[4161] 痛みから逃げる手足たち

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《忍者によるプレゼンテーションあります》

■装飾山イバラ道[181]
 痛みから逃げる手足たち
 武田瑛夢

■crossroads[21]
 「DojoCon Japan 2016」参加受付を開始
 若林健一





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■装飾山イバラ道[181]
痛みから逃げる手足たち

武田瑛夢
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160712140200.html
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数週間前の朝、キャベツの千切りをしようとスライサーを使っていて、右手の親指を切ってしまった。途中で止められたから、スライスまではしなかったので良かったものの、久しぶりに痛い思いをした。

スライサーには安全器が別についていて、キャベツが小さくなったら使っていたけれど、その時はまだキャベツの塊は大きめだったので油断していたのだ。

切った時は腕を高くあげたり「濃い血が出たー」と騒いだりして、夫に絆創膏を探してもらった。止血して〈キズパワーパッド〉を巻いたら痛みは取れた。最初こそ大きめのそれを使ったけれど、治ってきたら一番小さいのでも足りるほどの小さい傷だった。そう騒ぐほどでもなかったのだ。

私が使った〈キズパワーパッド〉は、ちょっと高い方のバンドエイドとして有名だ。傷を乾かさないモイストヒーリング(湿潤療法)で治りも早い。

傷は洗って血が止まったら、消毒などしないで薬も塗らず貼るのが肝心だという。防水性が良いのと、傷のない部分の蒸れない感じが非常によくて、追加分を購入した。傷ができた時にすぐに使わないと威力を発揮しないらしい。

しかし、傷が小さくてもふさがるまでの間は何かと不便な日々を過ごした。あいにく傷を作った翌日は、自分でパソコンを使って講義する日だったので、荷物も多いし手仕事も多いバッドタイミングだった。

特にやりづらかったのが、プロジェクターとMacをつなぐためのモニターケーブルの、サイドの脱落防止のネジをクルクル回す「作業」だ。

いつもは何も問題なく数秒でできる簡単な動作だけれど、親指の爪の脇の肉が切れている状態だと、いくらパッドを貼っていても指が嫌がっちゃってなかなか回せない。指が逃げるのがわかるので、左手で回すしかなかった。

しばらくはコンセントやスナップボタン、ファスナーの開け閉めなど、いつもは何てことない動作の時に、指の傷口が「やめてー、左手に頼んでー」と訴えるような感じだった。

●痛みから逃げる

自分は手足や指の司令塔であるはずなのに、体の部分が勝手に動作を決めているように感じる時がある。この仕組みを覚悟しておかないと危ないこともある。

特に調理の時に、うっかり熱い部分に触れてしまった場合、手はビクンとはね上って熱いものから逃げる時がある。熱かったことよりも、その反射の動きの方にびっくりしてしまう。

味噌汁椀を持っている方の手が、熱いお鍋にかすかに触れたりすると、味噌汁をびしゃびしゃにこぼしてしまったり。こぼれたら困るようなものを持っている時には、周辺に十分注意しなければいけないのがわかってくると、そういうミスも少なくなった。

私は痛みより温度の変化に反射してしまうことが多いみたいだ。

しかし、うっかりする時というのは注意すべきタイミングだということすら忘れている時なのだ。わかってたけどやっちゃったなという反省も、傷を作ってからでは遅い。

その後の痛みからくるめんどくささは、その部位を大事にしなかったことの報いかもしれない。

寝違えて首が痛い時には、右に向くことができないと思えたりするけれど、ゆっくりと動けば右に向くことは無理ではなかった。首が痛みを避けてそちらに向くことを避けるような感じだ。

靴ずれを作って歩き方がおかしくなるのも、痛い方の足がすぐに逆の足にバトンタッチしたがるからだし、体というのは割と簡単に音をあげる。かわりになってくれる側があるなら、そちらを使うようにバランスが変わるらしい。

