crossroads[27]魔法のようなイヤフォン/若林健一

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こんにちは、若林です。「DojoCon Japan 2016」開催以降、新しいDojoの開設の話が毎日のように入ってきます。開催からまだ三週間、この流れはまだまだ続きそう。本当に嬉しい限りです。





●iPhone 7発表

9月7日の深夜、恒例の新しいiPhoneの発表会がありましたね。事前のリークもこの数年は恒例となっており、今年の発表内容も事前にリークされた通りのものがほとんどでした。

・次のモデルはiPhone7とiPhone 7 Plus
・iPhone 7 Plusの方はデュアルカメラ搭載
・いずれもイヤフォン端子は廃止され、Lightning接続イヤフォンが付属
・ワイヤレス接続の新しいイヤフォンを発売
などなど。

イベントの直前になって、日本向けモデルはFelica搭載でSuicaが使えるようになるという情報もでてきましたが、こちらもリーク通りでした。

事前の情報として出てなかった(もしくは出てたけどあまり知られてなかった)のは、任天堂がマリオを題材にしたゲームを出すことぐらいかな。

そんな発表内容でしたが、個人的にはかなり心ひかれる製品がありましたよ。新しいワイヤレスイヤフォン「AirPods」です。

AirPods
http://www.apple.com/jp/airpods/

これは今回の発表で最大の驚きです。iPhoneはまだ2年縛りの期間が残ってるし、どうしても今欲しいとは思わないけれど、これは今欲しい。発売は10月下旬とのことなので、発売されたらApple Storeに飛んでいくつもり、それぐらい欲しいです。

●Lightning接続イヤフォンは妥協の産物?

AirPodsの話の前にiPhone7/7 Plusで廃止されたイヤフォン端子について少し考えてみます。

このニュース、最初に聞いた時には少しがっかりしました。イヤフォン端子がなくなるということは、今まで使ってるイヤフォンが使えなくなる。自分はBOSEの「QuietComfort 15」を愛用しているので、これが使えなくなる。もしくは、アダプタを併用しなければいけなくなる。

イヤフォンを使うのに別途アダプタが必要というのは、かつての携帯電話(いわゆるガラケー)の時にもありましたが、あんなダサい状態にして欲しくない。

一方でレガシーなものを排除するのはAppleの文化でもありますし、技術的にも理解できます。

iPhoneの内部は完全にデジタルで音楽の再生もデジタル。であれば最後の出力の部分もデジタルにした方が音質の低下は避けられる。

イヤフォン端子を廃止すれば、それに関連する回路や機構部品を廃止できるので、コスト的にも設計自由度的にも有利になります。

では、iMacでフロッピーディスクを廃止した時のように、他メーカーも追従してLightningを採用するのでしょうか?

Lightningを採用するにはAppleの承認が必要ですし、Apple製品のためだけにLightning対応イヤフォンが大量に出てくるとはちょっと思えない。今回ばかりは他社が追従することはなさそうです。

Appleとしてもワイヤレスイヤフォンを同梱して、完全なワイヤレス化を進めたかったのかもしれませんが、それはコスト的にかなり厳しい。このあたりの妥協の産物として、「Lightning接続イヤフォン」となったと推測しています。これもそう遠くない将来、廃止されるような気がします。

●AirPodsはiPhoneのアクセサリーに止まらない

AirPodsでできることは、今までのiPhone付属のイヤフォンと大きくは変わりません。なのに、その今まで通りのことを実現するために投入されている技術の数々がすごい。

・ケースを開けるとiPhoneと接続

最初に必要なペアリング操作も、従来のBluetoothヘッドセットに比べると非常に簡単で、一度ペアリングした後の再接続もかなり速いようです。

これと同じ体験は、AirPlayの時にもありました。ルックアップとペアリングに時間がかかる汎用プロトコルのDLNAよりも、Appleの専用プロトコルであるAirPlayの方が連携が速くて、メディアのブラウジングも簡単。これは接続される両方の機器を自社で開発しているからこそ実現できる体験ですね。

・耳につけると音楽の再生がスタート

ここでは、光学センサーとモーション加速度センサーが発動します。光学センサーはおそらく耳に装着した時の光の入り具合を検知することで、耳に入れられたかどうかを感知するために使われるのでしょう。

加速度センサーは、Siriを起動する時のダブルタップ操作を検知するために使われているのでしょう。

・話始めると声を認識し、音声をクリアに拾えるようノイズを除去

ここではビームフォーミングマイクと音声加速度センサーが発動します。音声加速度センサーが、声の振動と音源を認識して話していることを検知し、ビームフォーミングマイクがノイズを除去します。

ビームフォーミングって聞いただけですごそうですが、検知した音源に対してふたつのマイクで位置と角度を測定して、その角度から入ってくる音声だけを集音することでノイズを除去できるという技術です(たぶんこの説明であってるはず)。

ビームフォーミング技術は知ってましたが、音声加速度センサーというのを初めて聞きました。世のなか色んなセンサーがあるものです。

これだけのことが自分の顔の周りで起こるって、すごくないですか? 顔の周りを見えないマスクに覆われているようなイメージがします。

これらを今まで通りのイヤフォンの大きさの中で実現してしまった。だったら、今までのイヤフォンって中身はなんだったの? って感じ。

今ままでのイヤフォンのケーブルだけばっさり切り落としただけみたいなのに、そこには最新の技術が詰まっている、まさしく魔法の世界。

「なんで、イヤフォンごときにここまで頑張るねん!」ってツッコミ入れたくなる製品ですけど、これは必ずウェアラブルコンピューティングをもっと身近なものにする製品になると確信してます。

そうでなければ、Appleがここまで頑張ってくるはずがない。発売が決定したら即買いして一足早く未来を見に(聴きに)いくつもりです。


【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/
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