[4190] 魔法のようなイヤフォン

投稿:  著者:  読了時間:23分(本文:約11,100文字)



《ハショらなかったから面白かった》

■装飾山イバラ道[184]
 シン・ゴジラと映画グッズの話
 武田瑛夢

■crossroads[27]
 魔法のようなイヤフォン
 若林健一

■はぐれDEATH[08]
 はぐれ関東滞在記2 東小金井・暴走の日々
 藤原ヨウコウ





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■装飾山イバラ道[184]
シン・ゴジラと映画グッズの話

武田瑛夢
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160913140300.html
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シン・ゴジラを見た。私のゴジラへの興味は長い。今まで何度か書いてきたので手短に言うと、近所におそらく映画関係者の家があってチケットを安く買えたことから、大きなスクリーンでたくさんのゴジラ映画を見てきた。

ハリウッド版も新旧両方見たし、ゴジラに限らず特撮やモンスターものは大好きだ。

※以下は映画のネタバレが多くなりましたので未見の方はご注意ください。

日本で作られるゴジラ映画の話題が出た時はとても楽しみだったけれど、今回のゴジラのビジュアルがあまり好きになれず、少し不安もあった。映画グッズのWEBサイトでは、公開前に気になるものを注文したりしていた。

実際に見てみると、今までのゴジラ映画とはまったく違うタイプの映画になっていた。まずセリフの多さに驚いた。シン・ゴジラの冒頭は、言葉を取り込んで処理する仕事で頭がいっぱいになる感じだ。

それは夜中のテレビ番組でラップ対決をしている「フリースタイルダンジョン」を見ているような感覚。

あの番組の即興で繰り広げられるラップバトルを、私は半分も聞き取ることができないけれど、完全に理解している審査員の聞き取り能力に驚く。テレビと違ってライブは、字幕がないのによく言葉を拾えているものだ。

まったく異なる言葉使いではあるけれど、畳み掛けられる言葉って人を圧倒する力があると思う。シン・ゴジラの場合、内容は政治用語や専門用語の漢字だらけの言葉が多いけれど、補足なのか字幕が出ることが多いせいか、案外理解はできてしまう。

セリフも字幕も面白いものがみっしり詰まっているので、もう一回見て確認したいことが出てくる映画だ。

CMで謎だった点(動きの硬いゴジラ)は狙いでもあったらしく、映画の良いシーンのほとんどはCM映像に使われていない。映画の流れも、渡辺謙さんが出ているハリウッド版の逆をいっている部分もあるし、CGや特撮が円熟した今の日本でこのタイミングで作られたことはなんだか良かったと思えた。

ゴジラだから突拍子もないようなことがたくさん起こるし、逃げ惑う人々にも現代の日本が現れている。今までのゴジラ映画も「ゴジラって悪者なのか味方なのかわからない」ものが多かったけれど今回の場合、その問いはもう少し別のものとして表現されていた。

街を破壊しているゴジラという存在をどうするのか、話し合ってから決めることにするのはそういえばそうだけれど、あまり見たことがない流れだ。今までの映画ではハショらざるをえなかったあらゆる細かい段階を、ハショらなかったらどうなるかを考えてみたら面白かった、ということかもしれない。

日本人は真面目だからこういう戦い方になるけれど、それぞれが頑張るというのが良かったと思う。ゴジラと戦うチームの人々は意見は交わすけれど、細かい所で指示を待っている人はほぼいなかった。小さい判断と大きい判断ということかもしれない。

映画のキモとなる大きな判断は、できる人が決まっているのだからそれはその人が決めるしかない。自分の役目の中で最良に思える判断を、それぞれの持ち場でし続けていくことが全体の強さになる。スポーツでも学校でも会社でも、共同作業の成功に必要な力ではないだろうか。

災害を経験した日本だから、見覚えがあったり重なったりするいくつかのシーン。良い判断も機が熟さなければできないこともあるし、緊急事態で変わっていく人々の強さも良いと思った。

人によって解釈がいろいろ違うと思うけれど、過去作からのオマージュのようなものも多い。私には長く伸びたポンプ車のシーンは、まさに現代のメカキングギドラのように見えた。

