[4072] ITの裏側に潜む脅威

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《やる時にはやる・やる気だけはちゃんとある》

■装飾山イバラ道[172]
 頭の中の宝を守るゲーム
 武田瑛夢

■ところのほんとのところ[137]
 フォトラボkとお茶会と個展
 所 幸則 Tokoro Yukinori

■crossroads[05]
 ITの裏側に潜む脅威
 若林健一




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■装飾山イバラ道[172]
頭の中の宝を守るゲーム

武田瑛夢
https://bn.dgcr.com/archives/20160223140300.html

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最近、いろいろなところで高齢化の波を実感している。立ち寄る場所で高齢者を見かけることが多いし、自分の親にも自分にも体力的に年齢を重ねたことを実感するのだ。

私の住んでいる街の、最寄り駅の側には大学があるので駅前には学生が多いし、商店街にも若者のにぎわいがあるので、高齢者とのバランスはまだ取れているの方なのかもしれない。

自分が若い頃には、街の年齢層なんて特別気にもとめなかったことだ。しかし、今となれば、若者が目に付く所にいることの何とありがたいことかと思う。駅前は、春先の新歓コンパの頃には夜遅くまでうるさかったりするけれど、少々のことはしかたがないと思える。

それぞれの学生は移り住んでいくので、この街に長期的に関わることはないかもしれないけれど、若者のパワーは街に必要なものだ。この街もこれからますます全体の年齢が上がっていくだろう。自分や家族の衰えを少なくできるような手だてはないだろうか。

●脳トレのドリル

今年になって、母のために脳トレのドリルをAmazonで購入して一緒にやっている。あまり気が進まないのかと思っていたけれど、けっこう協力的なほうだと思う。どちらかというと、出来る事を私に見せたいという気力があるようだ。

問題集の答案用のノートに日付を書いて、やっておいてもらったりしている。しかし、私が事前に日付を入れて答案用のページを作っておけばやってくれるけれど、日付を書いたページがなくなると、もうやってくれないのはどうしたものか。

塗り絵は自発的にやっていたので、もっと買うかと聞くと、さほどやりたいものでもないらしい。やはり、娘につきあってくれている感じのようだ。

今は手探り状態だけれど、やった方がいいとは思ってくれているので、その気持ちがなくならないように、ほどほどに勧めてみるつもりだ。

脳トレ関係は雑誌も出ているので買ってみたけれど、これはターゲットが定年直後からのものだったようで、少々難しいものが多かった。

60代、70代、80代に向けてのものだというのでやってみたけれど、40代の私にも難しいものがあるし、夫も難しいと言っていた。

山手線の駅名をはめ込むものや、重なった文字を並び替えて単語にするものなど。見てパッと出来るレベルのものよりも、取り組みがいはあるので一緒に解くと面白い。

やはり日付を書く欄があるので、最後にやった日から何日も経っているとサボったことを自覚できるようになっている。毎日やるのが良いそうだ。

●ルモシティ(Lumosity)

アメリカでは賛否両論らしい脳トレWEBサイトで(App版もあり)、私はまだ体験版の制限付きトレーニングしか試していないけれど、何日かやってみた。

画面で動くトレーニングゲームの中では、パズルの動きや色使いのセンスはピカイチではないだろうか。画面がシンプルでとてもきれいだ。体験版は無料で、有料登録には個人のものから最大5名まで使える、家族パックのようなファミリープランもある。

・ルモシティ(Lumosity)
https://www.lumosity.com


高齢者だけでなく、働く世代が自分の反応、判断の速度や質を試したくて人気らしい。続けることで能力の向上も見込めるのかもしれない。スピード、記憶力、注意力、柔軟性、問題解決能力などのトレーニングができる。

ゲームの得点は、有料会員になると世界中のユーザーのデータと比べて、同年齢中上位何パーセントですよってことがわかるようだ。自分の年齢と結果のデータも提供していることになるので、ギブ&テイクなのかもしれない。

ゲームの内容は、例えば葉っぱの色や進む方向を瞬時に判断して、カーソルで答えを押すようなもの。マス目に表示される丸印の場所を覚えるものなどだ。

何種類ものの短いゲームから選べるので、飽きることもないし、以前やったことのあるゲームだと、点数を比較もしてくれる。得意な分野と苦手な分野があることがわかるし、睡眠時間を事前にチェックするので、脳の働きと睡眠の関係もわかるらしい。

