[4037] 2015年、独立元年の振り返り

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《スター・ウォーズ ep7、いつ観に行けるんだろう?》

■挑んで死にたい、ダンボールアーティストとして[15]
 2015年、独立元年の振り返り
 いわい ともひさ

■グラフィック薄氷大魔王[458]
 「ミニマリスト=ポトラッチ?」他、小ネタ集
 吉井 宏

■羽化の作法[08]
 ラブホテルに絵を描く仕事が来た
 武 盾一郎




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■挑んで死にたい、ダンボールアーティストとして[15]
2015年、独立元年の振り返り

いわい ともひさ
https://bn.dgcr.com/archives/20151216140300.html

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●独立元年となった2015年

2014年12月末付で、10年間お世話になった会社を退職し、2015年は独立元年となりました。その2015年も残すところ僅かです。

歳を取ると時間の流れが速く感じられるのは、同じことの繰り返しが増えるためと聞いたことがあります。

その説によれば、子どもの頃は見聞きするもの何もかもが新鮮であるため、時間が長く感じられるのに対して、大人になると多くのことを経験しているため、時間の感じ方が幼いころよりも短いのだそうです。

大学を卒業してから20年以上、ずっと会社という組織に属していた私が、初めてフリーランスとして過ごした一年でした。

子どもの頃ほどではありませんが、新しいことを多く経験しました。少しぐらいは時間の流れがゆっくりになるかと思いましたが、まあ、そんなこともありませんでしたね(笑)

計画通りに進んだこと、思いがけない幸運、新しい出会い、物足りなさを感じたことなど、様々なことがありました。

決して、現状に甘んじるわけではありませんが、今年は総じてうまく物事が進められました。しかし、本当の勝負は来年、2016年です。

●2015年の10大ニュース

10大ニュースという形で2015年を振り返ってみました。

1位:鯖江うるしアワード2015 プロダクト部門最優秀賞受賞
http://iwaimotors.com/blog/2015/09/sabae_urushi_win/


クリエイター向けのウェブサイトで、「鯖江うるしアワード」のことを知って応募した結果、プロダクト部門最優秀賞という栄誉ある賞をいただけました。

コーヒー用のタンブラーをデザインして提案したのですが、受賞理由は見た目のデザインだけではないと考えています。

なぜ、タンブラーに行き着いたのか、どのような着想からデザインしたのかなどを詳しく書いていたので、それらも含めて総合的に評価していただけたのではないかと。

いずれにしても、アイデアとデザインがバッチリはまったと考えていたので、このような結果を残せてとても嬉しかったです。

なお、この件はこれで終わりではなく、来年クラウドファンディングで出資を募り、製品化される予定です。そのときはまた、デジクリでもお知らせします。

2位:Wemakeユーザー投票1位で最終選考対象に選出
http://iwaimotors.com/blog/2015/07/wemake_final/


鯖江うるしアワード以外では、Wemakeというサービスにおいて最終選考まで残ることができました。

メーカーに選ばれたアイデアは商品化されることになっていましたが、残念ながらその機会は逃しました。

とはいえ、ユーザー投票では1位を獲得することができ、自信につながりました。Wemakeは初めて挑戦したコンペだったので、上々の結果でした。

3位:「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の企画に協力
http://iwaimotors.com/blog/2015/08/downtown_gaki/


日本テレビから声がかかり、同局の人気お笑い番組、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の企画に協力しました。

番組で出演者がダンボールロボットを作って戦うという企画があり、様々な御縁があって私に声をかけていただくこととなりました。

番組終了時に流れるスタッフロールに名前も載せていただき、良い実績になりました。

4位:人気ブログ「ごりゅご.com」に寄稿
http://iwaimotors.com/blog/2015/03/goryugo_kikou/


人気ブログ「ごりゅご.com」に寄稿し、大きな反響がありました。他の人のブログに寄稿するのは初めてのことでしたが、ウェブ上で多くの人達に記事がシェアされ、いわゆる「バズった」状態になりました。

ブログの運営者である、ごりゅごさん(本名は五藤さん)とは、普段から親交があり、その御縁もあっての寄稿でした。

昨年、まだ、会社員だったときから寄稿する話はありましたが、タイミングを逸していました。その後、退職をした経緯や今後の抱負について書いたものを寄稿することになりました。

