[4136] C言語な自分がRubyを始めた話

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《年越しで段ボールハウスに絵を描いた》

■羽化の作法[17]
 強制撤去が近づいてくる・2
 武 盾一郎

■crossroads[16]
 C言語な自分がRubyを始めた話
 若林健一




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■羽化の作法[17]
強制撤去が近づいてくる・2

武 盾一郎
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160607140200.html
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ラブホテルの壁画制作が終わって、休む間もなく僕たちは新宿西口地下道の段ボールハウスに絵を描き続ける。

絵を描く場所は、新宿駅西口地下から都庁に向かってまっすぐ伸びる二本の通路の右側、通称〈B通路〉(行政的には「新宿副都心4号街路地下道」)に並んだ300メートルに及ぶ長過ぎる段ボールハウス長屋だ。

今は動く歩道となっているこの場所に、ほとんど隙間なく段ボールハウスが建ち並んでいた。僕たちはそこをすべて絵にするつもりで臨んだ。

強制撤去が来ることは確実で、問題は「いつ」だった。自分たちの絵がすべて強制的に排除されるだろうことを知りながらも、「絵で埋め尽くす」想いで休まずに筆を握った。

この時期になると「段ボールハウスに絵を描いてもいいですか?」と聞いて、断る家主さんはほとんどいなかった。

「もうどうせ、(強制撤去で)なくなっちゃうんだろう? 絵を描いても捨てられっちゃうじゃねえか」

そんな感じに言われることもあったが、「一軒でも多く絵を描きたいのです」と答えた。

1995年12月23日(土)はれ 新宿やー! 通行人がやけに絵を見て行く。木暮さんが写真展をやっていた。少し話す。この日、たった今ホームレスにならんとする人に出会った。:制作ノートより

12月25日(月)ファンさんが農協乳酸菌飲料をくれた。ファンさんとはいつも僕らを気にかけてくれたおっちゃんのひとりで、在日のホームレスの人だった。:制作ノートより

当時はまだ50代くらい見えた。戦争で(親が)日本に連れてこられた、と語ってくれた記憶がある。普段は極めておとなしい感じの人なのだが、撤去直前、B通路の真ん中に立ち、演説のようなことをしていた姿を見かけた。通行人たちは足早にそこを通り過ぎていた。

クリスマスの日、三人は手分けして段ボールハウスに絵を描き始めた。あちこちに手をつけ始めたのだ。いそぐしかなかった。

12月30日(土)若松町のいわしで飲んで、カラオケ行って、ゲイバーへ行って、帰りにラーメンまで(パンチパーマの〇〇さんに)ごちそうになって、その後ぶっ通しで絵を描いたので、何が何だか憶えていない。:制作ノートより

この年の大晦日は、夜から翌年の元旦の朝日が昇るまで年越しで絵を描いた。わずか四か月前にはこんなことになるとは思ってもみなかった。

強制撤去の日(まわりの人たちは「Xデー」と呼んでいた)は、いろんな情報が入ってきて、1月13日にやられるんじゃないかというのが有力な情報だった。

急いで描いていくこと、残らず捨てられるとしても、つまらない絵は残さないこと、それだけで頭がいっぱいだった。

●ダンディなケンさん

年が明けて「ケンさん」の段ボールハウスに絵を描きはじめた。

長さ300メートルものB通路の、長屋段ボールハウスのちょうど真ん中あたりに、普通とはちょっと違ったとても大きな段ボールハウスが建っていた。

その巨大段ボールハウスの家主が「ケンさん」で、何が変わっていたかというと、そこはホームレスの人達の「サロン」になっていたのだ。

段ボールの壁の内側は大きなテーブルと椅子とソファ、そして壁には絵も飾られていた。段ボールの壁の外側は長さは5メートルくらいはあっただろう。

さらにゲストハウスまで建ててあった。撤去直前に僕は家に帰らず24時間体制で制作するのだが、このゲストハウスで何度か横にならせて貰ったのだ。

ケンさんとは物腰も柔らかい人で、見た目もインテリっぽいダンディな人。

ホームレスの人たちは、なんだかんだいっても現場労働をやってた人が多い。
屋外で過ごすことが多いからでしょう、日に焼けて陰影がはっきりして、顔が
いかつく見える人が多い。僕はその顔が「とても良い顔」だと感じていた。

