もじもじトーク[48]明朝体とゴシック体、そしてアンチゴチ/関口浩之

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

今年の東京の日照時間は、9月として四半世紀ぶりに少なくなっているようです。9月18日から24日までの一週間は、一日の日照時間が連続して一時間未満だったようです。

すっりとした秋晴れの毎日になってほしいですね。僕は天体観測マニアなので、星がきれいな夜空が待ち遠しいです。

というのは、最近、デジタルカメラを購入したのです。古いカメラは10台ぐらい持っており、10年ぶりくらいの新規導入です。ライブコンポジット機能が付いた、オリンパスの「E-PL7」というミラーレスカメラです。

このライブコンポジット機能、天体写真を撮る僕のようなマニアにとって、すごく嬉しい働きをします。

星雲や銀河を撮影するためには長時間の露出が必要なのですが、都内は空が明るいので、数秒で明かりをかぶってしまいます。ライブコンポジット機能があると、暗い空は暗いまま、星雲や星団の明かりのみを重ね合わせしてくれるんです。

ハッブル望遠鏡のようなきれいな写真は無理ですが、マンションのベランダ天体観測所からアンドロメダ銀河やオリオン星雲が、それなりに撮れるはずです。

残り少ない今年のもじもじトークで「アンドロメダ銀河の撮影に成功しました!」とかの記事をご期待ください………

さて、今回のもじもじトークは「明朝体とゴシック体」のお話です。





●明朝体とゴシック体の違い

前回のもじもじトークでは、20個の明朝体を並べて観察しました。明朝体オタクでなくても、「おっ、じっくり観察すると、個性が異なるさまざまな明朝体があるのね」と感じることができたと思います。

明朝体とゴシック体の違い、みなさん、ご存知ですよね。出張中に街中で見かけた明朝体とゴシック体を写真に撮りました。こちらです。ジャーン!
https://goo.gl/E0QSAl

この二つの、書体を入れ替えたら、受ける印象が変わりますね。

●明朝体とゴシック体の使われ方

「明朝体」と「ゴシック体」の二つの書体、不仲のようにもみえるけど、仲良
しでもあるのです。

では、この二つの書体の特徴を列記してみましょう。

明朝体:

縦画に比べて横画が細い。漢字にはウロコが付いている、ちょっと幾何学的なデザイン。だけど、ひらがなやカタカナは楷書体のような雰囲気を持っている。明朝体における漢字とそれ以外の文字(ひらがな、カタカナ、英数字)の字形デザインには違いがあり、それの違いによりメリハリが出て、リズム感が生まれる。本文で使われることが多い。

ゴシック体:

横画と縦画の線の太さが同じ。漢字とひらがな、カタカナが同じトーンの字形デザインで作られている。小説の本文で使われることは少ない。見出しで使われることが多い。

歴史をたどってみると活版印刷や写植の時代から、小説の本文は必ずと言っていいほど明朝体が使われています。つまり「読み物として使う書体は明朝体である」「長文を読むには明朝体が適している」ということは証明されていると思います。

明朝体はリズム感があるので、長く読んでいても疲れない、斜め読みもしやすいということなんだと思います。

書体デザイナーの講演セミナーに度々参加してますが、「書体の王道は明朝体」「明朝体は奥が深い」「まだまだ明朝体を究めていない」「明朝体に終点はない」というお話を聞いたことがあります。

「あれっ、でも、ウェブサイトでは長文もゴシック体で使われているよね」という意見もあるかと思います。

これは、ディスプレイの解像度に関係しています。明朝体は横画が細く、ウロコやハネの細かい要素が多いので、解像度の低いディスプレイではきれいに表示できないのです。

パソコンが誕生した頃の画面解像度は640×480だったと思います。最近のパソコンの画面解像度は高くなったといえ、1366×768解像度のノートパソコンを使用している方も少なくないと思います。

そんな環境では、デザインが直線的で横画も細くない、ゴシック体のほうが情報を表示する上で適しているのです。

スマートフォンやタブレットのような高解像度ディスプレイが主流になり、パソコンも同様に高精細な画面が普及すると、明朝体で表現するウェブサイトが増えてくるかもしれません。

●アンチゴチって書体、知ってる?

漫画の吹き出しの中の文字を観察してみてください。漢字にはゴシック体、ひらがなには明朝体を太くしたような書体が使用されています。この太い明朝体のような書体をアンチック体といいます。

ひらがなに「アンチック体」、漢字は「ゴシック体(ゴチック)」を使っているので「アンチゴチ」と呼ばれているのです。

そうなっていることに気づいていなかったみなさん、漫画の吹き出しの書体がどうなっているのか、ぜひ、漫画を手に取って観察してみてください!

なぜ、このような書体が使われるようになったのでしょうか? パッと見たときにメリハリ感が出る、つまり、肉声が伝わるということだと思います。漫画の吹き出しは、しゃべり言葉ですからね。

漫画の吹き出しでの利用以外で、ウェブサイトでアンチゴチをうまく活用している事例を紹介します。

電通報
https://goo.gl/k52FKd

メリハリというか、インパクトありますよね。四角い枠の中にリード文を「アンチゴチ」書体でポンポンと配置して表現したのは、ウェブメディアならではのなかなか良い発想だと思います。

今回は明朝体とゴシック体のあれこれのお話でした。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステム
やプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。

小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。