[4202] 「フォントのホント」に参加しました

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《今度こそ徳川に勝てるはず!》

■まにまにころころ[104]
 ざっくり日本の歴史(後編その22)
 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito

■クリエイター手抜きプロジェクト[477]
 Adobe Illustrator CS6〜CC 2015編
 囲まれた四角形内にある図形などを選択する
 古籏一浩

■LIFE is 日々一歩(39)[Web]
 「フォントのホント」に参加してきました
 森 和恵

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■まにまにころころ[104]
ざっくり日本の歴史(後編その22)

川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito
https://bn.dgcr.com/archives/20161003140300.html

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コロこと川合です。『真田丸』はいよいよ次回から、大坂の陣へと向かいます。やっぱり九度山での蟄居生活は、あまり描くことなかったんですね。「真田紐」が今回出てきましたが、信繁がえらく現代的な取引の話をしていて、さすがにちょっと興ざめでした。(笑)

真田紐というのは、平たく織った綿の紐で、織物なので柄がきれいで丈夫です。九度山あたりに行くとお土産物として売られていて、私も道の駅で買った短い真田紐のストラップを持っています。

なお、真田紐が信繁たちの考案したものというのはあくまで俗説で、起源は不明ながら、当時既に存在していたようです。ですが、考案はともかく、信繁たちが紐を織って、真田紐と名付けて売っていた可能性はまあ、あります。作中に出てきましたが、上田は織物の産地でしたし、和歌山や泉州は綿花の産地なので。

『真田丸』も残すところ11回。11回もかけて描かれる大坂の陣が楽しみです。今度こそ信繁たちが勝ってもいいんじゃないでしょうか。徳川方も強力ですが、なんせ豊臣には難攻不落の大坂城がありますからね。家康ももう高齢ですし。

籠城して2年3年と戦を引きのばせば、家康はもたないでしょう。それに上手く引きのばすことができれば、それを見た諸国の大名が豊臣方になびく可能性もでてきます。征夷大将軍といえ、そもそも徳川は豊臣の家臣です。大義は豊臣にあるでしょう。徳川の天下を快く思わない勢力は、全国にかなりあるはず。

大坂城は鉄壁ながらも南がやや攻めやすいですが、その攻めやすい個所の隣に強固な出丸を築くことで敵の目を惹きつけ、集中的に守ることができるはず。

そうだ、番組名にあやかって「真田丸」とでも名付ければいい。あとはもう、家康があれほど恐れた軍略家であるあの真田昌幸の子、信繁を中心にして一丸となりさえすれば、今度こそ徳川に勝てるはず!

……と、そんな話はさておき、今回は前回の続き、長州の人の紹介です。


◎──木戸孝允(きど・たかよし)=桂小五郎(かつら・こごろう)
(1833年8月11日-1877年5月26日)

木戸孝允の名を知らない方も、桂小五郎という名は耳にしたことがあるのでは。新選組を扱った作品などでも、必ず出てきますからね。

桂小五郎も、松下村塾の塾生ではありませんが、松陰先生に学んだひとりです。剣豪としても知られ、文武に渡って才能を発揮した人ですが、一番の才能は、死ななかったこと、じゃないでしょうか。

さんざん命を狙われておきながら、「逃げの小五郎」とあだ名されるほどに、逃げに徹したんです。剣豪とはいえ、斬られたり撃たれたりすれば死にます。

きっちり幕末を生き延びて、新政府で重職に就き、昭和や平成からタイムリープした未来人かと思うほどに現代的な政治施策をもって、混乱する時代を治める政治家として手腕を発揮。薩長や新政府を快く思わない方でさえも、政治家・木戸孝允の能力は認めるところでしょう。


◎──大村益次郎(おおむら・ますじろう 1824年11月5日-1869年12月7日)

