(※)は、その意味で実によくできた曲だと思う。ロシアの画家、レーピンの『ヴォルガの船曵き』(※)という絵を見ながら聴けば、それが納得できるはずである。

※『ヴォルガの舟歌』 http://bit.ly/1MBCWMX 赤軍合唱団
※『ヴォルガの船曵き』 http://bit.ly/1Mz7xe3 I.E.レーピン

そこで、ご存知ベートーヴェンの『運命』。

ダダダダーン ダダダダーン 
ドダダダドダダダドダダダダーン ドダダダドダダダドダダダダーン
ダダダダーン ダダダダーン ダダダダ・ダ・ダーーーーーーーーー
ダダダダーン!

これは、仕事をしながら口ずさむのには向いていない。職場で他人に聴かれたら恥ずかしい。道で通りすがりの人に聴かれても恥ずかしい。

「ダダダダーン」と歌いながら伝票を整理している事務員を想像してみるといい。「ダダダダーン」と歌いながら客の注文を聞いているマクドナルドの店員を想像してみるといい。

「そんなときゃ、歌詞をつけてみるといいぜ」

そう言って、須賀青洲(すがせいしゅう)さんは歌ってくれた。

段田男〜 段田男〜
名前だけなら知ってる〜 どんな人かは知らない〜
とにかく〜 演歌の〜 歌手だそ・う・だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
段田男〜!

「どんな人かは知らない」という部分を聴いて、知らないのならググれよと思ったが、このシステムの素晴らしさは認めざるを得なかった。これなら仕事をしながら歌ってもサマになる。

・段田男(だんだ だん)
Wikipedia http://bit.ly/1P8tuqU

須賀青洲さんが歌うのを聴いて、わたしは何のためらいもなく、師事したい旨を伝えた。すると彼が、

「歌舞音曲&ロケンロールを舐めちゃいねえかい? 何もかも棄てて打ち込む覚悟があるのなら、ついてきな」

と言うので、わたしは思わずカッとなった。

「何もかもって、ムチャを言わないでくださいよ。僕には、Facebookやmixiの友達がいるんです。Twitterもやってます。Google+も。Tumblrは登録しただけです。とにかく、もうあなたにはついていけません! さようなら!」

こうして、須賀青洲さんとの絆が永遠に失われてしまっただけでなく、わたしがクラシックを好きになる機会も永遠に失われてしまったのである。

そんなこんなで、いまだにわたしは、チャイコフスキーの曲とメンデルスゾーンの曲は、どこが特徴的に違うのかがわからない。それは多分、苦労してクラシック音楽を録音しまくったものの、どうも興味が湧かなくてほとんど聴かなかったからだろう。


【ながよしかつゆき/戯文作家】thereisaship@yahoo.co.jp

小説非小説『徒労捜査官』第23話《権力の介入》更新しました。
毎週、月・水・金曜日に更新。
http://ironoxide.hatenablog.com/

・ここでのテキストは、ブログにも、ほぼ同時掲載しています。
無名藝人 http://blog.goo.ne.jp/nagayoshi_katz

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Kindleストア http://amzn.to/ZoEP8e


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■晴耕雨読[17]
娯楽としてトレーニングする人々

福間晴耕
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20151106140200.html
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休日に喫茶店に行って、ラジオ講座(主にロシア語)の予習をするのが習慣になっているのだが、周りを見渡してみると結構多くの人たちが勉強している。

もちろん学生が多いのだが、社会人とおぼしき人から結構な年齢の人もその中には混じっている。彼らは仕事でやむを得ずというのを除けば、どんな理由があるのだろう。あるいは何か資格を取るためなのかもしれないし、今すぐに役に立たなくても将来の投資のつもりで勉強している人もいるのだろう。

たぶん、私も含めて多くの人は、娯楽としてやっているのではないのだろうか。娯楽としての勉強というと変に聞こえるかも知れないが、よく考えてみればパソコンをいじったり、スポーツをする時も、傍目からは勉強やトレーニングにしか見えないことが、当人にとっては楽しいことだったりするものだ。

そして本当に自分の役に立つ技能は、こうした「楽しんでやっている勉強やトレーニング」でつくのだろう。

そういえば、偉人などの伝記を読むととても忙しい中で驚くほど多くの時間を勉強に費やしている話が出てくるが、本当はこれも努力や根性などではなく、当人にとっては楽しみとしてやっていたのかも知れない。そう思うと、これまで雲の上に思えたこうした人たちも、自分たちの延長線上にある人たちに思えてくる。

