[4044] デジタルペイント4.0〈Apple Pencilレビュー〉

投稿:  著者:  読了時間:31分(本文:約15,000文字)



《SWは人生。》

■ユーレカの日々[48]
 デジタルペイント4.0 〈Apple Pencilレビュー〉
 まつむらまきお

■グラフィック薄氷大魔王[459]
 「フォースの覚醒、観た」「iPad Pro入手」他、小ネタ集
 吉井 宏

■イベント情報
 「ODCC 設立10周年記念イベント」





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ユーレカの日々[48]
デジタルペイント4.0 〈Apple Pencilレビュー〉

まつむらまきお
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160113140300.html
───────────────────────────────────

iPad ProとApple Pencilが発表されたのが昨年の9月9日。デジタルで絵を描く人なら、興味を持つなという方が無理な製品だ。

発表された時「よっしゃ、試用してみて問題なければ買うぞ!」と思ったのに、11月の発売日が来てみるとまさかのPencilが超品薄状態。デモ機すらアップルストアにしかないということで、しょうがないからPencilだけ先行してオーダーして、年末にようやく購入できた。

ところが今度は年末商戦だったからか、iPad Proの方も品薄で、またまたしばらく待たされ、年明けにようやく、iPad ProとApple Pencilが揃った。

能書きは後回しにして、先に結果から述べよう。まだ一週間も使っていない状態だが、iPad Pro + Apple Pencilは予想を大きく上回る、極上のソリューションだった。

●文句なしの描写性能

まず、描画のフィーリング。詳しいスペックなどは公開されていないが、反応速度、感度とも申し分ない。ワコムのCintiqと比べても、iPad Pro + Apple Pencilに軍配があがる、と言ってもいい程だ。

それは、ペンの性能というよりも、ガラスの表面とディスプレイの表面の距離感の問題が大きい。

Cintiqは現行モデルの最小の13インチと最大の27インチを以前、試用したことがあるが、どちらもガラス面と画面との距離感が明確に存在する。

ペンで書いているというより、ペン先でポインタを操る感じがどうしても払拭できない、これに対しiPad Proは、ほとんど距離を感じないほど近接している。

さらに描写ポイントとペン先のずれがない。Cintiqでは、先に述べた画面と描写面との距離があり、場所によって視差が生じる。画面とペンのいち合わせを調整するのだが、画面の位置によってどうしてもずれてしまう。

ワコムのシステムを搭載しているSurfacePro2では、ガラスの距離感はほとんど感じられず、ディスプレイの高密度とあいまって、素晴らしい描写感覚が得られる。

しかし、そのSurfaceでも、Cintiqと同様、位置によってペン先とポインタがずれてしまうのだ。慣れてしまえばペン先ではなくポインタを凝視するので、描写が苦というほどではないのだが、不自然であることに変わりはない。

それに対し、ApplePencilでは、そういったズレが感じられない。ペン先を置いた場所でしっかりと描写される。ポインタがないiOSにとって、これはとても重要なことだ。

かなり細い線で描写してみたが、気持よく線の先端が決まる。iPadの電磁式スタイラスでよく言われる、線のビビリ現象も試した限りでは確認できなかった。

第三にペンの傾き。Intuos、Cintiqでも、ペンの傾きを検知し、Photoshopなど対応アプリではそれを描写に反映できる。ところが、ペンのデザイン上、ペンを傾けられるのがせいぜい45度程度。

これに対し、ApplePencilは20度程度まで傾けることができる。鉛筆デッサンで、鉛筆を寝かせて広い面積を塗るという技法があるのだが、それと同様にスタイラスを寝かせて描くことがごく自然にできてしまう(対応しているかどうかはアプリによる)。筆圧をかけなくても自然に広い面積を塗れるので、とても使いやすい。Cintiqに慣れている人でも新鮮なんじゃないかと思う。

第四に発熱。Cintiqでは盤面の熱が気になる場合があるのだが、iPad ProはゲームなどCPUを使うアプリではかなり熱くなるが、お絵かきアプリではほとんど気にならない。もっとも、この冬の時期での感想なので、夏になったら投げ出したくなっているかもしれないが……。