ちょっと細いのがまた現実的で涙ぐましい(何のことなのかは見ないとわからなくてすみません)。少々泥臭い人間の手による戦いのそれぞれに「うまくいってくれ」と願ってしまうのだ。

●少しづつ進化する映画グッズ

映画グッズが好きなのは今までも書いてきたけれど、定番なのが人形付きボールペンだ。旅行やレジャー施設のお土産にもよくある。ペンの頭にフィギアが付いていて、普通に書くのには重くて邪魔だ。しかし手頃な価格と省スペース性が便利でつい買ってしまう。

グッズの中ではかなり安易な部類のものだと思うけれど、ペン立てに押し込んでいると、普通はありえない組み合わせのキャラクターが隣に並んでいて面白かったりする。電話のそばに立てておいて、メモる時ぐらいに使うのにちょうどいい。

・ヘドウィグボールペン、ゴジラLEDヴォイスペン、チシャ猫ボールペン
http://eimu.com/dgcol/carpen.jpg

今回写真に撮ったのはハリー・ポッターの白フクロウヘドウィグと、シン・ゴジラのゴジラ、アリス・イン・ワンダーランドのチシャ猫の三本。

白フクロウのヘドウィグのペンとシン・ゴジラには、ボールペンとしての機能以外に映画グッズならではの遊びがある。

USJで購入したヘドウィグボールペンは、白いクリップのところをノックすると「フヨッフヨッ」と鳴く。横に笛の仕組みの穴があり、かなりリアルな鳥の声として可愛く鳴くのだ。ちょっと高めの1000円。

WEB通販で購入したシン・ゴジラのペンには追加機能が二つあり、横のボタンを押すと口の中のLEDライトが青く光り、「グャオ〜ン、ゥオンッ」とゴジラ特有のあの声で鳴く。

こちらの声は録音された音声が再生されるので、鳴いた後の余韻までそのままリアルな声だ。仕組みはよくわからないけれど、長く押しても短く押しても、押し始めに頭から再生されるタイプで「グャ、グャ、グャオ〜ン、ゥオンッ」とか勝手なバリエーションで鳴かせて遊べる。

もしこんなのを大事な会議で使って、うっかりゴジラを鳴かせてしまったら……と、いらぬ妄想をしてみる。ボタンが軽くてすぐ音が出てしまうので、バッグの中を探る時も危険だ。絶対に家からは持ち出さないようにしよう。

ちなみに電池は交換できないようなので、いつまで鳴いてくれるかはわからない。そういえば手のポーズは本物と違い、体と一体感があって、恥ずかしげに胸を隠しているように見えなくもなくて可愛い(笑)。1500円程と高いけれど、機能が二つ付いているので良しとした。

チシャ猫のペンだけは特別な機能がなく、ただ可愛いだけのボールペンである。700円。3本を仲良い感じのポジションでiPhone撮影するのが大変で、左手がつりそうになった。

シン・ゴジラの映画グッズは、他に3Dのクリアファイルとツバメノートを買った。3Dのクリアファイルはレンチキュラーで飛び出すのでかっこいい。レンチキュラーって別の絵に切り替わるタイプや、立体感のタイプなど何種類もあるけれど、シン・ゴジラのものは奥行きと3D立体感のミックスのような感じだ。

レンチキュラーも何層に分かれているかで立体感が全然違うけれど、ゴジラの体部分だけで相当な部位に分けているようでとっても立体的。

アリス・イン・ワンダーランドの3Dクリアファイルも、立体感がすごいので印刷技術の見本としても面白くて集めている。飛び出す絵本ではなく奥に引っ込む世界の中で丸みを再現している。

どんなに進化しても、どこかレトロ感のあるレンチキュラーが好きだ。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

猫動画が好きだけれど、別の動物の動画を見てみるとその思いもよらぬ可愛さに驚く。ネコに負けないリスの気の強さや、石ころでジャグリングするカワウソの手の器用さ、歌を歌うインコの音感の良さ。

人に飼われたからこそ発見される能力もあるけれど、厳しい自然の中ではそれぐらい当たり前なのかもしれない。泳ぐ魚を捕まえる俊敏性と手の感覚があるカワウソには、動かない石ころなんて、見ないでもお手玉できるんだな。


