ネタを訪ねて三万歩[132]アナログ人間の遠吠え/海津ヨシノリ

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友人から届いた案件は、私にとって初めての体験でした。企業内でつかわれるPhotoshopの操作に関する試験問題作成です。全部で50問。これにはちょっと驚きと新鮮さが同時に襲ってきました。

実は、問題作成という意味では過去にIllustratorの問題作成に関わったことがありますので、正確には初めての体験ではありませんが、Photoshopの問題作成は初めてです。もちろん、大学等での試験問題作成は除外した話です。

大切なのはトリッキーな設問ではなく、基本的な設問ですね。印刷向けなのかWeb向けなのか? といった具合にデータの作り方は千差万別。案外すんなりと設問が出て来てしまい、整理すると80問になっていました。最終的に50問に絞り込む作業は、他の設問との関係もあると感じて友人に頼みました。




とにかく仕事でしたが、新しい経験は大いに刺激を私に与えてくれました。自分を刺激することは、とっても大切ですね。そういえば、ここ数年毎年まったく新しいコトに関わってきました。

当然ガリ勉で切り抜けるわけですが、正直こんなに激しく勉強したのは受験の時以来です。もっとも、受験の時にガリ勉したというのは、自分自身の妄想かも知れませんけどね。

で、話を戻すと、項目が沢山出てくるようなデータを作成する時に重宝するのが、アウトラインプロセッサーです。しかし、私は随分前から使わなくなってしまいました。

別に毛嫌いしているわけではなく、かつてはかなり激しく使い倒していたのですが、なんとなくプレーンテキストでの処理に落ち着いてしまいました。

実は、無意識のうちにこの結末にたどり着いていたのです。類似した例として、自宅のパソコンでの入力処理だけであれば、アウトラインプロセッサーは最高の武器かも知れません。

しかし、出先での空いた時間にiPad等で続きを行うといった場合には、プレーンテキスト処理が一番効率が良いです。クラウド上のデータを活用するという意味では、Windows環境との互換性も大切ですからね。

そんな観点から見ると、私はマウス処理とローマ字変換に随分慣れてきました。いや、劇的に慣れたぐらいの進化です。

2005年に初めて多摩美術大学で授業を行った時、私はマウスが使えず、またローマ字変換がメタメタでした。もっとも多摩美術大学は講師ごとに環境を調整できるシステムを設定していたので、ついつい自分の環境を設定しローマ字入力は覚える気もありませんでした。

ただし、マウスに関しては問答無用で覚えました。教育機関でタブレットが使える環境を望むのはほとんど絶望ですから。しばらくして、自宅でもマウスを使う機会が増えてきました。

実は、大昔に親指変換システムにドップリ浸かっていたことがありました。オアシスキーボードです。Mac版もリリースされていましたので、とても快適でしたが、それはあくまでも自宅で作業をしている場合に限るという状況でした。

しかし、ある案件で出先のWindowsマシンでデータ修正の必要に迫られた私にとって大事件が発生しました。もちろん見事にメタメタな文字入力状態を、自覚したのは言うまでもありません。JISキーボードなどまったく使えなくなっていたからです。

この件でかなり焦った私は、苦渋の選択でキーボードをJISに変更し、かな入力となりました。ローマ字入力に移行出来なかったのは、この時のオアシス変換の名残りです。

しかし、それも後日苦労する結果となってしまいました。やはりローマ字変換です。一部の大学ではマシン環境を講師ごとに設定できないため、ローマ字変換を覚える必要が出て来たからです。

こうしてローマ字変換への行脚の旅が始まりました。よく考えてみて下さい。自宅では当然、使い慣れた環境で作業をするわけです。練習などする気になれません。しかし、次の週の授業ではローマ字変換が必要になるわけです。

このトワイライトゾーンに入り込んでしまった私は、かなり苦労しました。しばらくして、自宅ではタブレットの床にローマ字変換の一覧表を差し込んでの練習となりました。

ちなみに、私はタブレットはストレートで使っていません。カットした塩ビシートを貼り付けて使っています。当然コントロール系のボタンはすべてオフとしています。

正直、アレの必然性がまったくわかりません。完全にキーボードレスで作業ができる環境にでもならない限り、私には無用の長物です。

結局、色々なハンデが色々な学びにつながっていくわけですが、考えてみると便利すぎるコンピュータ環境からスタートする学生達にとって、今のこの便利な環境は逆に足枷になっているのかも知れませんね。

使い方を考える、必要なスキルとは何か? については二の次になってしまいかねないからです。まっ、そんな話をし始めること自体が、年寄りの域に入ってしまった故の遠吠えなのかもしれませんが、大切なのはツールの使い方ではなくて、アイデアの導き方だと思っています。