ということで、基本性能は申し分がない。

●iPadがMacの液タブに? Astropadがすごい

iPadには、すでに魅力的な描画アプリが数多くある(後述)。しかし、所詮はiOS。仕事で必須のPhotoshopもIllustratorも走らない。Flashもないし、CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)もない。

iPad3を4年ほど使い、仕事のラフなども多くこなしてきたが、フィニッシュワークに使うまで至らなかったのは、僕の絵のスタイルにあったアプリがiOSでは提供されていないからだ。

ところが、一年ほど前にAstropadというアプリがリリースされた。これを使うと、iPadがMac用の液晶タブレットになってしまうというのだ(Windowsは非対応)。

Wi-Fiもしくはケーブルで繋がったMacとiPadの双方でアプリを走らせることで、画像とペン入力を双方でやりとりするというシロモノなのだが、当初、そんなものが実用になるとは思っていなかった。

今回、ああそういうのもあったなぁと思い、購入してみたところ、これが想像をはるかに上回るシロモノだったのだ。

iPad Proが届く前に、まずはiPad3にJotTouch4という、けっこうレトロな環境で使ってみた。ところがこの環境でも、予想に反して実用になったのだ。

一体、どういう仕組みなのだろうか、iPad側での筆圧がきっちり、Macのアプリに伝わる。Photoshop、Flash、クリップスタジオ、ArtRage、どれもこれといったタイムラグも生じず、サクサクと描ける。

サクサク、と言ったが、描写が書き変わるのに一瞬、その部分が低解像度になり、その後、通常の表示になる。このリライトがちょっと気になるが、かなり早いタッチでブラシをすべらせても、描写が追いつかない、ということはない。十分、実用に耐えるのだ。

iPad Proの画素数は2,732×2,048、ぼくが仕事で使っている古いiMac27インチは2,560×1,440だから、フルスクリーンをピクセルできっちり表示できてしまう。ちなみにワコムのCintiqは、27が2,560×1,440、24が1,920×1,200、それ以外のモデルは1,920×1,080。画素数だけならなんとiPad Proの方が上だ。

もちろん、12.9インチにそんだけ表示したところで、文字など細かすぎて判読できない。しかしAstropadでは、画面のマッピング、つまり拡大率や位置を画面タッチで素早く変更できる機能がある。なのですばやく画面を拡大し、細かい部分を描写できるのだ。よく考えられているなぁと感心する。

Photoshopなどでは、ピンチズームというタッチ操作も可能だ。ぼくが愛用しているFlashでは、残念ながらタッチ操作はうまく働いてくれないのだが、自分で設定できるファンクションボタンがあるので、ある程度は操作性を補うことができる。

Cintiqと比較して、アドバンテージを感じるのは接続だ。Cintiqはかなり太い特殊なケーブルを使って、MacやPCと接続するので取り回しが困難。

それに対しiPadは細いライトニングケーブル一本、もしくはWi-Fi接続だ。Wi-Fiだと画面のリロードのタイムラグが気になるので、実用上はケーブルだが、線が細いので取り回しがとても楽。膝の上で気軽に使える。

しばらく使ってみて、ちょっと不便と思ったのは、ポインタの移動。Cintiqではペンを浮かした状態でもポインタが動いてくれるが、Pencilは0.5mm程度以上浮かすと反応が切れる。

ブラシで絵を描いている時は何の問題もないのだが、バケツツールで色を塗ったり、パスをコントロールしようとすると、ポインタが動かないのでどうもやりにくい。

Astropadは2,400円。たった2,400円でiPadが実用になる液タブになっちゃうのだから、これはもう、キラーアプリといっていいんじゃないだろうか。iPhoneでお試しできる無料のAstropad miniもある。

https://itunes.apple.com/jp/app/astropad-graphics-tablet/id934510730?mt=8

●パームリジェクション

画面でタッチができ、ペンでも入力ができるとなると、ペンで描きたいのに手を画面につけてしまって、そこに描写されちゃう問題というのが出てくる。

CintiqやIntuosでは、ペンが画面から離れていても反応するのを利用して、ペンが近い時にはタッチ機能がオフになるようになっているし、タッチ機能とペン入力は明確に分けられている(タッチ機能で描写はできない)。