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■crossroads[27]
魔法のようなイヤフォン

若林健一
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160913140200.html
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こんにちは、若林です。「DojoCon Japan 2016」開催以降、新しいDojoの開設の話が毎日のように入ってきます。開催からまだ三週間、この流れはまだまだ続きそう。本当に嬉しい限りです。

●iPhone 7発表

9月7日の深夜、恒例の新しいiPhoneの発表会がありましたね。事前のリークもこの数年は恒例となっており、今年の発表内容も事前にリークされた通りのものがほとんどでした。

・次のモデルはiPhone7とiPhone 7 Plus
・iPhone 7 Plusの方はデュアルカメラ搭載
・いずれもイヤフォン端子は廃止され、Lightning接続イヤフォンが付属
・ワイヤレス接続の新しいイヤフォンを発売
などなど。

イベントの直前になって、日本向けモデルはFelica搭載でSuicaが使えるようになるという情報もでてきましたが、こちらもリーク通りでした。

事前の情報として出てなかった(もしくは出てたけどあまり知られてなかった)のは、任天堂がマリオを題材にしたゲームを出すことぐらいかな。

そんな発表内容でしたが、個人的にはかなり心ひかれる製品がありましたよ。新しいワイヤレスイヤフォン「AirPods」です。

AirPods
http://www.apple.com/jp/airpods/

これは今回の発表で最大の驚きです。iPhoneはまだ2年縛りの期間が残ってるし、どうしても今欲しいとは思わないけれど、これは今欲しい。発売は10月下旬とのことなので、発売されたらApple Storeに飛んでいくつもり、それぐらい欲しいです。

●Lightning接続イヤフォンは妥協の産物?

AirPodsの話の前にiPhone7/7 Plusで廃止されたイヤフォン端子について少し考えてみます。

このニュース、最初に聞いた時には少しがっかりしました。イヤフォン端子がなくなるということは、今まで使ってるイヤフォンが使えなくなる。自分はBOSEの「QuietComfort 15」を愛用しているので、これが使えなくなる。もしくは、アダプタを併用しなければいけなくなる。

イヤフォンを使うのに別途アダプタが必要というのは、かつての携帯電話(いわゆるガラケー)の時にもありましたが、あんなダサい状態にして欲しくない。

一方でレガシーなものを排除するのはAppleの文化でもありますし、技術的にも理解できます。

iPhoneの内部は完全にデジタルで音楽の再生もデジタル。であれば最後の出力の部分もデジタルにした方が音質の低下は避けられる。

イヤフォン端子を廃止すれば、それに関連する回路や機構部品を廃止できるので、コスト的にも設計自由度的にも有利になります。

では、iMacでフロッピーディスクを廃止した時のように、他メーカーも追従してLightningを採用するのでしょうか?

Lightningを採用するにはAppleの承認が必要ですし、Apple製品のためだけにLightning対応イヤフォンが大量に出てくるとはちょっと思えない。今回ばかりは他社が追従することはなさそうです。

Appleとしてもワイヤレスイヤフォンを同梱して、完全なワイヤレス化を進めたかったのかもしれませんが、それはコスト的にかなり厳しい。このあたりの妥協の産物として、「Lightning接続イヤフォン」となったと推測しています。これもそう遠くない将来、廃止されるような気がします。

●AirPodsはiPhoneのアクセサリーに止まらない

AirPodsでできることは、今までのiPhone付属のイヤフォンと大きくは変わりません。なのに、その今まで通りのことを実現するために投入されている技術の数々がすごい。

・ケースを開けるとiPhoneと接続

最初に必要なペアリング操作も、従来のBluetoothヘッドセットに比べると非常に簡単で、一度ペアリングした後の再接続もかなり速いようです。

これと同じ体験は、AirPlayの時にもありました。ルックアップとペアリングに時間がかかる汎用プロトコルのDLNAよりも、Appleの専用プロトコルであるAirPlayの方が連携が速くて、メディアのブラウジングも簡単。これは接続される両方の機器を自社で開発しているからこそ実現できる体験ですね。

・耳につけると音楽の再生がスタート

ここでは、光学センサーとモーション加速度センサーが発動します。光学センサーはおそらく耳に装着した時の光の入り具合を検知することで、耳に入れられたかどうかを感知するために使われるのでしょう。

