グラフィック薄氷大魔王[473]ペンの持ち方のフォーム改造再び/吉井 宏

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●ペンの持ち方のフォーム改造再び

僕のペンの持ち方は、人差し指がグキッと90度曲がる系の良くない持ち方とされてるものだった。2008年頃に、人差し指を伸ばしてペンに沿わせる「正しい持ち方」にフォーム改造した。その持ち方のほうが、ペン先の可動範囲が広いから。
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20080402140200.html

Pixarやディズニーアニメーションスタジオの作品の特典映像のメイキングで、制作スタッフがペンタブレットや液晶タブレットを使ってるのがときたま映るんだけど、みなさんペンの持ち方が独特。「正しい鉛筆の持ち方」的な握りかたをしてるのは少数派。

「モンスターズ・ユニバーシティ」のメイキングからいくつかキャプチャしてみた。
http://www.yoshii.com/dgcr/pixar_pen.jpg




ペンを人差し指と中指の谷で支えてるのが「正しい持ち方」とすると、Pixarの持ち方はたいてい中指と薬指の谷。薬指と小指の谷って人もいる。

右上の人は親指と小指+薬指で挟んでる。左下の女性は極端にぶっといグリップをつけてる。右下の堤大介さんは割と普通。日本人だからかな? 板タブintuos3 Wは真っ平らに置いてる。

で、Pixar持ちを真似して、中指と薬指の谷に挟んで書いてみたところ、人差し指を沿わせる正しい持ち方よりもさらに可動範囲が広く、安定して動かせる。

シャカシャカとスケッチするには向かないけど、清書とか塗り分けの場合にしっかりぶれずに書ける。

ペンの持ち方による可動範囲の違い。「Pixar持ち」は広く、「グキ持ち」は狭い。三分の一くらい。「正しい持ち」はその中間。
http://www.yoshii.com/dgcr/motikata-en.jpg

可動範囲が広いと何がいいかというと、板タブの場合、掌で位置決めしてる都合上、動かすともう一度位置決めしなきゃならない。可動範囲が広いと一度の位置決めで多く描けるってこと。小さい板タブならもっと広く描ける。

まだぜんぜん慣れないけど、ちょっとしばらくこの持ち方でやってみる。

ただ、グキ持ちにも長所はあって、短いストロークや点描的な描き方をしやすいのと、強く握ってるから他の持ち方みたいにブレたりヨレたりしない。

いくつかの持ち方を、目的に応じて使い分けられればいいな。Pixar持ちはラフの清書とかには打ってつけ。

・一般に言われる「鉛筆の正しい持ち方」はきれいな文字を書くための持ち方であって、絵を描くときの正しい持ち方ってあんまり関係ないんだろうけどね。

●板タブの上の筆跡が見える!

板タブで自在に描く方法について、ものすごいバカバカしいやり方を発見した。

摩擦調整のためにintuosに敷いてるカッティングマットは、裏の黒い面を使ってる。さっき、描いてた絵の筆跡がカッティングマットに残ってた。

画面を見ずにその筆跡に加筆していったら、当然画面には板タブと思えないほど自由自在に描かれたスケッチが出来たのだったw これ、イケるよ!

カッティングマットに描く範囲を四角で囲っておき、その中に描きまくる。筆跡は数分で見えなくなる。で、また新しいのを描ける。画期的だw

なんでカッティングマットの筆跡を見つけたかというと、画面を見ながら描くとヘボい丸しか描けないけど、手元を見ながら描けばちゃんと丸が描けるなあ。って比較してたら、あ、ペンの痕が残ってる! って。

で、バカバカしい方法だけど、僕的には非常に有効。板タブは鉛筆のラフをスキャンして、ブラッシュアップしていく段階では問題ない。

でも、ラフスケッチを紙と鉛筆やボールペンで、何十枚とか勢いにまかせて走り書きする段階は、板タブでは難しい。ツルツルの液タブでも快適とは言いがたい。

昔のワコムのペンタブには、オプションでボールペン芯が使えるものがあった。今もあるかな? カッティングマットで筆跡が見にくいなら、紙を敷けば筆跡は見える。なんだったらカーボン紙っていうか感圧紙を使えば完璧。

調べたら、ボールペン芯と対応のインクペン、まだ売ってた! 買わなきゃ。
http://store.wacom.jp/detail/1223
http://store.wacom.jp/detail/1284

カッティングマットに残った筆跡でもいいけど、ボールペン芯でラフ描きを20年ぶりにやってみよう。

そしたら、レポートパッドの紙に書いた絵が保存できるWACOMのBamboo Sparkが魅力的に見えてきたぞ。僕的にはスキャンするから不要とか言ってたけど。ボールペン芯で紙とデジタル両方に描くのと仕組みは同じ。
http://gigazine.net/news/20160122-bamboo-spark/


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/

描きにくいなと思ったら、ペンの持ち方のフォーム改造の他、姿勢や椅子の高さやペンタブの置き方を変えたり、描画範囲のサイズを変えたり、ってのは、ほぼ毎日やってること。奇跡のように自由自在に描ける数時間がある一方で、どうやってもまったく描けなくなることもある。今がそれ状態w

おっかしいなあ。うまく描けてたときのやり方に全部戻してもダメ。液タブもiPad Proもぜんぜんダメ。困ったなこりゃ。とかやってても、翌日には回復してたりする。「バイオリズム」みたいなもんなんだろうな……。

・ショップジャパンのキャラクター「WOWくん」
https://shopjapan.com/wow_kun/

・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500

・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii

・rinkakの3Dプリント作品ショップ
https://www.rinkak.com/jp/shop/hiroshiyoshii