これに対し、iPad+Pencilは近接の感知ができない。そこでタッチしているのが広い面積なら、それは手のひら、面積が小さいならブラシ、という判断をするなど、各アプリが試行錯誤している状態。まだアプリごとでマチマチだが、純正Pencilの登場で、今後、こなれていくんじゃないかと思う。

●Pencilをカスタマイズ

さて、ここからは細かいマニアックな部分を見ていく。

まずPencil本体。凹凸もない、シンプルなデザインで、まさに鉛筆っぽい。手元の色鉛筆とサイズを比較してみたところ、色鉛筆は直径が7.5mm、ApplePencilは8mmだった。

気になるのはまず長さ。鉛筆と同じ175mmなのだが、鉛筆と比べて重いため、長さが気になる(尻が振れる感じがする)。

この長さは、ペンを寝かせて描く時や、油彩の筆のように持って描くときには重宝するが、普段使いにはちょっと長く、ポケットにも収まりが悪い。

Intuosペンで15cm、一般的なボールペンは14cmということで、もうちょっと短くてもよかった。

長時間Pencilを使っていると、表面が滑りやすいことに気がつく。完全な円形でつるつるなので、つい、指に力が入ってしまうのだ。特に汗をかく夏場はきつそうだ。

そういえば昔、ワコムのアートPAD(Intuosの先祖)のペンは、今のIntuosペンのような人間工学デザインでもなく、ゴムのグリップもついておらず、シンプルな鉛筆状だったのだが、ペンだこ出来てしまい、ペンを握るのが苦痛になったものだ。

その時、愛用していたのが「ソフトグリップ(ナカトシ産業)」という製品。発泡ゴムでできた、鉛筆用のグリップで、それの買い置きを探しだして付けてみたところ、ぴったりだった。この製品、今でもAmazonや東急ハンズで購入できる。

http://www.amazon.co.jp/dp/B005LAE0O6/ref=cm_sw_r_tw_dp_MyPKwb03SZCQD

Pencilはシンプルな形状なので、こういった鉛筆用グリップ以外にも、クリップなどをつけるなど、色々カスタマイズができそうだ。

不満は電源だ。なんせ、ワコムのペンで慣れているので、いきなり「電池が残りが少ないです」とメッセージが出たのには面食らった。

Pencilには充電用にメス/メスのライトニングコネクタ・アダプタが付属しているのだが、これ、小さくてツルツルしていて、ストラップホールもない。絶対なくす。なくす自信がありすぎ。

それから、Pencilのお尻、ライトニングコネクタ部分にはカバーがついているのだが、これも小さくてスベスベ。なくす。絶対なくす。外で充電なんかできないぞ。

また、iPad Proは充電に時間がかかる。フル充電だと6〜7時間。なので寝ている時に充電することになるのだが、そうすると、別の充電器、ケーブルを用意しないとPencilに充電できない。

さらに、充電中はPencilを使うことができない。一切反応しなくなるのだ。うーむ。いっそ、メス/メスアダプタをPencilにつけっぱなしにする、という手もあるのだが、それもますます、外出時になくしそう。

電池切れの場合は、15秒の充電で30分使えるとはいえ、フル充電するのがえらく煩雑だ。ネットで見てみると、サードパーティがペン立てタイプの充電スタンドを販売している。

http://www.moxiware.com/collections/apple-pencil-accessories/products/apple-pencil-dock

市販のケーブルとアダプタを使って、自作もできそうだ。

●盤面カスタマイズ

iPadの表面はノングレア処理がなされているが、Pencilを使っている限り、アイススケート並によく滑る。カラーの絵を描くのにはよいのだが、摩擦がないと線画や文字を書くのはちょっと疲れる。

また、ペン先が硬質なのでコツコツと音がするのだが、これがけっこうイライラする。図書館での使用ははばかられる感じ。

ためしに、マット加工されたクリアファイルを貼り付けてみたところ、いい感じですべり止めになった(画面がちょっと曇るけど、線画ならあまり問題ない)。持ち歩かないデスクワーク用ならこれでも実用になる感じ。

