crossroads[03]Design for X
── 若林健一 ──

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こんにちは、若林です。

2月6日(土)、大阪の南港ATCの中にあるイメディオで開催された、初心者向けIoT体験セミナーのお手伝いをしてきました。

講師は、Let's Make With Arduinoという、電子工作とプログラミングの情報サイトを運営している岡田裕行さん。

セミナーの内容は、Linino Oneというマイコンボードを使ったLチカ(LEDを点灯させる電子工作の初歩的なもの)から始まって、IFTTT、M2X、Blynkといったクラウドサービスとの連携や、スマートフォンからのデバイス操作など、いわゆる「IoT」の世界を体感できるものになったと思います。




あまりにも盛りだくさんの内容だったので、時間が押してしまい進行の方はかなり焦りましたが、参加者のみなさんには満足していただけたようです。

私たちも、CoderDojoの子ども相手とは違う難しさがありましたが(実際やってることも難しいのですが)、動いた時の嬉しそうな様子は子ども大人も同じだなってことがよくわかりました。

もっとも、受講者は男性ばかりだったので、男はいつまでたっても子どもということなのかもしれませんが(笑)。

Let's Make With Arduino
https://lets.makewitharduino.com/


●デザインの力

さて、本題に入ります。先日「なるほどなぁ」と感心させられた、こんな記事を見つけました。

体が勝手に…!視覚効果で歩行者を誘導する「横断歩道」が斬新
http://irorio.jp/hayashihiroyuki/20160131/297598/


横断歩道の対角線上に切れ目を入れることで、人との流れる方向を作りだし、人がぶつからないようにすることで流れを速くできるというものです。

実際にこの通りに誘導され、人の流れがスムーズになるのかどうかは検証が必要かもしれませんが、かなり有効なアイデアできっと効果はあると思います。

エンジニアのようなテキスト中心の人間(文字や文章だけで説明したり、何かを実現しようとする人という意味)には到底思いつけないアイデアで、たったこれだけのこと(というと失礼かもしれませんが)で、運用コストをかけることなく課題が解決できるというのは素晴らしいことだと思います。

こういうアイデアに出会うとわくわくしてきます。

ユーザーインターフェースの世界では、デザインの力でかなりの課題が解決されることもよくあります。エンジニアが一生懸命プログラムを書いたり説明を増やしたりするよりも、操作するものの配置や順番ひとつでわかりやすさがガラっと変わってしまうものです。

この横断歩道のアイデアも、きっとユーザーインターフェースデザインのひとつということなんでしょうね。

●Design for X

近年、地域の課題を市民の手で解決する手段として、"Code for X"という活動が各地で活発になっています。

"Code"とはプログラムのソースコードを意味していて、"X" の部分は "Japan"だったり、"IKOMA" だったりと対象となる地域の名前が入ります。IT(情報技術)を使って地域の課題を市民の手で解決しようという活動なので "Code for X" と呼ばれています。

5374 for Miuraオープンデータ(権利に縛られることなく自由に使えるデータ)を使ったWebサイトや、アプリなどの開発によるものが多く、有名なものとしては、各地域での正しいゴミの排出を促進するために作られた「5374(ゴミなし)」があります。

5374.jp
http://5374.jp/


だったら、デザインで地域の課題を解決するというアプローチがあってもいいんじゃないかな、と先の記事を見て思いました。

今の"Code for X"はどちらかというとエンジニア(プログラマー)主体なところがあって、もちろんデザイナーもWebサイトやアプリのデザインという形でかかるのですが、必ずしもデザイン主体ではありません。

「まずデザインありき、デザインで解決できないところをITでカバーする」というアプローチが、意外と斬新な課題解決のアイデアを生み出すのかもしれません。

市民活動ではありませんが、国土地理院が進めている「外国人にわかりやすい地図表現検討会」もそのひとつ。これは、外国人だけでなく日本人にとっても意味のある「デザインによる課題解決」と言えます。

外国人にわかりやすい地図表現検討会
http://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/kihonjohochousa41015.html


"Code for"というと「プログラマーがメイン」のイメージが強く、自分が参加した活動でもデザイナーの参加があまり多くないのですが、もっとデザインの力をもっと発揮できるように働きかけてみようかなと思います。

Code for Japan
http://code4japan.org/

Code for IKOMA
http://code4ikoma.org/

Code for Kanazawa
http://www.codeforkanazawa.org/



【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/

Twitter: https://twitter.com/kwaka1208


CoderDojo奈良 次回は、2月13日(土)開催です。
http://coderdojo-nara.org/