そんなことをふと考えた喫茶店からの帰り、照明の消えたお店のショーウィンドウを鏡に見立て、ダンスの練習に励んでいる若者達を見かけた。

そのジャンルに興味のない人から見れば遊びにしか見えないことの多くも、その内容の大半はトレーニングが多いのだろう。

多くの趣味に当てはまることだが、たとえ娯楽や趣味であっても、面白くなるまでにある程度敷居のあるものは少なくない。囲碁や将棋などもまずはルールを覚える必要があり、プレイするだけならともかく勝つためにはトレーニングが必要だ。そして同じことは多くのスポーツでも言えるだろう。

自分がやりたいと思っていることや、面白そうだと思っているとも、同じように面白くなるまでに多くの敷居が待っている。

一時期やっていたラジコンヘリは習熟するまでに時間がかかり、さらに飛ばす場所の確保の問題ですっかりご無沙汰してしまった。居合も気になっているのだが、これも訓練が必要なうえに独学で出来ない以上、道場に通う手間を思うと躊躇してしまう。

その代わりに始めたロシアの格闘技のシステマは、そろそろ二年目になるが、やればやるほど道のりが遠いことが逆にわかってきた。今やっている自転車、語学も道のりはなかなかに遠そうだ。

特に語学は、読めれば確実に面白そうな本やサイトは次々に見つかるのだが、肝心の能力がなかなかそこまで達しない。

今の状況は入れば面白そうな門は目の前にいくらでも開いているものの、先に進むための敷居もまた、いくつも前に構えている感じと言えるだろう。

まあ言い訳をしてもしょうがない。それに誰かに強要されていることでもなく、自分でやりたいからやっているのだ。文句を言わず前に進み、敷居を乗り越えていくしかないのだろう。惜しむらくは、恐らく目の前にあるすべての門には入れそうもないことである。


【福間晴耕/デザイナー】
フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
http://fukuma.way-nifty.com/

HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったのでインテリアを見たりするのも好きかもしれない。


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■羽化の作法[05]
新宿の左目

武 盾一郎
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20151106140100.html
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https://www.facebook.com/junichiro.take/photos/a.1053736031337950.1073741847.206228169422078/1060383484006538/?type=3&theater

ちょうどヤマネが段ボールハウス絵画制作に加わったあたり、西口地下道広場にあるひときわ大きな段ボールハウスが出現した。

高さは身長ほどあり、長さはなんと二人が縦に寝られるほど。中は木材で支えられているようで「二階建て」という噂もあった。最大級の段ボールハウスだ。

「ここに大きい絵を描いてみたいね!」

僕らはこの段ボールハウスから何が見えてくるのかを話していた。しかし、これだけ大きいと何を描いていいのかよく分からなかった。

具体的に誰から「いいよ」と言われたかは忘れてしまったが、「ここに描いてもいい」という許可を貰えた。後から分かったことなのだが、これは“住処(すみか)”ではなくて、野宿者支援団体の「新宿連絡会」が倉庫として使う段ボールハウスだったのだ。炊き出しの道具やらが入っている。

頑丈そうなので描いたらその後長い間この絵は残るだろうし、サイズも大きい。

「ここは一発なにかすごい絵を描こう」

三人で意気込むのだが何を描いたら良いかなかなか決まらないまま、他の段ボールハウス絵画制作を続けていた。ペンキの色数が少ないのも気になっていた。

ある時、ヤマネが言った。

「向こう側(B通路側)に『新宿の目』っていうオブジェがあるんすよ。新宿駅から見ると右側なんすけど、あれ、右目なんです」

確かに、新宿西口地下道のロータリー反対側にスバルビルの『新宿の目』(宮下芳子作)がある。
http://www.latelier.co.jp/public/arts/art_public_b1.html

三人はその作品を観に行った。確かに、右目だ!(笑)『新宿の目』があることは知っていたが、それが左右どちらの目であるかなんて気にしたことがなかった。

「だから新宿の左目にするんはどうかな?」

片目じゃバランスも悪い。こちら側には左目を描こう。そうすれば新宿の地下に両目が揃って開眼する。これはいい!! こうしてぼくたちは「新宿の左目」を描く作業に取りかかった。

●コラボレーションスタイルの完成形

その日の夜、巨大な段ボールハウスに三人で向かい合い、だいたいの構図のアタリをつけた。「目」だからそんなに複雑でもない。というか、単純明快だ。ありったけのペンキを用意し、三人各々筆を持つ。