市販のフィルムも色々出ているようだが、ペン先の摩耗がはげしいとか、描画に影響が出るというレビューもあり、しばし検証が必要。Pencilのペン先は交換可能なので、滑らないペン先が純正で出てくれるのが一番。どこかサードパーティが出してくれないかな。

●Pencil対応のアプリたち

PencilはiOSレベルで対応しているので、どんなアプリであってもスタイラスとしてはストレスなく使えるが、筆圧や傾きとなると、アプリが対応している必要がある。

また、筆圧の調整などはOS側ではまったく設定できず、アプリが対応しているかどうかによる。ここではいくつか、Pencil対応のオススメのアプリを紹介してみる。

・メモ

iOS標準のメモ帳。以前はシンプルにテキストしか扱えなかったが、Pencil登場にあわせて、手書きメモが可能となった。

マーカー、鉛筆などが使えるのだが、この鉛筆が超リアル。普通に鉛筆デッサンできちゃう。El Capitan以降のMacのメモ帳と勝手にシンクロしてくれるのも楽。iPad Proの巨大な画面であれば、マンガの見開きネームも可能な快適さ。

ただ、複数の手書きメモを切り替えるのに、一旦、上の階層に上がらなくてはいけないのが煩雑。また、選択、移動といった編集が一切できないのがツライ。

・Adobe Illustrator draw

前回さんざん悪口を書いたが、Pencilのおかげで、細かいところまでストレスなく筆を入れられるようになった。もうちょっと編集の自由度があればありがたいのだが。

ApplePencilでは筆圧に対応してくれ、細いペン先で描写の精度も高まった感じだ。IllustratorやPhotoshopにサクっとイメージを送信できるのもいい。次期FlashであるAdobe Animateに直接イメージを送信できれば、ぼくはもう大満足だ。

https://itunes.apple.com/jp/app/adobe-illustrator-draw-reiyawo/id911156590?mt=8

・Procreate

数あるペイント系ソフトの中で、最も気に入っているのがこれ。シンプルかつ高機能で、とても使いやすい。

Pencil対応も完璧で、ブラシ毎で筆圧、傾きを太さや透明度、アプリレベルで筆圧曲線まで細かく調整できる。パームリジェクションは手のひら検知はしてくれるが、不用意な指のタッチでは描写されてしまうのが残念。

https://itunes.apple.com/jp/app/procreate/id425073498?mt=8

・Paper - 53

Jot Touchに対応していなかったので使っていなかったのだが、Pencilには対応。もともと、水彩などの美しさに定評があったが、Pencilで描いてみるととても気持ちがいい。ページ構成なので、マンガのネームにもよさそう。今後積極的に使ってみたい。

https://itunes.apple.com/jp/app/paper-fiftythree-notekisuto/id506003812?mt=8

・MediBangPaint

今回、Pencil対応アプリを色々見ていて、一番衝撃を受けたダークホースがこのマンガ作成アプリである。もともと、フリーのマンガ作成ソフトとしてパソコン用に登場、以前はクラウドアルパカと言ってたもののiPad版だ(Android版もある)。

マンガのパソコン用作成ソフトは、セルシスのCLIP STUDIO PAINT(クリスタ)がシェアを握っている。文化の違いからか、国外のアプリではモノクロペン画に配慮したものがないのだ。

そこに無料で打って出たのが、アルパカだった。フリーだし、聞いたことないメーカーだしで、あまりマークしていなかったのだが、みくびってました、ごめんなさい。

これ、普通にマンガの原稿書ける。ペン画がサクサク書ける。クリスタで作画しているのと、感触的には全く遜色がない。カラーイラスト用のブラシも、かなりいい感じだ。

クリスタのようなベクターペンや、ページ管理機能などハイエンド向けの機能はまだないけど、必要十分な機能が揃っている感じ。トーンや素材もすごい量が無料で提供されている。これで無料というのはちょっと驚くレベルだ。

このメディバンという会社、どういう会社だと思って調べてみたら、GMOクリック証券の創業者で現会長さんが立ち上げた会社らしい。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1501/16/news084.html