ところが、「ケンさん」はするっとした顔立ちで、身なりも綺麗に整えていた。チノパンに白いシャツ、シャツの腕には当時流行っていたアームバンドをしてたりした。
http://store.shopping.yahoo.co.jp/peacekoubou/151006.html

『ダンボールハウスで見る夢』(中村智志、草思社、1998)にもよく登場する人だ。
http://www.amazon.co.jp/%E6%AE%B5%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%81%A7%E8%A6%8B%E3%82%8B%E5%A4%A2%E2%80%95%E6%96%B0%E5%AE%BF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%AC%E3%82%B9%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E6%99%BA%E5%BF%97/dp/4794208073

新宿西口地下道段ボールハウス村には、高学歴な人もちらほらみかけた。いい大学に行けば食いっぱぐれはないのはある程度事実だろうが、いったい何がその人をホームレスにさせるのか? 知れば知るほど分からなくなるのだった。

「ケンさんのこの巨大な壁面に何を描こう?」

三人は話し合って「群像」を描こうということになった。『新宿の左目』でやった時と同様に境界なしの即興性で描こう、と。

「ケンさん」の家の巨大絵を拠点にして、三人が各々に散らばって段ボールハウスに描きつつ、ケンさんの巨大サロン段ボールハウス壁には三人で合作することにした。態勢は決まった。

「Xデー」が来る。(つづく)


【武盾一郎(たけじゅんいちろう)/早朝散歩始めました】

小説家の星野智幸コレクション全四巻(人文書院)の装画を担当することになりました。只今、III巻『リンク』を制作中。制作過程をフェイスブック、ツイッターにアップしております。夏以降に出版となります。乞うご期待!
https://twitter.com/hashtag/%E6%98%9F%E9%87%8E%E6%99%BA%E5%B9%B8?f=tweets

三枝三七子 おはなし展覧会 Vol.13
「この声がきこえますか?この思いがとどきますように。」
https://www.facebook.com/Miedaminaco/
2016年6月6日(月)〜11日(土)
ピンポイントギャラリー 東京都港区南青山5-10-1 二葉ビルB1F
チャリティ展部門に参加させて頂いております

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■crossroads[16]
C言語な自分がRubyを始めた話

若林健一
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160607140100.html
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こんにちは、若林です。この週末で九州から関東甲信までが梅雨入りし、雨の季節がやってきました。

私、雨は好きな方で、といっても程度の問題であまり長すぎるのは困りますが、雨音を聴いていると集中力が高まり心が落ち着くので、適度な雨、特に週末の雨は割と好きです。

●本格的にRuby始めました

このたび「Ruby」というプログラミング言語の勉強を始めました。

プログラミング言語というと、海外の企業やエンジニアが開発したものが多い中で「Ruby」は「まつもとゆきひろ」さんという日本人が開発した言語です。

まつもとゆきひろ - Wikipedia
http://bit.ly/1Xw71IL

2月に一度、友人を講師に「Ruby」の勉強会を開催してから、少しずつ使い始めてはいたのですが、順序だてて勉強するのではなく、必要に応じて情報を探して作るという方法だったため、一度やったことも忘れてしまうことが多く、「このままではいつまで経っても身につかない!」と考えて入門書を購入。

仕事ではJavaやC++なども扱いましたが、C言語を使っていた期間が長かったこともあり、最近のモダンなプログラミング言語にはなじみが薄い自分は、今更ながらCとRubyのギャップに感激しています。

●多重代入

カルチャーショックというか、一番驚いたのは「多重代入」という言語仕様。従来の言語の場合、変数に値を入れる「代入処理」というのは、

a = 1;
b = 2;
c = 3;