加速度センサーは、Siriを起動する時のダブルタップ操作を検知するために使われているのでしょう。

・話始めると声を認識し、音声をクリアに拾えるようノイズを除去

ここではビームフォーミングマイクと音声加速度センサーが発動します。音声加速度センサーが、声の振動と音源を認識して話していることを検知し、ビームフォーミングマイクがノイズを除去します。

ビームフォーミングって聞いただけですごそうですが、検知した音源に対してふたつのマイクで位置と角度を測定して、その角度から入ってくる音声だけを集音することでノイズを除去できるという技術です(たぶんこの説明であってるはず)。

ビームフォーミング技術は知ってましたが、音声加速度センサーというのを初めて聞きました。世のなか色んなセンサーがあるものです。

これだけのことが自分の顔の周りで起こるって、すごくないですか? 顔の周りを見えないマスクに覆われているようなイメージがします。

これらを今まで通りのイヤフォンの大きさの中で実現してしまった。だったら、今までのイヤフォンって中身はなんだったの? って感じ。

今ままでのイヤフォンのケーブルだけばっさり切り落としただけみたいなのに、そこには最新の技術が詰まっている、まさしく魔法の世界。

「なんで、イヤフォンごときにここまで頑張るねん!」ってツッコミ入れたくなる製品ですけど、これは必ずウェアラブルコンピューティングをもっと身近なものにする製品になると確信してます。

そうでなければ、Appleがここまで頑張ってくるはずがない。発売が決定したら即買いして一足早く未来を見に(聴きに)いくつもりです。


【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/
Twitter: https://twitter.com/kwaka1208

CoderDojo奈良&生駒の開催予定
http://coderdojo-nara.org/
奈良:10月16日(日)午後
生駒:10月1日(土)午後


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■はぐれDEATH[08]
はぐれ関東滞在記2 東小金井・暴走の日々

藤原ヨウコウ
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160913140100.html
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だらだら書き連ねてきたが、ようやく関東滞在について話を進める。

最初の一年は、自分でも恥ずかしいほど気負っていて、暴走に次ぐ暴走の毎日だった。ちなみに基地の場所は東小金井。数少ない知識から中央線沿線を探して決めた。三鷹から西は家賃がぐっと安くなるのだ。今はどうか知らない。

お仕事の方は幸いわりと早い段階で新規開拓に成功した。その後お仕事が続いてくれなかったのは残念至極だがこれはもう仕方がない。タイミングという得体のしれないヤツがあるのだ。

それでも弾みがついたのは事実で、暴走に拍車をかけることになった。加減を知らないというのは実に恐ろしい。若いときのような持久力はもうないのだ。

当然、後からツケがやってくる。特に50歳になってがくっときた。このへんはetudeと称する落描きに露骨に出ている。それでも一年目はまだetudeを量産していた。ほとんど意地になっていたというコトだけは告白しておこう。

ボクにとってのetudeは、本来リラックスした状態で楽しく描くものだ。楽しくないと続かないし、無理をすれば神経がすり減るだけだからだ。こんな初歩的なことをコロッと忘れて意固地になっていたのは、やはり関東滞在中に明白で堅固な結果を残したいという思いが先だったからだろう。

こういう無茶なことは20代、30代なら許されることかもしれないが、悲しいかな50を目の前にしていたボクには無謀すぎた。今だから言えるのだ。とにかく当時はそんなゆとりはなかったし、旧帝國陸海軍末期のような玉砕、バンザイ突撃、特攻を繰り返していたようなもんだ。

日常生活でも神経をすり減らすアホな事態に直面していた。ボクが入居していたのはシェアハウスだった。入居当初は色々な人との交流をおおいに楽しんでいた。

あの時期のメンバーは今思っても実に良かった。約二名の問題な人を除けばの話だが。アジア系の外国人の方が多く、日常会話は怪しい日本語と怪しい英語がメインだったのだが、お互いコミュニケーションをしっかり取ろうという意識があったので、すれ違いや誤解はほとんどなくまことに充実していた。

ある意味、日本人相手の方が厄介だった。異文化交流(特にアジアから来ていた人)も日常生活レベルで大いに成果があった。中でも韓国のお肉に関する知識をかなり教えてもらったのだが、やはり本場韓国の手法というのはシンプルでありながらも実際的で、めちゃめちゃ勉強になった。