会社員時代にテレビ局やディズニーからお仕事をいただいたこと、40歳を過ぎて退職して独立することなど、無名の人間の話とはいえ、劇的な要素があって、面白かったのかなと考えています。

5位:ごりゅごブログ塾にて登壇
http://iwaimotors.com/blog/2015/04/blogjyuku20150411/


ごりゅご.com を運営している、ごりゅごさんが地元愛知県で不定期に開催しているブロガーのためのイベントが「ごりゅごブログ塾」です。

ブログの勉強のために、可能な限りこちらのイベントには参加していますが、登壇するのはこれが初めてでした。

東京や大阪からの参加者もいて、とても貴重な経験をさせてもらいました。ブログへの寄稿にイベントへの登壇と、ごりゅごさんには随分とお世話になった年でした。ありがとうございます。

6位:WordFes Nagoya 2015にて登壇
http://iwaimotors.com/blog/2015/09/bloghowto_wf2015/


名古屋で開催された「WordFes Nagoya 2015」というイベントで「ブロガー」という立場で登壇し、「自分メディアの育て方」という題して、ブログの活用法についてお話しました。

ブログを高い頻度で書いているという意味では「ブロガー」と言えるのですが、プロブロガーと言われる人達と比べると、影響力は本当に小さなものなので、ブロガーと呼ばれるのはなんだかこそばゆい感じです。

私に声がかかったのは、イベント運営者と前職のときに親しくなり、親交があったためです。これも御縁と考えて、お話をしました。

私自身としては、大きなイベントでお話をする機会をいただき、とてもありがたいことでした。

7位:デジタルクリエイターズで連載開始
http://iwaimotors.com/blog/2015/04/dgcr_start/


忘れちゃいけないデジタルクリエイターズでの連載開始!(笑)定期連載などという経験は生まれて初めてです。

二年以上、毎日ブログを書いてはいたものの、あくまでも個人ブログなので内容や文章量は自由。

一方で連載となれば、一定の文章量が必要ですし、言葉に間違いがあれば訂正されます。

ブログに書くときも意味が不確かな言葉は必ず辞書で調べたりはしていますが、問題なのは間違ったまま覚えているもの。

意味を取り違えているものに関しては「知っているつもり」になっているので辞書も引きません。ブログの読者が間違いに気付いたとしても教えてはくれません。

多くの人に発信する機会をいただきつつ、そのような間違いも直してもらえるデジクリにはとても感謝しています。

でも、できるだけ、直しが入らないように頑張ります(笑)

8位:等身大ダンボール・アイアンマンを制作・展示
http://iwaimotors.com/blog/2015/07/ironman43lifesize/


個人作品として等身大(2メートル)のアイアンマンをダンボールで制作し、The Foundry Summer Session 2015 in JAPAN の東京・名古屋会場で展示していただきました。機会をくださった関係者の皆様には心より感謝しています。

作品は、ロフトワークのウェブサイトで「Creation of the Week」にも選出され、オンラインとオフラインの両方で多くの人にご覧いただけました。
http://iwaimotors.com/blog/2015/09/ironman_cow/


私がこれまでに手がけた作品の中で最大のものになりました。多くの人にご覧いただくことができ、満足しています。

9位:MODO JAPAN GROUP にインタビューが掲載
http://iwaimotors.com/blog/2015/05/modojapan_interview/


愛用しているMODOという3DCGソフトの日本での総代理店となっているMODO JAPAN GROUPからクリエイターとしてインタビューしていただきました。

クリエイターとしては実力も実績もまだまだなので、このように取り上げていただくと恐縮してしまうのですが、少しずつ階段を登っていきたいと思います。

10位:ブロガーイベントで地道な活動の効果を感じられたこと
http://iwaimotors.com/blog/2015/12/amn_bounenkai2015/


東京で開催された「AMNブロガー大忘年会」というイベントで、初めてお会いした多くの人達が、私のことを知っていてくれました。

2013年からセルフブランディングのためにブログを開始し、ブログだけでなく、様々なイベントに参加することを通して、より多くの人達にダンボールアーティストとして認識してもらえるよう活動してきました。

