[4142] 夏目房之介さんがローマにやってきた

投稿:  著者:  読了時間:17分(本文:約8,000文字)



《同じこと何度も書くようになってしまったか……》

■ローマでMANGA[98]
 夏目房之介さんのローマ
 midori

■グラフィック薄氷大魔王[479]
 ファイル整理、一気に進む
 吉井 宏





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■ローマでMANGA[98]
夏目房之介さんのローマ

midori
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160615140200.html
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ローマ在、マンガ学校で講師をしているMidoriです。私の周辺のマンガ事情を通して、特にmangaとの融合、イタリア人のmangaとの関わりなどを柱におしゃべりして行きます。

●夏目房之介さんがローマにやってきた

夏目さんはご存知、漫画家、マンガ批評家、エッセイスト、学習院大学大学院の教授でもいらっしゃる。そして、プロフィールに必ずつくのが「夏目漱石の孫」。若い頃はこの枕詞が嫌だったそうだ。

漱石は、夏目さんの父上が九歳の時に亡くなったそうで、一緒に遊んだこともないし、見たこともない人なのに……、だそうだ。

でも、これだけネームバリューがあると、引用しないのもまた不自然だ。長じてからは、積極的に漱石を知ろうとし、漱石の孫の視点からエッセイも書いている。

夏目さんとは、ネットが取り持った縁で知り合った。今はほとんど行かなくなってしまったmixiで知り合った、原さんというフランスのコミックスを紹介する活動をしている人を介し、2008年にマンガ学校で奨学金生徒を連れて帰国した際にお会いした。

(↓その時の夏目さんのブログ)
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2008/11/post-eab5.html

ウィキペディアによると、日本ではマンガについての教育機関のある大学・短期大学が24校もある。

アメリカ式に私立大学の伝統があるのでできることだ。ヨーロッパでは90%が国立大学で、私立はごくごくわずか。マンガ人口も少なく、マンガを教えるのはもっぱら専門学校だ。

ただ、大学でありながらマンガ専門学校のように、マンガの描き方コースだけというのも寂しい。ほとんどがそちらへ傾いているようだ。

大学ならばマンガを社会学的に分析考察したり、あるいは伝達表現方法として人文学的に研究があってもいい。夏目さんは学習院大学でまさしくそのように研究する学科で教授をされている。

大学院の人文科学研究科、身体表象文化学専攻。マンガ表現論という研究領域を開拓され、「マンガ学」という体系を統合する作業をされている。

今回、mangaの視覚的要素がどのようにイタリアで認識されているのか、サンプルを集めるためにやって来られた。

かつてお会いした縁から、オーガナイズを仰せつかることになった。マンガ学校のローマ校では、金曜日のセミナーの日に3時間の会見をもった。

脚本セミナーの講師も参加して、夏目さんが持ってきた様々な例をもとに、mangaと海外のマンガに違いがあるかどうかを検討した。

脚本科の先生はとても面白がって、私のmangaセミナーを受講したいなぁとまで言った。mangaは目の大きな、いわゆるmanga風の画風のことだと考えている人が多いので、改めて分析してみせると、新たな見方を得て面白がるのであった。

夏目さんの分析は、まだ夏目さんの研究途中なので、ここで私が知り得た事が一部分だけであっても詳しく書くべきではないと思うが、非常に大雑把に言うと、画風だけでmangaかmangaでないかとを判断するのはあまり意味がない、ということだ。

私のセミナーはどちらかというと、mangaと他の国のマンガの違いを強調するので、一見、夏目さんの方向とは逆とも言えて、それがまた面白かった。

でも、mangaをmangaたらしめるのは画風ではなく、題材でもなく、その語り方にある、と夏目さんの分析から導くことができる。やっぱり私が広めたいことは広めて良いのだと、勝手に理解することにする。

「manga式構築法」というのは、他の表現方法同様に流動的に変化することも可能な、でも一個の表現方法としてはっきりと確立して良いのだと思う。

困ったな、もう還暦過ぎちゃったし、あまり時間がない。どうやって広めようか考えなくちゃ。いや、広めるのは次世代に任せるとして、なにか形にしておかなくちゃ。

●夏目さんのローマ観光

来伊の目的が観光ではないにしろ、ローマに来て何も見ないまま日本に帰すわけにはいかない。一日を観光に当てた。

フィレンツェ行きの電車切符を買わねばならないことから、まずテルミニ駅へ行き、そのすぐそばにある、かつていくつもあった公衆浴場の中でも最大だった「ディオクラティアヌスの大浴場」跡へ行った。