高齢者の場合は、この「ゲームルールの説明」を理解できるかどうかも、ひとつのハードルのように感じた。画面の文字を読むだけで一人で出来るだろうか。

横にいる人に説明されればできるけれど、という人が多いように思うので、これには慣れが必要ではないだろうか。

しかし、初回は採点されない練習モードがあるので、練習でルールを把握してから本番に挑むことができる。うちの母にはこれは向かないと思ったので、自分だけでやっている。

有料登録は個人で年間6,100円と高い気がするので、まだするつもりはないけれど、継続的に頭を動かすのは運動と同じで大切だ。

ある時期になったら、スポーツジムよりも有意義な、頭の運動の習慣になるのかもしれない。体のどこをとっても大事だけれど、脳はその中でも宝と言っていい大事な部分なのだから。

この手のゲームは、やり慣れてくると成績が上がるのが当たり前なので、本当に能力自体が点数分上がったとは言い切れないものも多い。しかし、同時に何種類もの項目を判断しながらクリアしていくゲームも多いので、慣れて出来るものなら出来た方がいいと思う。

興味深いのは柔軟性という項目で、条件が複雑な時に柔軟に最適なものを選べるかというようなことだと思う。

もっとこの手のゲームをしたいけれど、無料の領域だとランダムにしかゲームが出て来ないのが辛いところ。たぶんこれ、私のようにゲームに対する探究心がある人も会員になってるんじゃないかな。

●昔からあったゲーム

脳トレって上で示したような、「試される」感じが嫌でやりたくない人も多いと思う。私も試されるのは嫌いだし、苦手なことはなおさらだ。

分析すると計算能力が低いって出たけど、そんなこと前から知ってた! ってムカついたりもする。ストレスのないトレーニングなんてないのかもしれないし、無理のない範囲でがんばることも必要だ。

しかし、昔から普通に遊んできたゲームでも充分脳トレにはなる。というより、ゲームのほとんどは脳をトレーニングしてくれるものだと思う。

もぐらたたきゲーム、的あて、オセロ、上海、などなど、無料でたくさんアプリになっている懐かしのゲームを活用しない手はない。80歳を越えた母でも、iPadのもぐらたたきゲームはすぐに出来た。出て来たもぐらを指で叩くだけ。ちょっと慣れたらもう少し判断が複雑なものを選べばいい。

最近、夫と戦っているのはiPhoneアプリで無料で出ている「スピード(SPEED)」のトランプのゲームで、昔からあったおなじみのものだ。紙のトランプでやっても面白いけれど、アプリで対戦できるのは準備が気楽で楽しい。紙のトランプだと、白熱してトランプが折れたり、どこかに吹っ飛んでいってなくしたりするし。

・スピード:トランプゲーム
https://itunes.apple.com/jp/app/supido-toranpugemu/id908600880?mt=8


「スピード」はコンピュータと対戦もできるし、他の人とも遊べる。Game Centerに接続して相手を指定して、対戦を申し込んで許可されると相手とつながる。4枚のトランプは勝手に置かれているので、普通のスピードのルールで二つの場に置かれた数字に、連続している自分の札を置いていけばいい。先に持ち札がなくなった人が勝ちなのも同じだ。

自分が勝って「You Win」の文字が出れば嬉しいけれど、負けると本気になってきて、何度も対戦してしまう。

夫は私に負けないように、事前にコンピュータとの対戦で練習してから戦いを挑んで来るのがズルい。眠気や疲れで判断も指の動きも如実に遅くなるのがわかる。

クラッシュ・オブ・クランでは戦闘意欲を失っている夫だけれど、「SPEED」では絶対私に勝ちたいみたいだ。私はおっとりしてるけどやる時にはやるのであっさり勝つこともある。でも現在の勝率では夫の方が上なので、このゲームがお気に入りのようだ。

本当は日常こそが脳トレの宝庫で、料理や掃除、何かの修理や書類整理などをこなしていれば、何もゲームに頼ることはないかもしれない。

しかし、親の代になると子供にそういう日常仕事を任せていくので、何かしら手と脳を動かすことを勧めてみるのもいいと思う。

結局は、親も私たちも「出来ることは出来るうちに楽しんでやる」ことが脳を丈夫にすると思うのだ。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/


最近またプールで泳ぐようになって、スポーツジムの高齢化も実感している。どんなコミュニティでも、お仲間がいないと高齢者は集まらないと思うけれど、少し増え始めると安心感からか増大するみたいだ。