元々はお医者さんでしたが兵学者としての道を歩み、長州征伐を受けた時や、その後の戊辰戦争では長州兵を率いて戦い、最終的には、後の日本陸軍の基を作り上げた人です。

医者から兵学者というとかけ離れて思えますが、要は蘭学者、西洋学者として諸事に通じていたわけですね。大坂の適塾で緒方洪庵にも学び、適塾の塾頭も務めたことがあります。木戸孝允の盟友として、新政府で軍制の整備にあたりましたが、反対派のテロに遭って命を落とします。

あまり一般に名の知られた人ではないように思いますが、この人を丁寧に紹介していては、本3冊分になります。(司馬遼太郎『花神』全3巻)

ということで、逸話をひとつだけ。ちょうど黒船がやってきた頃のこと、蘭学の知識が重要だということで、第一級の蘭学者として大村が、伊予宇和島藩の藩主に推挙されました。で、大村は出向いていったのですが、ちょうど藩主も家老も留守の時で。

大村:「あのー、今度ここで働くようにいわれたんですがー」

役人:「うわ、汚い格好やな! ここで働くって、何ができんの?」

大村:「蘭学を少々」

役人:「蘭学か〜。藩主も家老も留守でようわからんけど、蘭学は大事やって話はしてはったし、蘭学者を雇わなあかんってゆーてた気もするし、そやなあ、わかった、じゃあ採用ってことで。給料はまあちょっとおまけして年に10両2人扶持ってことにしといたげるわ。それで、もうちょっといい服買えるやろ」

家老:「ただいまー」

役人:「あ、ご家老、おかえりなさい。留守中に蘭学者が来たんで雇いました」

家老:「ん ?あ、推薦のあった大村先生のことかな」

役人:「ちょっと多めで年に10両ってことにしたんですけど、よかったですか?」

家老:「ちょっ、おまっ、大先生にたった10両て!なにしてくれとんねん!!!」

役人:「え、大先生? そんなこと、本人は何も……」

大村:「あ、何もゆーてなかったわ」

大村はすぐに、100石取りの上士扱いに改められました。なんか三国志でも似たエピソードありましたよね。(笑)

大村はその後、宇和島藩主について江戸に行き、塾を開き、幕府でも教えて、江戸で知り合った桂小五郎の誘いで長州藩士になりました。


◎──小田村伊之助(おだむら・いのすけ)=楫取素彦(かとり・もとひこ)
(1829年4月18日-1912年8月14日)

先の大河ドラマ『花燃ゆ』主人公である文(美和子)の二人目の夫です。最初の夫は、前回紹介した久坂玄瑞。ややこしいですが、小田村伊之助はもともと、文の姉である寿の夫で、久坂が戦死、寿が病没した後に、文と再婚しました。

明倫館で教えていたため松下村塾の門下ではありませんが、松陰の妹を娶っているくらいですからもちろん親交はあり、松陰の松下村塾設立も支援したり、松陰没後は塾生の指導も行ったりしました。

初代の群馬県令(県知事)ですが、県庁を高崎から前橋に移したことで、高崎の人からは評判が悪いようです。(笑)

業績を見ても、大河を見ても、まあ立派な人ですが、派手な功績は特になく、名前はまったくといっていいほど知られていないのではないでしょうか。

『花燃ゆ』で一気に有名になった……と言いたいですが、視聴率が低かった……

◎──伊藤博文(いとう・ひろふみ 1841年10月16日-1909年10月26日)

一転、超有名人。言わずとしれた初代内閣総理大臣です。若い人には馴染みがないかもしれませんが、昭和38年から59年まで千円札の肖像だったんですよ。余談ですが、千円札はお札の中でも一番よく使われるため、他のお札より少し厚くつくられています。それでも一番早く傷んでだめになるそうです。

紹介するまでもないほどの人ですが、もともとは松下村塾の塾生でした。で、攘夷志士として他の塾生たちと活動していたそうです。維新後に重職についたのは、木戸孝允の引き立てによるものです。