実は、そんな感傷に浸っている暇もないほど、仕事部屋は問題山積み状態。要するに、大学関係の書籍や資料類が増えたことに加え、封印していたプラモデル作りなどに関連した道具や素材類が突然増えたことにより、もう部屋の中はパンク寸前になっているのです。

廃棄できないモノが余りにも多すぎで困り果てていましたが、もうここは開き直るしかないので、昔の資料はPDF化し、読まなくなった本はすべて売却することに決めました。

ただし、決めた後の処理が大変です。売却対象をどれにするかの判断が難しいというわけで、振り出しに戻る〜結局何も進まないという悪循環に苦笑い。

いまだに誰も信じてくれませんが、私は完全にアナログ人間なんですよ……。

■今月のお気に入りミュージックと映画

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[幸せな結末]by 大滝詠一 in 1997(日本)

大瀧詠一にして「売れない」と断言したにもかかわらず、シングルとしては彼の作品の中で一番売れたという皮肉な結果が有名ですね。ちなみに「幸せな結末」はドラマの主題歌として作成されたそうです。私はそのドラマを見ていませんが、曲は大好きです。

実は、今月上旬に開催された有志による多摩美術大学造形表現学部三学科合同卒業制作発表会に出かけた時、突然頭の中でこの曲がかかったのです。歌詞は無関係ですが、学生達との四年間の思い出が走馬燈したのかもしれませんね。ちょっと不思議な体験でした。

ところで、台湾の三人組バンド「宇宙人」の日本デビュー盤アルバム "Cosmology" の14曲目に、日本のファンのためだけに新たにレコーディングしたカバー曲が入っています。これもいいですよ〜。

大滝詠一 幸せな結末


宇宙人(Cosmos People) 「幸せな結末」


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[Pixels]by Chris Columbus in 2015(U.S.A)

邦題「ピクセル」。まったく期待していなかった映画だったのですが、これは嬉しい誤算でした。この日本人にもなじみ深いゲームがたくさん登場するアクションコメディーは、続編が欲しくなる完成度。

コメディーといっても、破壊シーンは半端なくハリウッドクオリティーのリアルさ暴発。更にドンキーコングの産みの親である宮本茂氏が、本人役で出演しているんですよ。

とにかく、こういった映画が日本で作られることがない現実を、我々は悲しむべきでしょうね。そもそも日本で作られたとしても、冗談にも見る気はしないですから……。

ちなみに、どうして日本だとアニメなどの原作を実写化することが下手なのでしょうね。とにかく映画は脚本で化けるの教科書的見本かもしれません。激しくお薦めです。

ところで、『ドージョークエスト』のヒロインであるレディ・リサは要チェックです。わからない方は事前に調べてから鑑賞するといいですよ。ネタバレなのでこれ以上は書けません。

映画『ピクセル』予告編



【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/
        怪しいお菓子研究家
yoshinori@kaizu.com
http://www.kaizu.com
http://kaizu-blog.blogspot.com
https://www.facebook.com/yoshinori.kaizu

具体的なコトは差し障りがあるので避けますが、友人がある教育機関で非常勤講師をしています。彼の受け持ちのクラスで、修了時に生徒達により文集を作成する事になったそうです。

しかし、文集の類の作成は個人情報の関係で禁止されており、USBやCD-R、あるいはメールなどによる外部からのデータの持込みは、すべて禁止なのだそうです。

そんな中で、メールにてデータを窓口となっている出向者または生徒に送るという段取りになったそうです。すべてが禁止事項であり、友人は理由を説明してこれを拒否したそうです。

すると即座に関係者に対して友人は「データを出したくない非協力者」という烙印を押されてしまったそうです。ルールの是非はそれぞれの組織の問題であり、それを厳守しなければルールなど無用の長物。

真面目にやることで不快な思いをすることになったしまった友人に対して、大いに同情すると同時に、愚痴を聞くことしかできない自分に対して少しかなしくなってしまいました。自己中心的な人が本当に多いですからね。

●4月の画像処理セッションは4月21日の予定です。

〜Photoshopの復習【応用力が付く合成テクニック2】〜
講演内容:画像合成で押さえておきたい重要ポイントと、状況に合わせた合成テクニックを、解りやすく整理・解説いたします。

・写真構成を活用
・パース調整
・コントラスト調整
・合成よりも重要なカラー調整

参加は無料ですが、申し込みが必要です。
https://www.borndigital.co.jp/seminar/4263.html