セルシスからしてみれば、とんでもないライバルが登場した感じだろうか。これに刺激され、セルシスからもiPad版クリスタが出ればいいなぁ。10年、いや3年後にはマンガもタブレットで描くのが普通になってるんじゃないかな。

https://itunes.apple.com/jp/app/medibanpeinto-wu-liao-man/id1003588804?mt=8

●コストパフォーマンス

iPad Pro(128GBモデル)とPencilまでまとめて、154,248円(税込み)になる。タブレット端末としては相当高価な部類だが、Cintiq13HD touchは149,040円で、WindowsやAndroid OSを搭載したCintiq companionなら20万以上になる。そう考えると、けして高くはない。

またiOS端末の魅力の一つに、アプリが安価というのがある。先に紹介したアプリで最も高価なAstropadで2,400円、Procreateが720円、それ以外は無料なのだから、トータルで考えれば相当コストパフォーマンスが高い。

●デジタル作画4.0か

今回、いろんなアプリを試しながら改めて感じたのは、クラウドのレベルが上がった感じ。Mac、iPhone、iPad Proがシームレスで連携している感じが、かなりいいところまで来ている。とはいえ、ほとんどが一方通行。異なるプラットフォーム、アプリ間で自在に編集できるところまでは行ってない。

これはファイルフォーマットの問題だろう。これまでもPNGやらSVGやらというオープンなフォーマットが提唱されてきたが、結局はPSDなどスタンダードなフォーマットには勝てず、ファイル互換も進んでいない感じがする。クラウド&マルチデバイスをきっかけに、ファイル互換がもっと進めばいいなぁと思う。

Astropadも、これが遠隔地でワイヤレスで使えるようになれば、それこそ革命的だ。どこに居ようが、iPad Proがあれば自宅のMac環境を持ち歩くことができるのだ。技術的にはなんら問題はなさそうなので、早々に実現しそうな気がする。

おそらく今年出るiPhone7や新型iPadは順次、Pencilに対応していくのではないだろうか。と同時に普段メモなどに使える、短めのPencilや、筆圧非対応の廉価版などもあるかもしれない。逆に、iPhone6sに搭載された3DタッチはiPad Proには搭載されていない。いずれ、このふたつの技術は統合されていくような気がする。

デジタル作画は、MacPaintを1.0とすれば、タブレットやPhotoshopが登場した時代が2.0。タブレットによるワイヤレススタンドアロンが3.0で、大型高詳細&クラウド連携が4.0といったところか。

まさにこのデジタル作画4.0が結実してきた観がある。液タブでないペンタブレットが過去のものになる予感がヒシヒシとする。

いやはや、面白いことになってきた。2016年はいい年になりそうだ。


【まつむら まきお/まんが家、イラストレーター・成安造形大学准教授】
twitter:http://www.twitter.com/makio_matsumura
http://www.makion.net/ > < mailto:makio@makion.net

SW ep7、予想をはるかに下回る出来でがっかり。物語も絵も退屈。あれが面白いというなら、マッドマックスやキングスマンは興奮しすぎて死んでしまうじゃないか。いずれ機会を見て語りたいと思う。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■グラフィック薄氷大魔王[459]
「フォースの覚醒、観た」「iPad Pro入手」他、小ネタ集

吉井 宏
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160113140200.html
───────────────────────────────────

●「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」観た(ネタバレなし)

12月18日の初日に観た。SW EP4で人生の方向が決まったほど影響を受けたファンの一人としては、大満足。非の打ち所のない大傑作とまでは思わないし、ちょっと旧作ファンへのサービス過剰ではあるものの、期待以上に隅から隅までちゃんとスター・ウォーズだった! さすがJ・J・エイブラムス、うまいこといくつも謎を残して次作に引っぱるねえ。感服した。

ライムスター宇多丸氏のEP7評を聴いちゃったので、「そうだ、それ! それを言いたかった〜!」的に印象が引きずられてるけど、「旧三部作のファンを満足させた上で、新しい魅力的なキャラクターでEP8、EP9に繋げる」という難題に、これ以上ないような素晴らしい回答を出したJJは本当にすごい!