初代韓国統監府統監でもありますが、最後は韓国で安重根に暗殺されました。そのことで韓国では、伊藤を射殺した安重根を英雄視する向きがありますが、伊藤は韓国の国力を高め、いずれ独り立ちさせる路線を念頭に置いていました。

韓国併合にも反対でしたので、伊藤の暗殺は韓国併合強硬派によるものとする説もあります。韓国併合は、伊藤暗殺の翌年です。

ま、政治的な考え方の違いで対立する相手を暗殺する、というのは、攘夷志士時代に伊藤もやったことですけどね。


◎──山県有朋(やまがた・ありとも 1838年6月14日-1922年2月1日)

第3代・第9代の内閣総理大臣ですので、学校でも習って名前はご存じでしょう。

幕末には奇兵隊の軍監も務め、後に日本陸軍の基礎を築いて「国軍の父」とも呼ばれています。松陰先生が投獄されて刑死したので期間は短いですが、山県も松下村塾の塾生でした。伊藤博文同様に、低い身分からのし上がった人です。

派閥を形成して絶大な影響力をふるったことから、派閥外からは人気ないです。


◎──井上聞多(いのうえ・ぶんた)=井上馨(いのうえ・かおる)
(1836年1月16日-1915年9月1日)

いわゆる不平等条約改正に尽力した人で、第一次伊藤内閣では初代外務大臣に就いています。渋沢栄一など財界人とも親交が深く、三井財閥では最高顧問も務めたことから、「三井の番頭さん」と揶揄されたりも。

大河『八重の桜』で、大隈重信邸で新島襄が寄付を募った会にも出席していて、紹介はありませんでしたが参加者名簿に「伯爵・井上馨」と名前がありました。

そう聞くと立派な人のようですが、汚職事件を起こしたりもしていて、わりと権力にものを言わせてあくどいことも色々やっていたようです。

藩校である明倫館の出で、松下村塾の塾生ではありませんでしたが、攘夷志士として、高杉晋作や久坂玄瑞、伊藤博文らと一緒に活動していました。藩内の勢力争いなどで命を狙われ、瀕死の重傷を負ったこともあります。


◎──野村靖(のむら・やすし 1842年9月10日-1909年1月24日)

この人も松下村塾の出身で、実兄の入江九一とともに攘夷活動を行いました。維新後は政府の役職を歴任、岩倉使節団の一員として渡欧もしました。

第2次伊藤内閣では内務大臣も務めていますが、まあ『花燃ゆ』見ていた人でもない限り、この人のことはあまり知らないのではないでしょうか。

ただ松陰先生のファンには、松陰先生が処刑直前に著した最後の著書『留魂録』を、後年に奇跡的に受け取った人として有名かもしれません。

松陰は『留魂録』を獄中で二部作成し、一部を門弟に、一部を同じ牢にいた沼崎吉五郎に託し、前者は後に行方不明になってしまいました。

この沼崎吉五郎が、島流しの刑にあいながらも『留魂録』をずっと隠し持ち、東京に戻った後、松陰門下の野村が神奈川県権令となっていることを知って届けてくれたんです。こちらは現在、萩の松陰神社に奉納されています。


◎──前原一誠(まえばら・いっせい 1834年4月28日-1876年12月3日)

こちらも松下村塾出身。維新後は政府に勤めるも、方針の違いから大村、木戸、山県らと対立し下野。後に不平士族を集めて萩の乱を起こし、処刑されました。

萩の乱など、不平士族の乱についてはまたいずれ。


◎──乃木希典(のぎ・まれすけ 1849年12月25日-1912年9月13日)