誰かに誘われて、というきっかけさえあれば行く場所があることは良いことなので、家族も賛成するのだと思う。そして、運動によって気分が悪くなることもあるから、人の目のある所で運動した方がいいのは確かかもしれない。


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■ところのほんとのところ[137]
フォトラボkとお茶会と個展

所 幸則 Tokoro Yukinori
https://bn.dgcr.com/archives/20160223140200.html

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●フォトラボkという活動

香川県で活動しているプロジェクト「フォトラボK」7期生の作品が、ほぼまとまった。3月14日から、高松駅の目の前のシンボルタワーの4階にある「e-とぴあ香川」で、終了展が始まります。そして、8期生の募集が開始されます。

東京渋谷に何十年と住んでいた[ところ]が、年齢のために弱ってきている高松の両親のために、しばらく東京・高松二重生活をすることに決めた時、正直、両親の様子を見る以外に、何をして過ごせばいいのかと思っていました。

そんなとき、高松空港で見た「アート県香川」「アートのサンクチュアリ香川」という言葉にびっくりしました。

アートのサンクチュアリ香川という割には、高松にアート、特にファインアート、現代アートのことを知る人がほとんどいないように思われます。そこで、写真という親しみやすいメディアを使って、ファインアートの「いろは」ぐらい教える場があっていいんじゃないだろうかと考えたのです。

ということで、県の施設に話をしに行って、「フォトラボk」をやることになったのです。それが半年で一期が終わるスケジュールなので、この春からもう4年目になります。

正直、[ところ]はやる気だけはちゃんとあるので、カメラを買ったばかりの素人でも、3か月後には芸術系の大学の3年ぐらいまでの域にはほとんどの人が到達します。

学校と違い、お客様扱いしないで、はっきりものが言えるというのも強みだろうと思いますし、中にはもうアートフェアに出してもおかしくないようなレベルの人も出てきています。

興味のある西日本の方は「フォトラボk」で検索してみてはいかがでしょうか。香川県民に限らず徳島、愛媛、広島、京都からくる受講生もいるのでご安心ください。こちらで詳細をごらん下さい。受講申し込みの詳細が書いてあります。
https://www.e-topia-kagawa.jp/kouza/photolab8th.asp


●お茶の会で学ぶこと

「フォトラボk」で講義の後、中條財団の数寄者・中條さんからのお誘いで、お茶の会に行ってまいりました。

一つは、お茶席でのお茶の経験がない人でも入りやすい自由なお茶会。けれど空間は数寄者らしくこだわった、シンプルな木だけでできた新しい茶道の空間でおこなわれました。もう一つは、表千家の毒舌で面白いおばあさんが主人を務めるお茶会。

もともと父が茶器に興味があり、[ところ]も子供のころから茶器に親しんできたこともあり、とても興味深く楽しい会でした。毎月参加しよううかなと思っています。

茶の湯は、日本の伝統文化のひとつですが、単にお菓子を食べてお茶を飲むだけではなく、基本のお点前の稽古を通じて、人と人とのコミュニケーションを円滑にするための礼儀や作法を学びます。

また、道具の扱い方やその性質を知ることで、物を大切にすることや、物の見方、理解のしかたを学びます。

茶の湯は、生活の中のいろいろな要素を含んでいます。日常の挨拶は言うに及ばず、茶席の掃除や稽古のための準備や後片付け、お客様や後の人への配慮の仕方など、人との交渉術について学びます。

道具の素材は、磁器や陶器、金属や木、布や紙など。最近ではガラスや樹脂などもあります。これらの性質や特徴などを良く知り、「見る力」を養います。

また、茶花や書について学ぶことで、日々移ろい行く季節感や歴史について学ぶことも出来ます。

日本のお茶の歴史はざっと八百年くらいあります。それらは、覚えるというよりは、多分に感覚的に捉える性質なことですから、大人になってからよりも、むしろ素直な感性を持つ子どもの時にこそ学ぶべきことではないかと考えています。

実際、子ども達は、好きなことは驚くほど素直に覚えますし、その心は茶の湯に通じていると思います。ぜひ、子ども達にお茶を学ばせてあげて下さい。特に今からの時代には、必要不可欠なことと思うので、娘にも行かせようと思った[ところ]です。

●神戸で写真展「Einstein Romance」開催中

「Einstein Romance」の個展一回目は、東京の青山、丸の内、NY等で現代アート中心の展示を世界的規模で展開している、「アッシュぺー・フランス丸の内での開催をスタートとします(2015年6月20日〜7月30日)。

