装飾山イバラ道[171]アメリカン・アイドル〈シーズン15〉/武田瑛夢

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この場でも何度も書いて来た「アメリカン・アイドル」が、このシーズン15で終了する。歌手のオーディション系の番組は他にもあるし、視聴率も落ちているみたいなので当然かもしれない。

私はこの番組が好きだったので残念だけれど、ファイナル・シーズンがどんなシーズンになるのか楽しみだ。

現在日本ではFOXで週に2回のペースで地方予選〜ハリウッド予選を放映している。始まっているのに気がつかなくて、最初の2回は見逃してしまった。海外のTVだとけっこう見逃しがちだ。

・アメリカン・アイドル シーズン15
http://tv.foxjapan.com/fox/program/index/prgm_id/20329

約10万人が参加する地方予選は3人の審査員の前で基本アカペラで歌い、2人以上のイエスがもらえれば、ハリウッド行きのゴールデンチケットを得ることができる。

約200名ほどに絞られたハリウッド予選では、ステージ上で他の候補者に見られている状態での審査になるけれど、この地方予選は3人の審査員に近い距離での生歌披露だ。






今回は完全にアカペラでなくても、自分でギターを弾いて歌ってもいいし、ピアノ伴奏のスタッフもついているので、自分の歌声を生かしやすいスタイルを選ぶことができるようだ。

以前はもっと不合格の人の映像も使っていたと思うけれど、最近はほとんど合格者の映像に録画時間を使っている。その点では合格か否かをドキドキしながら見ていた頃とは少し変わった。わずかにいる不合格者の映像は、とても惜しかった人か、すごく変わり者の映像がほとんどだ。

とにかく、今回でアメリカン・アイドルは終わるのだから、「あなたはまだ若い。練習してまた今度トライして」とは言えなくなってしまったわけだ。15歳〜28歳の年齢制限の上の方でも下の方でもギリギリのところでとにかく今回出なきゃという人も多そうだ。

●各ジャンルのてっぺんに

どの仕事の世界にもジャンルというものがあり、一つのジャンルでてっぺんの一人になることを目指している人も多いと思う。今回カントリーのジャンルでシーズン10の時にスコッティと競った人が、最後のアメアイと聞いてまた地方予選に来ていた。

前回は本戦に残りそうなところまでいっていたのに、カントリーでそう何人も候補者を残せないということで、落選してしまったのだ。

スコッティはその後順調に勝ち進み、最後は優勝した。一時は自分と競った人が最後の一人まで残って優勝したのだから、きっと胸中は複雑だったに違いない。今回もハリウッドに進むことが出来ていたので今後も要チェックだ。

最後の20数名が残る本戦からは、全米の投票形式になる。ロックやブルース、カントリーなどそれぞれのジャンルで2〜3人しかいないので、はっきりとしたジャンルを持つ歌い手は、そのジャンルのファンが投票してくれるので得なのである。

●審査員のやさしさと厳しさ

私が見始めたシーズン6以降に、3人の審査員は入れ替わりが激しかった。あの椅子になじむ前に審査員をやめた人に関しては、あまり印象が残っていない。

やはりサイモン・コーウェル、ポーラ・アブドゥルの時代は、黄金期でもあり感動も多かった。最近ではジェニファー・ロペスとキース・アーバンがいいと思う。4人共に逸材の候補者を見つけた時の表情がいい。

審査の時にポーラ・アブドゥルが泣くと、私はよくもらい泣きしていた。あのような慈愛に満ちた審査員はもう現れないかと思っていたので、ジェニファー・ロペスの優しさに救いがあって良かった。

彼女は場数を重ねて厳しさも身に付いて、ノーと言える人にもなっていて頼もしい。以前よりも格段にジェニファー・ロペスの口から「ノー」が出ている気がする。自分の判断で不合格を出すことを、以前よりは恐れなくなったように思う。

最初の地方予選で落とされれば後はないわけだけれど、結局、ハリウッドに進んだとしても、次々と勝ち残る力がなければしょうがないということかもしれない。

審査員も歌手で、どんなインタビューを聞くよりもアメアイでの審査風景を見る方が、その性格がわかる気がする。プロ意識や感性の繊細さが垣間見える。

候補者が歌を歌うのと同じように、審査員が意見を言うのもパフォーマンスの一つだから、的確でプロフェッショナルな批評コメントに感動することも多い。

これはスポーツの実況席でその道のプロが、選手の結果に涙するのを見て感動するのに似ている。側で見て来た人にしかわからない感動を、素直に伝えてもらえると嬉しくなるのだ。

●歌の力

オーディションのシステムはシンプル。ふるいにかけられる候補者たちは、短い時間で実力を発揮できなければそこでサヨナラだ。とても残酷な感じがして気がめいることもあるけれど、きちんと実力を発揮する候補者の歌の力によって、その気分は吹き飛ぶ。

スーッと審査員の前に現れてパーッと歌い、心を鷲掴みされるようなすごい人もいる。審査員に褒められて喜ぶ姿にまた感動する。歌が好きで上手くなった人もいれば、努力してテクニックを磨いた人もいる。

根性比べの大会ではないので、苦労のあるなしは関係なく、人に伝わる歌を歌った人が勝ちだと思う。番組そのものは残った人しか次に進めない勝ち負けの世界だ。

しかし、勝った人が売れるのかというとそうではないようだ。実際、過去の優勝者がすべて売れたわけではない。このシステムでふるいにかけられてもよいと思う候補者が、与えられた場面で出来る限りのパフォーマンスをする姿を見る番組だと思う。

勝つ人に法則はあるのか思い返してみたけれど、どんな歌でも自分の歌に出来て、落ち着きがある人という気がする。

そして、そういう人はかなり早い段階で、優勝してもおかしくないと思わせるパフォーマンスをしているように思う。まだ候補者が多い頃であっても決して埋もれない個性がある。

「何人いようがあなたは目立つ」というような人。選曲が運命を分けることも多いけれど、「きっと電話帳でも歌える」と言われている人もいてスターの資質は隠しようがないのだと思う。私は10年近く楽しませてもらってきた番組なので、これが終わっちゃうのは辛い。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

また寒さ対策で気づいたこと。冷え性の人がやりがちな重ね着は、あまりしない方がいいと言うので試してみたら本当にそうだった。フワフワなパジャマは必需品だけれど、その上に半天を着たまま寝たりしていたのがかえって逆効果だった。しっかりした服は羽毛布団の温かさを遮断していたらしい。