グラフィック薄氷大魔王[493]迷ったあげく再導入した液晶タブレット/吉井 宏

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●プロローグ

ソフトや機材で、導入しようかやめようか、ず〜〜〜っと迷い続けてるものがいくつもある。基本的に「今使ってるソフトで十分じゃないか」「モノを増やしたくない」「制作過程を複雑にしたくない」「守備範囲を無闇に拡げたくない」「以前実際に使ってみてダメと結論出したじゃないか」などなど、僕の中の反対意見はいつも優勢。

迷ったあげく導入したものが、期待どおりでなかったケースが最近多かったから説得力ある。っていうか、ずっと定番として使い続けてるモノ以外は、全部失敗だったとも言える。

昨日、「迷ってる時間がもったいない」と、ある機材の「再導入」に踏み切った。さてと、今回はどういう結果になるかな? (一か月前)

先週書いた「迷ったあげく再導入したある機材」と格闘中。Amazon返品(一か月以内は可)の誘惑と戦ってますw こうなることは想定の範囲内。どうにかうまい使い方を編み出さねば……。(三週間前)

例の「迷ったあげく再導入したある機材」。あと数日でAmazonの返品可能期間が終わる。返品しなかったら、仕事の道具として用途を見つけることに成功したか、覚悟を決めたということになる。落ち着いたらソレについて何か書きます。(一週間前)

……などともったいぶって書いてたけど、今までの連載をちゃんと読んでくれてる人がいたら、何を再導入したのかバレバレだったかも。

そうです、液晶タブレット。WACOM Cintiq 27 QHDです。
http://www.wacom.com/ja-jp/products/pen-displays/cintiq-27-qhd





●液タブ熱が再燃

この連載にも、液タブへの期待や便利さ、導入後の苦労、ボヤキ、後悔、首が痛い、を書いてきた。全廃と再導入を繰り返したあげく、ちょうど一年前には「液タブ関連の総括」みたいなことを書き、いちおう自分の中でキリをつけたつもりだった。
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20151014140100.html

「液タブ使いたい発作を抑えるためのCintiq 13HD」はいい考えだった。iPad Pro+Pencilもそこそこ使いものになるし、Mac+Astropadも強力なツール。

予定外にSurface Pro 4を入手するアクシデントw もあったけど、液タブ依存
というか過度の期待を弱めてくれる効果があったかも。板タブメインで平和に
やってました。

「Astropad2」
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160824140100.html
「Surface Pro 4 入手」
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160127140100.html

ところがその後、ピクサーやディズニーアニメーションスタジオのメイキング動画などに登場するCintiq 27 QHDを見るたび、CGのプロ中のプロたちが認める最高のツールを使わないでいいのか? と思うようになってきた。

クリエイターとしての後半戦を、世界最高の武器で戦いたい! とか格好良さげなこと考えたり。

四年前に購入した22インチのCintiqは、相当努力したにも関わらず一年くらいで使用継続を断念した。なので、大きな液タブが苦手なのはわかりきってた。

しかし、間違った使い方をしてたのではないか? という思いもある。もう一度買うにしても、たった二年前に手放した22インチの再購入では悔しすぎるw やっぱ27インチだっ!

●購入と後悔

で、届いたCintiq 27はやはりバカでかい難物だった。設置した瞬間から「Amazonは一か月以内の返品が無条件に可能」が頭をよぎる。何日たってもしっくりくる使い方を見つけられず、いつも「返品期限はあと何日?」って考えてた。

それでも一か月間、できる限りの工夫を試したり、必要な機材を追加購入したり、挫折と発起を繰り返し、ようやく最後の一週間で「なんとか使っていけそうな気分がするかも?」程度には思えてきた。

そして迎えたAmazon返品可能期限の最終日の10月6日。とんでもない発表が!

●WACOM MobileStudio Pro 16 発表

ドッカーン!
WACOM、16インチの新タブレットPCを発表ってマジかよ〜〜〜っ!!!
ホントにホントに……マ……ジ……か……よ〜〜〜っ!!!