●体からの信号

歯医者さんで痛みを和らげる方法ということで、笑気麻酔というのをしてもらったことがある。鼻にがっつり器具を被せられるので結構怖い。そこから繋がったボンベみたいなものから出てくる気体を吸っていれば、痛みを感じにくくなるという。

酸素も混ざっているので苦しいことはないけれど、そのボンベの中の気体を信じて吸い続けるのだから、全面的に信頼感を持てないと辛い。私の場合は、痛さに弱いのと、先生を信頼しているので「はい、やります」と即OKして使ってもらった。

痛くないなら痛くない方を取る私だけれど、知り合いのアメリカ人で麻酔が嫌いという人がいる。

「だから僕は麻酔を一切しないんだ」

歯医者でもそうしてもらうし、それで問題ないという。

「痛くないの? 怖くないの?」

痛がり&怖がりの私はそう質問するけれど、麻酔なんかで痛みが消える方がおかしいし、痛いのは自然なことだと言う。そういう人は結構いて、理解のある医者もいるそうだ。

私なんか歯の治療中に麻酔注射が足りなく感じて、おかわりを打ってもらうこともあるくらいだから、痛みをガマンできる人を尊敬してしまう。

胃カメラの時も、初めにスプレーや液体の麻酔の手順を聞いてからやったけれど、痺れはしたものの器具を入れる感覚はしっかり残っていて、どこが痛かったとか、何が何だかあまり覚えていない。

体からの信号を受け止めて、理解する能力というのは人それぞれだ。夫は風邪をあまりひかない。ひき始めの不調に気づくのが早いし、すぐに体を温めて眠ることで初期の風邪は治るそうだ。

私が子供じみた痛がりなのに、夫は仙人じみた達観で体をコントロールしているのかもしれない。胃カメラもテレビに映る画像を見て冷静だったみたいだし、楽しかったとか言っていたので、感想を聞く人を間違ったかもしれない。

真似をすればいいと思うけれど、長年の習慣は独自のものが多くて難しい。夫は寝つきも早くて、私に「3呼吸で眠る」と言わせている。

若い頃吸っていたタバコをやめた時も、辛かったか聞いてみたら「やめようと思ったらやめられた」そうだ。夫のそういう仙人的な部分は尊敬するけれど、自分に取り入れられないのは何としたものか。

私の場合は、タバコを吸わないので甘いものをやめたいけれど、本当はやめようと思えないので無理だろう。本当は自分の声は自分が一番知っているけれど、甘えが強いかどうかの違いだってことは、理解しながらフタをしてしまうのだ。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

夏なので梅干が美味しい。でも梅干を一番美味しく食べられるお粥は、あまり夏らしくない気もする。お粥を冷やすのはどうだろうと調べてみると、結構いいみたいだ。やってみよう。


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■crossroads[21]
「DojoCon Japan 2016」参加受付を開始

若林健一
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160712140100.html
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こんにちは、若林です。7月11日から「DojoCon Japan 2016」の参加受付が始まりました。

会場の都合で参加受付には限りがありますので、関心のある方は早めのお申し込みをお願いいたします。夏休み最後の土曜日、関西以外からの参加もお待ちしています。

DojoCon Japan 2016
日時:2016年8月27日(日)10:30〜16:30
会場:内田洋行 大阪 ユビキタス協創広場 CANVAS
参加費:無料
http://dojocon.coderdojo.jp/

開催当日まで二か月を切り、セッションや企画の内容について詳細をお伝えできるようになってきましたので、そのいくつかをご紹介いたします。

●基調講演は日本のScratchの父・阿部和広先生

「Scratch」を題材にした書籍の執筆、監修、8月にシーズン2の放送が決まっている「Why!?プログラミング」(NHK Eテレ)のプログラミング監修をされるなど、子供向けプログラミングの分野で積極的に活動されている阿部和広先生に基調講演のご登壇いただきます。