続いて「東京画」をはじめとして、様々なプロジェクトを展開しているクレー(太田菜穂子)がディレクションしている、東京の「ギャラリーkuu」での開催でした(2015年7月1日〜9月25日)。

そして、現代写真の現在を西日本の人もちゃんと見てもらいたいと思い、理解者たちの協力で東京から広島まで運び、広島市のアートギャラリー「Creative Lab Node」で1月に展示しました。

さらに、西日本で唯一、世界のフォトフェスティバルから、フォトレビュアーや国際的写真展の審査員として招待されている杉山武毅がディレクターをしている、神戸の「ギャラリー・タントテンポ」での個展をいま開催中です。

今では日本でも世界でも、お金さえ出せばが個展ができる、アート好きのオーナーのギャラリーが少なくないのです。でも、そうではない場所。

世界には目利きでもなく、知識も中途半端なギャラリーのオーナーが、ビジネスとして、趣味として、仲良しのアーティストや国内海外を問わず、個展をしてハクをつける人を受け入れています。地方の人はそれを知らないので、海外で個展を開いてすごーいという人がほとんどです。

[ところ]はそういう場所では展示をしませんし、そういう人の商売に乗る気もありません。写真集一つ出すにも、その本に書くあとがき一つにも、その道で世界から信頼されている人にしかお願いしません。

実際、香川の人が一番来やすい場所の中で、最も信頼できるギャラリーでの展示が今回のタントテンポです。客員教授をやっている大阪芸術大学の生徒も来やすい場所だと思います。皆さんぜひ、本物を見に来てください。

◎所幸則写真展 Einstein Romance
2016年2月6日(土)〜3月13日(日)12:00〜18:00 ※月・火・祝日休廊
Gallery TANTO TEMPO(タントテンポ)
神戸市中央区海岸通2丁目4-8 第2日新ビルB1F TEL.078-335-6510
http://tantotempo.jp/web3/


写真家・所幸則によるトーク 3月12日(土)16:00から 参加費1,000 3月6日(日)の15時から18時までは在廊しますので、作家本人に会って話をしたい方は是非どうぞ。ちなみに、個展会場に飾ってない作品でも、写真集「アインシュタインロマン」に掲載されている作品は、オリジナルプリントで買うことができます。詳しくはギャラリーでお訊ねください。お待ちしています。


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則  http://tokoroyukinori.seesaa.net/

所幸則公式サイト   http://tokoroyukinori.com/



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■crossroads[05]
ITの裏側に潜む脅威

若林健一
https://bn.dgcr.com/archives/20160223140100.html

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こんにちは、若林です。日曜日に「コンピューター&テクノロジー解体新書 ビジュアル版」という本を読んでみました。

タイトルと装丁から、子ども向けの図鑑的な本だろうと思っていたのですが、ソフトウェア、ハードウェア、サービスなど、色んな分野のテクノロジーの「仕組み」を解説した本格的な内容で、むしろ大人向けの内容に驚きました。

たとえば、「車の動く仕組み」についてはおおよそ知っている方は多いと思いますが、ITに関してとなると、どんな仕組みで実現されているのかを知らない人の方が多いと思います。

最新のテクノロジーはもちろん、それらの基礎となった古いテクノロジーについても図を中心に解説されていますので、ITの裏側に関心のある方は是非読んでみてください。

コンピューター&テクノロジー解体新書 ビジュアル版
http://www.amazon.co.jp/dp/4797384298


●情報セキュリティ10大脅威 2016

さて、今回はそのITの裏側に潜む脅威のお話。先日IPA(情報処理推進機構)が「情報セキュリティ10大脅威 2016」を発表しました。

これは、2015年に発生したIT分野での脅威(利用者に危険を及ぼすもの)で、特に影響が大きかったものを各分野の専門家が選び出したものです。

情報セキュリティ10大脅威 2016
https://www.ipa.go.jp/security/vuln/10threats2016.html


この中から、個人向けの脅威の内容とその対策について、簡単にまとめてみました。

1)インターネットバンキングやクレジットカード情報の不正利用

オンラインバンキングに似せたサイトで、口座番号やクレジットカード番号とパスワードを入力させて情報を盗み取り、お金を引き出したり、買い物をする手口。

この手口では、偽のウェブサイトが用いられますので、サイトのアドレスを正規のサイトと比較することで見分けることができます。

また、最新のブラウザであれば、パスワードの入力が必要な画面ではアドレス欄に「閉じた南京錠」のアイコンが表示されますので、「閉じた南京錠」のアイコンがなければ100%偽物と判断できます。

