[4250] 神ってる? バグってる?

投稿:  著者:  読了時間:13分(本文:約6,400文字)



《今は「食えてるアーティスト」を目指している》

■羽化の作法[29]
 「排除アート」を知ってますか?
 武 盾一郎

■crossroads[38]
 神ってる? バグってる?
 若林健一




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■羽化の作法[29]
「排除アート」を知ってますか?

武 盾一郎
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20161213140200.html
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1996年6月18日、制作日記によるとこの日、新宿西口地下道には奇妙なモノが建設された。寝泊まりできないようにする為の突起物。当時東京都はこれは景観を良くする「アート」だと答えていたと思う。
https://www.facebook.com/junichiro.take/photos/a.1053736031337950.1073741847.206228169422078/1376404545737762/?type=3&theater

10年後の2006年にはこのようなレポートがある。『公園のベンチが人を排除する? 不便に進化するホームレス排除の仕掛け』
http://brianandco.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-4ddf.html

さらに8年後の2014年には、ロンドンで最近見かけるようになったという排除アートについての記事がある。

『アンチ・ホームレス建築の非人道性』
http://bylines.news.yahoo.co.jp/bradymikako/20140613-00036330/

現在、街のあちこちでは、横になって寝られないような構造のベンチが普通であるが、これら「排除アート」はどうも90年代の東京が先駆けてるように見える。こんなツイートも見つけました。

「絵画館前のパスのベンチに排除手すりがついて、夜中とか昼間にベンチでごろ寝できなくなったのは、記憶に間違いなければ1992年だよ」


排除アートについて、ジャーナリストの津田大介さんもツイートしてたので、引用リツイートをしておきました。

「この記事より遡ること10年の1996年、新宿西口地下道に『突起物』が建設されます。武盾一郎はその突起物に絵を描き逮捕、22日拘留されます。今から20年前のこと。

数十年かけてゆっくりと『排除アート』は市民の暮らしにフツーに溶け込みました。

“最近ツイッターで話題になったホームレス排除のための使いづらいベンチがいつごろからどのような意図で登場し、広まっていったのか、そのきっかけがわかる貴重な記事。ちょうど10年前に書かれたもの”」


排除アートは今は普通に公共空間に溶け込み、当たり前のように増殖し続けているのに対して、排除アートに襲撃をかけた僕は、もうストリートには出ていない。

今は街でそのようなデザインを見かけても、「ああ、こういう仕事でギャラを貰ってる人たちもいるんだなあ。食べるために。で、それなりに暴力に見えない工夫をしていて、そこにクリエイティビティを発揮させて頑張ってるんだろうなあ。」と思うのである。

じっさい自分も、もうちょっと前だったらそういう仕事の依頼が来たら引き受けたかも知れない。3.11の後、近所のタンポポをむしって食べるくらいな貧困に陥り「こんな俺に今、原発推進のイラスト仕事が来たら引き受けるよなあ」とつくづく思ったからである。

なのでもう自分は、義憤を沸き立たせる立場ではないような気がしている。

自分が生涯食うに困らない裕福な家庭に生まれ育っていればとか、高学歴エリートで既得権益内にスルッと入れて「反体制」を連呼してても食いっぱぐれないポジションを獲得できていれば、などと思ったりして、そんな自分の思考になおさら情けなくなるのである。

「食えてない」という現実は性格も思考も変える。悪い方に。それは本当の意味で貧困に負けていることになる。貧しくても喰えてなくても高らかに笑って反体制であればいいのに、自分は弱かった。

「人や生き物をないがしろにする仕事を引き受けなくてもよくなるくらいは売れていたい」それがアーティストとしての、思想のライフライン維持だと強く思った。

なのでまず「アーティストとして自立しよう」、アートだから食えないと思うのやめにしよう、と思ったのである。

昔は本気で「アート」をやってればマネタイズなんて考えなくても、自然と喰えているはずだと思っていた。

今は「食えてるアーティスト」を目指している。過去がなければ今はないはずなのに、過去の価値観と今の価値観がうまく繋げらないでいたりもする。だからこそ僕は「羽化の作法」を書いてるのだけれど。

さて、改めてこのツイートを見てもう一度考えてみることにします。あなたはどう思いますか?