「DojoCon Japan 2016」では、「子供達にプログラミングをサポートする上で大事なポイント」をテーマにCodojoに関わらず、子供向けプログラミング全般のお話をしていただく予定です。

普段は東京にいらっしゃって、関西で阿部先生のお話を直接聴ける少ない機会です、ご期待ください。

●アイルランドのCoderDojo財団からロス・オニール氏を招聘

アイルランドのCoderDojo財団から、コミュニケーション・コミュニティリードとして世界中のDojoとのパイプ役を担っている、ロス・オニール氏の来日が決定しました。

内輪の話になりますが、「DojoCon Japan 2016」の計画が始まった当初は、日本のプライベートイベントとして開催の予定だったのですが、アイルランドの財団のメンバーを招聘できる展開となり、関係者のテンションはかなり上がってます。

当日は、同時通訳を伴い「CoderDojoムーブメントの旅 - アイルランドの一つのDojoから世界に広がる1000 Dojoへの軌跡をたどる」と題して、アイルランドから始まって世界に広がっていった、CoderDojoの歩みについてお話をしていただく予定です。

●忍者によるプレゼンテーション

プレゼンテーションを行うのは大人ばかりではありません。普段、各地のDojoで活動している忍者たちも登壇いたします。全員プログラミングが好きでDojoの日を楽しみにしてくれている忍者ばかり。

子供から見た、CoderDojoの魅力をお伝えできればと考えています。

●子供向けプログラミングの現場の声

その他のセッションも、学生さんが運営する道場、有償のプログミング教室と無償の活動との違いはどこにあるのか? など、子供向けプログラミング教育に関わっている方の生の声が聞けるセッションを多数企画しています。

これらが、来場者のみなさんの「プログラミング教育」に対する理解を深めたり、関わりを持つきっかけになれば幸いです。

セッションの方は主に大人向けですが、企画ブースの方は子供たちも楽しめるものを準備しています。

●MR(混合現実)によるドローン操縦体験

オキュラスリフトというVRゴーグル(スキーのゴーグルのような形で見える部分がすべて画面になっているもの)を使って、実際の会場の様子をカメラで撮影した映像の中で、コンピュータグラフィックスで表示したドローンを操縦し、実際の会場の中でドローンを飛ばしているような体験ができるコーナーを用意します。

本物のドローンは操縦に失敗すると壊れてしまいますが、バーチャルドローンはその心配がありません、思う存分飛ばしてください。なお、こちらの体験コーナーは、対象年齢13歳以上となります。

●パーラービーズでドット絵体験

アイロンビーズとも呼ばれるもので、小さなビーズを並べて絵を作り、アイロンをあてて温めるとビーズがくっついて、ひとつの作品に仕上がります。

一見プログラミングとは無関係に見えますが、プログラムの中で動くキャラクターの描く時のドット絵と同じ考え方ですので、アニメーション作りやゲームのキャラクター作りの原点を知ることができます。

その他にも、現在詳細を詰めている企画があり、決まり次第公式サイトや公式のSNSアカウントでお知らせしていきますので、是非フォロー&チェックをお願いします。

DojoCon Japan 2016公式Twitterカウント
https://twitter.com/DojoConJapan

DojoCon Japan 2016 Facebookページ
https://www.facebook.com/dojoconjapan/

日本で初めて開催されるCoderDojoコミュニティのイベント、開催まであと二か月を切り、いよいよ追い込みに入っています。

参加申し込みがまだの方、今すぐ参加申し込みをお願いします。会場でお会いしましょう!