この楽しい時間に水を差したのが上記した問題の二名である。というか一人はボクの両親とたいして歳の変わらぬ英国人なのだが。このおっさんのトラブルに関して一々細かく描写する気はない。思い出すだけでげんなりするからだ。

結局このおっさんの存在が、約一年でこのシェアハウスを引き払う原因になった。もう一人は論外。ホンマもんのキチガイを目の当たりにして「狂うと人はここまで恐ろしい存在になるのか」と、自分と照らし合わせながら戦慄した。

後から知ったのだが、どうも何度も警察沙汰になっていたらしい。もっとも不起訴で事件にはなっていなかったようだが。情報ソースはもちろん内緒だが、信頼に足るソースなのでまず間違いないだろう。

それでも近くに小金井公園があり、阿佐ヶ谷で月一で開催されているフリーセッションに参加できたのは幸いだった。賀茂川ほどではないが(というかボクが知る限り、管楽器の練習場所としては賀茂川は最高である)小金井公園で練習して、セッションで爆音を鳴らすのは楽しかった。

なにしろ場所が阿佐ヶ谷なのだ。中央線で東小金井からたった六駅。最後まで残って、さらに終了後色んな人と談笑してても余裕で帰れる。他にも色んなセッションに参加した。

あの豊住芳三郎さんとセッションが出来たのは本当に幸運だった。「あの」と言っても分からない人の方が圧倒的に多いだろうが、とにかく雲の上の人というか、ボクにとっては手の届かないスゴい人なのだ。休憩中に優しく話しかけてくれてめちゃめちゃ感激した。

ちなみに「はぐれ」の命名者は豊住さんだ。それまでは「異人」と言う言葉を使っていたのだが、豊住さんに言われて即「はぐれ」に変更した。実にミーハーである。

もう一人どうしても外せないのが、のなか悟空さんである。徹底して爆音にこだわったセッションを開いてくれて、これまた月一で参加した。ただ内容があまりにハードすぎて、ボク以外は全員ドラムという鬼のような回もあった。あれはしんどかったなぁ。楽しかったけど。

東京に来てから明らかに練習量が落ちていたので余計にハードだった。ワンセット一時間で、ドラムと打楽器に周りを囲まれた状態でひたすら鳴らし続けるのだ。これは相当キツイ。この時のなかさんが「よう頑張ったなぁ」と言ってくれたのが本当に嬉しかった。本当ならずっと続けたかったのだが、住み処の問題で断念せざるを得なかった。

入居当初の賑やかで楽しい雰囲気は、秋頃から崩壊しはじめていた。前述の韓国の方が帰国したのが一番痛かった。彼と同居していたシンガポールから来ていた女の子が、ムードメーカーとして和やかな空気を作ってくれていた。

一触即発になりそうな時も、彼女の存在が大いに役立った。とにかく陽気で元気な人なのでこっちとしてもお気楽だった。彼女は彼氏と一緒に韓国に行ったのだが、この二人が抜けてハウスそのものの空気が一変した。

それまでこの二人のおかげでどうにかこうにか均衡を保っていたのだが、途端に悪い方へ向かいはじめたのである。ほとんど廃墟状態だ。実際、二年後に閉鎖され解体されたらしい。

上京して最初の、〈本格的な鬱〉に突入してしまったのは言うまでもあるまい。もともと情緒不安定な危ない人なのだ。神経内科にも通っているし、相当危険な状態に陥ったこともしばしばあった。一度はこのせいで自律神経がほとんど沈黙し、死にかけたぐらいである。

具体的に言うと、血圧のコントロールが出来なくなって、仮死寸前の血圧まで下がったのだ。低血圧がでふぉなのだが、この時の血圧は上が68。高血圧の人なら完全に仮死状態の血圧らしい。それでもかなり危険な状態だったようだ。

質の悪い風邪と思って無視していたのだが、さすがに一日一時間しか起きていられないという状態になると病院にいくしかない。ここで自律神経失調症を宣告され、かれこれ14〜15年の付き合いだ。悪化したり良くなったりの繰り返しで今日まで過ごしているのだが、とにかくこの病気は本当に厄介だ。


【フジワラヨウコウ/森山由海/藤原ヨウコウ】
YowKow Fujiwara/yoShimi moriyama
http://yowkow-yoshimi.tumblr.com/
http://blog.livedoor.jp/yowkow_yoshimi/

装画・挿絵で口に糊するエカキ。お仕事常時募集中。というか、くれっ!


