[4060] 新幹線で行こう!

投稿:  著者:  読了時間:19分(本文:約9,400文字)



《文化を発信する場所のひとつになりたい》

■ショート・ストーリーのKUNI[188]
 新幹線で行こう!
 ヤマシタクニコ

■デジクリトーク
 コワーキングスペースいかがでしょう
 熊木英雄





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■ショート・ストーリーのKUNI[188]
新幹線で行こう!

ヤマシタクニコ
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160204140200.html
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おれはやっとの思いで新幹線のぞみに乗り込み、乗車券に記された席を探し当てると、どさっと座り込んだ。ほーっとため息が出た。間もなく列車が動き出した。

──レディス アン ジェントルメン ウェルカム トゥ ザ シンカンセン ディッシズ ザ ノゾミ スパエクスプレス…

車窓からはよく晴れた冬の青空が見えた。この分では富士山も見えそうだがそれどころではなく、おれの体調は最悪だった。頭がぐらぐらと痛む。何より寝不足。何だって、よりによってこんな早い時間帯に乗らなきゃならないんだ。

そういうと、みんな言うんだ。全然早くないよ、君がふだん遅くまで寝過ぎなんだよ…。ああ、そうだろうそうだろう。とにかく眠い。さっきの新大阪駅でも歩きながら今にも居眠りしそうだった。ちきしょう、これから寝るぞ、寝てやる。

いざそう思って目を閉じたものの、寝られそうで寝られない。いや、そうではなく寝ていたかもしれない。

──ウイル スーン メイク ア ブリーフ ストップ アトゥ キヨウト…

一、二回まばたきしたと思ったらもう京都か。信じられない。ひょっとしたらいびきでもかきながら寝ていたかも知れない。

京都から何人かが乗ってきた。そのうちの一人、髪の長いグレーのコートの女がおれの隣に座った。ちらっとおれを一瞥する。

なんだ、よりによってこんな男の隣か。ついてないな。そう思ってるかもしれないが、お互い様だ。女は全然美人でもなんでもない、どころかその対極。濃い茶色のレンズのめがねをかけている。若くもなさそうだ。

おれはまた目を閉じた。夕べのことを思い出すともなく思い出した。

「だからね、おれは言ってやったよ。おまえ、おれに惚れてるだろうって」

「ぷーっ! なんでおれがきんぴらで…」

「鯛焼きが…小塚明朝Rのエルニーニョ左寄せ!」

「わははは、ばればれだ。洗面器爆買いオケ!」

「…ありがとう春分の日ってなんだよー」

「おい、もうやめろ! 明日の作戦に差し支えるぞ!」

そうだ、一応作戦会議ということになっていたはずだが… 作戦? それってなんだっけ。おおげさな名前つけて、結局飲んで騒いだだけのような…ああ、だめだ、何か考えようとすると頭がずきずきする。

隣の女がうつむいて何かごそごそしている。足下に大きめの紙バッグが見えた。「千枚漬」の文字が見える。京都みやげか。そういえば、自分もみやげを入れた紙のバッグを持っていたな…そう思って見ると、なんということだ。

「大阪土産どて焼きセット」と書かれた紙バッグはあるが、中身が空っぽだ! どこかで中身を出して、その後忘れたのか。からの紙バッグを持って何も気づかず歩いていたのか、おれは。あほだ、あほ過ぎる! 

ぼうぜんとしていると隣の女がおれをちらと見る。そして、からのバッグを手にしてぽかんとしているおれを見て目を丸くする。はあ?! この人ばか〜!みたいな。むかつくが仕方ない。

おれは依然として眠いのに頭が痛くて眠れないという最悪の状況だ。どうでもいいや。どて焼きセットもどうでもいい。

隣の女は携帯を取り出した。ボタンを押し、どこかにかけている。一応、控えめにしゃべるという最低限のルールは理解しているようだ。ぼそぼそと断片的に聞こえてくるが、何を話しているかはわからない。どうでもいいさ、どっかのおばはんの会話など。

