[4013] テレビの街で飲み歩き

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《これを使えば仕事のやり方がガラッと変わるかもしれない》

■ユーレカの日々[46]
 テレビの街で飲み歩き
 まつむらまきお

■グラフィック薄氷大魔王[453]
 「極薄マスキングテープ」他、塗装関連の小ネタ集
 吉井 宏


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■ユーレカの日々[46]
テレビの街で飲み歩き

まつむらまきお
https://bn.dgcr.com/archives/20151111140200.html

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<著者のご意向により削除いたしました>


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■グラフィック薄氷大魔王[453]
「極薄マスキングテープ」他、塗装関連の小ネタ集

吉井 宏
https://bn.dgcr.com/archives/20151111140100.html

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12月中旬に立体関連の展示会に参加することになり、急いで作り始めた。誰も興味ないかもしれないけど、僕には興味アリアリな材料や作り方の話を、今後何度か書くのですみませんw

今回は従来の作り方をガラッと変えて、ぜんぜん新しい作り方にしてる。10年もやってていまだに作り方が安定しておらず、いちいち初めての作り方を試行錯誤するのもいかがなものかとも思うけど、緊張するし、刺激的でおもしろいのです。

●極薄マスキングテープ

新水性カラーアクリジョンの試しを、ときたま思い出したようにやってた。今回試してたのは、マスキングテープの厚みが薄ければ、塗り分け境界にあんなに段差が出来ないんじゃないか? ってこと。紙のマスキングテープは0.09mm程度らしい。

何をやったかというと、マスキングテープをサンドペーパーで削って透けるくらい薄くして切り抜いて貼り、塗ってみた。う〜ん、それほど効果あるようには見えないw

調べてみると、薄手のマスキングテープはスリーエムのものが良さそう。でも、本家の通販でも0.05mmのものは品切れ中みたい。0.105mmのものはモノタロウとかで手に入るけど。紙より厚いんじゃ意味ない。
http://www.mmm.co.jp/tape-adh/single/mask/fineline/various/index.html


ところで、マスキングテープより薄そうに見えるセロテープの厚みは0.05mm程度らしい。試してみると、お! 紙のより明らかに段差が少ない。スコッチのメンディングテープ(0.058mm)もいいかも。

「極薄テープ」で調べると、0.01mmってのもあった。究極の薄さ! 試してみたいな。
http://www.teraokatape.co.jp/products/class/class001/list001/data_000256.html


マスキングの段差を細かいサンドペーパーでザッと削ってからクリアーを塗るのは先日もやってみてたけど、セロテープマスキングの段差を削ってクリアーを塗ると、ほぼ段差なし状態にできた。ウレタン吹けば完璧じゃないかな。

マスキングゾル使えばいいんじゃ? って意見もあるでしょうけど、水溶性なので使うつもりの水性アクリジョンで溶けちゃいます。

●ドラッグストアの防水フィルム

傷などが濡れるのを防ぐ「防水フィルム」はめちゃくちゃ薄いよと、facebookで教えてもらった。0.1mmの究極の極薄テープがそのへんのドラッグストアで買えちゃうって!

さっそく二種類買ってきた。ココカラファインで売ってるたぶんごくごく一般的な製品。名刺サイズのシートが5枚入って600円弱はちょっと高い。ロール状のは幅5cm×2mで同じような値段。ロールのはたぶんもっとお得な長巻きがあるはず。
http://www.yoshii.com/dgcr/acrysion-PA052202

ロール状のとシート状。性能はどちらもほぼ同じだけど、ロール状のほうがお得で便利。剥離紙を剥がすと、薄いってよりほとんど「膜」。引っ張りにも強くてけっこう丈夫。ただ、油断すると粘着面同士がくっつく。

貼ってからデザインカッターで切り抜くのだが、弾力があるのでしっかり切らないと皺が寄る。まあ、なんとか切れる。切れ端を取り除くには精密ピンセットが必要。

アクリジョンを三回塗って、だいたい乾いてから剥がしてみた。糊はきれいに剥がれる。紙のマスキングテープよりはぜんぜん段差が低い。段差を削る処理は必要だけど、かなりラクそう。使えます。
http://www.yoshii.com/dgcr/acrysion-PA052204

ただ、やわらかいので扱いがデリケート。引っぱって曲面を一気にマスキングするのは可能だろうけど、きれいに貼るのはむずかしいかも。

●タミヤエナメル塗料

捨てるつもりでまとめてあった、タミヤのエナメル塗料を久しぶりに試してみた。やはり色の伸びは最高。さすがに一度塗りでは完全ベタ面にはならないけど、平坦にきれいに塗れて気持ちいい。

たいていの塗料では、塗りにくい黄色など含めて二度塗りで済むっぽい。乾燥が遅く、塗料が溜まった部分が広がってくれる性質があるためムラが少なく、マスキングの盛り上がりも最小限で済む感じ。

USBファンで風を当ててみたところ、以前のような「いつまでも乾かなくて始末におえない」って印象じゃなく、割とすぐ乾いた。硬度はそこそこあるんだろうけど、もろい。強く引っ掻くとボロボロと剥がれる。