2)ランサムウェアを使った詐欺・恐喝

大切な情報(個人であれば写真やドキュメントフォルダの内容など)をまとめて暗号化、アクセスできないようにして、暗号を解除する代わりに金を要求するという手口。身代金目的の誘拐に近いイメージです。

この手口では、ウィルスやOSの脆弱性から侵入するケースがほとんどですので、対策としてはアンチウイルスソフトの利用と、OSのバージョンアップが有効と考えられます。

3)審査をすり抜け公式マーケットに紛れ込んだスマートフォンアプリ

スマートフォンアプリの中に、悪意のある機能を埋め込んでリリースする手口。アプリ開発者が意図的に埋め込む場合と、開発ツールに悪意のあるソフトウェアが仕組まれていて、善意アプリ開発者が作ったアプリにも含まれる場合とがあります。

アプリそのものは普通のアプリに見えますし、開発者自身も意図していない場合もありますので、この手口への対策は非常に難しい。

強いて言うならば、アプリのインストールを必要最低限にするということになります。もしくは、信頼できる開発元に限るというのもひとつの考え方ですが、そもそもどこが信頼できるのか? を判断するのも難しいところです。

4)巧妙・悪質化するワンクリック請求

リンクをクリックした時に契約・請求が確定したと誤認させ、高額の金額を振り込ませる手口。

IPアドレスやプロバイダのアドレスを表示したり、音を鳴らすなどの方法で、さも個人が特定されたかのように思い込ませて不安感を煽るなど、手口が巧妙化しているようです。

対策としては、無視するに限ります。そして、このような悪質なサイトへのリンクを設置しているサイト自身も、何らかの悪意を持っている可能性がありますので、そのようなサイトには近づかないのが賢明です。

警視庁:インターネット閲覧中に突然料金請求画面が表示された
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/haiteku/haiteku/haiteku35.htm


5)ウェブサービスへの不正ログイン

脆弱性を持った他のウェブサービスから入手したIDとパスワードの組み合わせを利用して、不正アクセスする手口。

この手口は、同じIDとパスワードの組み合わせを試すものがほとんどですので、サービスごとにパスワードを変えておくだけで被害を防いだり、対策までの時間を稼ぐことが可能です。

6)匿名によるネット上の誹謗・中傷

いわゆるネットの掲示板や、SNSなどでの書き込みによる手口。人間によるものなので、これを防ぐことは難しいですね。

7)ウェブサービスからの個人情報の窃取

ウェブサービスそのものに脆弱性があり、ここから情報を盗み取る手口。

これも個人で対策を取ることは難しいのですが、5)で説明した通り、盗まれたIDとパスワードが、他のサービスでも使われている組み合わせだった場合に、他のサービスも不正利用されるので、IDとパスワードの組み合わせは面倒でも違うものを使わなければなりません。まったく違わなくても、一文字違うだけでも効果はあります。

8)情報モラル不足によるサイバー犯罪の低年齢化

これは、具体的な手口というよりも社会的な状況の変化を表したものです。次の不適切な情報公開にも関連しています。

9)職業倫理欠如による不適切な情報公開

Twitterなどで食べ物を粗末に扱った写真を投稿したり、有名人のプライベートを暴露するような投稿を行うケースですね。

一般人が被害を受けることはなさそうですが、お店を経営しているような方であれば、社員教育を徹底しなければお店を畳むことになるかもしれません。

10)インターネットの広告機能を悪用した攻撃

3)のスマートフォンアプリを利用した手口に似ていますが、こちらは広告から悪意のあるリンクをへ誘導するというもので、一見普通の広告で掲載されているサイトも一般のサイトなため、悪意があるものかどうかの見分けは難しいようです。これも個人として取れる対策というのはないかもしれません。

簡単ではありますが、対策内容が少しは参考になればと思います。

情報セキュリティとはいうものの、技術的な問題だけでなくモラルの問題が多いですね。これはITが一般化した証拠とも言えます。サイバー犯罪の低年齢化もそういった状況を映し出しています。

道具には常に良い使い方と悪い使い方の両面があるもの、良い使い方を広められるようにしていきたいものです。


【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/

Twitter: https://twitter.com/kwaka1208


CoderDojo奈良
http://coderdojo-nara.org/

次回は、3月12日(土)開催です!


