[4230] 何て言うんですか開放感

投稿:  著者:  読了時間:18分(本文:約8,600文字)



《ものづくりとはかくあるべき》

■腕時計百科事典[27]
 腕時計のブランド(カシオ)
 吉田貴之

■クリエイター手抜きプロジェクト[481]
 Adobe Illustrator CS6〜CC 2017編
 画像のファイル名を画像の下に表示する
 古籏一浩

■映画ザビエル[24]
 何て言うんですか、開放感
 カンクロー

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■腕時計百科事典[27]
腕時計のブランド(カシオ)

吉田貴之
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20161114140300.html
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世界で最も知られている日本の時計メーカー、といえばセイコーかも知れませんが、世界で最もファンの多い日本の時計メーカーは「カシオ」かもしれません。カシオの「G-SHOCK」は大きなインパクトを世界に与えました。

●会社の興り

関東大震災の後、樫尾家が上京したことが物語の始まりです。創業者である樫尾忠雄は旋盤工として働いており、鍋や釜、自転車用のライトなどを制作していました。その後、「樫尾製作所」を設立します。

●計算機との邂逅

創業まもなく、樫尾家の息子達が「電動計算機」に出会います。それからわずか5年で国産ではじめてとなる「電気計算機」を完成させました。機械式機構をもたない電気計算機は、電動計算機の抱えていた様々な問題を解決するものでした。

●パーソナル電卓の発売

電気計算機は小型化、高性能化が進み、電子式卓上計算機、いわゆる「電卓」が登場します。とはいえ1970年代でも電卓は高価なものでした。

ここに商機を感じたカシオは、価格が3分の1、大きさが4分の1という画期的な電卓「カシオミニ」を開発します。カシオミニはカシオ社の目論見通り、爆発的なヒットとなりました。

●G-SHOCK

カシオのイノベーション魂は1980年代になっても衰えを見せることはありませんでした。「ビルの上から落としても壊れない」をコンセプトに、耐衝撃時計「G-SHOCK」を開発。1983年に市場に投入します。

発売当初はアメリカなど、一部の市場でしか受け入れられませんでしたが、10年後にはカジュアルファッションを担う主要アイテムのひとつとして、日本国内でも大ヒットしました。

●データバンク

G-SHOCKと前後して、電話番号を記憶出来る「データバンク」が発売されています。腕時計を「時刻を知るための道具」から「情報を得るための道具」に昇華させた、初めての腕時計です。

現在のウェアラブルコンピューターに通じる考え方をもった商品が、1980年代に販売されていたことは驚くべきことでしょう。

●Baby-G

G-SHOCKの国内でのヒットを受け、ケースやモジュールの小さな「Baby-G」が発売されました。メンズとレディースがペアになった商品も多数発売され、バブル崩壊直後にもかかわらず大変な熱狂を以て市場に受け入れられました。

●デジカメ

G-SHOCKのヒットと並行する形で、カシオは新しい商品の開発を進めていました。液晶モニター付きのデジタルカメラ「QV-10」は、一般向けの価格と使いやすさを両立。その後のデジカメ、携帯電話、スマートフォンへと続く「撮影したその場で確認出来るカメラ」の始祖といえる画期的な商品でした。

●ものづくりとはかくあるべき

時計メーカーに限らず、その歴史や技術力を自負するメーカーは沢山あるでしょう。しかし、カシオは現在の市場の要求を満たしながら、あらたな市場をも開拓していくことができる希有なメーカーといえるでしょう。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
http://www.idia.jp/

兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。


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■クリエイター手抜きプロジェクト[481]
Adobe Illustrator CS6〜CC 2017編 
画像のファイル名を画像の下に表示する

古籏一浩
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20161114140200.html
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今回は、画像のファイル名を画像の下に表示する、Illustrator用のスクリプトです。

