もじもじトーク[50]文字の定点観測〜第1回〜 ターミナル駅構内のポスター・看板を調査/関口浩之

投稿:  著者:  読了時間:5分(本文:約2,100文字)



こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

2014年7月11日にデジクリデビューしてから二年三か月。今回で記念すべき50回目のメルマガ掲載になります。おめでとう! パチパチパチ☆ 自分を褒めてあげたい…(笑)

読者のみなさんがいるからこそ、どんなに忙しくても一回もお休みすることなく、どうにか継続することができました。ありがとうございます。実は今回、今までで一番時間が取れなくて、あやうくお休みしそうな状態でしたが、がんばって執筆しました。

もし連載100回目を達成することができるならば、2019年のお正月頃になりそうです。その頃には僕は何才になっているんだろうか…… えっーー、内緒……

今回のテーマは「文字の定点観測〜第1回〜」です。




今日は終日、仕事で外出していたのですが、東京駅、渋谷駅、新宿駅、池袋駅と四つのターミナル駅を利用しました。

文字の定点観測をするために、朝のラッシュアワーに、ざっくりとしたこんな計画を立てました。

◎ターミナル駅構内で設置されているポスターや看板を50枚観察し、何かおもしろい傾向がないか調査する。

はじめは片っ端から適当に観察していたのですが「何か仮説を立てて行動しないと定点観測にならないなぁ」と思い、具体的に下記二点について調査することにしました。

1)ポスターのキャッチコピー、見出しや本文の組み方が「横書き」「縦書き」「縦横混在」なのか?

2)今回調査する対象のポスターは「病院」「旅」「金融」の3業種に絞り、それぞれの業種でよく使用されている書体に、なにか傾向があるか?

●「横書き」「縦書き」「縦横混在」の調査

50枚のポスターを調査しましたので集計結果をお知らせします。
・横書き  40枚
・縦書き  3枚
・縦横混在 7枚

日本語は本来、縦書き文化だと思っていたので、もう少し、縦書きや縦横混在のポスターが多いのかなと仮説を立ててましたが、圧倒的に横書きで組むポスターが多かったです。業種を絞っていたので、この集計結果は「関口調べ」ということで……

あとで業種毎の書体の傾向を書きますが、明朝体をキャッチコピーで使用する際に、縦組みにする傾向がありました。

●業種毎の書体の傾向

1)病院

非常に面白い結果が出ました。圧倒的に「丸ゴシック」が多かったです。代表的な看板をいくつかこちらに掲載します。じゃーん!
https://goo.gl/ozdmbd

以前、病院関係者から「明朝体は先が尖っているので注射針を連想しちゃうかもしれない」と聞いたことがあります。つまり、病院では明朝体は意識して使用しないケースが多いようです。「丸ゴシック体が一番、心が和む」とかいう理由もあるかもしれませんね。

7割が丸ゴシック体、2割がゴシック体、1割が明朝体とデザイン書体でした。ちなみに、明朝体は美容整形外科で使用されていました。デザイン書体は歯医者でした。それもお子様の治療を得意とする歯医者でした。うんうん、なんか、わかるような気がする。

2)旅行関係

旅行会社やJR、私鉄などの旅行ツアー企画のポスターもたくさん目にしますよね。この業種のポスターにおいては、明朝体が好まれる傾向がありました。半数ぐらいが明朝体中心で組まれてました。残りはデザイン書体も多く見られました。

そして、縦書きまたは縦横混在を利用するケースは、この業種が一番多かったです。

そっか、日本語の文化はゴシック体というよりも明朝体ですね。ポスターや看板で、明朝体で縦組みのケースは、旅行関係や演劇、歴史展とかで多く見られました。

3)金融

銀行や消費者金融のポスターも多く見かけました。金融系はゴシック体が7割ぐらいでした。視認性が高く、あまり癖がない書体(嫌われない書体)が良いのでしょうね…。ゴシック体でウエイトがしっかりした書体が多かったような気がします。

みなさんも、知らず知らずと、書体を選定しています。たとえば、プレゼンテーション資料やビジネス文書を作成する場合、ゴシック体を使用することが多いですよね。そして、その多くは横書きです。

一方で、年賀状の住所の宛名書きには、明朝体、毛筆体、楷書体で縦書きで組むことが多いのではないでしょうか? 

ターミナル駅で今日、発見した素敵なポスターや看板は、みなさんに振り向いてもらうために、その広告に相応しい書体を選定し、意図をもって文字を組んでいるんだなぁと感じた一日でした。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。

小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。