装飾山イバラ道[179]ライオンパワー
── 武田瑛夢 ──

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空前の猫ブームだけれど、犬派、猫派と聞かれれば間違いなく猫派。動物全部の中ではライオンが一番好きだ。ライオンも猫だから猫派で合っているわけだ。

4月にロシアでライオンの赤ちゃんのお披露目というニュースのライオン画像が可愛すぎて、夫にも見せたら確かに可愛いという表情。そういえばと思い出して、日本でもライオンの赤ちゃんが生まれていないかと検索してみた。

一番先に思いついた富士サファリパークで、今年もライオンの赤ちゃんが生まれているのを発見。Webで三つ子のライオンの写真を見てしまったのがトドメだった。私は初めてサファリパークへ行くことになった。

・富士サファリパーク
http://www.fujisafari.co.jp/index.html

http://www.fujisafari.co.jp/event/lionevent.html


行き方はロマンスカーで御殿場まで行って、中の見学はジャングルバスというお手軽な方法にした。ジャングルバスのWeb予約を事前にするには、富士サファリクラブの会員になる必要がある。登録して数日でカードが届き、無事にジャングルバスの予約もできた。




●ライオンの赤ちゃん

ライオンの赤ちゃんは三つのイベントがあり、特別展示(寝ているのを見る)、ミルクタイム(ミルクを飲むのを見る)、ふれあい撮影会(膝の上に抱っこして写真を撮る)だ。開園後の早い時間にふれあい撮影会のチケットを買っておくのを忘れなければ、後はのんびり楽しむことができる。

赤ちゃんライオンは親ライオンたちとは離れた、ふれあい体験棟という屋内の施設で飼育されている。私たちは特別展示の時間帯からふれあい体験棟に行っていたので、スヤスヤ眠る姿から見ることができた。

ステージのように少し高く設置された場所にアクリル板が柵になっていて、ライオンの赤ちゃんたちは眠っているのがよく見える。

三つ子の他に一か月早く生まれたライオンが一頭いたので合計で四頭の赤ちゃんだった(数え方は赤ちゃんだけれどライオンだから「頭」にしておきます)。

集まってきたライオン好きの人たちが見守る中で、ミルクタイムの準備が始まったのを察知したライオンの赤ちゃんが目を覚ますと、「ヒャァ〜」というよう歓声が周囲から漏れる。一頭のライオンの赤ちゃんの目がぱっちりと開いたのだ。

ただ目が開いただけである。しかし、そのぱっちりとした可愛い目の表情から出てくるパワーは、相当な破壊力がある。兄弟ライオンがそれぞれ起きて動き出すと、見物客の皆が声をあげていた。

・抱きかかえられたライオンの赤ちゃん
http://eimu.com/dgcol/lio01

可愛い。間違いなく可愛い。この場所はかなり近いので、カメラ目線の赤ちゃんを撮ることができた。フラッシュをたかなければ撮影はバンバンOKだという。

飼育員のお姉さんが哺乳瓶からミルクをあげる。一頭のライオンを抱きかかえて慣れた手つきだ。ものすごい吸い付きがよくて夢中で飲んでいる。他の赤ちゃんライオンたちは、なんとか自分も飲みたいとお姉さんによじ登ってきて大変だ。

飲んだ量を把握するためか、ミルクの瓶は一本を飲みきるまで、他のライオンには飲ませないようだ。どんなにアピールしようとも飲めないのに、赤ちゃんライオンは必死にミルクを奪おうとする。

・哺乳瓶からミルクを飲むライオンの赤ちゃん
http://eimu.com/dgcol/lio02

・ミルクを奪いたい兄弟(ピンボケ)
http://eimu.com/dgcol/lio04

お姉さんもあまりにライオンがしつこいと、力強く振りほどいたりしていて、すごく面白いショーのような感じだ。お姉さんが羨ましくて飼育員になりたいとさえ思う。ライオンの反応は月齢にもよるけれどこれは楽しすぎる。

●ふれあい撮影会

いよいよふれあい撮影会の時間だ。少し前に行って並ぶと準備の様子が見える。ベンチに座って膝に乗せたタオルの上にライオンを抱きかかえるようだ。入り口付近から中の様子が見えるので、皆黄色い声を上げている。

ちょっと見えるだけですっごく可愛い。チケットは抱っこする人が一人600円で、周囲に一緒に写る人にお金はかからない。ライオンの成長度合いによって、抱っこできる人の年齢制限も変わるのでWebで確認して欲しい(6月30日まで)。

抱っこは後ろから両手で脇の下をしっかりと掴んで支える。ふんわり優しく持つよりも、しっかり強めに掴んだ方が安心するらしい。

温かくて柔らかいライオンの毛質が感じられて、可愛さMAXだ。猫よりも堅く犬よりも柔らかいような毛だった。チケットは二枚買っていて、夫も交代して撮影した。

カメラは持参したデジタルカメラか携帯のカメラを使う。カメラがONになった状態でスタッフに渡すと、スタッフが数枚撮影してくれるのだ。他の遊園地などに多い、プロのカメラマンが撮影して数千円取られるようなシステムはここにはなかった。