以下のスクリプトは、すべての画像のファイル名を画像の下に表示します。

// すべての画像のファイル名を画像の下に表示する
(function (){
drawFilename(app.activeDocument.rasterItems);
drawFilename(app.activeDocument.placedItems);
// ファイル名を表示する関数
function drawFilename(allObj){
for(var i=0; i<allObj.length; i++){
var type = allObj[i].typename;
if((type == "RasterItem") || (type == "PlacedItem")){
var filename = allObj[i].file.name;
var x = allObj[i].left;
var y = allObj[i].top;
var h = allObj[i].height;
try{
var tfObj = app.activeDocument.textFrames.add();
}catch(e){
alert("レイヤーがロックされています。解除してから実行してください");
return;
}
tfObj.top = y - h;
tfObj.left = x;
tfObj.contents = decodeURI(filename);
tfObj.paragraphs[0].size = 9; // フォントサイズ
tfObj.paragraphs[0].textFont = app.textFonts["Times-Bold"]; // フォント
}
}
}
})();

実際のところ、すべての画像にファイル名が表示されても困る場合があります。そこで、今度は選択した画像だけにファイル名を表示するようにしたのが、以下のスクリプトです。

// 選択した画像のファイル名を画像の下に表示する
(function (){
var selObj = app.activeDocument.selection;
for(var i=0; i<selObj.length; i++){
var type = selObj[i].typename;
if((type == "RasterItem") || (type == "PlacedItem")){
var filename = selObj[i].file.name;
var x = selObj[i].left;
var y = selObj[i].top;
var h = selObj[i].height;
var tfObj = app.activeDocument.textFrames.add();
tfObj.top = y - h;
tfObj.left = x;
tfObj.contents = decodeURI(filename);
tfObj.paragraphs[0].size = 9; // フォントサイズ
tfObj.paragraphs[0].textFont = app.textFonts["Times-Bold"]; // フォント
}
}
})();


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/

先週はデジクリが来年から発行されたようで…。誰も号数を見てないらしい。

ようやくmacOS Sierra入れました。After Effects C2017を動かさないといけないから、というのが理由ですが。

AdobeソフトウェアもCC 2017にアップデートされ、だいたい必要な機能は実現されているような気はします。音声版フォトショップとか、個人でアニメ制作するときに役立ちそう。

個人でアニメ作ってちょうだい、としかいいようがないものばかりな感じf(^^;
(二次元キャラならLive2Dで動かした方がいい雰囲気ってのはありますが)



http://www.live2d.com/ja/

3Dモデルも被写体までの距離を記録するカメラで撮影すれば、風景の3Dなども割と簡単にできるかもしれません。ビデオカメラで撮影して3Dプリンターにデータを送れば、ジオラマができてしまうとか、生きているうちに実現しそう。技術的に無理というより、ほとんどコスト的な問題な感じもしますが。

https://lytro.com/cinema

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・Premiere Pro & Media Encoder自動化サンプル集
http://www.amazon.co.jp/dp/4802090471/

・JavaScriptによるデータビジュアライゼーション入門
http://www.amazon.co.jp/dp/4873117461/

・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/

・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA/

・Adobe JavaScriptリファレンス
http://www.amazon.co.jp/dp/B00FZEK6J6/

・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/

・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/


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■映画ザビエル[24]
何て言うんですか、開放感

カンクロー
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20161114140100.html
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◎カッコーの巣の上で

原題(英題):One Flew Over the Cuckoo's Nest
制作年度:1975年
制作国・地域:アメリカ
上映時間:133分
監督:ミロス・フォアマン

出演:ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、
ブラッド・ドゥーリフ

●だいたいこんな話(作品概要)

1962年発表のケン・キージーの小説が原作。ロボトミー手術や当時の精神病院の劣悪な環境を扱った内容ながら、興行的にも大ヒットした。

刑務所での強制労働を逃れるため、精神疾患を装い精神病院に入院してきた主人公が、患者の自由と尊厳を勝ち取ろうとする物語。そもそもは犯罪者である主人公が、精神病患者に対し他の者と同等の人権を認めるアンチヒーローとして、不思議な魅力を放つ。

ジャック・ニコルソンの名演技のみならず、アメリカン・ニューシネマを代表する作品の一つ。

●わたくし的見解

この作品の内容が、公開当時の1970年代において、センセーショナルであったことは想像に難くない。想像に難くないだけで、今は当時ほどは衝撃的ではないのも事実だと思う。