「渋谷は首都高の高架下もこんな感じ。どこの地獄ですか(*_*)」


怒りをたぎらせ、思いに身を任せて行動していた頃のお話はこの次に。(つづく)


【武盾一郎(たけじゅんいちろう)/アートで自立(三度目)】
Facebookページ https://www.facebook.com/junichiro.take
Twitter https://twitter.com/Take_J
take.junichiro@gmail.com

『トンドの夢想家たち展IV』京橋ギャラリーオルテール
2017年1月10〜14,19〜21日(全8日)
http://or-terre.jimdo.com/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9/
トンド(円)絵画の展示会です。新作線譜を出展します!

オルテールの定番人気展です。円い絵がいっぱいあって、どなたでも楽しめますのでぜひお立ち寄りくださいませ!

目指せジャケ買い!『星野智幸コレクション』(人文書院)
I・II巻9月下旬刊行、III・IV巻12月刊行予定!

星野智幸コレクションI スクエア
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226418.html

星野智幸コレクションII サークル
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226413.html

星野智幸コレクションIII リンク
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226414.html

星野智幸コレクションIV フロウ
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226417.html

*13月世の物語*
ガブリエルガブリエラTwitter
https://twitter.com/G_G_jp

13月世の物語・ガブリエルガブリエラ
http://gabrielgabriela-jp.blogspot.jp


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■crossroads[38]
神ってる? バグってる?

若林健一
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20161213140100.html
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こんにちは、若林です。
Facebookのタイムラインに流れてきた「プライム会員限定Kindle Fire今日だけ3,480円」にまんまと釣られて、一台お買い上げしてしまいました。

プライム会員限定なので、これをきっかけにプライム会員になった人も多かったのかも。みんな、Amazonの罠にまんまとハマってますね。

●流行りの言葉

今年の流行語大賞は広島カープ・緒方監督の「神ってる」だったそうですが、私が最近広く浸透しているなと思う言葉に「バグってる」があります。Dojoに来ている子どもたちでも普通に「ここ、バグってるねん」というやりとりが行われるほど。

自分的には「神ってる」より、「バグってる」の方が圧倒的に使われてるイメージなんですけどね。

「バグ」という言葉については以前も取り上げたことがあるのですが、元々エンジニア用語だったものが、携帯電話やスマートフォンの「アプリ」の利用拡大をきっかけに多く一般へ普及しました。

一般化したことによる副作用というか、影響として、本来不具合として挙げられるべきではないものも含めて「バグ」と呼ばれることもあります。

それはバグじゃない
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20160216140200.html

●バグりすぎている

その一方で、最近は頻繁に「バグ」に遭遇するようになっている面もあります。元々「バグ」というのは、ごく稀に遭遇する隠れキャラ的なものだったはずなんですが、今はそんなことありません、かなり頻繁に「バグ」に遭遇します。

つい先日も、Facebookの日本語入力の不具合で文章がおかしくなる現象があり、ちょっとした祭りになっていましたよね。

笑いごとで済んでいるうちはいいのですが、ITが生活必需品となっている今は、笑いごとじゃ済まなくなっているなと思います。

もちろん、お金に関わるものや人命に関わるようなものは、時間をかけてテストされ、慎重にリリースされているのですぐに重大な問題にはならないと思いますが、日常的に利用するソフトウェアの品質は下がっているように感じます。

利用されるアプリの数や利用頻度が高くなっていることを考えれば、仕方のないことなのかもしれませんが、やれ人工知能だ機械学習だと機械が賢くなればなるほど「バグ」が及ぼす影響が大きくなることは間違いありません。

●技術よりも大切なもの

ソフトウェアの開発環境が進化して、誰もがソフトウェアの開発ができるようになっている今、大切なのは技術的な知識ではなく、品質に対する意識なのかもしれない、そういうところを啓発していきたい。

人間は神でないのですから。

もしかすると、自分のバグも自分で直すような技術が開発されて、自己修復できる人工知能が現れるのかもしれませんね。そうなったら、完全に神ですよね、完全に自分の想像の域を超えています。


【若林健一 / kwaka1208】
http://kwaka1208.net/aboutme/

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編集後記(12/13)

