もじもじトーク[54]金星と三日月の共演
── 関口浩之 ──

投稿:  著者:



あけましておめでとうございます。もじもじトークの関口浩之です。本年もよろしくお願いします。

もじもじトークの基本路線は「肩の力を抜いてお茶でも飲みながら、書体や文字のお話をゆるく楽しく語るよ〜」ですが、僕の趣味である「天体観測や宇宙のお話やカセットテープのお話とかも時々やるよ〜」ってノリでやってます。

昨年は毎週土日にセミナー出演する機会をたくさんいただき、ベランダ天体観測のチャンスがほどんとありませんでした。たまに週末に余裕があるときに晴れていないことも多く、昨年の天体写真のお話は0件でした。

なので、今年の抱負は「今年はベランダ天体観測もがんばるよ」にしたいと思います。ということで、2017年の初回メルマガは宇宙のお話をお送りします。




●金星と三日月の大接近

金星と三日月が仲良く並んだ写真をご紹介します。Facebookの投稿写真です。
https://goo.gl/KnqE82


この写真は、2017年1月2日にマンションの非常階段から、日没直後にデジカメで撮影しました。

金星と三日月が大接近しています。月と金星がおよそ1.5度の視野に収まってました。月のみかけの直径視野が約0.5度ですから、肉眼で見ると、くっ付きそうな感じでした。宇宙のパワーをもらった年初めでした。

この写真を拡大してよく見ると、左斜め上のほうにも星がひとつ写っています。この星は「火星」なのです。実は、三日月と金星と火星の共演だったのです。

ちなみに下のほうに、薄〜く宇宙船のような物体が写ってますが飛行機でした。未確認飛行物体UFOではなかったです……

さらに、火星の直ぐ近くに「海王星」が位置しています。海王星は8等星なので、望遠鏡でも見つけることが困難ですが。

●宵の明星は今が見ごろ

今日、天気が良かったら、ぜひ、日没直後に西南西の空を見上げてみてくださ
い。1月12日の日没時間は東京であれば16時48分です。

日没直後の薄明(薄明かりが少し残っている時間帯)の金星が超おすすめです。金星はマイナス4.5等星と非常に明るい星なので、日没後のトワイライトな時間帯でも容易に見つけることができます。そして、今週ぐらいでしたら、日没後3時間ぐらいは金星は地上にいます。って、つい擬人化しちゃいます。

ちなみに、各地の日没時間は、釧路16時09分、札幌16時21分、名古屋17時00分、大阪17時07分、岡山17時14分、博多17時30分、沖縄17時57分になります。おぉ、日本の日没時間って、釧路と沖縄では2時間近く違うんですね……

なぜ、いま、宵の明星「金星」が見ごろかというと、金星は本日、1月12日に『東方最大離角』を迎えるからです。

えっ、東方最大離角ってなに?

ご存知の通り、金星は内惑星(地球の内側の惑星)なので、金星を夜中に見ることはできません。地球と金星と太陽の、位置関係を想像してみればわかるはずです。

地球から見て、金星が太陽に対して一番東方に離れて見える位置になるのが、東方最大離角といいます。その角度は約45度です。なお、黄道(太陽のみかけ上の通り道)は傾いているので、地上からの高度は45度よりも低い位置になりますが。

少しややこしかったかもしれませんが、宵の明星を眺めるなら「今が見ごろです!」ってことです。2月下旬までは見ることができます。

3月下旬には、金星が内合する(金星が地球と太陽の間に位置する)ので、金星は見えなくなります。そして、4月中旬頃から明けの明星としての金星が、明け方の東南東に見ることができます。

そして、今年の6月3日に『西方最大離角』になります。その後、来年の2018年1月に地球から見て金星が外合(金星が太陽の反対側に位置する)します。

地球と金星の公転周期が異なる関係で(地球が365日で金星が225日)、ざっくり言うと約9か月半毎に、宵の明星と明けの明星を繰り返していることになります。今日と同じ位置の宵の明星が見えるのは、19か月後の2018年8月になります。

「宵の明星」と「明けの明星」が同じ金星であることはご存知かと思いますが、どのくらいの周期で繰り返しているかを覚えておくと、なにかと便利かもしれません(笑

今年は、文字、ときどき、宇宙ネタを投稿させてください。今年も「もじもじトーク」にお付き合いください。よろしくお願いします。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/


1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステム
やプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。

小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。