「せーのドン!」

三人それぞれがいっせいに絵を描きはじめた。長い長いジャムセッションが始まった。体力と精神力が続く限り描く。

ジャムセッションといっても、音楽のようにパートが決まってるわけではない。誰かが描くとその絵を誰かが潰して上から描く、かと思えばまた別の手が入る。

ひたすら延々とその作業を繰り返した。まるでもみくちゃの喧嘩みたいなスタイル。そんなことをずっと繰り返した。

「何をやってるんだ?」と、見物人も現れた。夜から朝にかけてバトルを繰り返した。一日では完成しない。

今まで使ってた塗装用のペンキだけでなく、絵を描く用の「ネオカラー」とアクリル絵の具も使うことにした。

形はすぐには出さず、くくらずに、絵の具を重ねて行く。手が加われば加わるほど絵の養分が高まっていく。だんだんと形が浮き上がって見えて来る。最後にエッジを際立たせるような手を入れていく。

蛍光塗料、蓄光塗料を更に買い足して細かいところを描き込んでいく。こうして四日くらい描き続けて絵は完成した。

瞬間、「この作品は、この村と運命を共にすることになる」とはっきりと予感した。

「この絵が消えるときは村が消えるとき、村が消えるときにはこの絵も消える」

三年後の1998年2月、段ボール村は原因不明の火災に襲われた。死者も出てしまうほどだったが『新宿の左目』は燃えずに残った。現場は立ち入り禁止区域となり、作品と村は同時に消滅することになる。

https://www.facebook.com/junichiro.take/photos/a.1053736031337950.1073741847.206228169422078/1060383464006540/?type=3&theater

ヤマネのエスキース帳にはこんな言葉が記されてあった。

“それは一つの新たな宗教の提示であるのかもしれない。
私は宗教画家である。
その宗教には経典がない。
理論的説明はいらない。
ただ感情、あるいは魂に訴えるものであるのだ。
俺が俺として生きるための宗教、「新宿の左目」”
https://www.facebook.com/junichiro.take/photos/a.1053736031337950.1073741847.206228169422078/1060383497339870/?type=3&theater
(つづく)

参照URL
http://eyedia.com/gallery/paint/street.html
http://www.asahi-net.or.jp/~uh5a-kbys/shinjuku/fire/980208.htm
http://kenkyukai.cardboard-house-painting.jp/?eid=253019


【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/アーティスト20周年記念中】

大好評!ガブリエルガブリエラ第3回展覧会「─氷砂糖の湖の物語─」
http://gabrielgabriela-jp.blogspot.jp/2015/10/blog-post.html
11/9まで代官山アートラッシュ・箱庭展

13月世写本『13月世の物語・第一話“氷砂糖の湖に棲む人魚”(初版本+新作ミニジクレー版画セット)』が残り4部となってます!

13月世の物語 ガブリエルガブリエラ
https://twitter.com/G_G_jp
https://www.facebook.com/GabrielGabriela.jp
http://gabrielgabriela-jp.blogspot.jp/

iPhoneケース展に出展した『タムちゃん』売れました。ありがとうございます!
http://d.hatena.ne.jp/Take_J/20151001/1437654320

武盾一郎×立島夕子二人展 やります!
「色彩と線 ─森からの生存者」
http://www.house-of-zaroff.com/ja/gallery_2nd/20151119/index.html
日時:11月19日(木)〜12月1日(火)
場所:画廊・珈琲 Zaroff(初台)

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take.junichiro@gmail.com


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編集後記(11/06)

●伊東ひとみ「キラキラネームの大研究」を読んだ(新潮新書、2015)。「キラキラネーム」あるいは「DQNネーム」と呼ばれて、からかいや非難が親に集中している現状のお気楽レポートだろうと思っていた。まず感情的な結論を予め持ったうえで、それを補強する都合のいいデータを集めたエンターテインメントだろうと舐めていた。しかし、それはとんでもない思い込みだった。この本は、漢字の奥深さがわかる、極めて優れた日本語論であった。もっとも最初のうちは、筆者もキラキラネームを前にした違和感の正体をさぐる目的だったようだ。ところが、調べていくうちに深い「言語の森」に迷い込んでいた。