ブログで見てくれていたり、声をかけられなかったけど同じイベントに参加していたりと、オンラインとオフライン、両方での行動の効果を感じることができ、とても嬉しく感じました。

他にも公にできないことも含めて、様々なことがありました。私のことを気にかけてくださる人達に感謝の気持ちでいっぱいです。

●2015年の助走を2016年は結果につなげます

2015年は「準備期間」と決め、情報収集、人脈作り、作品制作などに積極的に時間を使ってきました。

また、これから自らが生み出していく製品のデザイン、売り出し方、ブランディングなどについても考えてきました。

まだ、まとまっていない部分もありますが、とにかく走りながら考えて、形にしていきます。

2015年は準備することを優先しましたが、2016年は収益を得られる年にします。

ダンボール・アーティストとしての活動は引き続き行っていきますが、優先順位としては今年よりも下がることになりそうです。

来年もデジクリ読者の皆さんに良い結果をお伝えできるように頑張ります。

本年はありがとうございました。皆様、良いお年を!


【いわい ともひさ/ダンボールアーティスト】
Blog http://iwaimotors.com/blog/

Twitter https://twitter.com/iwai

Behance https://www.behance.net/iwai


今週の一言:今年は独立に至るまでの経緯を中心に書きましたが、来年からはまた違った切り口で書いていこうと思います。よろしくお願いします。


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■グラフィック薄氷大魔王[458]
「ミニマリスト=ポトラッチ?」他、小ネタ集

吉井 宏
https://bn.dgcr.com/archives/20151216140200.html

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●スター・ウォーズ ep7、いつ観に行けるんだろう?

来週には観に行った人の情報がSNSにあふれるだろうけど、もしストーリーの重要部分を知っちゃっても、本編を見始めたらすっかり忘れて観るタイプなので大丈夫w あんまり心配してない。「めちゃくちゃ期待した映画はつまらなく感じる」ってのもよくわかってるので、思い入れなしのまっさらな姿勢での鑑賞を心がけるつもり。

早く観たいのは山々なのだが、混んだ映画館が苦手なことはおいといても「このワクワクがあと半年も続く」って考えたら、ネット配信やBlu-rayを待ってから観るのもいいんじゃないか? とも思ってる。マジに。

まあ、1月後半までには観に行っちゃうだろうけど。そういえば、iPad ProとPencilも、発売後1か月以上たってもワクワクが継続してるな。入手できてないからw

……と思ってたら、あれえええ?? シネコンの予約状況を調べたら、ぜんぜん空いてるじゃん! 予約殺到でぜんぜん席がないって話じゃなかったっけ? 字幕2Dでいともあっさり予約できちゃったよ。やった! また観たくなったら3Dの吹き替え版かIMAXにしよう。

空いててよかった。僕的には「人生の一里塚」とか「人生の方向を決定づけた」的映画だけど、普通の人には「またうるさくキャンペーンやってるシリーズものSF映画のひとつ」でしかないのかもね。

SWの存在感がこれだけ大きくなったから錯覚してる人も多いかもしれないけど、ep4公開当時高校1年生、周囲にSWに夢中になってる同級生はほとんどいなかった。せいぜい数人程度。友達が多くなかったのかもしれないけどw

アレに似てるかも。「我々ビートルズ世代は」とか言っても、当時夢中になってたのはクラスにせいぜい数人で、ほとんどの人は橋幸夫を聴いていた、って話。……反感買いそう。

●SWのタイアップと広告上映

『「スター・ウォーズ」上映前に、日本アニメ「ワンピース」のルフィから、「スター・ウォーズ」に対する応援メッセージが上映』だそう。
https://t.co/WWvCrjscZY


僕の場合、SWの映画本編と中身を構成してるモノやヒトや事情には興味あったけど、それ以外はまったく興味がなかった。ep4の頃からそう。

フィギュアもプラモもライトセーバーのおもちゃも買ったことがない(先日、韓国の雑誌のSW特集の取材を受けたんだけど、「SWグッズを手にした写真」を撮ると言われて困ったw 結局当時のムック本で撮ったけど)。

同様に、サードパーティ?の派生映像にも興味なかった、というか嫌いだった。昔、松下電器などが高品質なタイアップ広告やってたりしたけど、どんなにうまく作っても「商売に利用されてる感」が出ちゃうし、本編以外にキャラクターが出てくるとガッカリする。

今回のep7でも無神経なタイアップが多くてウンザリしてるけど、「ルフィが応援」はいくらなんでも無神経すぎるんじゃない? (流れるのは一部の系列のみらしい)

対抗策……広告の上映が終わって本編が始まる時間をみんなで共有。席を予約している人全員、(事前に席の位置を確認の上で)本編上映開始直前に入場する。ってのはどう?