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編集後記(09/13)

●宇田川敬介「震災後の不思議な話〈三陸の怪談〉」を読む(2016、飛鳥新社)。怪談というからには、現象の主人公達が生きている人たちを怖がらせたり、驚かせたり、怨んだりするのが定番であるが(じつは、そういう怪異譚を、期待してはいなかった、というとウソになる)この本では不思議な話が多い。亡き人の「帰りたい」「見守っている」という「心の叫び」を聞き取れるようなエピソードが殆どだ。亡き人たちも復興を望んでいるのではないかと思う話も少なからずある。瓦礫の中から自分の大切なものを探す死者の姿、という話も多い。怪異譚というより不思議譚を集めた、そういう編集だから殆ど怖くない。

東日本大震災の津波は大きな地震の後、いきなり襲ってきた。東北には、波が大きく引いた後に津波が襲ってくるという言い伝えがあった。多くの人は、引き潮を確認してから逃げればいいという感覚があった。わたしもそれが〈常識〉だと思っていた。ところが、いきなり大津波が来た。多くの人が何が起こったかわからないままに死んでしまった。だから「死んだことに気づいていない」死者が少なくない。それゆえの怪異譚が多い。そんな霊魂は生きている人と同じ行動をとろうとするらしい。死んだという自覚のない霊魂にとって、自分の家に帰り、今までの自分の毎日の生活をとり戻したいと思うのは当然だろう。

その帰りたいという思いが「タクシーに乗る」という現象になる。乗せた人の多くが津波で完全に流され、無人になった場所を行き先として指定する。運転手はそんな何もないところに行くのかと、後ろを振り返ると誰もいない。服装や性別に限らず、みんな消えるのだという。昼も夜も関係なく、乗せてから少したつと忽然と消えてしまうという。ある地区に限って起きた現象だ。そういうお客を乗せた運転手の談話が多いが、不気味ではなくなんとなくワカル気がする。時間が経つにつれて、実体化した霊魂の目撃談は減っている。徐々に帰るべきところにたどりつけたと考えてよいのかもしれないと筆者は考える。

タクシー話ばかりでなく、震災後の被災地では「亡くなられた方々」が「復興していない街に出てくる」という「幽霊譚」が頻々と語られていた。これはやはり、「死んだことに気づいていない」霊魂が起こした現象だろう。こういう不慮の死では迷うのもしかたがない。なんて、分かったようなことを言うわたしだが、若い頃に霊魂の世界に関する本を大量に読み漁った結果、わたしなりに理解しているのだ。めんどうくさいが、死んだとたんすべてが抹消ではなく、次のステージがあるらしい。それは現世の生き方が反映するらしい。ああ、めんどうくさい。この本の怪談部分はいいが、本文はイマイチであった。 (柴田)

宇田川敬介「震災後の不思議な話〈三陸の怪談〉」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4864104816/dgcrcom-22/


●イヤフォンのケーブルが絡まるのはイヤだ。そしてAirPodsは落とす自信がある! どこかが眼鏡のチェーンみたいなのを出してくるはずだっ。/「耳につけると」って凄い。ノイズ除去も。

保険相談続き。給付金の回数制限のあるところ、ないところがある。一度がんで入院した後に再発したら?

給付金が毎年出るところ、二年に一度のところがある。生存率の目安は5年と言われていて、毎年出るところなら5回は出て、二年に一度なら2回しか出ない。

もちろん元気になったらいらないものなんだけど、生存率云々の時期にやりたいことや家族と過ごすためのお金が出るとありがたいと思う人はいますよと。

入院日数が長引く場合。入院日額金のもらえる日数上限は保険会社によって違ってくるが、三大疾病の場合は無制限というものもある。脳梗塞で入院して退院がいつになるかわからない、そんな時でも保障します、と。 (hammer.mule)

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コントローラーがネックレスみたい