だって、世界中で何十億人が32年も(EP1〜3はなかったことになってるw)待ち焦がれたSWの新作だぞ? 史上最高レベルの期待値に応えられなかったら、何十億人がJJを袋だたきにしようと待ち構えてたわけで。

昨年末のEP7以降、隔年公開予定の三部作の残り2本と、今年年末公開予定の「ローグ・ワン(EP4直前の話)」ともう1本(ハン・ソロの若い頃の話らしい)のスピンオフが計画されてるそう。

正伝と外伝が交互に毎年公開され、少なくとも2019年までスター・ウォーズイヤーは続くw もちろん、ヒットするかぎり5作品にとどまらず、死ぬまでに完結編が見れないおそれが出てくるくらい、ずっとずっと続くに違いない。SWは人生。

「ネタバレあり」の感想はFacebook某所に書いたので、興味ある人は探してください〜。

●iPad Pro入手!

「iPad Pro本体とPencilを同時に店頭で買えるまで意地でも待つ!」とか書いてましたが、両方入手済みの友人に「保険として注文してたPencilが届くけど吉井さん、いかが?」とのことで譲っていただけた! 急いでiPad Pro本体を注文。クリスマス前に両方到着。

第一印象は……ツルツルすぎる orz 予想通り。やはりガラスに樹脂のペンではツルツルカチカチ。摩擦調整用にビニールやクリアファイル越しに描くのは可能だけど、どちらも摩擦がありすぎて描きにくい。あと、ズームやスクロールなどのタッチが少し鈍くなる。

でも、今までのゴム球ペンなどにくらべたら1000倍描きやすい。ペンの傾きを感知するProcreateの鉛筆が、鉛筆そのものみたいに描けるのはすごい。このツルツルさえ克服すれば、アイディアスケッチからラフ清書して提出まで、iPad Proだけでイケるかも。

その後、クリアファイルを貼ってみたらなかなか良い感じ。紙にかなり近くなった。あと、ペンにグリップを付けたら最高! クリアファイルなしでもイケそう。

摩擦はペン先にマスキングテープをくっつけてもそこそこ良かったけど、カッコワルイので却下。もしかすると摩擦調整用のペン先キャップみたいのがサードパーティから出てくるかも。

http://www.yoshii.com/dgcr/ipadpro-PC202436.jpg

Adobe Sketchもイイ感じ。SketchTimeもPaperもイイ。Sketch Rollsまでもが素晴らしい。「ちゃんと使えるペン」が加わっただけで、今まで惜しい感じだったアプリの性能が100%活きてくる。

Cintiq 13 HDとくらべると、実用的にはまあどっこいどっこいかな? でも、パソコンなし(キーボードなし)でスケッチできるのはラクちん。

ラフや清書などはiPad Proだけでなんとかなりそうだけど、MODOのテクスチャペイントはMacじゃないんで無理。iPadがMacのサブディスプレイになるアプリを使えばMODOもイケるかもしれないけど、それほど期待してない。

iPad Pro+Pencilについては追々書いていきます。

●Twitter1万字?

英語の140字は短すぎて本当に一言つぶやく感じらしいけど、日本語ではちょうどいい。ある程度の内容を数行でまとめる簡潔さが魅力って思ってたけど、実際には収まらないから数回に分けて書いてたりする。

リツイートされるときにはバラけちゃうし、思いつくままツイートするとものすごい連投になってタイムラインの皆様に申し訳ない。それでFacebookメインに使うようになったけど、細かすぎるネタを何度も気軽には書きにくい。

文字数制限が緩められたらTwitter復活してもいいかもと思ってる。FBから軸足も戻すことになる可能性大。

ただ、初期表示が140字で「もっと読む」的にボタンつけるのはダメ。せめて800字くらい表示してくれないとなあ。冒頭の140字を長いタイトルか概要として書けばいいんだろうけど。本文をFacebookみたいに後で修正できないのはつらい。

●年賀状と名刺の住所問題

以前も書いたけど、何度でも書く。なぜ年賀状や名刺の住所の郵便番号を省略するんだろう? なぜ住所をローマ字のみで書くんだろう? 住所録に打ち込むとき、ずいぶん余計な手間がかかるんだけど。