のように、1行でひとつの処理を書くのが普通です。
これがRubyだと、

a, b, c = 1, 2, 3

と1行で書けてしまいます。
さらにすごいことに、2つの変数の入れ替え処理を

a, b = 1, 2
a,b = b, a

だけで書けてしまうのです。

これは1行目でaに1、bに2を代入し、2行目でそれらを入れ替えているのですが、普通なら、

tmp = a;
a = b;
b = tmp;

のように、ひとつ別の変数を用意し、移し替えておく必要がありました。

実際の世界に置き換えて考えれば、ふたつの容器の中身を入れ替える時、いずれか一方の中身を移しておく別の容器を用意するものですね。

したがって、従来の言語仕様の方が理解はしやすいと思いますが、多重代入を使えばソート処理(データを一定の基準で並べ替える処理)のようなコードは、かなりシンプルに書けるようになるというメリットがあります。

●動的型付け

これはRubyに限った仕様ではなく、PythonやJavaScriptでも同じなのですが、C、C++、Javaのような「静的型付け」に慣れた人間だと、とまどうことも多い仕様です。

「型」とは、その変数が文字なのか数字なのか、数字の場合整数なのか小数を含むのかといった情報で、これを変数の宣言時に決めるものが「静的型付け」、実行時の値によって決まるものを「動的型付け」と言います。

それぞれメリットデメリットがあり、「静的型付け」であればバグで変数の取り扱いに間違いがあったとしてもエラーとして発見しやすく、「動的型付け」であれば設計変更などにより、扱うデータの型が変わってもコードの変更がほぼ必要ないといったメリットがあります。

Cでプログラミングしていた時に、例えばlong型変数の演算結果を間違ってint型に代入してしまい、int型のサイズを超える演算結果が失われていた(もちろん、コンパイル時点で発見することが可能なのですが)といったことを一度は経験されていると思いますが、動的型付けだとそういった失敗が起こりにくくなります。

その一方で、様々な結果を想定した単体テストを書く必要があるので、テストコードの量が増えるというデメリットがあるようです。

自分はまだそこまで大規模なコードを書いているわけではないので、今のところ書きやすさのメリットを感じていますが、参照時の型指定を忘れてエラーを起こすこともあります。

●文法の違い

Cプログラマーが陥りやすいのが「うっかり行末にセミコロンをつけていた」というミス。

CやCの言語仕様を踏襲している多くの言語では、行の終わりにセミコロン(;)をつける仕様となっているため、これに慣れたプログラマーはつい最後にセミコロン(;)を書いてしまい、実行時にエラーを起こしてしまいます。

分岐処理や繰り返し処理の制御構文の違いも、慣れるのには時間がかかりそうです。

繰り返し処理については、Cだと自前で実装もしくはライブラリにたよっていたような機能が言語仕様レベルで実現されているものもあり、本当に便利な世の中になったなと、新しい家電機器に感動するおじいちゃんのような気持ちで学んでいます。

●冒険の旅に出よう

新しい技術を習得する時の感覚って、RPGで新しい武器を手に入れたり呪文を覚えた時の感覚に似ています、便利な機能や強力な機能は使ってみたくてしょうがない。

いつまでもそんな新鮮な気分を味わえるのは、エンジニアの特権ですね、せっかく手に入れた新しい武器を使いこなせるようになるように、色んなモンスターと戦う旅に出てみたいと思います。


【若林健一 / kwaka1208】
http://kwaka1208.net/
https://twitter.com/kwaka1208

CoderDojo奈良&生駒の開催予定
http://coderdojo-nara.org/
奈良:6月11日(土)午後
生駒:7月30日(土)午後


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編集後記(06/07)