しかし、この作品から30年以上経った比較的近年のものでも、ミロス・フォアマン監督作は、かなりエッジが利いていることが大変に興味深い。むしろ以降の作品の方が、年老いて「なお」ではなく、年老いて「さらに」尖っており、映画監督として希有な存在だと感じる。

かつてどれほど奇才ともてはやされた監督も、いずれは良くも悪くも作品に老いが感じられるものだけれど、フォアマンはつくづくROCKな爺さんだと思う。否、PUNKか。

1996年の作品「ラリー・フリント」では、表現の自由を勝ち取るための闘いを取り上げている。こちらも「カッコーの巣の上で」のジャック・ニコルソン演じるマクマーフィー同様に、ポルノ王という世間が眉をひそめるようなアンチヒーローを生み出した。

大きな体制に抗う者こそが、ナチスの台頭やソ連によるチェコへの軍事介入(1968年のプラハの春)を経験したミロス・フォアマンにとってのヒーローなのかも知れない。

「アマデウス」は、稀代の天才モーツァルトの誕生という、歴史上の事件を目の当たりにしたサリエリによって語られている。サリエリは後世において、モーツァルトと比べて無名に等しいが、事件の目撃者が劇中最も著名人であるのが「カッコーの巣の上で」から、およそ30年後の作品「宮廷画家ゴヤは見た」である。

2時間サスペンスの家政婦はホニャララに寄せた邦題から窺えるように、ある事件について第三者の視点をもって描かれている。

キリスト教による異端審問、いわゆる魔女狩りを扱ったもので、最後にゴヤが「もぉ、たくさん! 狐と狸の化かし合いっ」と事件を断罪することはないのだが、その代わり目の前で起きる様々な悲劇を作品にするようになる。

後期のゴヤは宮廷画家という、安定した公務員(しかも、ほぼ官僚に近い地位)的職業画家でありながら、作品によって事件を伝え記録するジャーナリストの側面も強かった。

そういった濃ゆい作品群のせいで、「カッコーの巣の上で」について生意気にも、まあまあ。などと評価してしまう私だが、ラストの開放感だけは、どうしても誰かに伝えたい感動があった。

作品のメインテーマではないが「宮廷画家ゴヤは見た」でも取り上げられている、かつての精神病院の悲惨な状況が、物凄い迫力をもって描かれている。フォアマン作品の真骨頂とも言うべきか。抗うべき対象、体制からの弾圧を映画の中では精神病院という箱で描いているのだろう。

しかし、「カッコーの巣の上で」を観ていていると(解釈は人それぞれあるだろうし、私にまったく同意できない人もいるに違いないが)病院の中も外も一緒、と表現されているように感じる。「病院の外には自由があると思いがちですが、本当にそうですか」と示されているように強く感じるのだ。

マクマーフィーは手術によって、おそらく自我が失われてしまった。少なくともそう考え、主人公の自由は病院の外でも叶うことはないと判断し、友人のネイティブアメリカン男性チーフは、彼に生からの解放としての自由を与える。その自由が正しいのか私には判断できず、大変に重たい心持ちで迎える映画のラストで、チーフは病院を脱出する。彼が生きたまま、その場を抜け出す時の、えも言われぬ開放感。

希望と呼べるほどの神々しさはないが、希望を全否定しない自由を求める活力がとても眩い。こんな感覚を味わえるなんて、映画って本当に素晴らしいと思える。そんな作品です。


【カンクロー】info@eigaxavier.com
映画ザビエル http://www.eigaxavier.com/

映画については好みが固定化されてきており、こういったコラムを書く者としては年間の鑑賞本数は少ないと思います。その分、だいぶ鼻が利くようになっていて、劇場まで足を運んでハズレにあたることは、まずありません。

時間とお金を費やした以上は、元を取るまで楽しまないと、というケチな思考からくる結果かも知れませんが。

私の文章と比べれば、必ず時間を費やす価値のある映画をご紹介します。読んで下さった方が「映画を楽しむ」時に、ほんの少しでもお役に立てれば嬉しく思います。


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編集後記(11/14)

■お詫びと訂正 先週発行した号はすべて号数が前に進み過ぎていました。4224号の次が4425号という具合で、200号もサバを読んでいます。これは単なる勘違いですが、ボケているという表現も正しいと思います。お詫びして訂正致します。お恥ずかしい……。