本編上映前の長すぎる広告や予告編が大嫌いな人は多いと思う。もちろん広告収入が重要なのは知ってる。だったら、広告なし料金として100〜200円くらいアップした料金を設定し、その人たちが本編上映前に入場する3分を設けたらいいんじゃない? 映画を観る時間を短くできるから、客が増えるかもよ。

思ったんだけど、巨額の権利料や広告費を使ってタイアップ広告出して反感を持たれるより、直接制作費に出資するほうが旨味が大きいんじゃない? 大ヒットしたらリターン大きいし、エンドクレジットにロゴが出るかもよw できるかどうか知らんけど。ルーカスが作ってたときは、全額自費だったからできなかったはず。

●プラモデルの値段

模型屋でプラモデルを見るなんて何十年もしてなかったんだけど、先日、材料を買いに行ったついでにチラチラっと「おー! ウォーターラインシリーズなんて今も売ってるんだな」とか見てた。

驚いたのが値段。駆逐艦なんて200円くらいじゃなかったっけ? それが1000円以上するんだよ。空母や戦艦になると3000円超える。1/35の戦車とか5000円!高級品じゃん! 1/72の小さい飛行機は安いのは100円くらいだったけど、1000円以上するし。1/32の飛行機は当時も滅多に買えないくらい高かったけど、それでも2000円くらいだったと記憶してるけど、今はなんと1万円超えてるw

プラモ屋に入り浸ってた1974年〜1978年くらいの感覚からすると、5〜10倍くらいの値段。小中学生の買うものじゃなくなってる。普通の物価上昇率よりぜんぜん値上がりしてるよね?

じゃあ、昔あこがれたニチモの巨大プラモ、1/200の戦艦大和を検索してみると、3万円くらい。あれ? 当時15000円くらいしてたと思うけど、それほど高くないのね。

高いのは当時のままでなくて金型を新しくしてるものもあるらしい。「艦これ」は需要掘り起こしただろうな〜w

●ミニマリスト=ポトラッチ?

先日のTVタックルはYouTubeで見れたし、ミニマリスト氏の著書も読んだ。その後、また極端なミニマリストがテレビで紹介されたらしい。部屋がまったくの空っぽで、生活道具も子供のオモチャさえもない生活w う〜むむ。たけしやいろんな人がああ言うのもわかる。何事もほどほどに。

っていうか、始めてたった一年半なのにミニマリストを名乗って本まで書いてるのに違和感。そりゃ何年やったらベテランとかないだろうけど、僕だって本の処分を始めてからでも7〜8年たってるんだぞ。っていう感じで、妙に競い合ってしまう気分がミニマリスト的なものには含まれてるらしい。

それで思い出した。昔読んだ、かんべむさし「ポトラッチ戦史」。
http://www.papy.co.jp/act/books/1-409/


ポトラッチとは、自分がいかに豊かか誇示するための贈り物競争がエスカレートし、高価なものや大切なものを破壊して見せるようになった、アメリカインディアンの祝祭の風習だそうで。

自分がどれだけミニマリストなのか誇示するために、どんなに大切なものも涼しい顔をして「いらないもんね」と捨てて見せるという……w

そんなに流行ってるかどうか知らないけど、気分はわかる。モノ減らしとか断捨離とかブームでも、現実にはたいしてモノ減らしできない。だからそのへん超越したミニマリストへの空想的あこがれなんだろうなあ。

●総合芸術としてのCG

「Marvelous Deigner 5 Showreel - 型紙ベースで作成出来る衣服専用モデリング・シミュレーションソフトの最新ショーリール」
http://3dnchu.com/archives/marvelousdeigner5-showreel/


CGのキャラクターが着る衣服を型紙から作れるソフトなんだけど、少なくともデザイン画を見てパターンを引けるくらいの、服飾の技能がなきゃ使えないよね。同様に、キャラクターを踊らせるにはダンスを知らなくちゃいけないし、格闘させたければ格闘の知識が必要。そもそもキャラクターを動かすには演技のスキルが必要。

CGで何をするにしても、専門分野を学ぶかそれぞれの専門家のアドバイスが必要。CGは総合芸術なんだなあ。個人で全部やろうったって無理。純粋に「CGソフトを自由自在に使えるスキル」だけあっても、アプリが載ってないOSみたいなもんだ。

●ロボットに仕事を奪われる?

