グラフィック薄氷大魔王[475]インクペンとボールペン芯
── 吉井 宏 ──

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●インクペンとボールペン芯

WACOMのインクペンが届いたので、ボールペン芯を装着して描いてみた。ボールペン芯を使ったのは20年ぶりくらいかも。

intuos 5のLサイズだとA4コピー用紙の範囲でちょうどいい。範囲を確認した上で、ディスプレイを見ずにグリグリ描く。Photoshop上にはボールペンで描いたとおりに絵が出来てる。

「板タブ苦手」とか関係なくなる。こんなに単純で原始的なやり方なんだけど、液晶タブレットが普通の存在になった今となっては、新鮮!

http://www.yoshii.com/dgcr/inkpen-00

このくらいのスケッチを板タブだけで描くと数十分はかかる。ボールペン芯なら10分くらい。普段は描いた線を消したり移動したり、なんだかんだ迷いながらなので時間かかっちゃう。




ボールペン芯を装着できるインクペンには、サイドボタンどころかテールスイッチ(消しゴム)もついてないから、消すこと考えずに前に進むしかない。

アイディア出しのとき、ガーッと大量にスケッチを描くときに重宝しそう。あと、紙のスケッチが残るのもイイ。よく考えたら、よく考えなくても、ボールペンで描いてスキャンすりゃいいんだけどねw

ボールペンと画面で同時描きのメリットは、断絶がないこと。

鉛筆と紙だとどこかの時点でスキャンする決断をしなきゃならない。iPad Proで描いてても、Macで作業の続きをするのならどこかの時点で書き出ししなきゃならない。ボールペン芯を使って描いてる最中にもスケッチはPhotoshop上に「在る」ため、いつでも次の段階に移れる。

ただ、油性ボールペンは滑りすぎて苦手ってのはある。水性ボールペン芯があったらなあ……。直径が同じ水性ボールペンの芯を探して切れば使えるかも。

余談。付属のボールペン芯3本のうち2本がインクが出なくて書けなかった。ぐるぐる書いたりティッシュに書いたりしても出ない。最後の手段で熱湯につけたら2本ともちゃんと書けるようになりましたとさ。よかったよかった。

●ボールペン芯で板タブ事情の活性化と混乱w

以前しつこく書いてたように、intuos5 Lで10cmの丸を描くと、27インチシネマディスプレイでは18.5cmくらいになる。見かけが185%拡大なので、相当なサイズ差がある。

逆に言えば、ディスプレイ上で5cmの丸はintuos上では2.7cm。ボールペン芯で描かれた絵を見ると、こんな小さいサイズでうまく描けるはずねえ〜! って納得する。

結局、細かい部分が描きにくかったら画面いっぱいに拡大表示するか、プレシジョンモードを活用する以外に方法はないのだ。

指先で描くタイプの描き方なら問題ないんだろうな。元々肩で描くタイプなのでマジ苦労する。

結局、Cintiq 13 HDやiPad Proでも思うように描けないのはソレ。かといって、でかい液タブなら肩で描けるかというと摩擦の問題が出てくるw どっちに行ってもダメだなあ。

●サイズ感覚を取り戻すボールペン芯

そろそろ仕事のドローイングをしなくちゃいけないのに、板タブ直書きはぜんぜんダメ状態。まったく描ける気がしない。ちょっと間が空くとたちまち描けなくなるのはいつものことなので、慣れっこだけど。

そんなときは、インクペン+ボールペン芯! 板タブに描く感触がたちどころに復活するよ。画面と手元のサイズ感を統一して把握できる感じ。

最初は紙を見ながら描き、数分後ちょっと慣れたらディスプレイをチラチラ見ながら描いてるうちに、すぐディスプレイだけ見て描けるようになる。こりゃいい。

その後、何度か「板タブ感覚の復活」のためにインクペン+ボールペン芯を積極的に使ってみてるけど、本当に即座に感覚が戻る。初心者の板タブ訓練にも使えると思う。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com

Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/


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・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii


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