「ここでこの人の名前!?」と思われたかも知れませんが、長州出身で、松陰にも縁があるということで、まあ名前だけ。乃木坂46の「乃木」です。

親戚で、吉田松陰の叔父で松下村塾の創立者である玉木文之進に師事。松陰が亡くなった時点で乃木はまだ11歳で、面識もありませんが、言わば同門です。

玉木文之進は、松陰が処刑された際に、監督不行き届きとして代官職を剥奪されます。またさらにずっと後ですが、先の前原一誠が萩の乱を起こした際、門弟が多く参加していたことに責任を感じて、先祖の墓前で自害しています。


◎──今回はここまで

二回に渡って長州の人を紹介してきましたが、さすがに有名人が多いですねえ。勝って新政府を牛耳ったからですけど。次回は幕府側の紹介を考えています。あ、その前に一回、森和恵さんとのアニメ対談を挟むかも知れません。(笑)


【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
https://www.facebook.com/korowan

https://www.facebook.com/caputllc

http://manikabe.net/


・セミナーのご紹介
【沖縄・10/4】「クリエイターのための契約と契約書の基本」
http://www.takagi-office.biz/seminar-161004.html



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■クリエイター手抜きプロジェクト[477]
Adobe Illustrator CS6〜CC 2015編
囲まれた四角形内にある図形などを選択する

古籏一浩
https://bn.dgcr.com/archives/20161003140200.html

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今回は、囲まれた四角形内にある図形などを選択する、Illustrator用のスクリプトです。

以下のスクリプトは、選択した四角形内にあるすべての図形を選択します。四角形は複数選択することもできます。

// 囲まれた四角形内にある図形などを選択する(四角形の選択解除なし)
(function (){
var selObj = app.activeDocument.selection;
for(var i=0; i<selObj.length; i++){
var gb = selObj[i].geometricBounds;
var x1 = gb[0];
var y1 = gb[1];
var x2 = gb[2];
var y2 = gb[3];
// 内包されてるか全ての図形を調べる
var pObj = app.activeDocument.pageItems;
for(var j=0; j<pObj.length; j++){
var gb = pObj[j].geometricBounds;
var px1 = gb[0];
var py1 = gb[1];
var px2 = gb[2];
var py2 = gb[3];
if ((px1>=x1) && (py1<=y1) && (px2<=x2) && (py2 >=y2)){
pObj[j].selected = true;
}
}
}
})();


上記のスクリプトは、最初に選択した四角形が選択されたままになります。最初に選択した四角形の選択を解除するスクリプトは、以下のようになります。

// 囲まれた四角形内にある図形などを選択する(四角形の選択解除なし)
(function (){
var selObj = app.activeDocument.selection;
for(var i=0; i<selObj.length; i++){
var gb = selObj[i].geometricBounds;
var x1 = gb[0];
var y1 = gb[1];
var x2 = gb[2];
var y2 = gb[3];
// 内包されてるか全ての図形を調べる
var pObj = app.activeDocument.pageItems;
for(var j=0; j<pObj.length; j++){
var gb = pObj[j].geometricBounds;
var px1 = gb[0];
var py1 = gb[1];
var px2 = gb[2];
var py2 = gb[3];
if ((px1>=x1) && (py1<=y1) && (px2<=x2) && (py2 >=y2)){
pObj[j].selected = true;
}
}
selObj[i].selected = false;
}
})();

ちなみに、四角形を選択しなくても、他の図形を選択しても動作はします。ただし、そのパス全体を囲むバウンディングボックス内にあるすべての図形が選択されます。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


NHKの連ドラ「とと姉ちゃん」が終わった。当初予想していた話とは違っていた。番組名からして、きっとこれは貧乏になった三姉妹が一発逆転をかけてtoto BIGを購入し、6億円を獲得する話かと。

億万長者になったら、爆食いして体型がトドになりトド姉ちゃんと呼ばれると。しかし、6億円をあっという間に使い果たし生活はどん底に。だが、そんなことではめげない博打三姉妹が、復活をかけて再度toto BIGを購入し、何と再び6億円を獲得しウハウハな生活に戻るのであった……。

