[4208] 迷ったあげく再導入した液晶タブレット

投稿:  著者:  読了時間:22分(本文:約10,500文字)


《Amazonに慣れてしまうと戻れなくなる……》

■ネタを訪ねて三万歩[139]
 書店と蔵書についての考え方の変化
 海津ヨシノリ

■グラフィック薄氷大魔王[493]
 迷ったあげく再導入した液晶タブレット
 吉井 宏




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■ネタを訪ねて三万歩[139]
書店と蔵書についての考え方の変化

海津ヨシノリ
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20161012140200.html
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いつもボーッとしているので、取りたてて気になっているわけではありませんが、今年もあと二か月余りですね。なんだかよくわからないうちに、ここまで来てしまった感じですが、例年とは違った感覚なのは、8月に強行した大掃除が色々と影響しているようです。

ところで、みなさんは本をどこで買いますか? ……今更ながら私はほとんどAmazonで調達します。それ以前、つまりAmazonを本気で利用していなかった頃は、行動範囲内にある幾つかの大型書店とブックオフを活用していました。

しかし、さすがにAmazonに慣れてしまうと戻れなくなってしまいますね。新刊の人気本でも書店にない場合があります。中古の本を探していても、ブックオフで確実に入手できる保証はありません。というか、見つけるのはほとんど絶望的です。

また、新刊本や通常刊行されている定番書籍のようなものを、一般書店で検索するのもイライラします。百歩譲っても、書店内の検索システムが前世紀の遺物のような感覚に陥ります。

情報化時代ですよね……今は。もちろん、無理に目くじらを立てているわけではないのですが、不便だと使わなくなってしまうのは世の流れです。

学生の頃、わりと大きな書店でアルバイトをしていたので、書籍の流れは理解しています。また、今も当時と何も変わっていないことも。だからこそ、乱暴な言い方をすれば、書店では新刊の話題性の高い本以外は見付けるのが困難だと感じています。

ところで、書店では自分の目だけで判断しなくてはなりません。それはある意味、当然のことなのですが、自分にとって専門外の本の場合、価格や発行日よりも、Aamazonの評価がとても参考になります。

「評価数が少なく褒めすぎは怪しい」「評価数が少なく貶しすぎは怪しい」という具合に。また、中古の本は存在の確認と発注、配送の流れがうまくいけば当日にはゲットできてしまうわけです。交通機関と時間を使って探し歩くことを考えれば、論議の意味もないほどAmazonの勝ちになってしまいます。

もちろん、時間つぶしという利用方法も書店にはありました。少なくとも私はかつてかなり頻繁に時間つぶししていました。そして大量の衝動買いを。

しかし、最近の私は時間つぶしなら100均かホームセンターに宗旨替えしてしまいました。書店での情報収集は残念ながら一方向でしかないからです。

ところが、100均やホームセンターなら多方向からの情報収集が可能です。商品を眺めているだけで、色々なアイデアが浮かんできます。

特にオススメなのは工具売り場。実際に使うか否かは関係なく、どんな道具が存在していて、何に使うのかを想像するのがとても楽しいのです。かなり特殊な道具が色々と販売されています。なにより、実際に手にとって感じることができることが嬉しいのです。

しかし、ここで「書店でも多方向からの情報があるのでは?」と突っ込まれそうですが、本当にそうでしょうか。少なくとも書店には文字と写真、そしてイラストしか存在していません。現物は皆無なのです。

我々は、特に私のような仕事の場合、バーチャル空間でものを作り出したりする反動で、どうしても現物を見て触って感じることに貪欲になりつつあります。

少なくとも十年前よりも、強烈にそれを痛感しています。木工やプラモデル、粘土細工を再開したのも、それらが影響しています。まるで原点回帰するかのように。

実はこんなことを書いている私は本が大好きで、つい最近まで本に対して一切の書き込みができませんでした。大きく本を開いて読むこともできませんでした。本を汚したり傷つけたりしたくなかったのです。

ですから、自炊も本当に最近になって少しずつという感じでした。でも、あることに気がついたのです。個人の蔵書は図書館ではないのです。

個人の蔵書は一代限りの収集物でしかないのです。たまたまそれが情報あるいはデータ的なものであるために、図書館的な感覚に陥っていたのではないでしょうか。

どんな資料やデータ、あるいは収集物であっても、第三者から見れば不必要なモノでしかありません。本人が消滅してしまえば、不必要となる可能性の方が高いのです。

そう考えるようになった時点で、本に対する、いや蔵書に対する感覚が180度変わりました。

なんとなく寂しい感覚に襲われそうですが、持っているだけで読まなければ、どんなにきれいな初版本であったとしても、なんの意味はありません。ボロボロであっても読み切っていれば、内容を理解できていれば、その本は価値があったことになります。