以前、何年も前にタミヤエナメルで塗った試し塗りを引っ掻いてみたら硬くなってて、剥がれなくなってたことがあるけど、時間を置けば完全硬化するのかもしれん。

ただ、やはり臭いがダメ。シンナーみたいに強くはないけど、油絵具のような、じわじわと頭が痛くなってくるような臭い。この臭いに何日も耐えて作業するのはむずかしそう。アクリジョンとの比較で言えば、平坦に塗れることを差し置いても、アクリジョンの勝ちかなあ……。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP http://www.yoshii.com

Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/


今日、iPad Proが発売されてるはず。Pencilを早く使ってみたい! iPadでラフやドローイング、いや2Dイラストまで描けるようになるかもしれない。久々の「これを使えば仕事のやり方がガラッと変わるかもしれない」という期待。

以前はそれでいろんなモノを買い込んでは「ダメだった〜」の繰り返しだったけど、今回はイケそう? ……大量のラフを描かなくちゃいけないからと、禁を破って液タブを再購入したのに、ほとんど紙と鉛筆で済ませてしまった僕的にはあまり期待してはいけないのかもw

・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500


・rinkakの3Dプリント作品ショップ
https://www.rinkak.com/jp/shop/hiroshiyoshii


・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii


・ハイウェイ島の大冒険
http://kids.e-nexco.co.jp


・App Store「REAL STEELPAN」
https://itunes.apple.com/jp/app/real-steelpan/id398902899?mt=8



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編集後記(11/11)

●久坂部羊「虚栄」を読んだ(角川書店、2015)。488ページもある分厚い医療サスペンスである。201X年、日本に急速に広まりつつある悪性度の高いがんに関して「最適化治療」を決めるための重要政策会議「プロジェクトG4」が発足した。G4とはがんに対する四つの治療法、すなわち手術、抗がん剤、放射線治療、免疫療法の四グループを指す。各グループを代表して阪都大学消化器外科、東帝大学腫瘍内科、京御大学放射線科、慶陵大学免疫療法科が、一致団結して、がんの撲滅を目指すのがプロジェクトの目的だという。だが真実は、それぞれの治療法の死活問題に直結する巨額予算を巡る熾烈な覇権争いなのだ。

登場人物が多い小説はそれぞれの関係を頭に入れて読まなければ混乱するのだが、作者は名前の色分けで判別しやすい工夫をしている。外科の玄田・黒木、内科の朱川・赤崎、放射線科の青柳、免疫療法科の白江といった具合で、その色の出てくるパートはどのグループかすぐわかる。また、がんといえばあの人、近藤誠をモデルにしたグループ外の医師も登場する。そして、メディアからは新聞社の医療科学部の美人キャップが狂言回しとして参加する。医学の専門的な部分は斜めに読んでも大丈夫、人物のキャラはよく立っており、物語は少しも退屈ではない。腫瘍もとい主要キャラが次々がんにかかる意外な展開(笑)。

患者にとってはどんな方法でもがんが治ればいいのだが、「プロジェクトG4」の面々は何よりも自分たちの治療法で治すことが重要である。他のグループの治療でがんが克服されても喜べない。へたをすると自分のグループの療法が葬りさられてしまう。この戦いでは一人勝ちしなければならない。あらゆる手段で他のグループを貶める、えげつない暗闘が次々と展開されて、おもしろいのなんの。近藤誠モデルの岸川までがんにかかり、がんは自己だから克服されない、がんは人類のためにある、とまで言わせるんだからたまらない。あの「白い巨塔」の数倍の陰謀渦巻く医療界の伏魔殿を描くエンターテインメント!

「虚栄」というタイトルには、医療者の虚栄と、マスメディアの虚栄という両方の意味を込めたと筆者は「本の旅人」インタビューで語る。「結局は時代の限界なんですよ。何でもわかるように見せかけているのは、医学の虚栄です」と、この物語で一番マトモで、わたしが唯一共感を覚えた、外科の筆頭講師・雪野が言う。だが、筆者は「いちばんウソくさい人物です。優れていて性格のいい人なんてほとんどいないですよ。優れている人はだいたい性格が悪いし、性格がいい人は得てして無能だったりする」なんて身も蓋もないことを言う。イジワル〜。三晩かけて寝ながら読破、厚さ4cm、重量600gには参る。(柴田)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/404101994X/dgcrcom-22/

久坂部羊「虚栄」


●Ingress続き。味方の行動が敵に利する。かといって放置すれば敵に占拠されてしまう。一定の時間ごとに勝敗や個人ランキングが決まるので、そのままにするわけにはいかない。本当に良くできているゲームだと思う。延々と遊べる。

完成品はすぐには壊されたくないが、壊されないと次が作れないので実績にならない。陣地より実績だけを見て遊ぶようにすればいいのに、敵に占拠されると気持ち良くないんだなぁ。

大きなものを作らせないために、わざと敵のリンクを一部残してみる。すると味方がきちんと削除してしまう。すぐさま敵が大きな多重を作る。

好きにすればいいわと占拠する。すぐさま敵が来て壊していく。この時に頑張りすぎて変なリンクを作ってくれればラッキー。構築を得意とする敵の、一番の敵は味方。続く。 (hammer.mule)