という話じゃなかったようだ。やはり心を入れ替えて働くのがいいかなあ、と。しかし、男女の心を入れ替えるだけで100億円だからなあ……と思ってしまう
(君の名は。)

米国の大統領候補トランプ氏とヒラリー氏の心が入れ替わっても、ほとんど変わらない気がする……。編集長と濱村さんの心が入れ替わったらどうなるのか……。

・IchigoLatteを楽しもう
http://www.openspc2.org/reibun/IchigoLatte/1.0.0/


IchigoLatte、ようやく1.0.0β4まできました。ハードウェアの第一階層にJavaScript OSが搭載されているのでFirefox OSのような低速なことはありません。なお、限定版のIchigoLatte基板も販売されています。(数量限定)

興味のある方はぜひどうぞ。

http://ichigolatte.shizentai.jp/


レトロゲーマーなら知ってると思いますが、懐かしのファミコンが手のひらサイズで復活。ゼビウスがないけど、アイスクライマーとエキサイトバイク、ギャラガがあれば十分かなあ。気晴らしにグラディウスといった感じで。

それにしても、ニンテンドークラシックミニも、IchigoLamなど小型できたのはUSBからの電源供給(MicroUSB)があるからだと思います。これもiPhone/Androidなどスマートフォンが普及したおかげです。

・ニンテンドークラシックミニ(FAMILY COMPUTER)
https://www.nintendo.co.jp/clv/index.html


・みんなのIchigoJam入門 BASICで楽しむゲーム作りと電子工作
http://www.amazon.co.jp/dp/4865940332/


・Premiere Pro & Media Encoder自動化サンプル集
http://www.amazon.co.jp/dp/4802090471/


・JavaScriptによるデータビジュアライゼーション入門
http://www.amazon.co.jp/dp/4873117461/


・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/


・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA/


・Adobe JavaScriptリファレンス
http://www.amazon.co.jp/dp/B00FZEK6J6/


・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/


・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/



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■LIFE is 日々一歩(39)[Web]
「フォントのホント」に参加してきました

森 和恵
https://bn.dgcr.com/archives/20161003140100.html

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こんにちは! 森和恵です。今年は日本に上陸する台風が多いですね。台風第18号(チャバ)が、水曜日にかけて、だんだんと関西に近づいてくるそうで……。みなさま、十分にお気をつけください。

さてさて。先週は、とってもバタバタした日々を過ごしてしまい、チャット対談をお願いするタイミングを失いました。なので予定を変更して、週末に参加してきたWeb系イベントのレポートをまとめたいと思います。

●リクリセミナーと今回のテーマについて

“Re:Creator's Kansai”(愛称:リクリ)は、2007年に発足された、関西の
クリエイターの交流、勉強会・セミナーの開催を目的としたコミュニティです。
http://www.re-creators.jp/


トレンドなWeb系の勉強会を関西で開催してくれるので、わたしも何度も参加しております。地方では、鮮度のよい生の情報がどうしても少ないので、たいへんありがたいです。

今回参加してきたのは、“第30回リクリセミナー「フォントのホント」”。
https://recreators.doorkeeper.jp/events/47685


「デコレーション(見ため・修飾)だけではなく、『文字の読みやすさ・伝わりやすさ』(可読性、視認性、判読性)に目を向けたデザインを考えたい、学ぶ機会の少ない『フォント』について勉強したい』というテーマで開催されました。

デジクリ木曜日「もじもじトーク」でおなじみの日本語Webフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリスト・関口浩之さん、株式会社モリサワの高桑剛さん、CSS Niteの鷹野雅弘さんが登壇されました。

●日本語Webフォント最新事情(2016年版)

関口さんのセッションは、イマドキの日本語Webフォントのお話でした。

“FONTPLUS”を導入している企業を事例にし、どんなWebフォントがサイトで使われているかという切り口がとても興味深かったです。

FONTPLUS 使用フォントランキング
http://support.fontplus.jp/font-ranking/


サイトで一般公開されているトップ10は、筑紫・ロダン・新ゴなど、「嗚呼、デザイナーさんが選ぶ憧れのフォントばかりだなぁ」という結果でした。このトップ10の順位は、これまでもほとんど変化はないそうです。