昔、拙著を「ボロボロになるまで読みました」と、ある方から言われた時は本当に嬉しかったのです。でも、自分ではそれができない。ボロボロになるまで読まれることは、作者にとって嬉しいことのはず。それをやっと悟った次第です。ちょっと遅かったかもしれませんが……。

それと、Amazonならではのメリットは、重複購入を防げることですね。過去に購入した本の情報が残っているので、二度買いの心配がありません。

先日、七年ほど前にある原稿執筆で必要になり、買い求めた専門外の用語集のような本の存在をすっかり忘れ、Amaoznで購入しようと思いました。

もちろん「2009年に購入しています」とメッセージが表示され、無駄な買い物をするのを防げました。すぐに部屋の奥からそれを発見できたことは、言うまでもありません。これは夏の大掃除のおかげです。エアコンが壊れてくれたことに感謝ですね。

さてさて、実は今回のネタには大きなオチがあります。薄々気が付いた方もいるかも知れませんが、私は書店の利用方法を絞って天秤にかけていたわけです。

実際は「どんな本が出ているのだろうか?」という、宝探し的な使い方が多かったはずです。少なくとも私はそうでした。ネットではほとんどそれは難しい芸当。一部分を試し読みできたりしますが、まだまだ中途半端です。

ただ、そういった宝探し的な書店の利用方法が、だんだん難しくなっているのも確かですね。雑誌類はほとんどシュリンクされていますし……。だからこそ、それが書店復活のひとつのヒントなのでは、と勝手に考えていますが、良い方向に向かって欲しいものです。

■今月のお気に入りミュージックと映画

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[ラムのラブソング]by 松谷祐子 in 1981(日本)

ご存じ「うる星やつら」のオープニング曲で一番有名なものです。このアニメ好きだったんですよね〜。高橋留美子ワールドはどうしてものめり込んでしまいます。なんだか唐突にこの曲が聴きたくなってしまった10月の頭、という感じデス。

うる星やつら


[Sinister Squad]by Jeremy M. Inman in 2016(U.S.A)

邦題「アリスvsモンスター・スクワッド」。おとぎ話の悪役が大集合するアクションファンタジー。世界を狙う“死神”を倒すべく、アリスはおとぎ話の悪党たちを集めたチームを結成する……ということで、あまり考えずにレンタルしたのですが、見事に大外れでした。あまりにも外れすぎていたので今回はネタにしてみます。

ストーリーがイマイチよくわからない。無名俳優という理由だけでなく、演出も適当すぎて学芸会以下的なノリ……ロケ地もチープ過ぎて、学生の映画でももっとまともでしょ……という感じ。

そもそも死神と戦う悪役キャラが、グリム童話の「悪魔の名前当て」の悪役ルンペルシュティルツヒェン、イギリス童話「3びきのくま」に出てくるゴルディロックス、ペロー童話「青ひげ」の青ひげ、「不思議の国のアリス」のマッドハッター、トゥイードルディーとトゥイードルダム。

その他……オオカミ男、人食い魔女……。もうワカランチンの世界。ボーッとしているときにポチると確実に失敗しますね。正直、10分ぐらい見て時間の無駄だと感じました。

Sinister Squad - Official Trailer 2016



【海津ヨシノリ】
グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/怪しいお菓子研究家

yoshinori@kaizu.com
http://www.kaizu.com
http://kaizu-blog.blogspot.com
https://www.facebook.com/yoshinori.kaizu

仕事関係で、私が言ってもいないことを、言ったように吹聴されるトラブルが発生しました。詳しいことは書けませんが、年下の女性であり、反論は出来ない流れです。プライドが異常に高く、常に自己中心的な方のです。

こうなったら、私はひたすら関わらないようにするのが精一杯。関わっていなければ、ネタにされることも無いですからね。

ちなみに、私が本当にそんなことを言っていないということは、複数の方が把握しています。どうしてこんな馬鹿なことが発生するのか理解に苦しみますが、正直、最近は妙な方が多いですからね〜。困った問題です。


◎11月の画像処理セッションは11月17日(木)の予定ですが、現時点ではまだ未定です。詳しくは私のブログかFacebookでご確認ください。

〜PhotoshopとIllustratorの復習【応用力が付くイラスト作成】〜

講演内容:

PhotoshopとIllustratorを活用し、イラストレーションを作成する上でのTipsを整理・解説致します。ちょっとした調整で、単調なイラストが見違えるように個性を持ち始めます。

・コツとアンバランス
・パーツの位置を意図的に活用
・グラデーション処理の活用
・極端なデフォルメと繊細なワンポイント処理

参加は無料ですが、申し込みが必要です。
詳しくは以下のサイトでご確認ください。
https://www.borndigital.co.jp/seminar/


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■グラフィック薄氷大魔王[493]
迷ったあげく再導入した液晶タブレット

吉井 宏
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20161012140100.html
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●プロローグ

ソフトや機材で、導入しようかやめようか、ず〜〜〜っと迷い続けてるものがいくつもある。基本的に「今使ってるソフトで十分じゃないか」「モノを増やしたくない」「制作過程を複雑にしたくない」「守備範囲を無闇に拡げたくない」「以前実際に使ってみてダメと結論出したじゃないか」などなど、僕の中の反対意見はいつも優勢。

迷ったあげく導入したものが、期待どおりでなかったケースが最近多かったから説得力ある。っていうか、ずっと定番として使い続けてるモノ以外は、全部失敗だったとも言える。

昨日、「迷ってる時間がもったいない」と、ある機材の「再導入」に踏み切った。さてと、今回はどういう結果になるかな? (一か月前)

先週書いた「迷ったあげく再導入したある機材」と格闘中。Amazon返品(一か月以内は可)の誘惑と戦ってますw こうなることは想定の範囲内。どうにかうまい使い方を編み出さねば……。(三週間前)

例の「迷ったあげく再導入したある機材」。あと数日でAmazonの返品可能期間が終わる。返品しなかったら、仕事の道具として用途を見つけることに成功したか、覚悟を決めたということになる。落ち着いたらソレについて何か書きます。(一週間前)

……などともったいぶって書いてたけど、今までの連載をちゃんと読んでくれてる人がいたら、何を再導入したのかバレバレだったかも。

そうです、液晶タブレット。WACOM Cintiq 27 QHDです。
http://www.wacom.com/ja-jp/products/pen-displays/cintiq-27-qhd

●液タブ熱が再燃

この連載にも、液タブへの期待や便利さ、導入後の苦労、ボヤキ、後悔、首が痛い、を書いてきた。全廃と再導入を繰り返したあげく、ちょうど一年前には「液タブ関連の総括」みたいなことを書き、いちおう自分の中でキリをつけたつもりだった。
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20151014140100.html

「液タブ使いたい発作を抑えるためのCintiq 13HD」はいい考えだった。iPad Pro+Pencilもそこそこ使いものになるし、Mac+Astropadも強力なツール。

予定外にSurface Pro 4を入手するアクシデントw もあったけど、液タブ依存
というか過度の期待を弱めてくれる効果があったかも。板タブメインで平和に
やってました。

「Astropad2」
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160824140100.html
「Surface Pro 4 入手」
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160127140100.html

ところがその後、ピクサーやディズニーアニメーションスタジオのメイキング動画などに登場するCintiq 27 QHDを見るたび、CGのプロ中のプロたちが認める最高のツールを使わないでいいのか? と思うようになってきた。

クリエイターとしての後半戦を、世界最高の武器で戦いたい! とか格好良さげなこと考えたり。

四年前に購入した22インチのCintiqは、相当努力したにも関わらず一年くらいで使用継続を断念した。なので、大きな液タブが苦手なのはわかりきってた。

しかし、間違った使い方をしてたのではないか? という思いもある。もう一度買うにしても、たった二年前に手放した22インチの再購入では悔しすぎるw やっぱ27インチだっ!

●購入と後悔

で、届いたCintiq 27はやはりバカでかい難物だった。設置した瞬間から「Amazonは一か月以内の返品が無条件に可能」が頭をよぎる。何日たってもしっくりくる使い方を見つけられず、いつも「返品期限はあと何日?」って考えてた。

それでも一か月間、できる限りの工夫を試したり、必要な機材を追加購入したり、挫折と発起を繰り返し、ようやく最後の一週間で「なんとか使っていけそうな気分がするかも?」程度には思えてきた。

そして迎えたAmazon返品可能期限の最終日の10月6日。とんでもない発表が!

●WACOM MobileStudio Pro 16 発表

ドッカーン!
WACOM、16インチの新タブレットPCを発表ってマジかよ〜〜〜っ!!!
ホントにホントに……マ……ジ……か……よ〜〜〜っ!!!

