わが逃走[171]驚異! 南海の島に謎の生物を見た! の巻/齋藤 浩

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011.jpg沖縄に行ってきました。

極親しい間柄の年上の女性Aさんとケッコンして、かれこれ15年になります。いわゆる節目というかキリがいいので、ここらで15年ぶりにリゾートホテルにでも宿泊しつつ、遅めの夏休みを堪能しようかねえ。

ということになりまして、某旅行会社にてフリーのツアーを申し込んだのです。奮発して新婚旅行以来の高級リゾートを指定、ただしオプション一切なしのいちばん安いプラン。

ところが何かの手違いで、レンタカーは燃料付き、さらにはホテルのディナーも付くという(ちょっとだけ)豪華バージョンで予約されたことになっていたのです。無論、精算は済んでいたので黙っていた。

というか、予約したのが三か月も前だったので、あれ? そうだったっけ?? という感じだったのですが、帰ってから調べてみるとやはり先方にミスがあったようだ。すまん、トクしちゃった。

後日、沖縄の友人にこのことを話すと、「間違えた人は絶対東京じゃないさー。沖縄さー」と言っていました。





やはり沖縄といえば“てーげー”。てーげーとは真面目といいかげんの中間より、ややいいかげん寄りを意味する島言葉です(オレ的意訳あり)。

さて、柄にもなくそんな豪華リゾートでのバカンスにおいて、メインダイニングのフレンチのナントカいうワインがどーのこーのとか、そういう話は苦手なのでしません。

ちなみにどれくらい豪華かというと、オホホそんなたいしたもんじゃないんですのよ。部屋からの眺めがこちら。あらやだ、ちょっとステキじゃない?
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そして、翌日は朝からテラス席でお食事ですの。オホホホ。いやいや、そんな別にねえ。たいしたもんじゃないですよ。
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というわけで、ここはひとつ、沖縄北部で遭遇した謎でもなんでもない生き物との出会いを回想しつつ、土産話でも。

●オオシマゼミ
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機械音のような鳴き声なので、私は『メカ蝉』と呼んでいる。そう呼んでいるのはオレだけだが。

鳴き声をカタカナで表現すると「ヒャンヒャンヒャン…」「カンカンカン…」という感じで、11月頃に沖縄本島北部でこの音を聞くと「ああ、沖縄ももうすっかり秋だなあ」と思うことにしている。

去年初めて11月以外の沖縄を訪れたのだが、確かにこの蝉は鳴いてなかった!

さて、ちょうど15年前に初めて訪れた際、これが何の音かわからずホテルのフロントの人に聞いてみたのだ(我々には道路工事の機械とか、踏切の警告音みたいに思えた)。

すると、しばらーく考えた後「あ! 蝉の声です」と教えてくれた。

地元の人にとってはごくあたり前の環境音だったらしく、そういう質問は想定外だったのだ。分類としてはツクツクボウシの仲間だそうだ。たしかに前奏の立ち上がり部分、および後奏の終わりっぷりに共通するものを感じる。

●オオゴマダラのサナギ
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目立ってしょうがないだろ、と思わず突っ込みたくなるゴールドに輝く絢爛豪華なサナギは、オオゴマダラのものだ。

こんなに派手だと、すぐ天敵に襲われてしまうのではないかと心配してしまうが、実際にそのへんを歩いていてもこの蝶は普通に飛んでるので、とくに苦労しているわけではなさそうだ。

写真は美ら海水族館の隣の植物園『熱帯ドリームセンター』にて撮影。何年か前にも書いたけど、ここのランドスケープデザインは素晴らしい。手入れの行き届いた古代遺跡と表現すべきか、実在するラピュタとでもいうべきか。

とにかく、敷地内をほんの少し歩くだけでも、次から次へと景色が変わり実に楽しい。

ただネーミングがダサく、隣の水族館が有名すぎる影響からか、いつ行っても空いている。そうそう、今回の旅でいちばん驚いたのが中国人観光客の多さだが、ここはまだ知られてないっぽいぞ。

翌日はネイチャーナントカガイドさんに連れられて、初心者向けリバートレッキングなるものに参加してみた。

こういうジャングルみたいなところを沢伝いに歩き、こういうところに行ってきたのだが、
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人里からほんの少し入っただけで、ここまでの秘境感を味わえるとはさすが沖縄である。まるでジャングル。さて、そこで遭遇した昆虫がこれ。

●リュウキュウハグロトンボ
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沢に沿うようにひらひらと美しく舞う。その動きから蝶の一種かと思ったが、よく見たらトンボだった。そのへんのギャップがなんとも萌えポイント。

黒い羽根とメタリックグリーンに輝くビビッドなボディとのコントラストも、いかにも南国的である。

●ハンミョウ
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どこにでもいる虫だが、あらためてこうして見ると美しいものだなあ。仮面ライダー1号のデザインモチーフはバッタだそうだが、こいつはなんともサイボーグ的。

●リュウキュウキノボリトカゲ
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ハンミョウが去ったと思ったら、こいつが現れた。わ、かっこいい! コモドドラゴンの小さいやつだ。犬猫の場合は毛並というが、爬虫類の場合はウロコ並というのだろうか。

うん、ウロコ並が美しいな。もしかして、カナヘビより大きな天然モノ四足爬虫類に初めて会ったかも。

彼はモデルとしての意識が高く、カメラを向けている間は微動だにしなかったが、撮影を終えた瞬間脱兎のごとく、いや脱兎の3倍のスピードで密林の中へと消えていった。

●猫
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備瀬のフクギ並木近くの駐車場にて。この辺りの集落には古い木造家屋がまだまだたくさん残っており、昔ながらの風景に出会うことができる。こういう場所に猫はよく似合うのだ。

しかし、近隣に巨大ホテルがオープンし、周辺の環境も変わりつつある。USJができるのもこのあたりだという噂。

●犬
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備瀬の集落にて。風情を表現したかったのでこれだけモノクロです。首輪をしているから、おそらく飼犬なのだろう。塀の脇でじっとしている。しかし彼の視線の先には誰もいなかった。そういうことが沖縄ではわりと多い。

●ナントカガニ
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砂浜を歩いていると、砂と同じ色をした2センチくらいの物体が、さささーっと素早く動いた。カニである。名前は知らない。

それにしても、この迷彩ボディはたいしたものだ。近くに寄っても砂との区別がつかない。単に砂に似た色というわけでなく、半透明の外殻に濃淡のパターンを重ねているようにも見える。

誰がデザインしたんだろうか。スゲエ。敵から身を守るとはこういうことだと、オオゴマダラに教えてやりたい。

●ニセクロナマコ
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と思ったら、このニセクロナマコも白い砂の上で目立ちまくっている。ほとんど天敵がいないとのことなので、まあよしとしよう。

いつもなまーっとしている。砂(に付着した有機物)が大好物だそうで、おいしいものに囲まれてシアワセなんだろうな。

ちなみに砂を食べて、砂のウンコをする。こうすることで海がきれいになるのだ。水族館でさわらせてもらいました。やわらかくて、性格もよさそうだ。

飼いたいと思ったこともあるが、そうもいかない。せめてぬいぐるみでもと思ったが、おみやげコーナーにそれらしきものはなかった。残念。

というわけで、11月初旬に夏休みをとるという非常識なことをやってのけました。おかげさまで身も心もリフレッシュ!

年末に向けてがんばりつつも、あーまた沖縄行きたいなー。とぶつくさ言ってしまう齋藤浩でありました〜。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
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1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。