ところのほんとのところ[129]娘と一緒に高松の数寄物茶会と県知事表敬訪問
── 所 幸則 Tokoro Yukinori ──

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父の茶碗収集の影響もあって、お茶をたてて和菓子をいただくのは、子供の頃から家でよくある日常的な風景だった。和菓子は母が買ってきたものだったので、どこのものかは知らないけれど。

京都で老舗の手ぬぐいやさん・永楽屋14代目と行ったお寺で、たまたまお茶会があって、その場で和菓子屋さんが作った菓子を出されて、お茶と和菓子を楽しむという機会に恵まれた。さすが京都だなあと関心しきり。今回はそれ以来の経験をさせてもらった。

玉藻城(高松城)披雲閣(旧松平家高松別邸)にて、ライブ生花と一緒にお茶と作りたての和菓子を楽しんだ。高松城がなぜ天守閣を失ったままなのかについては、幕末の官軍に砲撃をしたため反撃されという話なども今更ながらに知り興味深かった。大西市長もいらしていて、天守閣の再建の難しさの理由の話をしてくださった。




再建してほしいなあ。コンクリートではなく当時のままで再建した姿が見たい。日本唯一の本格的海城だったそうで、軍船も直接城から出ていけたとか。かっこよさそうだなあ。

讃岐で焼かれた350年前の焼き物や、葵の紋の入った茶碗も見て触ってみた。これ欲しいなあ (^-^)/ 実は茶碗好きなんです。

それと、今回のために焼かれた瀬戸内海越しに見える屋島模様の茶碗なども素敵で、まさに数寄物茶会だった。会話もいろいろ楽しみながらで、とても有意義だった。

ずっと餡が最大級に嫌いで逃げていた娘の幸采が、一個全部食べたのも驚いた。本当に美味しく作れば苦手なんてないものなんだなあと、改めて実感した日になった。

今回、わりとまとまった高松滞在だと思ってたのだけど、午後晴れる日が少なくて、プライベートシリーズのお散歩ジャンプが撮れなくて残念な[ところ]です。

大西市長とのお茶会の翌日は、浜田香川県知事を表敬訪問することになっていて(こういう話ってどこかから回ってくるのね)、話が硬くならないか少し心配になり、娘も連れてっていいですか? って聞いてみたら、県庁側から「それはいいですね」と意外なお答え。娘は全然緊張することなくカルピス飲んでいた。

じっさい、県庁庁舎には思い入れがすごくあって。それで乗り気になったというのもある。子供のころ県庁のピロティでよく遊んでいたし、住んでいた瓦町二丁目の家の前が県庁通り(今は菊池寛通り)で、母の勤めていた簡易保険局が県庁の裏ということもあり、よく行っていた場所でもあった。

大人になってから、その居心地のいい庁舎が建築家・丹下健三の名作の一つだということを知った。驚いたのは、船の体育館と呼んで親しんでいた県立体育館も丹下作品だったということだ。

もう作家なので雑誌からの仕事は普通しないのだが、「casaブルータス」の日本のモダニズム建築特集で、香川県のモダニズム建築を撮って欲しいという依頼が来た時に、丹下健三の作品が二つ含まれていたから引き受けた。普通じゃ入れないとこまで入れたしね。

県知事も興味深く作品を見てくださって、アートとして香川を写真で残すプロジェクト、フォトラボKのこともよくご存じだったし、その修了生であるKラバーズの発表の場の相談もさせてもらえた。うまくいくといいな。

さて、11月20日に発売された「月刊カメラマン」で7Pの巻頭特集ぜひ見てくださいね。
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【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則  http://tokoroyukinori.seesaa.net/

所幸則公式サイト   http://tokoroyukinori.com/