(2016年10月現在に筑紫系フォントが4つも入っている理由は、書体デザイナーの藤田重信さんがテレビ〈NHK プロフェッショナル 仕事の流儀〉に出演したからかも? とのことでした)

セッションでは、特別にTOP10以下も紹介がありました。「UDフォントが増えている」「特徴のある思いきったフォントが増えている(ベビポップ・くろかね・勘亭流・秀英)」の二点が目につくということでした。

これを聞いてわたしはこう思いました。

もしかしたら、Webフォントの使いどころは、タイトルまわりなのかも? と。

本文のフォントは、いままで通りユーザーになじみのあるOS標準を用いたほうが軽い。

しかし、目立つタイトル周りの文字組は、雰囲気を表現する必要があるので“画像”にしてきたけれど、Webフォントならテキストデータのまま意匠をこらすことができますよね。

セッションで紹介された事例も、ほんとうに驚くデザインのものばかりでした。同サイトの利用方法の紹介から、たくさんの事例を見ることができます。
http://webfont.fontplus.jp/service/how


日本でのWebフォントの普及は、まだ10%程度ということなので、これからの可能性や伸びしろに期待したいと思います、と締めくくられました。ワクワクする内容でした。

●文字・書体のひみつ 〜フォントの裏側教えます〜

高桑さんのセッションは、“フォント(文字)”がどのように作られているのか? どんな仕組みでパソコンで表示されているのか? など、かなり突っ込んだ技術的なお話がされました。

モリサワとAdobeが提携して、1989年にPSフォントへの移行がスタートしたのがきっかけで、フォントの電子化が始まったそうです。

個人的に、EPSONプリンターを扱っていたので、“PSフォント”という響きをたいへん懐かしく聞いていました。

PSプリンターは、PSフォントを内蔵するためにプリンターにハードデイスクがついてたりして、フォントの取り扱いがすごく厄介だったのを覚えています。ちゃんと設定しないと、スクリーン表示用のビットマップフォントが割り当てられて、印刷物がガタガタになったり……(涙)

セッションの中で、特に印象に残ったのが“モリサワの書体デザインの工程”です。約5分間程度のムービーが流されました。
http://www.morisawa.co.jp/fonts/


そこで驚いたのが、『フォントの元デザインは、方眼紙に手書きをしている』ということ、幾度にもわたって品質チェックが行われていること、最後に全工程の制作プロセスが、多くの人の手で数年かけられているということです。

モリサワさんのフォント、お高いからなぁ……と言って愚痴ってて本当にごめんなさい。品質の優れたプロ仕様に耐えられる製品ということだったんですね。

また、フォントの設計においては「人間の目で見て美しく見えるように」徹底的に微調整されているということにも驚きました。

錯視(視覚に関する錯覚)を考慮して、「縦棒より横棒を長くする」「空間の開け方を調整する」などの工夫がされているそうです。
http://ggdesign.blog48.fc2.com/blog-entry-26.html


このような慎重な工程を経て作られているフォントをデザインする私たちは、なおざりに使ってはいけないなぁと思いました。

●読みやすさ、伝わりやすさのためのテキストの扱いアレコレ

鷹野さんのセッションは、Illustratorなど、具体的にソフトを使って文字組をするために必要な知識や、知っておくと便利なことについての紹介でした。

鷹野さん自身が、デザインをする中で身につけたテクニックを、毎回惜しみなく披露していただけるので、とても参考になります。

くわしくは、著書の「10倍ラクするIllustrator仕事術」などを読むとよいと思います。
http://www.dtp-transit.jp/books/x10ai/