筆者の旅の始まりは「光宙」(ぴかちゅう)という名前は実在するのか、というもので、どうやら都市伝説の域を出ないと結論づける。そして、いま命名の現場で何が起きているのかを調査した結果、もはや「読めない個性的な名前」は少しも珍しくない、まぎれもない現実であることが判明した。フリガナがないと読めない、フリガナがあっても読み方に違和感が残る名前は普通に存在している。読み方が分からないのは、漢字表記と読みにズレがあるからだ。漢字は難しくないが、読み方が通常の音訓とはまったく異なるのだ。キラキラネームの背景は、若い親たちのヤンキー気質に帰結するような単純なものではない。

キラキラネームに世間が抱いているイメージですこぶるよろしくないのだが、急激にメジャー化している。なぜ、今時の親は世評に耳を塞いでそんな名前をつけるのか。調べた結果、彼らは「わざわざ」キラキラネームをめざして命名したわけではなかった。読みにくい名前をつけたかったわけではなく、意図せずたどりついてしまったのだと判明した。名前に使える漢字は戸籍法で定められている。常用漢字2136字、人名用漢字861字、計2997字である。しかし、ここで問題なのは、その漢字をどう読むかの制限がないのだ。だから、個性のある名前をつけようとすると、どうしても「読み方で勝負!」になる。

そして、奇抜な読み方の名前、キラキラネームが続々と登場する。筆者は日本語の源流をめざす旅を延々と続けた。そして、キラキラネームは明治以来の国語教育の落とし子だったという結論を出す。カジュアルな漢字観を持つ「当用漢字第三世代」の団塊ジュニアが子供の名付けをするようになった時期と、キラキラネームが増え始めた時期はピッタリと重なる。いま、長い歴史の中で育まれてきた日本語の、漢字の体系が壊れかけている。「漢字」をイメージやフィーリングだけで捉える「感字」にしてはならないと筆者は結論する。キラキラネームを嘲笑している場合ではないのだ。納得の一冊である。 (柴田)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106106183/dgcrcom-22/
伊東ひとみ「キラキラネームの大研究」

実例:心愛(ここあ、ここな)咲愛(さくら)心結(みゆ)奏和(かなと)月(るな)大翔(ひろと)心春(こはる)心咲(みさき)結愛(ゆあ)………


●名前に重い意味を持たせたくない人もいるそうだ。プレッシャーになっていた人たちが親になって、可愛い軽い名前がいいとか、響きが良いものがいいとか考えたのかも。濁点のつく名前の子供は少なそう。

平和な時代だと、戦争に勝つ必要はないし、大きな野望も必要ない。子供の数は少ないから数字もいらない。ささやかでもいいから幸せを掴んで欲しいとか、自然や宇宙に関する名前がいいんじゃないかとか。親の望み自体が変わってきているのかもしれない。

と思って、名前ランキングを見たら、平成の方が「大」のつく名前が多かった。使われる漢字は似たり寄ったりで、読み方で勝負というのも納得。

宝塚は個性を出さないといけないが、団員や偉大な先輩と同じ名前は使えないのと、たぶん漢字制限はないから別の意味でキラキラ。読めることは読める。同じ名前が使えないのは紛らわしいから。あやかって1文字とって、というのはある。

最近は普通の名前がちらほらあるよ。難しい漢字だらけだと覚えてもらいにくいから損。画数の多い漢字とひらがなを混ぜていたり。トップ娘役で使われていた漢字には傾向があって、それらだけで構成された名前の子には本気を感じた(笑)。今のところ目立った活躍はない。 (hammer.mule)

http://www.tonsuke.com/nebin.html
赤ちゃんの名前 年別ランキング

http://artist.amuse.co.jp/artist/yuzuki_reon/
「れおん」って凄い名前だな(笑)という第一印象をものともせずトップへ。柚希礼音さん。好き〜!

http://www.sankei.com/west/news/151104/wst1511040006-n1.html
「めっちゃ筋肉ついた」と言われ……宝塚のレジェンド・柚希礼音がNYで学んだ3つのこと

http://www.haruno-smile.com/
元花組トップスター春野寿美礼さん。76年間この名前はなかった。まさかのス
トレートすぎる名前で、トップまでストレートに上り詰めた。

http://ticketcamp.net/takarazuka-blog/takarazuka-kagekidan-takarazienne/
百人一首からキラキラネームまでタカラジェンヌの芸名今昔物語

http://m2college.net/fes4/
まにまにフェスティバル(まにフェス)P4

伯母が大阪豊中のお伽工房で3人展。陶、ジュエリー、革カバン。11/22〜29。
https://www.facebook.com/pages/%E3%81%8A%E4%BC%BD%E5%B7%A5%E6%88%BF/423506204441926