こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。私事ですが、本日、誕生日を迎えました。うちの会社では誕生日休暇というありがたい制度があり、今日はお休みをいただいてます。
で、何才になったの? はい、56才です。デジクリ書いてるメンバーの中ではかなり年配の部類に属するのではないでしょうか。
これからも、文字の話や天体の話などを寄稿していきますので、引き続きお付き合いいただけるとうれしいです。
四年後に還暦祝いしてもらう年齢ですが(笑)、あいかわらず、月に二、三回は全国各地のセミナーに出演したり、ときどき徹夜仕事したりの日々ですので、体調管理には気をつけて健康で笑顔の一年にしたいと思ってます。
●「世界の文字の物語」という特別展
4月9日から6月5日まで、池袋サンシャインシティ文化会館で開催されていた「世界の文字の物語 〜ユーラシア 文字のかたち〜」特別展を観てきたので、今回はその時のレポートをお送りします。
まずは、その特別展のチラシをみてください。ジャーン!
http://goo.gl/O9hSwM
ぜったい行きたくなるチラシですよね! 文字好きな僕だけでしょうか………
「世界の文字の物語」のタイトルの書体は、フォントワークスの「筑紫アンティーク明朝」です。四、五千年前の文字の展示会チラシなので、アンティーク感のあるこの明朝体がとても似合います。
この書体、よく目にする明朝体とは趣きが違うと思いませんか?
『文字』の「文」という漢字の四画目、下から跳ね上がる筆の入りがあるデザインも、アンティークさを主張しています。この字形の要素を「ひっかけ」というらしいです。
そして、この書体、字形としては絞られたデザインですが「はらい」の部分がバビューンと伸びがあって素敵です。
そして説明文も「筑紫アンティーク明朝」ですね。一部「筑紫オールド明朝」も使っています。
あれっ、展示会のレポートじゃなくて、チラシの書体解説になってしまった。
さて、この展示会の開催日程は4週間近くあったのですが、結局、足を運ぶことができたのが最終日でした。
しかも、その日は四国のイベント巡業から東京駅に戻ってきた日だったので、大きなスーツケースをガラガラと転がしながら、池袋サンシャインシティに行ってきました。
でも、「無理して足を運んでよかった!」でした。
●文字の誕生
文字が誕生したのは今から約5,000年前といわれています。メソポタミア地方の楔形文字と、エジプト地方の聖刻文字(ヒエログリフ)です。また、それより1,000年ぐらい後に東アジアで漢字(甲骨文字)が生まれています。
特別展では、それぞれの文字が誕生した背景や歴史の解説、実際に出土された粘土板、石板、羊革紙に刻印された楔形文字や聖刻文字が展示されていました。また、甲骨、牛骨、青銅器に刻印された漢字やアラビア文字の展示もされていました。
これらの文字は、別々の地域で、お互い無関係に生まれたといわれています。今から約5,000年前(紀元前3,000年)の人類が、史実を記録したり、行政を司るための共通フォーマットとして文字が発明されたといわれています。
これは奇跡と言わざるをえません。とはいえ、必然性がありました。国家を統治するには、多くの人が共通に認識できるコミュニケーションインフラが必要だったのです。
それより少し前には、トークンという数字(数量)やモノを表す記号スタンプ、印章のような刻印は存在していたようです。実物の展示もありました。当時、それらを活用して商業活動や貸し借りの管理に使われていたようです。
さらに時代をさかのぼると、15,000年前に描かれたといわれているフランス南部のラスコー壁画があります。旧石器時代後期のクロマニョン人によって描かれたようです。
絵で表現されているので、生活の様子をある程度は想像することはできますが、文字ではないので正確な情報を知ることができません。。
人類が音声という言葉でコミュニケーションできるようになったのも、すごいことだと思いますが、文字が発明されたことにより、後世に史実を伝えたり、宗教を伝播したり、政治を司ったり、愛情表現したりできるようになりました。
文字って、人類最強の発明だなぁとつくづく痛感した特別展でした。
でも、地球誕生が46億年前、人類誕生が700万年前(諸説ありますが)と考えると、文字の歴史って比較的近い過去のような気もしました。
今後、改めて、それぞれの文字の歴史を紐解いて、寄稿したいと思います。
・書体デザイナー藤田重信さんがテレビ出演
「世界の文字の物語」のチラシで使われていた書体、筑紫シリーズの生みの親、フォントワークス社の書体デザイナー藤田重信さんが、6月13日(月)22:25〜NHK総合の「プロフェッショナル 仕事の流儀」に登場します。
予告動画もアップされてます。皆さん、今度の月曜夜、お見逃しなく。書体好きなあなたも、そうでないあなたも、すごく楽しめる番組内容になっていると思います。おすすめの番組です。是非ご覧ください。
NHK総合『プロフェッショナル 仕事の流儀』告知ページ
http://goo.gl/e0TJQG
【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/
1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。
その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。
小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。