ロボットに仕事を奪われ始める→奪われ尽くされる、の途中過程では、失業してたいへんになる人続出なのは当然なんだけど……。行き着く先、ほとんどの仕事(価値の創造)をロボットがやってくれれば、全人類は遊んで暮らせる、んじゃないの?

ロボットが誰の所有かにもよるだろうけど。仮に、社会主義的に国有ロボットが奴隷や労働者階級的な準国民になるとしたら、人間のためにロボットが働いてくれるってことにならないのかな? 一家に一台の唯一の働き手として高性能労働ロボットを買うのは、家を買うみたいな負担になりそうな気もするけど。

●不評のバッテリー付きケース

Apple製の純正アクセサリなのにダサすぎるってことで、ボロクソに叩かれてるバッテリー内蔵ケース。
http://apple.co/1J6OVSa


そんなに叩かれるようなデザインかなあ? バッテリー部分がボコッと出っぱってるのは「予備のバッテリーがここにあります」って記号になってるから、僕には「頼もしさアップ」に見えちゃう。

昔、CD/MDウォークマンか何かで、似たような出っぱったバッテリー増設パーツみたいのがあって、カッコイイと思ったせいかも。

しかし、容量の小さなバッテリーを載せなきゃならないほど、スマホを薄く作る意味などないと思ってる。今のほとんどのスマホは薄すぎて持ちにくい。華奢で気を使うから道具としてガンガン使えない。

特に、写真を撮る時はある程度の厚みがなくちゃ落っことしそう。厚さ1.5cmくらいにしたらでっかいバッテリーが入るから、一週間くらいもつぞ?


【吉井 宏/イラストレーター】
H  http://www.yoshii.com

Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/


MAKERSリンク展、終了しました。お越し戴いた方、ありがとうございました。数個ですが売れました。9月末に原型データを作り始めて、11月頭から制作本格開始〜一週間前までかかった立体制作はいちおう終了。本業のスケジュールがメチャメチャ。

これから相当仕事に集中しないとヤバい。一年に一回くらいは立体制作やりたいと思っても、やっぱ一年に一回が限界だねえ。……しばらくは立体作りたくなるのをガマンしないと。

・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500


・rinkakの3Dプリント作品ショップ
https://www.rinkak.com/jp/shop/hiroshiyoshii


・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii


・ハイウェイ島の大冒険
http://kids.e-nexco.co.jp


・App Store「REAL STEELPAN」
https://itunes.apple.com/jp/app/real-steelpan/id398902899?mt=8



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■羽化の作法[08]
ラブホテルに絵を描く仕事が来た

武 盾一郎
https://bn.dgcr.com/archives/20151216140100.html

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1995年9月の末か10月の最初のことだったと思う。「君たちおもしろいねえ!」といった調子でいきなり声をかけられた。

振り返ると、30歳代の男性が立っていた。小柄だけどガタイがよくて、パンチパーマがしっかりキマっていた。光沢のある高そうなシャツ、小脇にはブランドものの小さなセカンドバッグを抱えている。どう見ても夜の商売かやくざさんに見えた。

彼は僕たちの絵についてをいくつか質問すると、夜の雑踏に消えていった。ここは新宿、夜になると「その世界の人たち」は街には沢山いるだろう。だけど、そういう雰囲気の人たちから話しかけられたことはなかったので驚いた。

数日後、またその小柄な男の人がやってきた。しばらく話をしていると、どうやらその人たちが経営しているラブホテルに絵を描いてくれないか、という内容だった。

平静を装いながらも頭の中では「ラブホテルの会社? 新宿で? これはもしや、やくざさん……?」と巡っていた。差し出された名刺には「有限会社○○○○○」と書かれてあった。可愛らしい会社名が裏の業界っぽさを醸し出していた。