一か月も必死で27インチと戦ってきたのに、返品期限当日にこんな爆弾。膝から崩れ落ちるイメージw

13インチと16インチのWACOM MobileStudio Pro。値段は発表されてないけど、この高スペックだとCintiq 27の値段を上回るのは確実だろうな……。
http://www.wacom.com/ja-jp/products/pen-computers/wacom-mobilestudio-pro-16
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1023548.html

でかい液タブはつらい、13インチは狭すぎる。だから15〜17インチが理想。昔使ってたCintiq17インチは実にいいサイズだった。

WACOMの人に会うたびに、「15インチか17インチのCintiq出して〜」「まだ出ませんか?」とかしつこく言ってたのでした。ここ二年くらい会ってなかったなあw (法人向け15.6インチ液タブがあるのは知ってたけど、グラフィックプロ向けではない)。

16インチっていっても正確には15.6インチで、なんと4K。3Dスキャナまで搭載。ペンの性能も4倍。ぶっちゃけCintiq Companion後継のタブレットPCだけど、単体液タブとしては出るのか? 出なくても16インチならこれ一台で仕事が完結できるかもしれない。

待望の16インチ発表! 27インチ返品の期限は今日! 16インチが発売されることが一か月前にわかっていたら、27インチ購入に踏み切ったか正直微妙。心がかき乱されるw

●27インチを使っていく覚悟を決めた

半日くらい悶絶した後の結論は、「七年くらい使ってるシネマディスプレイがそろそろ寿命な今、Cintiq 27はいざという時にペンも使えるメインディスプレイとしても使っていけそうじゃないか?」が落としどころかなと。

「Adobe RGBカバー率97%」だし、専用のキャリブレーションツールも買った。16インチじゃメインディスプレイにはなり得ない。22インチでも無理だ。

直後、「返品期間が2016年10月6日に終了しました。」になった。とりあえず数年間は使い倒すぞ!

●数年先にどうする?

届いた日にまっ先に思ったのが「こんなバカでかいもの、不要になったらどう処分すりゃいいんだ?」ってこと。

でかいプリンタやスキャナなどの機材が不要になると、処分に困ることが多い。「粗大ゴミ」として受け付けてくれない。それで、処分に困りそうなものは購入しない自分ルールができてたのになあ。

巨大な空き箱は今机の下と倉庫部屋だけど、近日中に捨てる。スタンドはたくさんのパーツを自分で組み立てる式。箱がなくなった状態で分解したら始末に負えない。

本体とスタンドを組み立てた状態で売却するにしても、9kgと23kgの計32kgだよ。どうやって運べばいいんだ? あまり古くならないうちに、誰かほしい人! クルマで取りに来てくれる人限定! しか思いつかない……。

●液タブのS、M、L

ちょっと落ち着いたところで、ひとつだけ負け惜しみ(なんで?)を言わせていただければ……。

従来、「13インチ、22インチ、27インチ=S、L、XL」という製品構成だったCintiq。16インチの登場で、「S、小さめのM、L、XL」になったわけだけど、普通のMサイズがほしいよねえ。MobileStudio Proの大きい方は17〜18インチほしかったかな〜〜。

13インチにくらべれば16インチは広く感じるだろうけど、それでも唯一の主力液タブとして使うには小さいかも。

Astropad2の時に書いた、「13インチのiPad Proを横位置で使うときの縦はCintiq13インチより3cmほど大きく、それで相当使いやすく感じる」。

Cintiqと同じ比率の新16インチで、ようやくiPad Proの横位置の縦と同等になる。やはりこの比率では17インチ以上でないと、Mサイズの液タブを使ってる気がしないんじゃないかなあ、とか。

とかなんとか書いても、「やっぱ16インチいいなあ」には効き目なしw


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/

Cintiq 27の件は順を追って書こうと思ったんだけど、新16インチの登場で予定が狂った。何を工夫したか苦労したかなど、追々書いていきます。実はもう一つ大きな問題が発生するんだけどそれも後で。

あと、intuos 3Dにも付属するZBrushの簡易バージョン「ZBrush Core」の件について書きたかったけどエネルギー切れ。

・ショップジャパンのキャラクター「WOWくん」
https://shopjapan.com/wow_kun/

・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500

・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii

・rinkakの3Dプリント作品ショップ
https://www.rinkak.com/jp/shop/hiroshiyoshii


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編集後記(10/12)