わたしが心に残ったのは、いくつかの言葉でした。

「サイトに人格があるように、Fontを用いた表現はサイトの大切なひとつのパーツ」「自分の好みで選ばず、サイトの世界観に合わせる」「文字組は三つのレイヤーに分けられる。原稿・フォント・組版」

ひとつひとつの機能を適切に使うことで、文字を見る側のオーディエンスに文字を意識させることなく、情報を正しく伝達することが大切なんだなと痛感しました。

●フォント愛ダダ漏れLT大会

セミナーの中盤で、有志によるLT大会が開かれました。わたしも、「Windowsのフォント事情と本音」というテーマで参加しました。

「Winのフォントはかわいそう」と、よくデザイナーにささやかれるWindowsユーザーが、パソコンでどんなふうに文字と向き合っているか? というところをお話しました。スライドを公開していますので、よかったらみてください。
http://www.slideshare.net/r360studio/windowslt-66616461

http://www.slideshare.net/r360studio/


LT大会ですが、主催者の方がお話していたように、LTを経験したことのない若い方々にもどんどん参加してもらいたかったなという気持ちでおりました。

わたしも、参加表明をギリギリまでしていなかったのですが、「年長の自分がでるより、まずは未経験の方の発表の場にして欲しい」と思っていたからです。結局、参加者が少ないようだったので、だったら楽しませていただこうかなと手を挙げた次第です。

やったことのない方がLTをするのは、敷居が高いのでしょうか……。今回、わたしがLTに向けてどんなふうに準備したか? を後日レポートにしたいなと考えています。少しでも、これからチャレンジしてみようという方が増えたらいいな。

……というわけで、今回はこの辺まで。

さて次回こそ、10月から始まる新アニメの話をする予定です。これを送ったら、川合さんにチャット対談の打診をさせてもらおうかなと思っております。ではでは、また!(^^)


【 森和恵 r360studio 〜 Web系インストラクター 〜 】
site: http://r360studio.com

mail: r360studio@gmail.com
Twitter: http://twitter.com/r360studio


秋〜冬に開催されるWeb系セミナー、好評受付中です。
Adobe系セミナーがそろってます。少人数制なため、お申し込みはお早めに。
http://r360studio.com/seminar/



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編集後記(10/03)

●昨日は久しぶりに晴れたので自転車で走った。いま「さいたまトリエンナーレ」なるイベントが、さいたま市全域で開催されている。メインゾーンは三か所で、そのうちの「武蔵浦和〜中浦和駅周辺」に行ってみた。別所沼公園では日比野克彦「種は船プロジェクトinさいたま」とかいう、子供らと共同制作したらしい、朝顔の種の形をした船が沼に浮かぶインスタレーション。相変わらず理屈は立派だが、とくに感動を呼ぶような成果物ではない。「さいたまトリエンナーレ」のサイトを見ていて、一番興味を持ったのがラトビアの芸術家、アイガルス・ビクシェによる、寝そべるビジネスマンの巨大像であった。

埼京線・新幹線が走る高架下の、なんでもない公園の芝生に彼はいた。「さいたまビジネスマン」と名付けられた彼は全長9.5m、強化ポリウレタン製で、このままの形で運ばれてきて設営された。作者は埼京線の通勤ラッシュに驚き、さいたまのサラリーマンにエールを送ることを目的にこの作品を制作したという。のんきそうな彼だが、スーツにはハエとクモが適当な間隔でたくさん配置されている。頭にも、靴裏にも。これはどういう意味なのか。像のそばに立つスタッフに聞けばよかった。帰り道でふと考えた。あの像は全天候型だから、風雨は関係ないが、夜間の警備はどうなっているのか。気になって仕方ない。