ここはひとつ勇気を出して僕が「ジムショ」に出向くしかない。ここは僕がカッコつけなければならない。ヤマネとタケヲの二人に「ま、まず、ボ、ボクがジムショに行って話しをつけてくるよ、よ」と精一杯兄貴ぶった。

内心はかなりビビっていたけど、同時にとても嬉しかった。自分たちの制作が
初めて「仕事」に結びつく。しかも描きはじめてからわずか一か月。こんな反響はまったく期待していなかった。

後日、僕はひとりで名刺にある住所を訪ねた。江戸川橋駅の近くのマンションにそのジムショはあった。ピンポン鳴らしてドアを開けると、女性の事務らしき人がでてきた。

そこは従業員の事務所らしく、「社長はとなりの部屋です」と教えられ、案内された。事務所がふたつもあるのか! と驚き「う、あ、はい…」と、曖昧な返答をし、マンションの隣の部屋のドアを開けてもらった。

ドアを開けると、玄関左には立派な陶磁器の鉢に植えられた南の方に生えてそうな観葉植物があり、その向こうには南洋諸島のどこかの王室にありそうな感じのパーテーションが立っていた。

しばらくすると奥から、肩までかかるロングヘアーで白髪の、高級そうな背広を着た、背は低いけどやたらガタイのいい初老の男性がやってきた。「ああ、これはプロだ」と僕は思い、肚をくくった。

そこは飲み屋やスナックなどの水商売と、ラブホテルをいくつか経営している会社だった、いわゆる「暴力団」ではなさそうだった。いろいろあるんだなあと思った。

ともかく、ラブホテルに絵を描く仕事は引き受けることにした。帰りに「お車代」と筆で書かれた封筒を渡された。中身を見ると5000円入っていた。訪ねて行っただけでお金を渡すなんて、やっぱり少し恐い世界なのかも知れないと思った。

最初に声をかけてくれた小柄な男性は「□□」と名乗っていた。ラブホテルに絵を描きはじめるまでの間、□□さんに会社が経営している呑み屋に何度か連れていってもらった。いわしの専門店だ。

なぜいわしなのかよく分からなかったが、飲み放題、食べ放題で僕らは狂喜乱舞した。○○○○○が経営する居酒屋を出ると、□□さん行きつけの新宿二丁目のゲイバーにも連れていってくれた。

「女の子の店に行っても結局、気を使うでしょ。もう今はゲイバーしか行かないんだよね」と□□さんは嬉しそうに話してくれた。

ヤマネはゲイバーが初めてだった。僕は昔、何度か誰かに連れてってもらったことがあった。バーのママがちょっとオッサンっぽくなってるくらいの感じで、取り立てて変わったバーではなかったが、ゲイバーとはおおよそそういうものらしかった。

僕らが連れて行って貰ったゲイバーは「◇◇◇」という名前だった。実際、男女の見分けがつかないような綺麗なニューハーフというよりも、れっきとした「オカマさん」という感じのママさんたちが働いていて、みな服がひらひらと綺麗だった。

なんとなく「◇◇◇」という店の名前に納得した。店内はテーブル席が三つくらいだったのだろうか、それとカウンター席。暗くて遠くはよく見えない感じだったけど、壁やテーブルに光沢があって黒くてキラキラのボンテージな雰囲気だった。

店に入るとヤマネはともかくモテモテだった。餌に群がる色とりどりの金魚のように、ヤマネの周りにはママさんたちが集まってくる。ヤマネは抱きつかれたり股間をまさぐられたりして、ママさんたちに終始弄ばれていた。ゲイバー初体験のインパクトが僕よりも明らかに高そうで、すごく羨ましかった。

テーブル席からふと見やると、カウンター席の端っこの暗がりで□□さんがママさんとキスをしていた。ともかく、僕らはラブホテルに絵を描く仕事を引き受けることになったのだ。(つづく)


【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/アーティスト歴20周年】

アーティスト歴20周年の2015年も最後のデジクリテキストとなりました。アーティスト歴20年ようやくぼちぼち作品も売れていくようになりました。どうも有り難うございます! これからもよろしくお願いします!