「順調……了解……ただし‥…が……事態……ケース09に相当…」

急速に眠くなってきた。うとうとする。後ろの席には子どもと母親がいるみたいで、時々声が聞こえる。

「次、どこ?」

「名古屋。まだもう少し先やわ」

隣の女も会話を続けている。

「……がいいわね。そうして…了解…」

おれはまた二回ほどまばたきした。と思うと、次に目を開けたときは名古屋だった。降りる客、乗ってくる客でざわざわした後、また列車は動き出す。車掌が回ってくる。

「乗車券を拝見します」

おれは身を起こしてポケットから乗車券を出した。すると車掌はそれを受け取り、おれに返すときに何かを渡した。小声でささやきながら。

「お忘れ物です」

おれはずっしりと重いそれを、よくわからぬまま受け取ったが、見てびっくりした。包装紙に「大阪土産どて焼きセット」と書いてあったからだ。

なぜだ? なぜ車掌が? おれはまるでわけがわからぬまま、足下の「大阪土産どて焼きセット」の紙バッグに入れた。

おれがどこかで忘れたどて焼きセットをだれかが拾って届けた…にしてもなぜおれがこの列車に乗っていることがわかったんだ? いや、それだけじゃない。

おれは見た。車掌がおれにどて焼きセットを渡したとき、その手が…いや、そんなはずはない。目の錯覚だ、きっと。

隣の女はまた携帯を取り出してどこかにかけ始めた。

「…だいじょうぶ…準備オッケー…装置……エルガイザほうが…そうね…そうするわ」

仕事の関係だろうか。難しそうな会話だ。えるがいざほう、ってどこかで聞いたようにも思うが何だっけ。恵方巻きに関係あったっけ…。女は時々おれのほうを見る。通話がもれているかどうか気にしているのか。なんだか変だ。この列車は…。

「おかあちゃん、次どこ?」

「新横浜。だいぶ先やで」

「はままつには止まれへんの?」

「のぞみは止まれへんねん。ひかりやったら止まるけど」

親子の会話を聞きながらおれはまた目を閉じたが、眠れない。

きゃっ、と凍り付いたような叫び声が後ろのほうから聞こえた。車内販売のカートが後方からやってきて、女性の販売員がコーヒーや弁当を売っている。その販売員を見た客からもれた声のようだ。

おれはどきどきしてきた。車内販売のカートは少しずつ近づいてくる。

「ケース22-3…一気に………の場合は………カッカラム銃…」

なんだって。隣の女はだれと話しているんだ。何をしようとしているんだ!
 
「おかあちゃん」

「うん?」

「あのひと、電話でなに話してるん?」

「さあ…」

隣の女の声は後ろの子どもにも聞こえているようだ。

車内販売が近づいてきた。おれのすぐそばまで来た。すると隣の女が携帯を耳から離し、販売員に合図した。販売員は黙って「夜のお菓子 うなぎパイ」と書かれた包みを二つカートの下の方から取り出し、女に渡す。重そうだ。

いったいどれだけのうなぎパイが入ってるというんだ。おれはそのとき、販売員の顔を見た。髪をきちんとまとめた瓜実顔の女だが、その目は鮮やかな緑色をしていた。

だが、そのことに驚いている間はなかった。隣の席の女がうなぎパイの包みをおれに、当然のように寄越したからだ。なんでおれにうなぎパイを?! さささ誘っているのか?!

「おかあちゃん、前のひと、がいこくじん?」

「そうやろなあ。どこの国の人やろ。中国語でもないし韓国語でも英語でもないみたい…聞いたことない言葉やね…」

おれは驚いた。隣の女の話す言葉が、聞いたことない言葉だって?! 中国語でも韓国語でも英語でもない言葉? だが、おれの耳は隣の女の話す言葉も後ろの親子の言葉も同じ日本語ととらえ、難なく理解していた。

なぜだ? どういうことだ? そして、おれはさっきの車掌の手を思い出した。あれは目の錯覚じゃない。白い手袋の端からほんの少しのぞいた皮膚には、うろこがびっしりと…おれの額に得体の知れぬ汗がにじんできた。そのとき

「いい加減に目を覚まさんかい!」

バッコーン!と、おれはどつかれた。隣の女に。

「席に着いたらすぐにドリロンモードに切り替えると決めてあったやろ!」

どどどどどりろんもーどに? ああ、そういえば、ゆうべの会議でそんな話があったような…気が…ええっ?! 女はおれが思い出すより早くおれの右耳を引っ張り、耳の中のどこかをさわった。

とたんにすべてが明瞭になった。眠気は吹き飛んだ。おれははじかれたように立ち上がり、うなぎパイの包みを破り、中からカッカラム銃を取り出して腰のベルトに装着した。どて焼きセットの包みの中はエルガイザ砲だ。それを肩に担ぐ。おれの両目は緑色の光を放っているはずだ。