撮影が終わったら、次の人たちがスタンバイするまでの少しの間、ライオンの背中を触ることができる。できるなら頭を撫でたいところだけれど、口でガブガブして何かあると問題だからか、背中だけということみたいだ(ガブガブされたい人の方が多い気もする)。肉球は猫よりもしっかりと厚めな触り心地だった。

・背中は撫でてもOK
http://eimu.com/dgcol/lio03

私たちが見た時期は約生後一か月半のライオンで、やんちゃな盛りだったのだ。すでに少しづつ肉も食べ始めているそうで、後数週間でふれあい体験ができる時期も終わりになるという。

二か月ほどの短い期間に可愛さを振りまいて、どんどん大きなライオンになっていく。自然界ではありえないふれあいだけれど素晴らしい体験だった。

●ジャングルバス

鉄柵のついたバスに乗ってサファリパークを一周するのが、ジャングルバスだ。草食動物と肉食動物にエサをあげるタイミングがあるので、各自エサ入りの用意をもらって乗り込む。

ベンチの下にトングのような器具があるので、安全にエサをあげることができる。鉄柵は二重で、内側の柵と外側の柵には10センチ以上は間があったかもしれない。ライオンは爪が鋭いので二重にしておく必要があるのだ。

私たちはクマとライオンとリャマにエサをあげることができた。やはり大人のメスのライオンは迫力があってかっこいい。肉は一人一切れしかもらえなかったので、食べさせてしまうと自分たちの前から移動してしまった。

ベテランらしい家族は、トングに掴んだ肉をなるべく離さずに、長い時間ライオンを惹きつけるのに成功していた。たてがみフサフサのオスにも来て欲しかったけれど、ライオンは群れの中での順位があり、このメスがエサをもらっている時は他のライオンは遠慮するらしい。なかなか勉強になった。

●いきいきタイム

派手なイベントも多いサファリパークで、ちょっと地味目だけれどおすすめなのが「いきいきタイム」だ。

飼育員さんたちは動物がどうすればいきいきするのか知っているので、それを見せてくれる。小雨が降ってきたので中止かもなと思っていると、飼育員のお兄さんがバケツを持ってやってきて、動物たちの目つきが変わった。

「いきいきタイム」が中止にならないで良かったと思っているのは、私たちよりも動物たちのようだ。

黒ヒョウのオリは上部が鉄柵のみになってオープンエアなので、飼育員のお兄さんが生の肉を投げ入れると、飛びかかって取って食べていた。目の前で行われるダイナミックなジャンプと、食べ物への執着を見せつけられてとても興奮した。カバには棒に付けた野菜をあげていて、あんぐりと開けたその口と歯の大きさにびっくりした。

●置きエサ

カップに種などのエサが入っていて、50円入れて買うようなシステムの小動物のコーナーもたくさんあった。

動物園のエサ代に疑問がある人もいるかもしれないけれど、エサという魔法の効果を嫌というほど思い知ったので、好きな動物がいたらやってみるのもいいと思う。エサをあげるのって、想像するよりずっと楽しいのだ。

可愛いのがリスザルで、三匹がそばに来てアピールしてくる。頭がいいので少々注意しないと、カップごと持っていかれそうになった。手だけ通るサイズの網があるので、ひまわりの種を一つづつあげることができる。ひまわりの種の中身だけを器用に食べる。

リスザルの手は冷たくてつるっとしていた。こちらの表情を伺っては手を出してくるので、可愛くてつい同じリスザルにあげてしまうと、隣の別のリスザル同士が噛み付いたりして凶暴な面もある。でも、猿の類はやはり他の動物とは違う親近感があって仲良くなりたくなる。

他の動物は手の上のエサだけを見てすぐに食べてしまうけれど、リスザルはこちらの目を見て(それをくださいな)という表情をする。うわー、やっぱり猿は違うなーと思う。心のうちでは(早くよこせ!)かもしれない。

・リスザル それをくださいな(早くよこせ!)
http://eimu.com/dgcol/sar01

買ったひまわりの種がなくなってしまったので、落ちていた殻を拾ってあげると(ヒドイ)、リスザルはそれを手に取ってパッと捨てる。「殻だけで中身がないって知ってるよ」という感じだ。

他の動物だと、この殻を取るという無駄な動きはしないと思うのだ。ちょっと付き合ってくれている感じがして可愛い。

動物たちをアクティブにさせる魔法は、やはりエサなのかと思うととても現実的だけれど、やっぱり「食べて動いて寝て」が生きることの基本なのだ。

食べるところを見るだけで、なんでこんなに面白いのが不思議だけれど、人間のお付き合いだってお食事から始まるではないか。

富士サファリへ次回行く時は、4WDのナビゲーションカーを借りるのもいいかもしれない。その日の動物に合わせて車を移動したりできるようだ。

調べてみると日本にはサファリパークが多数あるし、二階建てバスのタイプがあったりと、場所によって動物の見方がいろいろあるみたいだ。

夏休みなどのピークを避ければ待ち時間少なく、普通の動物園よりもアクティブに楽しめそうなので情報を集めようと思う。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/


椅子のキャスターを交換して快適だ。部屋がカーペットなので結局ポリウレタン製にした。また劣化するだろうけれど、ほどよい転がり具合なのでしょうがない。ポリウレタンのような性質で、加水分解しないで安価なものがあればとっくに皆それを使っているんだろうな。