[トンドの夢想家達展 vol.3]
2015年最後の展示は残り二日間です! ぜひお立ち寄りください!
12/18(金)・19(土)13:00〜19:00(最終日は18:00閉廊)
ギャラリー オル・テール
http://d.hatena.ne.jp/Take_J/20151203/1449140324


[One Wall One Art Project 〜produced by TeamUttoco〜]
岩槻の食堂カフェ・ラパンで来年1〜2月展示します
https://www.facebook.com/cafelapinyuko/

https://www.facebook.com/junichiro.take/posts/1078096585568561



facebookページ http://www.facebook.com/junichiro.take

Twitter http://twitter.com/Take_J

take.junichiro@gmail.com


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編集後記(12/16)

●曽野綾子「人は怖くて嘘をつく」を読んだ(産経新聞社、2015)。この人の歯切れのよい文章を読むと、よくぞ言ってくださったといつも思う。いわゆる文化人と違って、若いころから政治的な活動を一切しない本物の文化人である。理想を語る日本人が知らない貧困世界の現実を、身をもって体験している人だ。この本から教わることは多いが、激しく同感! なのは「増える大型の自然災害、自助の備えが必要」という一文。最近は自然災害が増えたような気もするが、テレビで報道される避難所の様子をみると、妙な違和感を覚える。天気予報を根拠に避難所に集まった人たちの、底抜けの行政依存が異様なのだ。

彼らはほとんどお客さまである。避難所で毛布や水や弁当らしきものが渡されている。被災して着の身着のままというのならわかるが、余裕を持って避難してきた人が、たぶん何の疑問もなく行政のサービスを受ける。当然の権利といわんがばかりに見える。「避難するとき、人はめいめいで、二日か三日分の水と食料、簡単な寝具と使い捨てカイロ、懐中電灯、着替えなどを持って行くべきなのだ。誰かがそういうものを用意してくれるだろうという依頼心ほど困ったものはない」。それさえもできない老人や認知症の人のためには、周囲の誰かが必ずその人の分を用意していくか、皆が少しずつわけてやればいい。

やることがいくらでもある自治体の役人は、弁当の手配などする必要はない。「住民は寒さに震えながら身を寄せ合い、耐えがたい不安の中で避難所の夜をすごしてこそ、人生がわかるのだ」というのは理解できる。だが、ほとんど手ぶらの避難「客」は、人生より行政サービス(公助)を受けるほうが重要らしい。自然災害は「自助」と「共助」と「公助」が互いに補完しあうことで被害を最小限に抑えることができる。「自助」できない人ほど厄介な存在はない。災害時にありもしない権利を声高に叫んだりする。「被災者とは、飲み水も食べ物もなく、寒さに震えながら一夜を明かすのが国際的水準なのだ」

わがマンションは市内のマンションで初めて「震災対応マニュアル」を作って配布したが、悪い予想はあたり、各戸の飲料水や食料の備蓄、家具の固定、携帯トイレの準備が進んでいない。アンケートをとって分かった(その回収率も低かったが)。高層階の住民のために理事会は水の備蓄をしてあるのか、なんて図々しいことを書く人もいる。「自助」できそうにない人がゾロゾロ。首都圏直下型大地震が来たら住民も行政もオール被災者、行政のサービスなんかあてにならない。災害時の特徴は、あるべきものがすべてなくなることである。「震災対応マニュアル」の二度目の更新が迫っている。憂鬱だ……。(柴田)

曽野綾子「人は怖くて嘘をつく」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594073255/dgcrcom-22/



●遅刻しがちな人はジャストタイム、または30分以上前に到着することを考えると昨日書いた。以前の私はこれ。いや今もその傾向はあるけれど、ましになった。

のほほんと生きている。「何のトラブルもない」という前提、思い込みがある。日本の鉄道やら仕組みがしっかりしているから甘えちゃってるんだよね。前提そのものが間違っている。

それなのに凡ミスしたり。9時の電車に乗るはずが、なぜか9時に家を出ればいいと思い込んでしまったことがある。

ぼーっとしていて反対行きの電車に乗ったこともある。普段なら北向きなのに、その日は南向きだった。降車予定駅の一つ前、昔使っていた駅で降りてしまったり。無意識はこわい。続く。 (hammer.mule)