●小川糸「ツバキ文具店」を読んだ(2016、幻冬舎)。主人公・雨宮鳩子(ポッポちゃん)は鎌倉のツバキ文房具の店主で代書屋である。お隣さんは見かけは100%日本人なのに、なぜかバーバラ婦人と呼ばれている明るく元気な高齢者だ。婦人? キュリー夫人、ボヴァリー夫人、赤毛のアンのリンド夫人、オバマ夫人……普通は「夫人」だろう。違和感あるがまあいい。持ち込まれるさまざまな代書依頼に、ポッポちゃんがどう対応しどうやって仕上げていくのか、そのプロセスは非常に興味深い。代書にかかわるあらゆること、ものにいちいち蘊蓄が語られるが、こういうのは嫌いでない。文字に関わるものは面白い。

最初の仕事はお悔やみ状である。細かなルールが語られるが納得できる。亡くなったのは家族同様の猿だったが。香料にお悔やみ状を添えて書留郵便で送る。依頼主はお悔やみ状の文面も体裁も知らない。この代書屋は依頼されたテーマを全力で書き上げ発送まで担当する。依頼主は原則としてその成果物を見ることがないという不思議なシステムだ(いくつか例外もある)。自分で自分の気持ちをすらすら表現できる人は問題ないが、そうでない人のために代書をする。そのほうが気持ちが伝わることもある。かつて恋仲だったが離ればなれになった幼馴染みに、ひとこと、僕も元気だと伝えたいという手紙もいい味だ。

借金の申し込みをバシッと断る手紙、還暦の(苦手な)義母へのプレゼントに添えるメッセージ。代書仕事はいろいろな人の心や体になりきって文字を綴る。天国からの親父の手紙を、高齢でちょっと呆けた母あてに書いて欲しいという心温まる話もある。なぜか関係が微妙になったお茶の先生への、最大限の礼儀をつくした絶縁状。女から女へ、未来永劫まで変わらない決意をこめた絶縁状。それぞれの手紙やメッセージは、手書きの実物が図版で示される。それがまた、じつに文面に合った表情の文字で、じつに感動的なしかけである。その字は映画美術で活躍中の“字書き”萱谷恵子の手になる。みごとな書き分けである。

手紙には作法やお約束がある。手紙は自分の思いを正確に届けると同時に、相手がそれを受け取った時に気分を害さないということも重要だ。といわれると、慚愧の念がモヤモヤと湧き上がる。出さなければよかった女友達への手紙がある。メールだって同様である。いまだに失敗が続く。その度に反省ばかりしている懲りない私である。この作品の中で、女から女へ絶縁状が凄まじい。文面も厳しいが、なんと手書きの鏡文字という悪意を込めているのだ。わたしは鏡文字は苦もなく読める。たいていの漢字は袋文字で一気に書ける。この異能に気づいたのは中学生のときだ。それが役に立ったことは、まだない。 (柴田)

小川糸「ツバキ文具店」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344029275/dgcrcom-22/


●ベンチの肘掛けってそういう意味だったのか。商業施設の植え込みのところに突起があるのも見かける。ほどよく距離を保てるように、そして見た目のために作られているのだと思っていた。

/「人や〜売れていたい」のところに頷く。多少波があったとしても、選択肢がある程度には稼いでいたいとは思う。経験をお金に十分に換えられていないよなぁとも。

/Kindle FireはAndroid機(アプリ利用のみ?)としても使えるという情報を読んで、心が揺れ動いたが、他を買ってしまっていたので諦めた。また夏にでもやるんじゃないだろうか。

/アマゾンのサイバーマンデーセール。とても恐ろしいものであった。価格コムや楽天、Yahooショッピングでの底値より安かった。楽天やらはポイント確率が読めないがきっと安いのであろう。ヨドバシはポイントを入れて、ほぼ同じものも並んでいた。

これが安いですよと画像が並んでいると、ああこれがあったら便利ね、少し前まで欲しかったのよね、ああもうアレはくたびれているわ、などと頭をよぎる。それまでなくても過ごせていたというのに。

家人が欲しいと言い続けていたホットプレートを、とうとう買ってしまった。片付けが面倒だし、場所を取るので要らないと言い続けていたのだが、目の前で作るなら、出来上がるまでの時間稼ぎになるし、簡単なものなら作ってくれるかもしれない。

卓上保温保冷ポットも買ってしまった。電気を使わないもの。これまた超安くて。それからオランジーナのタイムセールにも出くわして、見たことのない底値だったのでつい。家計引き締めしないとだわ……。 (hammer.mule)