●土橋章宏の書き下ろし「スマイリング! 岩熊自転車 関口俊太」を読む(中央公論新社、2016)。中学校のクラスの下位にいる、家庭環境が劣悪の子・俊太が自転車屋のオヤジの支援を受けて心身の自己変革を果たし、自転車レースで活躍するベタなストーリーで、予想通りの一直線、たちまち読み終えてしまった。筆者は脚本家、小説家、放送作家で、映画「超高速! 参勤交代」のシナリオを書いた人だ。この小説は「超高速! ツール・ド・函館」である。じつにシンプルな物語で、漫画を読んでいるような感じ。わたしは大学でサイクリング部にいたから、ここで描かれているレースの状態は容易に目に浮かぶ。

「ツール・ド・フランス」は3300km、高低差2000mを数日かけて走る自転車プロロードレースである。それをまねた「ツール・ド・函館」は全長70キロのレースで、ジュニア部門(エキシビション)がある。TREK、BIANCHI、PINARELLO、COLNAGO、GIANT、海外ブランドのロードバイク、クロスバイクに乗るのは函館の中学生だ。「ツール・ド・函館」を見て興奮した彼らは親にねだって買ってもらった。って、どんな裕福な家ばかりなんだよ。貧乏な俊太はシティサイクルだから仲間はずれだ。変に親切な岩熊自転車のオヤジは、俊太の自転車のフレームを改造してロードレーサーを作り「ツール・ド・函館」に出場させる。

岩熊はかつて日本チームのメカニックとして「ツール・ド・フランス」にも参戦した男だった。海外ブランドのロードバイクを買って俊太を鍛え上げればいいのに、シティサイクルのフレームの素材はそのままでも剛性とフォルムを変えればいいと主張し、フレームを切って貼って穴をあけて(って危ないんじゃないの)軽量化するってなんのこっちゃ。他の部品はすべて最高級なうえ、チタン製の秘密兵器フィン・スタビライザーまでつけるのだから、そのこだわりがわからない。くさい精神論なセリフも多い。俊太は筋トレに加えてプールで長距離を泳ぎ、心肺を鍛え上げ筋力とスタミナが両立する体を作り上げる。

ロードバイクが速いのは、ベアリングの精度と車体剛性とタイヤの細さと空力である。そしてライダーの筋力と持久力である。レースが始まった。思わぬアクシデントが続くが、俊太は最後尾から140人を抜いて、すさまじい追い上げを見せる。そんなアホなと思うトンデモなシーンもあるが、ともかく期待を外さない展開だ。タイトルの「スマイリング!」とは「ツール・ド・フランス」の王者スティファン・ライトマンが発した「Smiling road.」(晴れやかな道だった)である、というのは創作だろう。表4のイラストの自転車が、見れば見るほど変である。イラストレーターは自転車を想像で描くのか。 (柴田)

大間違いのフレーム、シートステーとチェーンステーがありえない構造
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/2016/11/14/images/001.jpg

「スマイリング! 岩熊自転車 関口俊太」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4120048950/dgcrcom-22/


●今日の天気予報は雨……。/樫尾さんなのか〜!/号数ミスりました……。/「カッコーの巣の上で」見てない。名作は一度は見なければと思いつつ……。

スマホ料金見直しの続き。不安材料は3つ。「スピード」「接続状況」「緊急地震速報」。

場所によっては繋がらないということがあっては困る。極端なスピード低下で、情報がすぐに得られないのも困りものだ。地震速報が入らなかったせいで、心構えができないなんてのも。安物買いの銭失い、どころか命まで奪われてしまっては元も子もない。

逆にどうでもいいと思ったのが「MMS」「ポイント」「独自コンテンツ(サービス)」。

MMSの代用として、ほとんどの人がLINEで連絡をしてくる。ポイントをためてどうこうより、値引きの方がいい。携帯やスマホを約二十年使っているが、オプションは留守番電話程度、コンテンツはサポートのみで十分。必要なら専用サービスを別途契約すればいいだけだ。続く。 (hammer.mule)