●大村崑「崑ちゃん ボクの昭和青春譜」を読んだ(文藝春秋、2016)。表紙は有名なホーロー看板で使われた16ミリの画像だ。御年84歳、まだまだ「元気ハツラツ!」らしい。彼が辿ってきた戦後から復興の時代、テレビ黎明期の軽演劇の出現と変遷、昭和の芸をちゃんと記録しておきたい、そんな思いに駆られて本をまとめたという(聞き書き:小泉カツミ)。グランドキャバレーのボーイと司会を三年、名司会者・大久保玲の弟子を三年、昭和32年に北野劇場のコメディアンとしてデビュー。その後、佐々十郎、茶川一郎の三人と脚本家・花登筺で全国区に。我が家にテレビがなかった頃のことだから知らない。

その後、微かに覚えているのは公開生放送「番頭はんと丁稚どん」で、意地悪な番頭・芦屋雁之助が本気で憎らしかったこと。大村崑主演の「とんま天狗」も見た。「姓はオロナイン、名は軟膏」という決め台詞しか覚えていない。芸名は大久保玲が、めでたい昆布の昆、覚えてもらいたい名にはンがつくから、という理由で決めた。それが二回目の台本で崑とミスプリ、こっちのほうがカッコええということになった。「とんま天狗」の頃は生放送出演が九本というから超人的だ。「うれしいとメガネが落ちるんですよ」は大村の戯言から生まれた。曲げた針金でメガネを後ろから押し出すしかけを考案したのも大村だ。

やがて大村は、17年間一緒に走ってきた花登筺と決別。「笑いの王国」の座長を辞める。その裏には花登の妨害に耐え忍んだ事情があったという。その頃はもう彼を見るためにテレビのチャンネルを選ぶことはなく、その後もCMで姿を見る程度だったが、まだ芸能界にいるらしい。そこには定年がない。若い頃に結核で片肺を失ったというが、この30年間、風邪も引かず、怪我もせず、仕事は一日も休んだことはないというからえらいもんだ。ところが、この本に登場するほとんどの人は、もうこの世にはいない。まさしく「そして誰もいなくなった」のである。錚々たる人たちの名前が一番最後に並ぶ。すごい人脈だ。

昭和51年から読売ジャイアンツの選手がCMに起用され、大村は「オロナミンCは小さな巨人です」という台詞を担当した。当時の巨人は勝ち続け、結局九年間も続いた。わたし史からいうと、その九年間は、ようやく編集仕事の仕組みをなんとなく理解しつつあった頃だ。本当に理解できるようになるのはDTPの到来まで待たなければならなかった。この本を読んで分かる、覚えている、という人はかなりの年寄り。ターゲットはシニア、65歳以上だろう。確かに懐かしい昭和の風を感じるのだが、「抱腹絶倒、波瀾万丈、起伏に富んだエピソードが満載の一冊」という、版元の宣伝ほどは面白くないのが残念だ。(柴田)

大村崑「崑ちゃん ボクの昭和青春譜」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01LW8TI3P/dgcrcom-22/


●海津さんの本はバイブルでしたわ。目から鱗だらけ。会社で初めて導入したMacの担当者になってしまい、Illustratorで地図を作るのに苦労しました。

/シュリンクしてある書店には魅力がないし、かといって読み放題、カフェ持
ち込み可能の書店では買う時にチェックが必要で。サンプル+シュリンクがいいんだけれど、たまにシュリンクなのに折り目ついてたり。

講談社の漫画には、シュリンクの外側に発行日つきのバーコードシールがついていて、新刊かどうか見分けるのに役立つ。以前その漫画を買ったのはいつかはおぼろげに覚えてはいるが、巻数や表紙は覚えていない。他の出版社も真似してお願い。

/若い頃、老人さんたちが拡大文字の書籍を買っていたのを知っていて、歳とったら本は読めなくなるなぁと思っていたら、端末で文字が拡大できるようになり、どころか読み上げまでしてくれたりして、まだまだ読むことができるのだと嬉しい。貸し借りができないから、漫画はまだ紙で買うけど。

端末のせいで、ネットのどうでもいい芸能人のブログニュースまで読むようになったのはどうかと思ったりもする。「すっぴんを公開」なら見ないが、「すっぴんが可愛いと話題」というニュースだと、話題になる知らない芸能人の名前は仕入れておこうかと見てしまったりする。そして後悔する。この人の話題を誰とするのだ、自分にはもっと大事な情報があるだろうと。

/100均面白いですよね。アイデアグッズはすぐに劣化したものが出回るし、100均オリジナル商品があったり。ボールペンなんかだとメーカー品が普通に並んでいる。価格はホームセンターやドラッグストアの方が安め。

「BOOM BOOM SATELLITES」の川島さんが亡くなられた。47歳。早すぎます。 (hammer.mule)