知らなかったのだけど整備され、公開されていて中に入ることができた。中のフレスコ画の装飾はすっかり落ちているものの、いかに豪奢であったか、その巨大さからもローマの栄華を計ることができる。

数少ない訪問場所で、特に喜ばれたのがバチカン美術館だ。特にシスティーナ礼拝堂のミケランジェロの若かりし頃の天井画「天地創造」と、老成してからの壁画「最後の審判」は感嘆をもらされていた。

職業柄、また、趣味柄、構図とか色とか表象に精通していると天才を知ることができる、というわけだ。

今年は聖なる年で、どこへ行っても例年よりも訪問客が多く、バチカン美術館もその例に漏れていなかった。

システィーナ礼拝堂は、一か所で見るべきものがたくさんあるので人がたまり、通勤時の電車状態になる。写真撮影は禁止なのだが撮影する人も多く、礼拝所だから静粛にすべきところを感想を言い合ったりする人も多く、いつもざわざわしている。

その禁止二項目を注意するために、監視官がしょっちゅう「No photo!!」とか「Silenzio! シーーーーッ!!」と声を出す。

夏目さんは絵に圧倒されて、そのような雑音がじゃまにならないらしく、じっくりと鑑賞されていた。

ローマ滞在中、フィレンツェにも行き、マンガ学校のフィレンツェ校とウフィッツィ美術館を訪問された。フィレンツェ在の知り合いに案内を頼んだので、ご一緒できなかったがウフィッツィも感激だったらしい。

30年以上住んで、麻痺しつつあるけれど、イタリアは国中が文化と美術の宝庫なのだと改めて思い知る。

(↓今回の夏目さんのブログ)
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2016/05/post_4121.html

●夏目さん後

ローマ滞在の後半は、思ったところに宿がとれなかったこともあり、我が家のB&Bに宿泊していただいた。

予定行動以外で我が家にいた時間は当然、mangaの話になり、イタリアのマンガの歴史を簡単に解説しながら、私の収集物や資料をお見せした。

マンガに興味がない人にとってはただの紙切れの束だけれど、日本に限らず、マンガを研究する者にとっては貴重な資料になりうるとおっしゃって頂いたので、遺書に、学習院大学大学院の夏目さんの研究室に寄付する、と書くことにした。

私は今すぐ寄付しても構わないのだけれど、研究室ではまだそうした資料を置く具体的な場所や、まだ「マンガ学」が確立していないので、担当研究者などもはっきりできないのだと解釈した。

ともかく、捨てないで取っておいたこれらの紙の束が、無駄にならないであろうと思えたのは嬉しい。

夏目さんのサンプリングをアシストしながら、manga表現のもう一つ違った見方、私が無視しようとしてきた描画からのアプローチというのも加えるべきだな、思い始め、これも収穫だった。

イタリアから「マンガ学」を攻めていきたい。


【Midori/マンガ家/MANGA構築法講師】midorigo@mac.com

ダイエット。最近、腰が痛くなったり膝が痛くなったりすることが多くなった。寄る年波と運動不足で筋肉全体が弱くなり、カロリー消費量が減っても食べる量があまり変わらないので、体重が増えたからだと判断した。

家に電動式走るマット(?)があって、一日10分くらいやり始めたのだけど、続かない。元農地で広い庭があるのだから歩き廻ってもいいのだけど、まぁ、そういうのって飽きてしまって続かない。

それで一番てっとり速い(ほんとかな?)カロリーを制限する方法をとることにした。
http://www.melarossa.it/

こういうサイトがあって、無料登録し、身長、体重、ウエストとヒップ寸法、年齢、性別、職種、一日の行動などの質問に答え、最後に目標体重を入力する。すると、何週間かかって目標に到達するか、そして毎週朝昼晩のメニューを送ってくる。

目標は週に1キロ減で6週間。3週間ほど経ってメニューを吟味した結果、次のことがわかった。

・炭水化物は昼に50g.