一か月も必死で27インチと戦ってきたのに、返品期限当日にこんな爆弾。膝から崩れ落ちるイメージw

13インチと16インチのWACOM MobileStudio Pro。値段は発表されてないけど、この高スペックだとCintiq 27の値段を上回るのは確実だろうな……。
http://www.wacom.com/ja-jp/products/pen-computers/wacom-mobilestudio-pro-16
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1023548.html

でかい液タブはつらい、13インチは狭すぎる。だから15〜17インチが理想。昔使ってたCintiq17インチは実にいいサイズだった。

WACOMの人に会うたびに、「15インチか17インチのCintiq出して〜」「まだ出ませんか?」とかしつこく言ってたのでした。ここ二年くらい会ってなかったなあw (法人向け15.6インチ液タブがあるのは知ってたけど、グラフィックプロ向けではない)。

16インチっていっても正確には15.6インチで、なんと4K。3Dスキャナまで搭載。ペンの性能も4倍。ぶっちゃけCintiq Companion後継のタブレットPCだけど、単体液タブとしては出るのか? 出なくても16インチならこれ一台で仕事が完結できるかもしれない。

待望の16インチ発表! 27インチ返品の期限は今日! 16インチが発売されることが一か月前にわかっていたら、27インチ購入に踏み切ったか正直微妙。心がかき乱されるw

●27インチを使っていく覚悟を決めた

半日くらい悶絶した後の結論は、「七年くらい使ってるシネマディスプレイがそろそろ寿命な今、Cintiq 27はいざという時にペンも使えるメインディスプレイとしても使っていけそうじゃないか?」が落としどころかなと。

「Adobe RGBカバー率97%」だし、専用のキャリブレーションツールも買った。16インチじゃメインディスプレイにはなり得ない。22インチでも無理だ。

直後、「返品期間が2016年10月6日に終了しました。」になった。とりあえず数年間は使い倒すぞ!

●数年先にどうする?

届いた日にまっ先に思ったのが「こんなバカでかいもの、不要になったらどう処分すりゃいいんだ?」ってこと。

でかいプリンタやスキャナなどの機材が不要になると、処分に困ることが多い。「粗大ゴミ」として受け付けてくれない。それで、処分に困りそうなものは購入しない自分ルールができてたのになあ。

巨大な空き箱は今机の下と倉庫部屋だけど、近日中に捨てる。スタンドはたくさんのパーツを自分で組み立てる式。箱がなくなった状態で分解したら始末に負えない。

本体とスタンドを組み立てた状態で売却するにしても、9kgと23kgの計32kgだよ。どうやって運べばいいんだ? あまり古くならないうちに、誰かほしい人! クルマで取りに来てくれる人限定! しか思いつかない……。

●液タブのS、M、L

ちょっと落ち着いたところで、ひとつだけ負け惜しみ(なんで?)を言わせていただければ……。

従来、「13インチ、22インチ、27インチ=S、L、XL」という製品構成だったCintiq。16インチの登場で、「S、小さめのM、L、XL」になったわけだけど、普通のMサイズがほしいよねえ。MobileStudio Proの大きい方は17〜18インチほしかったかな〜〜。

13インチにくらべれば16インチは広く感じるだろうけど、それでも唯一の主力液タブとして使うには小さいかも。

Astropad2の時に書いた、「13インチのiPad Proを横位置で使うときの縦はCintiq13インチより3cmほど大きく、それで相当使いやすく感じる」。

Cintiqと同じ比率の新16インチで、ようやくiPad Proの横位置の縦と同等になる。やはりこの比率では17インチ以上でないと、Mサイズの液タブを使ってる気がしないんじゃないかなあ、とか。

とかなんとか書いても、「やっぱ16インチいいなあ」には効き目なしw


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/

Cintiq 27の件は順を追って書こうと思ったんだけど、新16インチの登場で予定が狂った。何を工夫したか苦労したかなど、追々書いていきます。実はもう一つ大きな問題が発生するんだけどそれも後で。

あと、intuos 3Dにも付属するZBrushの簡易バージョン「ZBrush Core」の件について書きたかったけどエネルギー切れ。

・ショップジャパンのキャラクター「WOWくん」
https://shopjapan.com/wow_kun/

・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500

・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii

・rinkakの3Dプリント作品ショップ
https://www.rinkak.com/jp/shop/hiroshiyoshii