「そんな大事なもんなくすてどうかしてるわ! あほぼけかす!」

まったくだ。きっついドリロン星語で罵倒されても仕方ない。おれたち──おれと隣の席の女と車内販売員といつの間にかやってきた車掌──は武器を構えた。通路を隔てた席の男も「名古屋名物ういろう」の包みをびりびりと破り捨て、その後ろの男も「農林水産大臣賞受賞手作りわさび漬け」の包みをばりりりりりと破り、中から最新式の銃を取り出して立ち上がった。

悲鳴がわきあがり、缶ビールやみかんの皮が飛び散る中、おれたちは乗客に向かって言った。

「動くな地球人ども! よく聞け! おれたちはドリロン星からやってきた! おれたちの要求は──」


【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
http://midtan.net/
http://koo-yamashita.main.jp/wp/

20数年ぶりに本棚を移動した。本棚の後ろから現れた壁にはうっすら本棚の跡。でも、ほこりをモップでぬぐったら十分きれいな壁。思わず自分のへたなイラスト額を飾ってしまった。ひゃっほー。こんなところにスイッチがあったのかと発見したり。長い間ほったらかしにしてると自宅も秘境化するんですねえ。次は秘境中の秘境、物置を探索の予定。


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■デジクリトーク
コワーキングスペースいかがでしょう

熊木英雄
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160204140100.html
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初めまして。Organic Design Inc 一級建築士事務所・代表の熊木英雄です。私が埼玉県戸田市に「川岸倉庫コワーキングスペース」を設立するに至った経緯をお話します。

2009年、私は海外勤務(ロンドンの某設計事務所)を終えて日本に戻り、東京都板橋区にあるインキュベーション(起業者を支援する施設)のシェアオフィスで、建築設計事務所を独立開業しました。

同所で満期の3年を経過し、その後は自宅を事務所代わりにしていた時期が少しありました。都内のマンションで賃貸暮らしをしていたのですが、子供が生まれるタイミングに実家のある戸田市に移ったのです。

2014年6月、戸田市内のちょうど空いたばかりの倉庫に偶然出会いました。そのファクトリー感のある建物の魅力と、「倉庫」という通常「モノ」を保管する場で「知的創造すること」のギャップにも面白さを感じ、設計事務所をこの倉庫に移転することを決断しました。そして自らが倉庫をリノベーションし、2014年9月に開業しました。

この場所で約半年の間、訪ねてくる人の多くが、ここはカフェですか? なんのレストランですか? 美容室ですか? などと聞いてきました。この場所にあるこの建物に、興味を持っている人がかなり多いことを知りました。

そこで、このスペースを私の設計事務所だけで使うのではなく、オープンにして多くの人に利用してもらうのはどうだろうかと思いついたのです。そうすることで、この地に根づくこともできますし、地域の人々とのコミュニケーションの場にもなるでしょう。

現段階の戸田市はまだ通勤族によるベッドタウンの要素が大きく、市内で「働き」「暮らす」というワークライフスタイルは、あまり浸透していないように感じます。戸田市にも都心や地方の大都市のような、文化を発信する場所がもっとあれば、ここで暮らす人たちの楽しみが増え、また戸田市に魅力を感じる人たちが流入してくるのではないかと考えました。

文化を発信する場所のひとつになりたい。そんな思いで、ここにコワーキングスペースを設立しました。名称は「川岸倉庫コワーキングスペース」です。

コワーキング(Coworking)とは、「Co」が「一緒に」「共に」という意味があり、「共に働くスペース」を「Coworking Space」(コワーキングスペース)といいます。

仕事スペース、会議室、打ち合わせスペースをはじめ、働く場を共有するワークスタイルです。在宅勤務者やフリーランスの人たちが利用して、色々な分野の人たちがお互いに影響しあいながら仕事ができる環境といえます。

たとえば、フリーランスの人が市内で事業を始めようとしたとき。恐らく今までは、「家で始める」「事務所を借りる」という順番だと思います。多くが「家で始める」スタイルから入ります。私も最初はこれでした。ただ、事業所の住所表記自体が家の住所となり、プライベート、セキュリティ上でかなり問題がありました。

「事務所を借りる」の場合は、初期費用として敷金や礼金が必要な上、戸田市の場合、木賃アパートでも6万円程度から。そして賃料のほかに賃料の他、共益費、光熱通信費などがかかります。

オフィスを持たず、IT機器と人的ネットワークを駆使してさまざまな場所で仕事する、ノマド(遊牧民)というワークスタイルもあります。最近のカフェは電源とWiFiが使えるところも多く、適度なノイズが作業の集中力を高めるとして、ここを仕事場にしているフリーランスの人もいるでしょう。