・タンパク質は少量を昼に摂取

・野菜はたっぷり

・炭水化物も野菜もタンパク質も毎日、品を代える。例えば、月曜パスタ、火曜お米、水曜麦、などなど。パスタも米も一食50gだけど、一緒に大量の野菜を調理して量的には空腹に悩むことはない

・果物は食間

ちゃんと量を測って食事をした週は2キロ減。でも、その後、友人との食事会やら、夏目さんと一緒に外食したりで、量を守れずにまた2キロ増。

そんなことを繰り返して、今また出発から2キロ減のところで小さく上下している。体感としては、もうちょっとなにか食べたいな、のところで抑える量が正しい。昔の人も言ってたよね。腹八分目って。

とりあえず、6週間、このダイエットをしてみて(好奇心からも)、終了後は腹八分目と食材を様々なものにする、果物は食間、というのを習慣にしていこうと思ってる。運動は……

MangaBox 縦スクロールマンガ 「私の小さな家」
(なかなか更新できない)
https://www-indies.mangabox.me/episode/58232/

主に料理の写真を載せたブログを書いてます。
http://midoroma.blog87.fc2.com/


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■グラフィック薄氷大魔王[479]
ファイル整理、一気に進む

吉井 宏
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160615140100.html
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先々週、「1992年分フォルダから整理スタートして一年かかって2002年分まで来た」と書いたばかりなのに、今は2007年分に取りかかってる。この二週間の進度がすごい。

時期的に、雑誌関連のイラスト仕事からキャラクター方面に軸足を移しつつあり、フォルダの数が目に見えて少なくなってるのも、理由のひとつなんだけど。そういう「自分史」を俯瞰できるのもファイル整理の楽しさ。

整理前の276GBをBD-Rに焼いて安心したので、SSDに残すファイルの選択が大胆になってきてる。あまり執着がなくなってどんどん捨てられる。っていうか、完成ファイルとラフスケッチ以外を全削除って感じのフォルダが多い。

そしてやはり、2002年あたりから拡張子やカラープロファイルをつける習慣ができたのが、手間が少なくなった大きな理由。

それ以前のファイルは、数10枚の画像を開くのにいちいちプロファイルの設定をしなくちゃいけなかったのが、今は一瞬で全部開く(多い場合は警告無しで読み込んでプロファイル変換するアクションも使う)。ファイル名もデタラメではなくなってるから修正不要。

あと、決定的なのが、この期間のメインツールがZBrushだったこと。ZBrushの高解像度メッシュファイルは数MB〜数10MBもある。制作段階を保存してあって1GB超のフォルダがいくつも。

当時ZBrushをどう使ってたかというと、だいたいの形を作って白いままレンダリングして陰影を作り、Photoshopで形を整えて乗算レイヤーに色塗り。ちゃんとした3Dソフトとして使ってなく、2Dイラスト制作の補助。

なので、その頃のZBrushのオブジェクトを残しておいても、再利用する価値がほとんどない。一応、OBJファイルとして取っておきたいものは残した上で、ZBrush関連ファイルは全部捨てる。これで一気に整理が進んだのでした。

ただ、この後の、MODOがメインツールになってからが大変になっていく見込み。MODOは仕様が何度か変わったため、古いファイルを現在のバージョンで読み込んでも、そのままレンダリングできない。

仕上がりの見た目がぜんぜん異なる。マテリアルやテクスチャやレンダリング設定を細かく修正しないと使えないのだ。

MODOで作ったモデルやテクスチャ画像は普通に再利用できるものが多いので、ここから現在までの10年分は、全部きっちり今のバージョンで使えるように保存しなおしていくことになるだろうな。それこそ一年くらいかかりそう……。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com 
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/

仕事は集中力がちっとも続かなくて困ることが多いけど、ファイル整理は半日ぶっ続けでやってたりする。数日間の大半をファイル整理に費やしたり。こういう作業が好きなんだろうな。高校生のときの職業適性クレペリン検査のお勧め職業は薬剤師や司書だったし。

で、ふと気になったので念のため「薬剤師や司書 クレペリン検査」でググったら、2011年秋、この連載に同じこと書いてたw 同じこと何度も書くようになってしまったか。ちなみに前回書いたのはカセットテープのデジタル化と整理の話でした。
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20111005140100.html

告知/「シャカシャカぶらし」誕生!
くまちゃんが子供の歯磨きタイムを楽しく習慣化

……クマのデザインに関わった製品がクラウドファンディングに出てます。クリップ式のクマを歯ブラシに取り付け、知育アプリと連動して子供に歯磨きの習慣を楽しく覚えられるように考えられたものです。
https://www.makuake.com/project/shakashaka-burashi/