また、パンフレット表紙には像に登って遊ぶ子供らのイラストがある。こんなことできるのか。やはりもう一度行って、いろいろ説明したくてしかたがないそぶりのスタッフに確認しなければなるまい。参加アーティスト一覧を見ると、日比野と野口里佳(写真家)以外見たことも聞いたこともない人々。「さいたまトリエンナーレ2016は、共につくる、参加する芸術祭です」という。「アートのための祭典ではなく、市民がアーティストとともに、自分たちの未来を探していく、『市民の想像力の祭典』にしたい」という。ディレクターメッセージとか、コンセプトとかに、歯の浮きそうな記述が並ぶ。いい気なもんだ。

芹沢高志ディレクターは「さいたまトリエンナーレ」を「ソフト・アーバニズム」=「柔らかな都市計画」と考えている。住民には目には見えない土地と人間の関係性や、忘れられた場所の記憶がある。そこにアートプロジェクトとして光を当て、市民がアーティストと共に協働、参加することで……なにワケの分からんこといってるんだ。協働なる聞き慣れぬ言葉は自治基本条例用語である。制定を4年余タナザラシにしているさいたま市民の良識に、風穴をあけようってことか。「より近い距離で自治体と市民が関わり、支え合いながら、新しい未来のための文脈作り」なんて空虚な論だ。壮大な無駄遣いだな。 (柴田)

さいたまトリエンナーレ2016
https://saitamatriennale.jp/


別所沼に浮かぶ日比野克彦作品
https://bn.dgcr.com/archives/2016/10/03/images/001

アイガルス・ビクシェ「さいたまビジネスマン」
https://bn.dgcr.com/archives/2016/10/03/images/002
https://bn.dgcr.com/archives/2016/10/03/images/003


●「君の名は。」はそういう話なのか。編集長と心が入れ替わったら……どうなるんだろう……。

森さんのアニメおすすめを期待していたので残念である……。「僕のヒーローアカデミア」「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」は森さんの記事を読んでいなかったら見ていなかった。どちらも続編が決まっていて嬉しい。

「文豪ストレイドッグス」は登場人物が文豪名、能力が本のタイトルというところで、第一話すぐに脱落した。受験生なら見てもいいかもしれぬ。しかし本を先に読んでいる者としてはアカン。

太宰治の能力が「人間失格」、谷崎潤一郎が「細雪」、芥川龍之介が「羅生門」とくるのに梶井基次郎は「檸檬爆弾」というのにも納得いかん(笑)。

「Thunderbolt Fantasy」は、最初入り込めなかった。が、時代劇のような言い回し・台詞の気持ちよさと、妙に話の続きが気になって見続けているうちにハマった。

漢字の想像できない名詞がよく出てきたよ。しんかいまかい/神誨魔械、ごいんし/護印師、べつてんがい/蔑天骸、げんきしゅう/玄鬼宗、てんぎょうけん/天刑劍、ませきざん/魔脊山、めいほうけっさつ/鳴鳳決殺など。

登場人物の素性や話の行方がよくわからず、回を追うごとに明かされていく。世界観がだんだんと理解できる。風呂敷がどんどん広がっていくけど、これどうやって終わるの? この人たち何者? 何が目的? 仲間が増えるけど……、なぜ彼だけ剣の効果音が……と。

先日の最終回で主人公(殤不患)の素性がわかり、気持ち良いどんでん返しと、収まるところに収まった話にスッキリ。今回紹介しようと1話を見始めて、最終話での伏線回収に拍手。すっかり忘れてた。 (hammer.mule)

Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀
http://www.thunderboltfantasy.com/

きちょうは帰蝶だとずっと思っていた日本人。鬼鳥だった。げんきしゅうは元気衆に脳内変換してしまうので困ってた。通り名を使うのも、本名すら覚えられなかったので困った(笑)。

Amazonのプライムビデオでメイキングと1話が無料で見られる
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01HY7A97K/dgcrcom-22/


バンダイチャンネルでも
http://www.b-ch.com/ttl/index.php?ttl_c=5235


文豪ストレイドッグス
http://bungo-stray-dogs.jp/