そこで提案です。コワーキングスペースを仕事場にしたらいかがでしょう。コワーキングスペースは、多彩な人々と「繋がることができる」場であり、ここからの「発展性」を持っている点が特徴です。

「川岸倉庫コワーキングスペース」の方向性は、フリーが集まった「会社」のようなものであり、一人一人のブースの壁が低めに抑えられており、出社時、退出時には親しく声を掛け合います。

またそれぞれのお客さまが来た時も、そのときブースにいる人たちに紹介したりするなど、人と人との繋がりが増えてゆきます。そして、併設したイベントスペースで行われるイベントも参加しやすく、そこに来られる方々とも繋がりやすいのが特長です。

一人で事務所を借りている場合は、外に出ないとなかなか人に出会えません。コワーキングスペースでは、毎日いろいろな人が来ます。ここにいれば、人との繋がりが自然に促進されるようになっているのです。それはまさに営業活動の一歩目になるのではないでしょうか。

また、コワーキングスペースでは、利用者が主催してワークショップやイベントを行い、利用者自体が繋がりを築くこともできます。そのへんは、自宅、事務所、カフェなどとは大きく性質、機能が異なる点であるといえます。

私は、戸田市をベースに起業したいと思っている人たちが、コワーキングスペースを利用し、その可能性をさぐってほしいと思っています。

また、子育てが一段落ついたタイミングで仕事に復帰したいという人の、スタートアップの場所になりたいと思うのです。夫が外で働いているときに、妻が少しでも働いてみようと思ったとします。

そんなときに仕事ができるコワーキングスペースを利用すれば、夕食の準備をする前に終わらせて帰宅できます。皆が集まる場所で仕事ができれば、仕事の相談や人との繋がりができます。

このような思いで私は埼京線「戸田公園」駅近く(徒歩6分)に「川岸倉庫コワーキングスペース」を開業したのです。なんといっても私自身が、「仕事場」と「生活」の距離を縮めることで、家族との時間や自分の時間を有効に使い、生活を豊かにしたいという思いがあってのことです。そういう思いを共感できる人が、すぐ近くにいるのではないかと思っています。

今後の展望としては、協働できるメンバー同士でプロジェクトが行えたり、良質な繋がりがここから始まり、近隣エリアに浸透してゆけばいいなと思っています。

現在は、コワーキングメンバーを募りつつ、地域の人たちと繋がれるイベントに力を入れています。「異業種交流会」「メンタルトレーニング講座」「誰でも解るマイナンバー制」から、「昼下がりのワイン会」「子連れde英会話」「各種ランチ会」といった気楽な集まりまで、バリエーションを効かせながら開催しています。

「働くことの一歩」がなかなか踏み出せない人、イベントを開催したい人、やりたい気持ちはあるがどうすればいいかわからない人など、ぜひ相談に来てください。また、イベントは男性も女性も、独身の方も、主婦の方も気兼ねなくご参加ください。

                 ●

ここまで読まれて、なんとローカルな話題だ、と思われた方も多いと思います。実は、デジクリ編集長の柴田さんとは、昨年12月にお会いしています。戸田市にお住まいだと知って、12月に「川岸倉庫コワーキングスペース」に来ていただきました。ご自宅から自転車で5分だそうです。

昨日、2月3日の14時ごろ、「明日、デジクリのスペースが空いているので、コワーキングスペースについて書いてくれませんか」というメールをいただきました。突然のことで、宣伝っぽくなってしまいそうですがいいですかと聞くと、いいですよ、ご近所のよしみで(笑)とのお返事でした。

というわけで、構成を考える間もなく思いつくことを綴っただけで、いささか整理されていませんが、我慢してお読みいただいてありがとうございます。以下は本当の宣伝になります。

「川岸倉庫コワーキングスペース」は、法人登記可能で、デスク、専用ロッカー、プレゼンができる会議室、専用ポスト、宅配便受け取りサービス、共用キッチン・ダイニング利用などが無料、光熱費や通信費はもちろん無料。24H利用も可能。フリーコーヒーあり、フリーアドレス席利用可、コピープリンター利用可(有料)、HPにて会社宣伝付き、といったフルサービスでブース利用料は月3.78万円(税込)です。

固定費(家賃・維持費等)は圧倒的に節約できますよね。また、お客様が来ても会社の体裁的にマイナスなイメージはないと思います。

ビジネスの幅を広げたい方、集中して資格取得の勉強をしたいという方、締切が差し迫ったプロジェクト資料を作りたいという方、様々なご利用のシーンに応じるため、月額料金体系を見直し、新たな会員プランを設けました。ぜひ、この機会をご利用いただき、共に戸田で新しい働き方をしてみませんか。

