3Dプリンター奮闘記[77]素材の進化と加工技術の普及/織田隆治

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前回もちょっと書きましたけど、素材のお話。

数年前に制作したあるものが、先日戻って来ました。新しく作り直すことになったんですが、そういえば、ここ数年で3Dプリンターの素材って、すごく良くなっています。

この場合、FDM(熱融解式プリンター)のことになりますが、数年前に使っていたPLA素材は固い上に研磨すると熱で粘りが出て、伸縮するのも難点でした。

久しぶりに、以前作ったものを改めて見てみると、年数劣化により、かなりの歪みが出て来ていました。接着面や、厚みが変化する個所、重さがかかる個所などは、極端に歪みが出ていました。

これ、作っている時から、少し感じていました。




4年前くらいに使ったPLAは、それはもう固くて、表面処理をするのにかなり苦労してきました。

そして、それを緩和するためでしょうか。ある程度の柔らかいPLAが出て来たんですが、可塑剤が多く使われているせいなのか、変に柔らかくなってしまい、そのせいか、力がかかる個所が曲がってきてしまう症状がありました。

それが、数年経ってみると、明らかにひん曲がってました……。

この頃では、色々と工夫されたフィラメント(素材)が出て来ています。最近発表されたもので、気になっているのがPolymaker社の「PolySmooth」です。

ポリビニルアセタール樹脂という素材を使っているらしいのですが、「Polysher」という表面加工をする機器を同時に発表しています。

これは、記載によるとエタノール等のアルコール成分を噴霧することで、造形物の表面を溶かして、積層痕をなめらかにするもののようです。

詳細はググって頂くとして、すごく気になるブツであることは確かです。

ABSはアセトンをよく使って、同じような方法でこんな処理を行いますけど、ポリビニルアセタールだと、エタノールで出来るんですね。

それを、コントロール出来るっては凄くやりやすいのかな? ABSなんかでこれをやると、エッジが溶けすぎたり、コントロールが難しいんですよね。

他で気になっているのは、加工が出来たとして、その後の塗装や接着はどうなんだろう、ってことです。

ポリビニルアセタールという樹脂、ビニール系みたいなんですが、表面がツルツルになる、でもって塗装も接着も出来る! となると、これ良いでしょうね。

もしかして、この素材を使ってプリントすると、普通に売ってる加湿器(加温じゃない方)に無水エタノール入れて密封したら、同じこと出来るのかな? とか考えたり(笑)

まあ、3Dプリンターの難易度って、まず初心者がブチ当たるのが3Dデータの制作ですよね。

そして、ある程度データが出来るようになったら、次はまず出力しただけで満足して、そして次は、仕上げをしたくなる。

でも、今までのPLAだとかなり研磨作業が面倒なんですよね。

日頃、プラモデル作っている人とか、造形をやっている人は比較的入り易いんですけど、デジタルな人には取っ付きにくいんです。でも、こういう物が出て来るのは、とても良いことだなぁと思います。

最近では、3Dプリンターで出力した物を仕上げるワークショップなんかも、ポチポチ出て来ましたね。そういうワークショップ、僕も今度行います!(笑)

PLAを削って4年。ずいぶん慣れて来ました。

FRP(繊維強化プラスチック)を削るのも結構大変なんですが、FRPで使われるポリエステル樹脂って、固いですけどサクサク削れるんですよね。

それに比べて、PLAってのは固い上にネバリがあり、融点が低いことから、サンダーなんかで磨くと、直ぐに溶けてしまってペーパーの目が詰まります。これって、凄く磨きにくいんですよね。

力任せに削ると、だいたいイヤになるんですよね。うまく削れなくて。

これはこれで、磨くにはコツがあって、そのあたりをレクチャーするワークショップが出て来ているんですね。

最近は道具も色々あって、便利になって来ました。僕がどんな道具を使って、どういう手順でやっているかは、今度のワークショップでお知らせしようかなぁと思います。

お楽しみに〜って、言っても、基本は少人数で行いますので、あまり広告はしないんですが……。

さて、来月もひとつロボットの外装の仕事が控えていて、これもすべて3DCADにて設計し、3Dプリンターにて制作します。

最近では、そういった後処理の方法も含めた講義や実技なんかも多くなり、3Dプリンターを使う人がどんどん増えて来るのが楽しくなってきました。

そろそろ学校での講義も始まります。さて、本年度も楽しみです!


【___FULL_DIMENSIONS_STUDIO_____ 織田隆治】
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