開発者の歌野さんのインタビュー:歯みがきIoT「シャカシャカぶらし」で子供の苦手克服。Engadget電子工作部発のアイデアが2年半を経て製品化へ
http://japanese.engadget.com/2016/05/25/iot-engadget-2/

・ショップジャパンのキャラクター「WOWくん」
https://shopjapan.com/wow_kun/

・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500

・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii

・rinkakの3Dプリント作品ショップ
https://www.rinkak.com/jp/shop/hiroshiyoshii


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編集後記(06/15)

●Midoriさんが夏目房之介さんのことを書いているので、ではわたしも。愛読書のひとつが、1991年発行の新潮文庫、夏目房之介「消えた魔球 熱血スポーツ漫画はいかにして燃えつきたか」である。わたしは本を異常に大切に扱う変態なので、気に入った本はカバーをパラフィン紙で被って書棚にディスプレイする。文庫本でさえそうだ。だから、古い本で本文の紙が黄ばんでも、パラフィン紙を剥ぐとカバーはピカピカなのだ。ところが、この本に限っては何度も読むものだから、途中でパラフィン紙はよれよれになってしまい、脱がしてしまった。だから、カバーも一部が禿げて汚れているが、まさに愛読書なのだ。

前書きもなく、いきなり始まる「思いこんだら大リーグボール1号」が3ページ、うち1ページが「巨人の星」大リーグボール1号の絵解きである。飛雄馬と花形が出てくるが、これが夏目による絶妙な模写で、書き文字で素敵で皮肉な解説を施してあり、筆者や狸キャラもツッコミ発言して、おもしろいのなんの。この調子で約100本。どこから読んでも面白い。若い頃、自称・漫画読みの巨匠だったわたしでさえ現物を見ていない物件もいくつか。文春「ナンバー」の連載「スポーツ漫画学」に加筆してまとめたのが本書。原則として連載中のものは避け、完結した作品を全部入手し、完読してから書いた。一部書き下ろし。

「本書に限ったことではないが、夏目房之介の『批評』がそれまでの漫画批評の領域に与えた衝撃とは、漫画を描くという営みについてのある水準の技術を獲得している者としての腰の据え方がはっきりしていること、ひとまずこれに尽きる」「文字通り現場の人間の中から、最も切実な言葉を身につける者が現れ始めたというのは、漫画にとって慶賀すべきことだ」と書くのは大月隆寛。「いつしか単なるギャグとしてしか語れなくなった『スポ根もの』の向こうにあるものをおのが手練れのペン先からギリギリと絞り出し、凝視しようとしたこの仕事は、もっと広く読まれるべきものだ」とも。まさしくその通りだ。

ちばてつや・高森朝雄(梶原一騎)の「あしたのジョー」は、異質で強い個性が互いに作品を引っ張りあい、その緊張感が最良の着地点に作品を成立させた、と夏目は書くが、この作品に限り模写できずコピーを使った部分がある。夏目にして模写できないジョーの顔は、ちばてつやでさえもう再現できない。どうしてもあの目が描けないという。我々の記憶のジョーの顔はカーロス・リベラ戦前後に完成したようだ。といっても分からない人の方が多いだろうな。この本、どこから開いても面白い。何度読んでも面白い。ここ10数年で手放した膨大な量のスポ魂漫画(に限らないが)を取り戻したくなった。 (柴田)

夏目房之介「消えた魔球 熱血スポーツ漫画はいかにして燃えつきたか」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4575281174/dgcrcom-22/


●ロビ続き。開封分別作業が結構手間になる。2/5はそれらの作業だったような。3号までの箱型ケースを残しておけば、冊子収納に使えるよ。後の号はほとんど簡易包装になってしまうの。

届いたものをすべて使うわけではなく、後の号で使いますから保管しておいてね、というものがある。例えば3号で届いた保護シール(50ピース)は、約一年間使うことになる。

そのシールをサーボモーターとサーボケーブルに貼るためのピンセットは、ぜひ用意してくだされ。細かな作業になるよ。あると楽ちん。ストレスフリー。

ネットで見かけた、収納ケースを用意した方がいいという話は参考になった。必要な道具やパーツ、作りかけのロビを、引き出し式の透明プラ収納ケースに入れておけば、紛失が防げるしすぐに取りかかれる。終わったらすぐにしまえる。分冊キットを作る人には必需品だわ。 (hammer.mule)

収納ケース。こういうの。サイズは作りたいものに合わせて
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00PVW65XI/dgcrcom-22/