郵便番号なしやローマ字のまま住所録に打ち込んで平気な神経を持ち合わせてりゃいいんだけど、ウェブで郵便番号調べたりローマ字変換で合ってるかどうか調べたりしなきゃ気が済まないのは、神経細かすぎるんだろうか?w

ところで、年賀状とは何か? いろんな考え方があるだろうけど、僕が年賀状の最も重要な機能と考えてるのは「すでに知っている人に住所など連絡先が変わった/変わってないを伝えること(連絡を取り合う意思表示&生存確認として)」だと思ってる。

名刺とは何か? 「初めて会う人に、名前と所属・肩書きや連絡先を伝えること」だろうな。プラス、後でどんな人だったか思い出してもらえるような工夫は必要だけど。

ただ、普段使いの名刺に住所は必要ないとは思ってる。訪問したり郵便物を送る必要が出てきたときでぜんぜんOK。実際に、名前・ケータイ番号・メールアドレス・URLだけの名刺をしばらく使ってたことがある。特にイベントとかで大勢と名刺交換するために。仕事用としては、さすがに住所のない名刺は信用にかかわるかもしれなくて、普通の名刺に戻したけど。

仕事でフリーのクリエイターの女性と名刺交換すると、住所がないものが多い印象。それで良い。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/

クリスマス頃からずっと連続して仕事で、この状況はまだしばらく続く。EP7、何度も観に行くつもりだったのに、ぜんぜん行けない。日本語吹き替え版で観てみたい〜。

ところで、「EP1〜3は無かったことになってる」とか書いたけど、YouTubeなどでEP1〜3の映像をつまみ食いしてみてたところ、あれ? けっこうおもしろそうじゃんとか思ったりもするので、そのうち見直してみよう。

そもそも最初のSWをEP4ってことにしたのが最大の間違いだったと思う。EP1〜3はEP3の内容を中心に一本のプリクエル映画として作り、その後すぐルーカス体制のままでEP6の続編シリーズをスタートすればよかったかも。

そうそう、「EP7はEP6公開の数年後(1986年頃か?)に制作された映画のつもりで作った」というJJの裏設定にはグッと来た。

SW売却後、考えてたEP7の案をボツにされたルーカスはかなり不満持ってるようなので、この際、ルーカスを焚きつけて別バージョンのEP7〜9も平行して作ったらおもしろいことになるぞw

・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500

・rinkakの3Dプリント作品ショップ
https://www.rinkak.com/jp/shop/hiroshiyoshii

・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii

・ハイウェイ島の大冒険
http://kids.e-nexco.co.jp

・App Store「REAL STEELPAN」
https://itunes.apple.com/jp/app/real-steelpan/id398902899?mt=8


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■イベント情報
「ODCC 設立10周年記念イベント」

http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160113140100.html
───────────────────────────────────

ODCC(大阪デジタルコンテンツ創出協議会)は、コンテンツ業界を中心とした
産学官連携団体。この度10周年記念イベントが開催される。記念講演はITビジ
ネス最前線、新たなビジネス協創の二本立て。

日時:2016年1月21日(木)16:30〜20:30
会場:プリムローズ大阪(大阪市中央区大手前3丁目1番43号)
会費:4,000円

記念講演:
「ITビジネス最前線。『スマートフォン普及後』の成長分野・注目市場はどこか?」
ITジャーナリスト/コンサルタント 神尾寿氏

「IoT拡大による新たなビジネス協創と今後の期待」
株式会社NTTドコモ IoTビジネス部部長 谷直樹氏

交流会:多くのIT・コンテンツ分野が参加。豪華な賞品争奪戦も

申込:https://dcc-net.biz/form/fms/a8b5389a64
詳細及び問い合わせ:http://odcc.jp/event/2986
大阪デジタルコンテンツビジネス創出協議会(ODCC)
TEL:06-6944-3747 E-mail:info@odcc.jp


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(01/13)

