「規則正しい」という言葉とボクの生活は無縁だ/フジワラヨウコウ/森山由海
── 藤原ヨウコウ ──

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デジクリの編集長から久々にメールをいただいたら、内容は「去年入院したときの顛末記を書いてくれ、急いでネ」というものだった。もちろん、暗に「面白おかしく、少々もっても構わない」ということだろう。

日頃から記憶に関してはさっぱり自信がないので、自分のブログを眺めながら無い記憶をひねり出そうと思う。ある意味、苦行だな(笑)

元々、胃潰瘍持ちである。悲しいコトにピロリ菌に由来する胃潰瘍ではないので、質が悪い。原因がピロリ菌なら、いまはさっさと除菌ができてあっさり治ってしまうのだ。

何度検査をしてもピロリは検出されず。完全に心因性のものだ。胃痛は「でふぉ」であり、胃痛がないときの方がむしろ異常を感じるような日々を過ごしているわけだ。これはこれでなかなか情けない。

というワケで本題。話は一昨年の暮れに飛ぶ。


先に書いたように胃痛は「でふぉ」なのだが、胃痛で夜中に目が覚める、というようなことはなかった。ボクは睡眠薬を飲まないと眠れない人なのですが、薬が入った状態で夜中に目が覚めるなどと言うことはもちろん想定していなかった。

とにかくものすごい痛みなのだ。一週間ほど我慢したのだが、改善の見込みがなかったので病院に。もちろん胃潰瘍が悪化と診断された。

この時はお薬を処方してもらって、目が覚めるほどの痛みはどうにかこうにか無くなった。こうなればいつも通りの身体である。もちろん、後はほったらかしだ。

それから4か月後。

眠りを中断されるほどの痛みではなかったのだが、痛みが酷くなっていたのは自覚していた。が、暮れの痛みで目が覚める、という経験がこの時は仇になったのだ。

あの時みたいに、眠りが中断されてるわけではないから大丈夫だろう、と高をくくってしまったのだ。何しろゴールデン・ウイーク突入前の4月末である。のうのうと病院に行く気もまったく無い。我慢していればどうにかなるだろうと思っていた。

記録によると4月25日(土)の夜に急変した。未明に激痛で一度失神して、さすがにこれはヤバいと思ったので、119に電話。取り敢えず財布(保険証入り)と携帯だけは握りしめて、緊急搬送ということになった。

もっとも、この時点でもう既に意識朦朧状態で、記憶も途切れ途切れなのですが。なので吐血していたことなど知る由も無し。

救急隊員の方が来て下さったときには吐血していたよう……これまたあとから知ったのですが、出血性パニック(?)とやらに陥っていて、過呼吸も起こしていたようだ。胃の痛みにはそれなりに慣れていたつもりだったのですが、上には上があるもんです・・・_| ̄|○;

ICU(集中治療室)に搬入され、すぐに処置。内視鏡で診断を受けたらしいのですが、この時、胃の中は大量出血のせいで真っ黒の状態。出血点もなかなか見つけられなかったそうです。とにかく、止血処置をして、輸血までされたらしい。

結論から言うと胃穿孔の一歩手前で、潰瘍が発生した場所がたまたま動脈の上だったので、大出血に至ったらしい。この時初めて胃の中に動脈があるということを知った。当たり前と言えば当たり前なのですが。

日が開けて26日(日)再度内視鏡検査。結果は同じで、まだ胃の中は真っ黒で、胃の詳しい状態は把握出来ず。

28日(火)の朝まで点滴、寝たきり状態。やっと火曜日の昼頃になってまともな(?)思考ができるようになり、看護士さんのお話を普通に聞けるようになった。

この時点で、ビビりまくったのがお仕事関係。営業の予定やら、原稿がいつ入ってくるかが気になり始めて、気が気ではない。取り敢えず営業の方はキャンセルの連絡をして、一難去ったものの、問題は原稿である。

先にも書いたようにゴールデン・ウイーク直前である。下手に原稿が入り出したら手に負えない。仕事を断るというのは基本的に死んでもイヤなので、ここから胃潰瘍のことはなかったことにしてもらうべく、主治医の先生に直談判である。

色々オプション付きではありますが(当たり前だ)水曜日に退院という方向で無理難題を押しつけた。もちろん先生がいい顔をするはずはない。

ちなみに、ダメと言われたら脱走する気だったのだ。イヤ、笑い話ではなく。それぐらい切羽詰まっていたのだ。

フリーというのはこういう時融通が利かない。代わりの人は、まぁ見つけようと思えば簡単に見つけられるのだろうが、そうなったらこっちはおまんまの食い上げである。何がなんでも、お仕事が出来る環境に戻らなければならない。

30日(木)、三度目の内視鏡検査。今回はちゃんと見れた。やはり思いっきり出血していたのと、止血点はばっちり止血できているのが確認。

主治医と看護士さんに色々注意を受けて、昼頃無事(?)に退院。部屋に戻って後片付けをもたもたしていたら日が暮れた。

閑話休題。

出血性パニック(?)というのを初めて経験したのだが、あれはもう本当にドラッグの世界で、ワケの分からん記憶やら妄想やらが断片的に止め処なく回転して、頭の中がワヤになるもんですな。

時々、我に返るのですがそれも短時間だし、虚構と現実の境などさっぱり分からん。そもそも、意識しているのは絶え間ない痛みだけで、その他のことはどうでもいいのですが、ナゼか脳は拒否しようとするみたいです。一般的な症例は知りませんが。

話を戻す。退院してから約一か月くらいは貧血に悩まされた。大出血、と言うのは嘘ではなかったらしい(医者が嘘をつくとは思えんが)。

とにかく、ちょっと外を歩くとクラクラ来る。これにはまいった。生まれてこの方、貧血など起こしたことがなかったので余計である。

さて、普通の人ならこれに懲りて色々と用心したりするのだろうが、ボクはアホなので、なんにも注意しなかった。特に食生活は発病前とまったく変わりなしである。

ちなみにボクは一日一食しか食べない。栄養バランスも考えたことがない。カロリー計算などは論外である。かてて加えて、今は単身赴任中なので、食べる時間も好き勝手にしている。

気分が乗らなければ、二〜三日食事をしないこともザラである。食べることそのものに、興味がまったく無いのだ。食べずに済むなら、そっちの方がよっぽどお気楽でいいと本気で思っているような人間である。

「規則正しい」という言葉とボクの生活は無縁だと断言してもよかろう、呵々。

で、病状がおさまっているので、さらに図に乗るのである。幸い、この一年はいつもの胃痛レベルで過ごせたと思う。記憶にない上に記録もないので、多少の痛みは我慢して誤魔化したのだろう。

とにかく、お医者さんに行くほどの痛みはない。ただこの状態が健康的かというと、もちろんそんなはずもなく、いつまたあの激痛が襲ってくるのか分からない。

ただ分からないからと言う理由で、ビビるような性格ではないので、予防もまったくしていない。我ながらなかなかお気楽な人だと思う。そんな人間の忠告に説得力がないのは百も承知しているが、最後に一言。

お身体はお大事に。


【フジワラヨウコウ/森山由海/藤原ヨウコウ】
YowKow Fujiwara/yoShimi moriyama
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