川岸倉庫コワーキングスペース 代表 熊木英雄
http://ware-house.biz


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編集後記(02/04)

●「宇宙戦艦ヤマト」にはまったく関心がない。そもそも日本のアニメがあまり好きではない。もしかしたら、独特のアニメ声が生理的にだめなのかもしれない。ある時期に「宇宙戦艦ヤマト」が社会現象と言われるほど熱狂的な支持を得ていることは知っていたが、ピクリとも反応しなかった。だから、牧村康正+山田哲久「宇宙戦艦ヤマトをつくった男 西崎義展の狂気」(講談社、2015)を読んでも、マニアにとっては垂涎であろうヤマトまわりの話は、あまり興味をひかなかった。一方、邪知暴虐なカリスマプロデューサー、西崎義展という男の行状はむしろ痛快だった。毀誉褒貶を顧みない男が実在したのだ。

西崎は晩年になって覚醒剤取締法違反や銃刀法違反で逮捕され、関係者に情状酌量のための嘆願書を依頼している。度外れた無法者の情けない姿だ。この本では、最も西崎を感動させたと思われる、阿久悠の嘆願書が掲載されている。二人組の筆者が大量の資料をもとに構築したのであろう、なんとなく座りのよくない本文に比べると、「ヤマト」のかなりの数のテーマソング、挿入歌を作詞した阿久悠の文章は素晴らしい。まことに心を打つ名文である。この一文を読めば、阿久悠ほど西崎の仕事を正当に評価していた人はいないのではないか、と筆者は書く。この嘆願書全文を掲載したことが、筆者のお手柄である。

〈西崎義展氏の成功は、「宇宙戦艦ヤマト」という企画の成功であるとともに、日本に於ける「個人プロデューサー」の立場を確立した成功でもありました。(略)本来プロデューサーは、個人の才覚と力量により、資金の調達から、企画、製作、興行配給に至るまで全責任を負う者です。従って、成功すれば一躍長者にも英雄にもなり、失敗すれば負債を抱え込むというのが宿命です。(略)しかし、日本ではそれが社業の中で処理されており、大ヒット長者になった人も、不入りで財産を失った人もいないというのが、現状でした。それを西崎義展氏は破りました、喝采を送ったものです。

日本という国、悲しいことに、サクセスが個人の手にあることを喜ばない風土があり、氏もまた、その成功ぶりを何かといわれたようでありましたが(略)それは、一個人西崎義展を富ますだけでなく、アニメーションという、世界に誇る日本文化のさきがけとなったこと、また、西崎氏が、才能に対するパトロンたる立場を自覚して、「宇宙戦艦ヤマト」という総合芸術に数多くの才人を起用したこと……等に繋がっていくのです。〉ハイリターン以前のハイリスクを個人でかぶる超辣腕プロデューサー、悪党、ひとでなし……これほどの巨人がいたことを誰も知らない。関わって痛い目にあった人以外には。 (柴田)

「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062196743/dgcrcom-22/


●Gmail上にTodoやリマインダーを設定できる「Sortd.」を使ってみたよ。今のところChromeでのみ動作可能。普段使うGmail上にレイヤーが作ることができる。細かく書きたいけど後日にでも。興味のある人はトライ。今なら列が空いてるよ〜!

「小塚明朝Rのエルニーニョ左寄せ!」に爆笑した。

ヤマトの主題歌は、鼓笛隊で毎朝練習したから思い入れがある。かっこいい曲だ。アニメも子供向けじゃなくて面白かったなぁ。日本のアニメや特撮って、昔から深いテーマが潜んでいるよね。親子で見ても納得できる内容になっているというか。

仕事用BGM続き。アプリは、Youtubeのバックグラウンド再生ができ、ロック画面になっても止まらないもの。プレイリストが作れるもの。プレイリストへの追加が簡単なもの。シャッフル再生・連続再生ができるもの。

私は「Youtube 再生」で検索して最初に出てきた「Tuber」を使い続けている。他にも類似アプリは出ているので、アイコンの好みで選んでもいいかもしれない。本体容量に余裕のある人なら、オフライン再生できるアプリもあるよ。グレーだと思うので紹介は避けるっ。続く。 (hammer.mule)

Sortd. 今はベータテスト。モバイル版のベータテストもあるよ。
http://www.sortd.com/

Tuber。iPhoneアプリ。スリープタイマーがある。
https://itunes.apple.com/jp/app/tuber-youtube-dong-huawobakkuguraundo/id983904653?mt=8