【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/
Twitter: https://twitter.com/kwaka1208

CoderDojo奈良&生駒の開催予定
http://coderdojo-nara.org/

奈良:7月16日(土)午後
生駒:7月30日(土)午後


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編集後記(07/12)

●開沼博/編「福島第一原発廃炉図鑑」のつづき。「廃炉」を正しく理解している人は極めて少ないだろう。わたしは、廃炉の科学的リスク、実現可能性、コスト、人材、汚染水や大気・海の状況、地域の現在、そこに生きる人々の声、などを知りたいと思う。それらがほぼ満足できる質と量でこの本に収められている。1F以外でも廃炉済み、現在廃炉中の原発がある。東海村の日本原電・東海発電所、御前崎市の中部電力・浜岡原発1、2号機である。これらは「通常の廃炉」(解体・片づけ〈廃炉措置〉だけ)であるが、「1Fの廃炉」には、汚染水対策、燃料取出し、燃料デブリ取出しが、その前の工程にある。

現在、F1の汚染水は、建屋からポンプなどで外に出して放射性物質を除去し、再び建屋へ戻す&貯蔵タンクと、水を循環冷却する仕組みをつくり、ある程度落ち着いた状態にある。汚染水から放射性物質を除去するにはアメリカのキュリオン、フランスのアルバの技術を採用し、日本中から集めた優秀な溶接工が、最新鋭の化学プラントを設置した。淡水化装置はALPSと呼ばれる多核種除去設備で国産技術、いまは3種類の設備が存在し、62種類もの核種・放射性物質を除去できる。残る課題は汚染水の増加をどう止めるかである。現在、放射性物質で汚染された水は海側に出ているが、その量は微量で問題はないようだ。

今後進める「使用済み燃料プール内の燃料」と「原子炉内のデプリ化した燃料の取り出し」はどうなっているのか。前者は現在進行中。後者は現時点では先行きは不透明だが、冠水工法か気中工法でおこなわれる。いずれも、分かりやすい説明と図版で充分な説得力がある。「廃炉は後ろ向きの技術開発ではない」という、東京大学大学院工学系研究科・浅間一教授のインタビューが興味深い。「海外の研究家と話していると『日本が非常に羨ましい』といわれることがあります。不謹慎な言い方かもしれませんが、事故が起こったために具体的なニーズと現場がうまれて、そのための技術開発をしなければならなくなる。

そこに大きな開発費が投じられ、ビジネスチャンスも生まれる、と言うんです。技術はやはり競争力ですから、その競争力を生み出す機会がこの事故によって生まれたという言い方もできるのですね。ただ廃炉のため、事故を収束させるためにという目的だけじゃなく、この廃炉をむしろバネにして競争力の技術の強化につなげていくという考え方がきわめて重要だと思いますね」「単なる後ろ向きの技術開発ではなく、廃炉といえどもワクワク感がある」「宇宙開発よりもよほど人類に直接貢献する部分ですから」。多様な知識と技術とプレイヤーが集まる1F廃炉プロジェクト、ハッキリ言ってエキサイティング。 (柴田)

開沼博/編「福島第一原発廃炉図鑑」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4778315111/dgcrcom-22/


●iPhoneトラブル続き。その千を越えるアプリは、復帰の妨げとなった。以前は同期をすると、iTunes(Mac)ローカルにあるアプリをインストールしてくれたのに、いまはネットから自動的にダウンロードする形になったという。

iOS9標準のアプリは復元時にインストールできているのだが、それ以外のアプリは待てども待てども、グレーのインストール待機中表示。

普段使うリマインダー関係や検索、メール類などはすぐに使いたいので、iPhoneのApp Storeのアップデートタブの右上、「購入済み」から「自分が購入したApp」をタップし、個別にダウンロードさせる。

ダウンロードが完了し「開く」をタップをしても開かない。ホーム画面のアプリをタップすると開くが、しばらくするとまたグレーに戻ってしまい、インストールできていないことになる。 (hammer.mule)

iOS 9では、iPhone、iPad、またはiPod touchを復元する際、iTunesでAppを転送または同期する必要がなくなりました。代わりに、Appはデバイスに直接ダウンロードされます。
https://support.apple.com/ja-jp/HT205099