●全世界シリーズ累計6500万部を超す大ベストセラーを映画化したパニック・アクション超大作、というフレコミの「レフト・ビハインド」を見た(アメリカ、2014)。飛行機のパニックものは好きなので期待していたが、なんじゃこりゃーの宗教映画だった。パイロットのレイ(ニコラス・ケイジ)が操縦するジャンボジェット機内が空中の舞台、その娘が右往左往するのが地上の舞台。空中では副操縦士を含む多数の乗客が、服だけを残して消失する。子供はすべていなくなる。地上では息子と母、多くの人々が同様に消失して大パニックに陥っている。この異常事態の真相はなにか。これは面白い設定だ。しかし……

どうして消失したのか。キリスト教徒でないとわからない。キリスト教系の大学へ行って「基督教概論」で挫折したわたしだ。チャペルの礼拝に一回しか出たことがない。キリスト教に理解がないから、この「限られた人々」の消失の意味がまったくわからない。この現象は「携挙」、別名で「空中再臨」とも言い、イエス・キリストがキリスト教徒を自身の御元に引き上げることを指す、のだという。キリストが認めた者だけが引き上げられる。確かに夫や娘に信仰を強制する狂信的女性は引き上げられる。ところが、子供の携挙は信仰に無関係らしい。そんな無茶な〜。世界中でこんな迷惑な事態が発生しているらしい。

って、そのとき日本の子供たちはどうなっていたんだろうね。問答無用のキリスト教映画かと思ったら、信仰しか頭にない狂信的な妻であり母である存在は、かなり迷惑な人物のように描かれているし、教会の牧師が取り残されているという皮肉なシーンもある。彼は本当のキリスト者ではなかったのだ。へえ、そういうことだったのか、後にネットで見て納得したが、映画の飛行機内の人々の多くは理解不能だったはずで、動揺するのは当然だ。意味ありげな言動の人物もいるが、結局はわけが分からずパニクる。正解を知るキリスト者はみな消えちゃったからだ。この映画を見るわたしも、取り残された一人である。

「レフト・ビハインド」とは「置いていかれた」という意味である。主人公の航空機は、パイロット不在の航空機と翼が接触して燃料タンクが破損。JFK国際空港までしか燃料がもたない。しかし、空港は封鎖されていて下りられない。見せ場の着陸シーンは「ダイハード」のようなマンガ的面白さ。ニコラス・ケイジ「まるで世界の終わりみたいだな」娘「違うわ。私たちの運命は始まったばかりよ」ってなことで、続編があるんだって。それにしても、イントロがグダグダ長い映画だったな。次はもっと迅速に。キリスト者のための映画だが、仕組みがいちおう分かったから、旧作棚に下りてきたら見ますね。(柴田)

「レフト・ビハインド」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01D2ITNTA/dgcrcom-22/


●Rubyってそういう言語なのか〜!

定期的に出てくる肩こり解消ネタ。パンプスを履き、重い荷物を持って長時間歩き続けていたら手が上がらなくなった。これって四十肩なのでは……。

ジョギングしていたら、肩甲骨まわりを意識するので肩こりは解消。いまは練習していないので、油断すると肩こりになる。ネックローラーやマッサージクッションなどを利用すると気持ちいいんだよねぇ。良くないという説もあるんだけれど。

肩甲骨だけでなく、背中や腰が縮こまっている気がして、鉄棒にぶら下がったら背筋が伸び、ゆがみがリセットされて、気持ちいいかも〜なんて考えた。

思い出したのが、クローゼットの奥にしまい込まれたままの「ストレッチポール」。後記を検索したら、2004年に買っていた。数分寝ているだけで背中や腰が伸びる。ポールなしで床に寝転がると、床に沈み込むような錯覚を覚える。

ポールの上で寝たまま、手を太股の横の床に置き、大きく弧を描きながら徐々に頭の上に持って行く。最初は痛いのだけれど、無理のない範囲で動かしていくと、手が上がるようになったよ〜。

家人に勧めたら、整骨院でバスタオルを丸めた上に寝転ぶと良いと言われたと。作らなくてもありますがな。今は私より熱心よ。 (hammer.mule)

LPN ストレッチポールといえばコレ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00F9VW8SC/dgcrcom-22/
いまは様々な色、形が出ているのね