●年末年始休みをちょうど20日間とった。映画DVDを毎夜一本づつ律義に見ていたからちょうど20本、こんなグータラな生活をしたのは人生で初めてである。映画を見た後、ベッドに入って読書するのだが、頭はすっかり疲れているのでページが進まない。日中は何をしていたかというと、午前中は主にHDD内にある大量の文書の整理だ。何年も前から、長い休みのあいだにやろうやろうと思いながら、つい面倒で先延ばしにしていた課題だ。2007年まで遡って編集後記を拾い出したら、こんなこと書いていたのかと驚く。なんだか他人の言い分を読んでいる気分。昔から意地悪で軽率でへそ曲がりな奴だったと思う。

温暖な日が続いたので、午後はたいてい自転車でお散歩。遠出はしない。片道10km圏内はほぼ行き尽くしているのだが、25年ぶりにサイクリングに戻ったのは昨年の5月からなので、冬季のロードは初めてとなり、けっこう新鮮。一昨日は板橋区立美術館に行った。往復わずかに15kmと、意外すぎる近さだった。区立中学の美術展が開催されており、いちおう学校代表での出品だと思うが、いまの中学のレベルはこんなものかと、あきれるほどの出来の悪さだった。将来が期待される飛び抜けた作品を探したが、まったく見当たらない。オリンピックのシンボルマークで、例のアレより素敵なのが一点あっただけだ。

見た映画を分類してみたら(分類が分からないものはWikipediaの表記を参考)サスペンス6、SF3、アクション3、コメディ2、ムエタイ(笑)2、ホラー、ファンタジー、アニメ、伝記が各1となった。けっこうバラエティ豊か、かも。いずれここで書いてみたいわたしのベスト3は、予想外な結末に驚いたサスペンス「プリズナーズ」「女神は二度微笑む」と、「シン・シティ」「シン・シティ 復讐の女神」(いちおうサスペンスに分類したが、Wikipediaではクライムスリラーとある)である。このクソ映画が〜と思ったのは、コメディ「荒野はつらいよ」「チャーリー・モルデカイ」であった。腹が立つくだらなさ。

HDD内のお掃除と、自転車散歩と、古い映画DVD鑑賞の合間には読書がある。この20日間で手にとったのがちょうど20冊、なんという偶然の数字だ。そのうち、早々と放棄したのが5冊あり、これからとりかかるのが5冊。とりあえず10冊は読了ないしは読んでる最中。問題なのは村上龍の「オールド・テロリスト」で、566ページの単行本(重い)2/3まで読んであまりの退屈さに、我慢して読み続けるか、放棄するか迷っている。848ページの文庫本(重い)黒川博行の「国境」は四夜で読了し大満足。バカミスをネタバレ忌避せず罵倒する快著、小谷野敦「このミステリーがひどい!」が面白かった。いい休みだった。 (柴田)

オールド・テロリスト
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163902392/dgcrcom-22/

国境
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167902516/dgcrcom-22/

このミステリーがひどい!
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/486410414X/dgcrcom-22/


●真田丸の続き。真田の抜け穴や、幸村銅像のある三光神社。日本全国で唯一の中風除の神らしいのだが、真田ゆかりの神社という印象しかなかった。

しかし最近ではその抜け穴は、徳川側が掘ったものではないかという説が出てきており、真田丸自体もすぐそばの高校にあったと言われはじめている。真田丸の形状や位置の謎が解かれつつある今、この神社のPRポイントはどうなるんだろう……。

スポットライトの当たっていなかった、いくつかのお寺が真田丸として機能しており、周辺のお寺が壁になっていたとまで言われている。じゃあ、ゆかりの地は実はこちらの寺群では……。

Ingressで適当にポチポチとハックしていた無印寺群(印象のない寺群)が、実は徳川軍との戦いで役に立っていたとは。そういえば真田幸村出丸城跡と書かれたお寺もあったわ。(hammer.mule)

心眼寺など
http://oosakajyou-kankou.com/14sanadamaru.html

古地図
http://kuro.pink/kizi019

大河ドラマの前に大坂の陣400年プロジェクトで盛り上がっていた
http://www.osakacastle.net/osakanojin

天王寺 真田幸村博
http://sanadayukimura.jp/

アプリ
http://toho-senden.com/yukimuraapp/