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編集後記(02/23)

●美内すずえと甲野善紀の対談「『ガラスの仮面』と真剣勝負!」が「新潮45」2015-12にあった。武術研究家・甲野の問いかけに応じて、美内の過去から現在までが語られていて、なかなか読み応えがあった。「ガラスの仮面」は24歳の時に連載を開始したのだから、2016年でじつに40周年、5000万部超。マヤのモデルは、棋士の坂田三吉だというから驚きだ。10歳のときに見た映画「王将」で、三國連太郎演じる天才棋士に引き込まれる。「なんでこんな人間がいるのだろう。人間ってなんだろう」と、映画館の椅子の上でかたまってしまったというお子様。「ガラスの仮面」は坂田三吉の少女版であったとは……。

主人公は劣等生の女の子。彼女が天才性を発揮する芸事を何にしようかといろいろ考えた末、演劇に落ち着く。生の舞台はほとんど見たことがない。演劇の知識は高校3年の演劇部で少しかじっただけ。だが主役のマヤも芝居の素人だし、自分もマヤと一緒になって演劇の勉強をすればいいやと思い、まず「演劇入門書」を読み、せっせと劇場通い。映画やテレビの世界ではなく、舞台を中心にした理由は、生の人間が演じる失敗のできない、やり直しができない真剣勝負が魅力だからだ。マヤが舞台である程度成功をおさめて、テレビの世界に進出するエピソードを描いたが、全然気分がのらなかったという。

この漫画を読んで演劇を目指したという役者や女優も少なくないが、美内はそういう人に会うのがたまらなく恥ずかしかった。想像力だけで描いていて、芝居をやったこともないし、現実の稽古場を取材したこともないからだ。現実が想像力の足かせになるのがいやだったからだが、いまは舞台での表現と紙の上での表現は、根底で一致するものがあり、漫画の世界を深く掘り下げれば、そのまま演劇の世界に通じると吹っ切れている。昨年の秋から、また人間から漫画家という別人種になっているらしい。ライティングマシンと化して、肉体を忘れる状態に入っているはずだ。神がかりにならないとあの世界は描けない。

「紅天女」は、いつかは能のようなところに行き着く。現実に、人間国宝・梅若玄祥が新作能「紅天女」を演じている。漫画文庫本がぎっしりつまった戸棚を覗くと、白泉社文庫「ガラスの仮面」は24巻まであった(2010年1月刊)。その後、2013年に25巻、2014年に26巻が出ているらしい。「紅天女」中心のかなり難解な世界になっているはずだ。でも、買わざるを得ないな。孫娘にセットであげると約束してある。いかん、本を整理しながら中をチラ見していたら、思わず引き込まれた。非常に危険である。これを読み始めたら止まらなくなる。いまは読むべき本が何冊もある。GW休みまでは戸棚は封印する。 (柴田)

「ガラスの仮面」公式サイト
http://www.hakusensha.co.jp/glass/



●うちの近所は学生と子供だらけ。私立の高校や公立中学高校がずらり。オリンピックでメダルとるようなマンモス男子生徒が早朝からぞろぞろ歩く。

駅前には有名進学塾が並んでいて、お正月でも小学生が通い、送迎のための車の行列ができる。駅への団体移動は、大人が誘導している。たぶん日本の将来を担う子たちになるんだろう。みんな賢そうだ。

文教地区ということで、教育熱心な家族が引っ越してくる。なんでも有名な公立小・中学校がいくつかあって、難関大学に行けたりするらしい。学区の新築マンションはすぐに埋まり、最近ではその公立小学校近辺の小学校までも人気。

区の機関紙には、子育て支援プロジェクトや相談会がたくさん。あちこちの使われていなかった建物が壊され、保育施設になっていく。ママさんたちはわりと年齢高めに見える。ハイソという感じではない。ハイソなママさんたちは車移動で歩かないのかも。

が、駅前の百貨店は、大阪一だか西日本一だかの杖ラインナップ数を誇ると聞いた。演歌歌手らが座長になる演劇施設があって、年配の方々が大移動しており、駅は時間帯によって年齢層ががらりと変わる。

学生以外のいわゆる「若者」が一番少ない気がする。どこにいるんだろう? 子供のいない自分には肩身が狭い街でもある。便利で静かでいいところなんだけどさ。 (hammer.mule)